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感音難聴の原因遺伝子に関する研究がすすむにつれ、その病態生理と近い将来可能となり
得る遺伝子治療についての理解も深まってきた。一方、家族性に発生するめまい平衡障害
の存在は知られていた (
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) が、その遺伝子研究は非常に遅れている。この r
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は、現在までに判明しているめまい平衡障害をひきおこす遺伝子異常について概説する。
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aは単一遺伝子の異常による常染色体優性遺伝の神経障害であり、反
復する協調運動障害、構音障害、体幹失調が特徴的である。典型的には比較的若い頃に発
症し、発作間欠期にみられる所見と遺伝子異常の内容からいくつかのサブタイプに分類さ
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)。診断において鍵となるのは短時間の発作性運動失調であり、発作間歌
期に何らかの異常がみられることから b
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oや片頭痛関連めまいと鑑別
できる。
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e 1はだいたい 4-6歳ころ突発的に発症し、疲労やストレス、
驚傍などが誘因となる常染色体優性遺伝性の疾患である。発作開始から 2-3秒で数秒間の
全身的な硬直あるいは政行が生じ、その後症状は数分単位で減衰していく。発作間欠期に
は筋波動症(安静時の筋の連続的不随意性の震えるような、あるいは波打つような動き)
がみられる。との筋波動症は常に単一あるいは群発の持続性運動神経単位の活動として筋
電図で検出され、末梢神経に起源があると証明されている。症状は年齢が上がるに伴って
軽減し、通常は t
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eころ消失する。通常、小脳症状の進行はない。
EA1は 1
2番染色体 (
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) に存在するいくつかの電位依存性カリウムチャンネル遺伝
子の異常(カリウムチャンネル病)であるとされており、 KvL1をコードする KGNA1の
突然変異によって生じる。 KGNA1は小脳や運動神経の軸索に広く分布している。
EA2は発作性の眼振ならびに運動失調で特徴付けられる常染色体優性遺伝性の疾患であり、
発作間欠期には眼振と進行性の運動失調がみられる。通常はストレス、運動、疲労などに
より誘発されるが、炭酸脱水酵素阻害楽であるアセタゾラミド(ダイアモックス)などが
著効する。 EA2症例の約 50%に片頭痛様の頭痛がみられ、家族性片麻痘性片頭痛や家族性
脳底型片頭痛とオーバーラップする。小脳症状は進行性であることが多い。
EA2と家族性片麻痕性片頭痛は 1
9番染色体 (
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)上に存在する脳に特有の P/Q
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プカルシウムチャンネル α1サブ、ユニット遺伝子をコードする CACNA1Aに異常がみられ
るカルシワムチャンネル病である。一般に、ミスセンス突然変異が生じると家族性片麻療
性片頭痛に、ナンセンス突然変異が生じると
EA2になるとされている。
EA3は発作性めまい、日直気、耳鳴、運動失調、片頭痛を生じる疾患としてカナダの 1家系
で報告されている。発作間欠期の筋波動症がみられることもあるが、限振や運動失調はみ
られない。 EA3症例では 1番染色体 (
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) 上に異常があることが示され℃いるが、責任
遺伝子はまだわかっていない。
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a (家族性周期性前庭小脳性運動失調)
とも呼ばれる常染色体優性遺伝性の疾患の疾患であり、 20代から 50代に発症することが多
い。めまい発作と運動失調を生じ、発作間欠期にはEA2症例同様に軽度の眼振や運動失調
を生じることもあるが、無症状の場合もある。発作は通常数時間持続し、アセタゾラミド
は無効である。ほとんどの症例でみられるのは前庭動限反射の障害である。遺伝子解析に
より EA1と EA2、脊髄小脳変性症 1-5とは別の遺伝子異常によるものではないかと考え
られているが、責任遺伝子は明らかになっていない。なお、 EA4の存在自体を疑問視する
意見もある。
EA5症例は EA2症例に類似した臨床症状を示すが、 CACNAlAの異常は除外され、 2番染
色体 (
2
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)上のカルシウムチャンネノレ B4サブユラットをコードする CAGNB4に遺伝子変
異がみられる。
EA6は発作性進行性の運動失調と片頭痛、てんかん、片麻療がみられるが、小児の 1症例
で報告されているのみである。
EA7は 1家系で報告されているのみである。数時間から数日間持続する発作性めまい、構
音障害、運動失調を特徴とし、 1
0代で発症する。間欠期には症状を欠き、耳鳴(鍋牛症状)
を伴わない点が EA3との鑑別点である。 1
9番染色体 (
