第2 宅地造成に関する事項 Ⅰ 防災に関する設計計画の基本 1. 開発

第2 宅地造成に関する事項
Ⅰ 防災に関する設計計画の基本
1. 開発区域の土地が、地盤の軟弱な土地、がけ崩れ又は出水等のおそれのある土地であ
るときは、地盤の改良、擁壁の設置、排水路の設置等安全上必要な措置を講じること。
2. 長大がけ及び法(垂直高5m以上)の上端、下端には道路等の公共空地を配し、直接宅
地を接しないよう配置すること。
Ⅱ 工事中における災害防止
1. 工事施工中は地形・土質・周辺状況等を考慮し、がけ崩れ・土砂の流出・出水等による
災害の防止措置を講じなければならない。
(1)工事施行中の仮の防災調整池等の設置
急激な出水・濁水及び土砂の流出が生じないよう、周辺の土地利用状況、造成規模、
施工時期等を勘案し、必要な箇所については仮の防災調整池、仮の沈砂池を設置しなけ
ればならない。
(2)簡易な土砂流出防止の措置
仮の防災調整池等の設置によらない場合には造成区域内外の地形・周辺状況等に応じ、
適切な簡易土砂流出防止工(流土止め工)を設置し、造成区域内外へ土砂を流出させない
ようにすること。
(3)仮排水の措置
工事施工中の排水については造成区域外への無秩序な流出をできるだけ防ぐと共に、区
域内への流入水及び直接降雨については、法面の流下を避け、かつ、地下浸透が少ないよ
うに、速やかに防災上の調整池を整備し区域外に被害がないよう導くこと。
(4)柵工
人家、鉄道、道路等に隣接する重要な箇所について、工事施工中に法面からの土砂の流
出等のおそれがある場合は、柵工を設置すること。
(5)表土等を仮置きする場合の措置
表土を仮置きする場合には、降雨によりこれらの仮置土が流出したり濁水の原因となら
ないよう、適切に次の措置を講じること。
① 法勾配は安息角により緩くする。
② 仮置土の周辺には排水溝を設置する。
Ⅲ 法面に対する安全措置
1.地盤(がけ)等に関する安全措置
(1) 開発区域の地盤が軟弱である場合には、地盤の沈下又は開発区域外の地盤の隆起が
生じないように、土の置き換え及び、水抜き等の措置を講じること。
(2) 開発行為によってがけが生じる場合は、当該がけの上端に続く地盤面の雨水、その他
の地表水は、当該がけの反対方向に流れるように勾配をとること。
(3)切土法面の勾配は、法高、法面の地質等に応じて適切に設定すること。
(4)盛土法面の勾配は、30度(約1:1.8)以下とすること。
2. がけ面の保護
(1)開発行為によって生じるがけ面及び法面は、擁壁、石張り、芝張り、モルタル吹付け等
により風化その他の浸食に対して保護しなければならない。なお、擁壁でおおわれないが
け又は法にあっては直高5m以内ごとに小段(1.5m以上)を設け、必要な排水施設を
設置すること。又、法高が15mをこえる場合には法高15m以内ごとに幅3m以上の大
段を設けること。
※
小段は法面の浸食防止や法面の表面水を円満に排除するための排水溝の設置スペース、
管理スペースとして利用するとともに、法面の施工、法面全体の安定のために設ける。
(2) 切土をした土地の部分に生じる高さが2mをこえるがけ、盛土をした土地の部分に生
じる高さが1mをこえるがけ又は切土と盛土とを同時にした土地の部分に生じる高さが
2mをこえるがけのがけ面は擁壁を設置しなければならない。ただし、切土をした土地の
部分に生ずることとなるがけ又はがけの部分で、次に該当するがけ面についてはこの限り
ではない。
(ア)土質が次の表の上欄に掲げるものに該当し、かつ土質に応じ勾配が同表の中欄の角
度を以下のもの。
(イ)土質が次の表の上欄に掲げるものに該当し、かつ土質に応じ勾配が同表の中欄角度
をこえ同表の下欄の角度以下のもので、その上端から下方に垂直距離5メートル以内
