高山国道事務所 所内勉強会 次第 <H24版擁壁工指針に伴う補強土壁の設計・施工について> 第1部 補強土壁全般 13:00 ~ 14:00 講師:ME飛騨地域部会 (株)飛州コンサルタント 代表取締役 第2部 アデムウォール工法 14:00 ~ 14:50 講師:アデムウォール協会 前田工繊(株)補強土営業グループ 第3部 テールアルメ工法 尾方 武文 15:50 ~ 16:40 講師:多数アンカー協会 岡三リビック㈱補強土事業部 第5部 質疑応答 伊藤 修二 15:00 ~ 15:50 講師:テールアルメ協会 ヒロセ㈱補強土事業本部 第4部 多数アンカー工法 岩本 拓也 中下 真吾 16:40 ~ 17:10 1 高山国道事務所 所内勉強会 H24版擁壁工指針の改定に伴う 補強土壁の設計・施工について 第1部 「補強土壁全般編」 平成27年2月5日 MEの会飛騨地域部会 岩本 拓也 第1部 補強土壁全般編 技術基準(補強土壁関連)の位置づけについて 補強土壁の基本事項 補強土壁の種類と特徴 H24擁壁工指針の主な改訂点 性能設計(耐震性能)について 重要度区分について 第2~4部のプログラム 使用できる盛土材料について 各工法協会より ①各工法の構造的特徴 身近な事例による注意点 ②適用できる盛土材と注意点 まとめ ③現状のウイークポイントと改善点 ④維持管理その他について 3 技術基準の位置づけについて H2.8 H21.6 「道路土工要綱」+8指針 → 「道路土工要綱」+6指針 H21.6 分冊再編成がH24に完結 H22.3 切土工・斜面 安定工指針 基準書の上下関係 カルバート工指針 H22.4 H24.7 擁壁工指針 各種補強土壁工 各種補強土壁工 設計・施工マニュアル 設計・施工マニュアル 土木研究センター監修 土木研究センター監修 示方書 要綱 仮設工指針 道路土工要綱 盛土工指針 構造令 H11.3 H21.6 H24.8 軟弱地盤 対策工指針 指針 便覧 ・・・ マニュアル 排水工指針、のり面・斜面安定工指針、施工指針、 土質調査指針は、他指針・要項に統廃合され廃版 3大地震: H7阪神淡路大震災※1、H16中越地震※1、H23東日本大震災※2 ※1:現場検証 ※2:事象として教訓 土木研究センターは、どの工法協会にも属さない中立的公平な研究機関であり、上位基準である 土木研究センターは、どの工法協会にも属さない中立的公平な研究機関であり、上位基準である 土工指針との整合を審査する機能を果たす。 土工指針との整合を審査する機能を果たす。 今回の擁壁工指針改定では、補強土壁が第6章としてコンクリート擁壁と同レベルの位置づけに 今回の擁壁工指針改定では、補強土壁が第6章としてコンクリート擁壁と同レベルの位置づけに 独立昇格し、3大地震の教訓およびその他不具合原因調査をもとに具体基準が見直された。 独立昇格し、3大地震の教訓およびその他不具合原因調査をもとに具体基準が見直された。 4 代表4(3)工法の技術基準 擁壁工指針 H11版 → H24版 13年ぶりの大改訂 土木研究センター監修 技術基準 4冊 アデムウォール(補強土壁)工法 設計・施工マニュアル 近日出版予定 注文予約受付中 一般社団法人 土木研究センター テールアルメ 第4回改訂版 H26.8 多数アンカー 第4版 H26.8 ジオテキスタイル 第2回改訂版 H25.12 アデムウォール 初版 H27.1~2月 ワイヤーウォールやRRR工法は、各協会の技術基準 ワイヤーウォールやRRR工法は、各協会の技術基準 両者ともH24擁壁工指針後の改訂は未定 両者ともH24擁壁工指針後の改訂は未定 5 擁壁工指針による補強土の定義 補強土とは、盛土内部に敷設された補強材と盛土の摩擦 (支圧)抵抗によって安定性を補い、のり面勾配を標準勾配よ り急勾配に保つための土構造物。 