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) 上に異常があるとされてい
るが、責任遺伝子は明らかになっていない。
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o (BRV) は、小児期にみられるめまいとして有名であるが、成人
の 2%
にもみられる比較的多い疾患で、片頭痛に関連している家族性のものであると考えら
れている。 BRV症例の多くは片頭痛と診断されうる症状をもち、閃輝暗点などの前兆やめ
まい発作を伴う。 20症例を対象とした眼球運動検査では、 70%に病的と考えられる限振が
認められた。多くの報告で BRVと片頭痛の関連性について指摘されており、責任遺伝子が
共通しているのではないかといわれている。
臨床的には EAと類似しているにも関わらず、 BRVの責任遺伝子は明らかにされていない。
20家系を対象とした大規模研究で、 22番染色体 (
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1
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) 上に異常があるという報告もな
されているが、完全に認知されているわけではない。片頭痛関連性めまいは片頭痛単独の
ものと同様女性に多くみられ、プロゲステロンレセプターとエストロゲンレセプターとの
関連性が指摘されている。 BRVと片頭痛関連性めまいの責任遺伝子については、世界中で
検索がすすめられている。
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片頭痛を伴う短時間の発作性めまいを生じたのち、数年間の経過で緩徐に末梢前庭機能障
害が進行する 3家系が報告されている。片頭痛を伴わない同様の症例も報告されている。
通常聴力は正常で、めまい発作はストレスや運動によって誘発される。アセタゾラミドが
有効だが、長期的には(おそらく両側前庭障害が高度となることにより)パランス障害や
動揺視を自覚するようになる。
多くの難聴遺伝子が報告されているにも関わらず、聴力正常な両側前庭機能低下症に関連
する遺伝子変異は明らかとなっていない。両側前庭機能低下症には、同ーの症状と所見を
示す、いくつかの遺伝子異常をきたす疾患が混在しているのかも知れない。常染色体優性
遺伝を示す聴力正常な両イ則前庭機能低下症の 1家族についての報告があるが、家族内に共
通する遺伝子具常は明らかになっていない。今後の研究が待たれる。
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常染色体優性遺伝パターンで、片頭痛、めまい発作、本態性振戦を示す家系が報告されて
いる。片頭痛関連性めまいの診断基準に合致した 1
5症例全員が 25歳以前に発症し、その
うち 6例は古典的な片頭痛の前兆を、 8例は反復するめまい発作を訴え、 9例には本態性振
戦が認められた。めまい発作は数秒から数時間持続し、頭痛や片頭痛の前兆とは同時に生
じなかった。 8例はメニエール病の診断基準に合致した。アセタゾラミドはいずれの症状に
対しても有効であった。現在遺伝子解析が行われている。
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鍋牛症状に反復するめまい発作が伴いメニエール病と診断される症例は多くない。明らか
にされている約 40の常染色体優性遺伝難聴(DFNA:DeafuessNon'syndro
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皿)のうち、わずか 2つが前庭障害(めまい)を伴う。ひとつは COCH遺伝子変異を
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示す DFNA9であり、もうひとつは MY07遺伝子変異を示す DFNAllである。 DFNA9症
例の 25%がメニエール病の診断基準に合致することが報告され、メニエーノレ病の責任遺伝
子として一時注目されたが、逆にメニエール病と診断された室長族歴のない孤発症例には
COCH遺伝子変異がみられなかったことから、現在ではメニエール病典型例とは別のカテ
ゴリーに属ずる疾患であると考えられている。
通常、蛸牛症状を伴う発作性めまいを有する症例が 1家族に複数人いることは珍しく、ま
た
、 1家系にメニエール病と診断された症例が複数いる場合、片頭痛と関連していることが
ある。これらは家族性メニエール病として報告されている。家族性メニエール病は常染色
体優性遺伝を示唆する発症の仕方をすることが多いが、明らかではない。片頭痛をもたら
す病態が内耳障害を起こしうるのか、また、メニエール病同様の症状を起こしうるのかに
ついての定説はない。
メニエーノレ病を有する 4家系を遺伝子解析し、 14番染色体に異常がありそうであるという
2番染色体
報告や、 5世代にわたってメニエール病がみられたスウェーデ、ンの 1家系で 1
(
1
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2
.
3
) に遺伝子異常がみられたという報告もあり、次第に責任遺伝子の候補は狭めら
れているが、今後の研究が待たれる。
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EAの多くには早期に発症し、運動やストレスを誘因とし、アセタゾラミドが有効であると
いう共通点がみられる。他の遺伝性前庭障害にも、 EA(
1と 2
) 同様にイオンチャンネル
をコードする遺伝子の異常が見られる可能性がある。家族性の前庭障害を示す家系の解析
により、今後、反復性めまいや前庭障害の原因遺伝子が明らかl
こなっていくことが期待さ
れる。
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