漸化式と数学的帰納法

数学科学習指導案
広島県立広島高等学校
1
日時・場所
平成 19 年○月○日(○)
2
学年・学級
第2学年
3
単元名
数学B「漸化式と数学的帰納法」(数列)
教諭
長谷川
結城
2年○組教室
発展β(習熟度別)
教科書『数学B』 数研出版
4
単元について
○
単元観
数列の概念はある規則に従って数を並べたものという素朴なものであるため,生徒にとっては取り
組みやすい内容であるといえる。ここでは,等差数列や等比数列など特徴的な数列について,その規
則がどのようなものであるかを見つけ出し,一般項や第n項までの和について考察していく。さらに,
数列に関する基本的な考え方を基に,漸化式と数学的帰納法について理解し,これらが活用できるよ
うにする。こうした学習を通して公式等が生み出される過程を理解させ,具体的な事象を考察し処理
できるようにすることが本単元のねらいである。また,数列は自然科学や社会科学などの分野でもよ
く扱われる。数学以外の分野での応用例を通して,数学の有用性について感得させることができる教
材でもある。
○
生徒観
本校第2学年の数学の授業は,学級2クラスを習熟度で3講座(発展α,発展β,標準)に分けて
展開している。対象となるクラスは発展βの講座である。生徒は,文字式の変形など基本的な計算技
能は身に付いており,数学の問題の解決に当たって,公式等を適切に利用することができる。しかし,
生徒は公式等を丸暗記する傾向にあり,公式等が直接利用できないときに,問題を多面的にとらえて
その構造を分析したり,分かりやすい例に置き換えて解き方を模索したりする力は不十分である。
○
指導観
指導に当たっては,公式等をどう利用するかに重点を置くのではなく,生徒自身に公式等を導かせ
るなど,数学の問題に対してどうアプローチするかを考え,それを実行するという自力解決の活動を
大切にしたい。そのために,生徒の関心・意欲が喚起されるような課題を設定したり,授業に生徒同
士の意見交換の場面を設けたりするなど,生徒自身の思考活動を促す工夫をしたい。
5
単元の目標
漸化式と数学的帰納法について理解し,それらを用いて事象を数学的に考察し処理することができ
る。
6
単元の評価規準
ア
①
②
③
④
関心・意欲・態度
数学的な見方や考え方
表現・処理
知識・理解
数列の帰納的定義 ア
に興味をもつ。
イ
数学的帰納法に関
漸化式から一般項
ア
漸化式を用いて,
ア
漸化式の考え方に
を求める方法につい
与えられた数列の各
ついて理解し,基礎
て考察することがで
項を求めることがで
的な知識を身に付け
きる。
きる。
ている。
心を持ち,等式の証
明に用いようとす イ
る。
数学的帰納法を用
a n+1 = pan + q の
形の隣接2項間の漸
化式から,一般項を
求めることができ
る。
イ
いて,自然数に関す
る命題を考察するこ
とができる。
ウ
与えられた漸化式
を a n+1 = pan + q の
形に置き換えること
によって,一般項を
求めることができ
る。
エ
数学的帰納法 を用
いて等式を証明する
ことができる。
オ
数学的帰納法を用
いて不等式を証明す
ることができる。
イ
数学的帰納法の考
え 方 に つ い て 理解
し,基礎的な知識を
身に付けている。
7
指導と評価の計画(全9時間)
次
学習内容(全9時間)
数列を漸化式で表すことの 意味を知り,漸化式か
第一次
ら数列を具体的に表現する。
漸化式 と数列
項を求める方法について考える。
評
関
考
表
○
般項を求める。
(本時)
与えられた漸化式を a n+1 = pan + q の形に置き換
えることによって,一般項を求める。
③−ア
ワークシート
②−ア
ワークシート
○
③−イ
ワークシート
○
③−ウ
ワークシート
漸化式の考えについて理解を深め,それを 具体的
○
な事象に利用する。
第二次
数学的帰納法
数学的帰納法を用いて整数の性質について証明す
ることを考える。
数学的帰納法を用いて不等式が成り立つことを証
明する。
数学的帰納法の考えについて理解を深め,それを
具体的な事象に利用する。
8
○
を用いて等式が成り立つことを証明する。
○
○
○
○
④−ア
(テスト)
行動観察
③−エ
ワークシート
②−イ
ワークシート
③−オ
ワークシート
④−イ
(1) 目標
an +1 = pa n + q の形の隣接2項間の漸化式から,一般項を求めることができる。
ワークシート
ワークシート
①−ア
本時の展開
(2) 準備物
評価方法
行動観察
○
a n+1 = pan + q の形の隣接2項間の漸化式から,一
評価規準
①−ア
○
等差型,等比型 の漸化式で定められる 数列の一般
数学的帰納法の考えについて知り,数学的帰納法
知
価
ワークシート
(テスト)
(3)
学習の展開
○:指導内容,●:学習活動
指導上の留意事項
評価規準
(評価方法)
<等差数列・等比数列の漸化式から一般項を求める。>
次の条件によって定められる数列 {a n} の一般項を
導入
求めなさい。
(1) a1 = 3, a n+1 = a n − 4
(2) a1 = 3, an+1 = 3a n
「 a n+1 と an には,どんな関係があるのだろうか。
」
●生徒間で,答えと考え方の確認をする。
・規則性がつかめな
い生徒には,初め
の数項を求めさせ
る。
・帰納的に予想した
生徒には,隣接2
項の一般的な関係
に着目させる。
○等差数列・等比数列の漸化式の特徴についてまとめる。
< an+1 = pa n + q の形の漸化式の一般項を求める。>
次の条件によって定められる数列 {a n} の一般項を
求めなさい。
(3) a1 = 5, a n+1 = 3a n − 4
・ (3)の問題に固執
せ ず, (4)の問 題
に取り組ませる。
(4) a1 = 5, a n+1 − 2 = 3( an − 2)
●(3)と(4)が同じ漸化式であることに気付く。
●(4)で, {an − 2} を一つの数列と考えて,
a1 − 2, a2 − 2, a3 − 2, …の関係を考える。
・生徒間で,意見 の
交換をさせる。
展開
「数列 {an − 2} の一般項は求められないだろうか 。
」
● {an − 2} が等比数列になっていることに気付き,
{an − 2} の一般項を求める。
● {an − 2} の一般項から {a n} の一般項を求める。
○(3)の形の漸化式は(4)の形に変形すれば,一般項を求める
ことができることを確認する。
「どうすれば,(3)の形を(4)の形に変形できるだろうか。」
●(4)の式 an+1 − 2 = 3(an − 2) に変形するために必要な
“2”に着目し,その求め方を考える。
「(4) の式で,2を x と置いてみよう。
」
○(3)を(4)の形に変形する方法についてまとめる。
●演習問題(類題)を解く。
まとめ
an+1 = pa n + q の形の漸化式は,
an+1 − α = p( an − α ) と変形し,等比数列の考えを
用いることによって一般項を導くことができる 。
・机間指導し,個別
に支援する。
・十分な時間を確保
する。
an+1 = pa n + q の形
の 漸化式 から 一
般 項を求 め る こ
とができる。
( 学 習 活 動の 観
察 ,ノ ー トの 記
述)