6 検討項目 内的安定 外的安定 補強材の密度、強さ、長さ を決定する検討 補強領域を仮想擁壁とみな して、擁壁同様 補強材を通過するあらゆ る箇所のすべりを設定 転倒・滑動・支持について 安定を照査する 擁壁工指針 全体安定 補強領域自体が周辺地盤 に対して所定の安全率を確 保できているか否かを照査 する 盛土工指針 7 補強土壁の種類 壁面材種 Co直壁 鋼斜壁 Co剛壁 補強材種 代表製品 帯状補強材 テールアルメ 支圧補強材 多数アンカー ジオテキスタイル アデムウォール ジオテキスタイル テンサー、アデム 溶接金網 ワイヤーウォール ジオテキスタイル 溶接金網 RRR-B工法 8 代表3工法の特徴 テールアルメ 多数アンカー ジオテキスタイル スキンパネル EXPパネル、溶接金網 スキンパネル 合成高分子材料 タイバー(丸鋼) ストリップ ジオグリッド ジオネット 不織布 織布 アンカープレート 擁壁工指針 p225 インターロッキング効果 ※ボルト接合部が弱点 ※補強材破断は致命傷 ※火災に弱い 9 補強材の伸びの比較 (代表3工法) テールアルメ 多数アンカー テールアルメ 多数アンカー ジオテキスタイル ●実験結果は、ジオテキスタイルの最大変位量が鋼製補強材の約4倍程度。 ●実験結果は、ジオテキスタイルの最大変位量が鋼製補強材の約4倍程度。 ●ただし、アデムウォールは壁面材と補強盛土が独立した壁面2重構造になっている。 ●ただし、アデムウォールは壁面材と補強盛土が独立した壁面2重構造になっている。 10 代表3工法における構造と計算手法から読み解く感覚的な優劣 背面掘削がある形態で比較的有利となる工法 多数アンカー > ジオテキスタイル = テールアルメ <理由> 多数アンカーは、補強材が支圧抵抗という特性から基礎 底面幅を外的安定、全体安定から決定することが多い。 基礎底面補強材の最小長基準も3工法の中で最も短い。 また、敷設補強材で抵抗が確保できず不動地山が接近し た場合、ロックアンカーを不動地山に支持できる。 嵩上盛土が高い形態で比較的有利となる工法 ジオテキスタイル > 多数アンカー = テールアルメ <理由> 今回の指針改定で全体安定計算にて円弧すべり臨界面 が補強材を通過した場合、実際の補強材抵抗値で設計す ることが共通条件となった。 よって嵩上げ盛土高さが高く、全体安定計算にて補強エリ アが決定する形態では、補強材における単位強度(土中 面積に占める補強材の抵抗)の強い構造が有利となる。 代表的な補強土壁形態 (断面図) 擁壁工指針 p226抜粋 大規模な構造で最も実績が多いのはテールアルメ 化学的侵食に比較的影響し難いのはジオテキスタイル 11 H24版擁壁工指針の主な改訂点① 内的安定 外的安定 廃止 廃止 主働領域 補強領域 土圧くさび 統一 「ウィキペディア」より転載 12 H24版擁壁工指針の主な改訂点① 全体安定 廃止 廃止 地盤 補強領域 統一 盛土 ●全体安定検討で補強材をすべり円弧が横切るケースの安全率で多数アンカーやテールアルメ ●全体安定検討で補強材をすべり円弧が横切るケースの安全率で多数アンカーやテールアルメ がこれまで採用してきた「補強領域内の見かけの粘着力評価」の計算は廃止され、ジオテキスタ がこれまで採用してきた「補強領域内の見かけの粘着力評価」の計算は廃止され、ジオテキスタ イルのように実際の補強材が破断若しくは引き抜きで小さい方の抵抗を採用する計算に統一さ イルのように実際の補強材が破断若しくは引き抜きで小さい方の抵抗を採用する計算に統一さ れた。 れた。 ●全体安定では、検討時に土質定数を決定することが困難な場合(後に土質試験で確認すること ●全体安定では、検討時に土質定数を決定することが困難な場合(後に土質試験で確認すること を前提)は、盛土内の粘着力を10kN/m2標準値として仮評価できるように統一された。 を前提)は、盛土内の粘着力を10kN/m2標準値として仮評価できるように統一された。 「ウィキペディア」より転載 13 H24版擁壁工指針の主な改訂点② 許容鉛直支持力度(外的安定)が通常擁壁と同じになった ジオテキスタイル設計・施工マニュアルより引用 H25版 p90 H12版 p53 改訂後は、通常擁壁と同値 改訂後は、通常擁壁と同値 改訂前は、通常擁壁の1.5倍の許容値が認め 改訂前は、通常擁壁の1.5倍の許容値が認め られていた られていた(地震時や衝撃時と同値) (地震時や衝撃時と同値) ただし、台形分布が長方形分布に緩和 14 H24版擁壁工指針の主な改訂点③ 締固め管理が路体盛土レベルから路床盛土レベルに向上した ジオテキスタイル設計・施工マニュアルより引用 H12版 p126 【路体】 H25版 p189 【路床及び構造物との取付部】 盛土工指針 p219~220 ・盛土工法のため、適切な締固め管理が最も重要。 ・盛土工法のため、適切な締固め管理が最も重要。 ・検査方法は、砂置換現場密度試験(JISA1214)またはRI計器計測による。 ・検査方法は、砂置換現場密度試験(JISA1214)またはRI計器計測による。 ・最大乾燥密度はJISA1210のA,B法により確認する。 ・最大乾燥密度はJISA1210のA,B法により確認する。 ・確認検査の密度は、盛土材500m3に1箇所以上。 ・確認検査の密度は、盛土材500m3に1箇所以上。 15 H24版擁壁工指針の主な改訂点④ 性能規定型設計への緩やかなシフト (コンクリート擁壁共通) <新指針への追加項目> 過去に生じた変状・損傷形態とその原因の整理 性能規定型設計の枠組みを導入 重要度が1と2に分類 要求性能(限界状態レベル)が1~3に分類 想定作用に「降雨の作用」が追記 旧扱い:排水工、河川水位(同じ) 想定作用に「地震動の作用」が追記 旧扱い:地震時検討(同じ) 各重要度の各作用時に性能1~3が具体的に設定 ただし、要求性能(限界状態)は、定性的な表現に留まり、設計上の定量評価には至ってい ただし、要求性能(限界状態)は、定性的な表現に留まり、設計上の定量評価には至ってい ない。 ない。 (擁壁全般共通) (擁壁全般共通) 16 耐震性能について① H11版 擁壁工指針 H24版 擁壁工指針 表-1.擁壁に必要とされる性能 想定する作用による変形や損傷に対して、擁壁により形成される道路が本 供用性 来有すべき通行機能及び避難路や救助・救急・消化活動・緊急物資の輸 送路としての機能を維持できる性能 重要度1 重要度2 修復性 想定する作用によって生じた損傷を修復できる性能 レベル1地震動(性能1) 安全性 レベル2地震動(性能?) 重要度2 想定する作用等による変状によって人命を損なうことのないようにするため の性能 レベル1地震動(性能1) 重要度2 レベル1地震動(性能1) 性能1 検討なし(性能?) 性能2 性能3 表-2.擁壁の要求性能の水準 限界状態 安全性 修復性 供用性 ・想定する作用によって擁壁としての健全性を損なわない性能。 〇 〇 〇 ・安全性、供用性、修復性全てを満たすもの。 ・想定する作用による損傷が限定的なものにとどまり、擁壁として の機能の回復を速やかに行いうる性能。 ・安全性及び修復性を満たすもの。 ・想定する作用による損傷が擁壁として致命的とならない性能。 ・供用性・修復性は満足できないが、安全性を満たすもの。 〇 〇 - 〇 - - 表-3.擁壁の重要度の区分 地震の規模と 施設重要度で 作用後の健全 度を想定。 → レベル1地震動 → レベル2地震動 耐震設計については実はあまり変わっていない!! ・重要度1では、高さに関係なく、レベル2地震動を検討 すべてのケー スで性能1を満 足する要求と なっていない。 多少の損傷は 想定内として いる。 万一損傷すると交通機関に著しく影響を与える場合、 重要度1 あるいは隣接する施設に重大な影響を与える場合 重要度2 上記以外の場合 表-4.擁壁の要求性能 重要度 重要度1 重要度2 常時の作用 性能1 性能1 降雨の作用 性能1 性能1 レベル1地震動 性能1 性能2 レベル2地震動 性能2 性能3 想定する作用 地震動の作用 ・重要度2では、レベル1地震動、8m以下地震動無視 17 耐震性能について② <擁壁工指針 p235~236(補強土壁設計一般)の解釈> 地震動作用時の各限界状態(定性的状態)は、H7兵庫県南部地震、H16新潟中越地震の被 害状況をもとに検証している。 擁壁工指針の表 (解表4-1) 満足する性能 レベル1地震動 レベル2地震動 レベル1地震動の設計水平震度 で耐震設計した場合 性能1 性能3 レベル2地震動の設計水平震度 で耐震設計した場合 - 性能2 高さ8m以下の構造で常時作用 で設計した場合 性能2 性能3 重要度 重要度1 重要度2 常時の作用 性能1 性能1 降雨の作用 性能1 性能1 レベル1地震動 性能1 性能2 レベル2地震動 性能2 性能3 想定する作用 地震動の作用 実際の設計で満足する性能 <ポイント> <ポイント> ●重要度1の場合、擁壁規模にかかわらず ●重要度1の場合、擁壁規模にかかわらず (8m以下でも)レベル2地震動で設計する。 (8m以下でも)レベル2地震動で設計する。 ●性能2,3とは、「みなしの設計」であり、一 ●性能2,3とは、「みなしの設計」であり、一 部損傷することを前提とした設計である。 部損傷することを前提とした設計である。 重要度 想定する作用 重要度1 重要度2 8m超 8m以下 常時の作用 性能1 性能1 性能1 降雨の作用 性能1 性能1 性能1 レベル1地震動 性能1 性能1 性能2 レベル2地震動 性能2 性能3 性能3 地震動の作用 重要度1であってもレベル2地震動が作用した場合 では補修を伴う軽微な損傷は前提としている。 18 耐震性能について③ 「コンクリート擁壁と共通」 始め 重要度2 重要度1 重要度 8m以下 8m超 擁壁高さ 地震検討不要 レベル1地震動 による照査 レベル2地震動 による照査 レベル1で性能1 レベル1で性能2 ※ レベル1で性能1 レベル2で性能3 ※ レベル2で性能3 ※ ※ レベル2で性能2 ※:実際の耐震設計計算は省略 19 耐震性能について④ <設計水平震度 コンクリート擁壁とどう違う> コンクリート擁壁 構造計算 レベル1 レベル2 Ⅰ種 0.12 地盤種別 Ⅱ種 0.15 0.16 0.20 擁壁工指針 p96 安定計算 Ⅲ種 0.18 0.24 = = レベル1 レベル2 Ⅰ種 0.12 地盤種別 Ⅱ種 0.15 0.16 0.20 擁壁工指針 p96 全体安定 Ⅲ種 0.18 レベル1 0.24 レベル2 Ⅰ種 0.08 地盤種別 Ⅱ種 0.10 0.16 0.20 盛土工指針 p125 Ⅲ種 0.12 0.24 補強土壁 内的安定 レベル1 レベル2 地盤種別 Ⅰ種 Ⅱ種 0.12 0.15 0.16 0.20 擁壁工指針 p96 外的安定 Ⅲ種 0.18 0.24 地盤種別 Ⅰ種 Ⅱ種 Ⅲ種 レベル1 0.08 0.11 0.13 レベル2 0.11 0.14 0.17 擁壁工指針 p96 × 0.70 全体安定 地盤種別 Ⅰ種 Ⅱ種 レベル1 0.08 0.10 レベル2 0.16 0.20 盛土工指針 p125 Ⅲ種 0.12 0.24 室内実験結果、被災事例検証結果を踏まえ補強土壁の外的安定のみ補正 20 耐震性能について⑤ <設計水平震度レベル2 コンクリート擁壁とどう違う 計算結果比較> コンクリート擁壁 補強土壁 工種: 場所打ちL型 工種: 補強土壁 断面図 断面図 10kN/m2 H 10kN/m2 土質:C2 γ19 φ30 H 0.50 0.50 地盤種別 計算結果 H 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 10.0 11.0 応力 常時 常時 常時 常時 地震時 地震時 地震時 地震時 地震時 安定 地震時 地震時 地震時 地震時 地震時 地震時 地震時 地震時 地震時 土質:C2 γ19 φ30 Ⅰ種地盤 全体安定は無視 水平震度 H 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 10.0 11.0 応力 kh= 0.16 安定 kh= 0.16 ※各計算項目に1つでも地震時決定ケースがある場合は地震時とする。 ※結果として安定計算「地震時」は全て滑動で決定した。 地盤種別 Ⅰ種地盤 全体安定は無視 水平震度 内的 kh= 0.16 外的 kh= 0.11 テールアルメ 多数アンカー アデムウォール 内的 外的 内的 外的 内的 外的 常時 常時 常時 常時 地震時 常時 常時 常時 常時 常時 地震時 常時 地震時 常時 常時 常時 地震時 常時 地震時 常時 常時 常時 地震時 常時 地震時 常時 常時 常時 地震時 常時 地震時 常時 常時 常時 地震時 常時 地震時 常時 常時 常時 地震時 常時 地震時 常時 常時 常時 地震時 地震時 地震時 常時 常時 常時 地震時 地震時 ※各補強材に1つでも地震時決定長がある場合は地震時とする。 ※外的安定結果は「地震時」の結果が形状に影響ない場合「常時」とする。 21 <隣接重要施設とは> 重要度について (コンクリート擁壁と共通) (本線) (道路) (鉄道) (家屋) 高知県技術士会技術研修資料抜粋 第一コンサルタント代表 右城 猛 著 重要度判定は、道路の規格等級で決定するのではなく、 「緊急輸送路か?」「迂回路があるか?」「擁壁が倒壊しても供用可能か?」「隣接重要施設?」で判断 鉄道、道路、家屋連単 22 他の施設管理者との近接工事協議等で 他施設(擁壁)工事が本線に隣接する 区間は、重要度1で設計するよう指示 しなければならない。 23 補強土壁では仕様規定が重要 (不具合実績の視点から) ●過去に発生した補強土壁の不具合 < = 基礎地盤の滑り = 基礎地盤の(不同)沈下 = 地下水や地表水の浸透・浸食 盛土材の凍結・融解作用 < 過去の不具合から、より細かな仕様規定が求められる 不適切な盛土材料、締固め不足 地震による影響 「土木技術資料 55‐12(2013)_土研センター」より抜粋 性能規定 その他の要因 「擁壁工指針」 p228~231 24 補強土壁採用時の注意すべきポイント 中部地方整備局管理の新設道路、高速道路では、橋台背面やア プローチ部に補強土壁を使用できない。 補強土壁内の盛土材に改良土は安易に使用してはならない。 補強土壁内に軽量盛土を用いる場合、全体すべり力や地盤反力 は軽減できるが、摩擦抵抗が弱まり補強材密度の縮減とならない 傾向がある。 仮設で使用する場合、補強材強度許容値の割増しがない。 (多数アンカー以外) ただし、短期供用の仮設で壁面材や補強材をノーメッキとした場合、 大幅なコストダウンとなる。 25 盛土材の使用について 適 して い 補強土内の る 盛土材に 適 して い な い ●補強土壁における変状事例の ●補強土壁における変状事例の 多くに使用盛土材料の不適合、 多くに使用盛土材料の不適合、 若しくは締固め不足がある。 若しくは締固め不足がある。 ●使用盛土材料は、各種試験にて ●使用盛土材料は、各種試験にて 分類を明確にするとともに、締固 分類を明確にするとともに、締固 め試験で得られる締固め曲線及 め試験で得られる締固め曲線及 び三軸圧縮試験のc、φを確認し び三軸圧縮試験のc、φを確認し 、材料としての適否を事前確認 、材料としての適否を事前確認 することが重要である。 することが重要である。 ●細粒分が多い材料(結果として ●細粒分が多い材料(結果として 密度が低い材料)は、締固めも 密度が低い材料)は、締固めも 困難となる場合が多く、補強材の 困難となる場合が多く、補強材の 摩擦抵抗が発揮され難くなる。 摩擦抵抗が発揮され難くなる。 よって補強土壁には不向きな材 よって補強土壁には不向きな材 料と判断できる。 料と判断できる。 「盛土工指針」 p212 26 使用できる盛土材 補強材内盛土材 適用範囲 (各マニュアル) 工法名 テールアルメ 岩石質材料 細粒分含有率 25(35)%以下 最大粒径25cm以下 かつ スレーキング率30%以下 ・盛土材料には、摩擦力が十分に発揮され 砂質土系や礫質土系の土質材料が望まし い。岩石材料や細粒分を多く含む土質材 については、必要な対策を別途検討する ・補強材には、鋼製の材料を用いるため腐 食対策が必要である。 最大粒径25cm以下 ・盛土材料には、支圧抵抗力が十分に発揮 される砂質土系や礫質土系の土質材料が 望ましい。細粒分を多く含む土質材料に ついては、必要な支圧抵抗力を得られる ことを確認して使用する。 ・補強材には、鋼製の補強材を用いるため 腐食対策が必要である。 補強材が損傷する恐れ があるので注意 ・角ばった粗粒材を多く含む盛土材料は、 補強材を損傷する可能性があり、対策が 必要である。 ・補強材には種類が多く、伸び剛性の高い ジオテキスタイルを選定するのが望まし い。また、クリーブ特性や施行時の損傷 等、補強材の引張強度への影響について 考慮する必要がある。 細粒分含有率 50%未満 多数アンカー ジオテキスタイル (アデムウォール) 主な留意事項(擁壁工指針p226) 土質材料 細粒分含有率 50%未満 条件の 厳しさ 27 使用できる盛土材 (概ねの目安) C1 C2 C3 28 身近な事例による注意点① <現道拡幅での補強土壁> <施工照査前の設計図書> 外的安定計算にて既設もたれ擁 壁の存在を無視して土圧計算 29 身近な事例による注意点① <現道拡幅での補強土壁> <施工照査で確認した土圧> 既設もたれ壁と盛土の境界面は 土とコンクリートですべり易いの で土圧をチェック 30 身近な事例による注意点① <現道拡幅での補強土壁> 土とコンクリートの 摩擦角と同じ 土圧増大に注意! 補強土壁を岩盤地山に腹付 補強土壁を岩盤地山に腹付 盛土する場合でも外的安定 盛土する場合でも外的安定 計算では、地山境界面の摩 計算では、地山境界面の摩 擦角をすべりやすく評価する 擦角をすべりやすく評価する 必要がある。 必要がある。 この摩擦角をφから2φ/3 この摩擦角をφから2φ/3 に変更することで、土圧が増 に変更することで、土圧が増 大する傾向は設計上のポイ 大する傾向は設計上のポイ ントである。 ントである。 <擁壁工指針 p104> 身近な事例による注意点① 31 <現道拡幅での補強土壁> <照査結果> 全区間で滑動安全率 NG 32 身近な事例による注意点① <現道拡幅での補強土壁> <対処方法> 不足する水平力をタイバーと既設もたれ壁 の拘束で解消 部分的な岩盤掘削部で用いられる工法 A部 33 身近な事例による注意点② <盛土材選定における落とし穴> 34 身近な事例による注意点② <盛土材選定における落とし穴> ●盛土材は、NO.399(H‐5.0m)がA材料に適合するとして材料承認されていた。 ●盛土材は、NO.399(H‐5.0m)がA材料に適合するとして材料承認されていた。 ●施工後試料採取の結果では、適合材料は確認されたものの一部に不適合材料が確認さ ●施工後試料採取の結果では、適合材料は確認されたものの一部に不適合材料が確認さ れ、健全度を保てない原因の1つとなっていた。 れ、健全度を保てない原因の1つとなっていた。 35 まとめ <他工法と比較した長所> 養生のある構造と比較して施工が速い。 構造高が高いほど経済性で有利となる。 型枠工等の熟練職人が不要。 補強材が盛土と一体に変形追従するため、地震で大破しにくい。 <他工法と比較した注意点> 土構造であるため、発生材を利用する場合、材料確認が重要である。 種類が非常に多いため、比較設計の条件設定が難しい。 性能設計に規定される「降雨の作用」は、盛土内部排水以外にも課題がある。 長期間の耐久性は未確認である。 補修やメンテナンスに関する研究が他擁壁より遅れている。 36 ご静聴ありがとうございました 「巻末資料」 補強土には2種類ある 外的安定 不要 (盛土工指針) 外的安定+壁面材検討 不要 (擁壁工指針) ●補強土壁と呼称するのは、 ●補強土壁と呼称するのは、 直壁~1:0.6までの構造 直壁~1:0.6までの構造 ●補強盛土と呼称するのは、 ●補強盛土と呼称するのは、 1:0.6より緩い構造 1:0.6より緩い構造 この場合、外的安定計算不要 この場合、外的安定計算不要 ●1:1.0より緩い構造では、壁面材 ●1:1.0より緩い構造では、壁面材 の検討不要 の検討不要 壁面材を施工しない場合もある。 壁面材を施工しない場合もある。 38 「巻末資料」 補強土壁工の歴史 開発者 H.Vidal(仏) (S38) (S47) (S58) (S59) (S62) (H2) (H10) 補強土エンジニアリング技術ノートNo.2より 39 「巻末資料」 補強土壁工の種類 過去の実績 43.2% 11.4% 7.8% 6.9% 6.3% 1.3% 補強土エンジニアリング技術ノートNo.7より 40 「巻末資料」 補強土壁工の種類 過去の実績2 (単年H12) アデムウォールその他 RRRその他 テールアルメ、多数アンカー ジオテキスタイル、 ワイヤーウォール他 VWC補強土壁、鋼製スリットウォール 多数アンカー ワイヤーウォール テールアルメ アデムウォールを含むその他ジオテキスタイル 補強土壁工法FAQ50(理工図書)より 41 H24版擁壁工指針の主な改訂点⑤ 車両防護柵等付帯施設の構造縁切りが条件化された 擁壁工指針 p272~273 ・土柱式防護柵等の支柱と補強材の交錯が認められなくなった。 ・土柱式防護柵等の支柱と補強材の交錯が認められなくなった。 ※ストリップやタイバーのような棒状で実際に接触していなくてもNG ※ストリップやタイバーのような棒状で実際に接触していなくてもNG ・嵩上げ盛土等と土柱式防護柵を組み合わせるケースの場合、嵩上げ盛土高さは最小で ・嵩上げ盛土等と土柱式防護柵を組み合わせるケースの場合、嵩上げ盛土高さは最小で 1.5mとなる。 1.5mとなる。 42 擁壁工指針改定前のルール (参考) 43 「巻末資料」 補強土の大分類 盛土 補強土壁工(盛土部) 地山 切土補強土工(切土部) 44 「巻末資料」 外観、サイズでの見分け方 (代表3工法) テールアルメ 多数アンカー アデムウォール 45 「巻末資料」 施工状況、完成壁面 イメージ写真 テールアルメ 多数アンカー 46 「巻末資料」 施工状況、完成壁面、部品 イメージ写真 ジオテキスタイル コンクリートパネル直壁タイプ ワイヤーウォール 鋼製壁面材 斜壁タイプ ジオグリッド 合成高分子材料 鋼製壁面材 斜壁タイプ がEXPメタル or 溶接金網 の違い 47
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