の部分。(この場合において該当するがけの部分により上下に分離されたがけの部分
があるときは、(ア)に該当するがけの部分は存在せず、その上下のがけの部分は
連続しているものとみなす。)
土
質
軟
岩
(風化の著しい
ものを除く)
風化の著しい岩
砂利、真砂土、関東
ローム、硬質粘土そ
の他これらに類する
もの
擁壁を要しない
勾配の上限
60度
40度
35度
擁壁を要する
勾配の下限
80度
50度
45度
(ウ)小段等によって上下に分離されたがけがある場合において、下層のがけ面の下端を
含み、かつ水平面に対し30度の角度をなす面の上方に、上層のがけ面の下端があるとき
は、その上下のがけを一体のものとみなす。
※ 下図でABCDEで囲まれる部分は一体のがけとみなされ、ABCFGEで囲まれる部
分は、一体のがけと見なされず、それぞれABCH及びFGEIの別々のがけとみなされ
る。
【一体とみなされるがけ】
(3)切土をする場合において、切土をした後の地盤にすべりやすい土質の層があるときは、
その地盤にすべりが生じないように、くい打ち、土の置き換え等の措置を講じること。
(4) 盛土をする場合には、盛土に雨水その他の地表水の浸透によるゆるみ沈下又は崩壊が生
じないよう締め固めを行うこと。また、草木が腐食してすべり面とならないようこれを完
全に除去すること。
(5) 谷部の盛土を行う場合は、適当な位置に盛土高の1/5の高さに蛇篭、フトン篭コンク
リート等の堰堤を暗渠排水とともに埋設し、盛土部分に滑り止め擁壁を設置すること。
(6)著しく傾斜している土地において盛土をする場合には、盛土する前の地盤と盛土とが接
する面がすべり面とならないように段切り等の措置を講じること。段切りの寸法は、原地
盤の土質、勾配、段切りの施工法等によって異なるが、原地盤が岩である場合を除き、高さ
0.5m、幅1.0m程度以上とする。
3.法面排水施設
次のような場所は、法面の浸食及び崩壊等を防止するため、法面排水施設を適切に設け
なければならない。
(1)法長が相当長くなる場合。
(2)がけ上の地表水を流下させる場合。
(3)切土した場合の湧水箇所又は、湧水のおそれのある箇所。
(4)盛土する土地に地表水が集中する流路又は、湧水の箇所。
(5)その他地表水を速やかに排除しなければならない箇所。
(6)以上までの排水施設が集中した地表水等を支障なく排除するために必要な放流先まで
の水路。
【法面排水標準断面図】
【縦排水溝】
4. 擁 壁
(1)擁壁の種類
擁壁の種類は、鉄筋コンクリート造、無筋コンクリート造又は間知石練積造その他の練
積造としなければならない。
ただし、プレキャスト擁壁にあっては、国土交通大臣認定擁壁に限る。
(2)擁壁の構造
擁壁の構造は次に定めるところによらなければならない。
① 土圧、水圧及び自重(以下「土圧等」という。)によって擁壁が崩壊しないこと。
② 土圧等によって擁壁が転倒しないこと。
③ 土圧等によって擁壁の基礎がすべらないこと。
④ 土圧等によって擁壁が沈下しないこと。
⑤ 高さが5mを超える擁壁は、地震時の安全性についても検討すること。この場合、水
平震度は0.2とし、安全率は滑動、転倒に対して1.2以上、沈下に対して1.0以
上とする。
⑥ 土圧等の算定にあたっては、ランキン、テルツアギ-、ク-ロン、試行くさび法等、
学術的に認められたものを用いること。但し、粘着力は考慮しないものとする。
(3)間知石練積造その他の練積造擁壁の構造は、擁壁の高さ、土質及び擁壁の勾配に応じ
別表による構造とする。
(4)高さ制限
① 高さが10mをこえる擁壁の使用は原則として認めない。ただし、使用する場合は公
的機関の審査等を得ること。
② 練積造の擁壁は5m以下とする。
(5)鉄筋コンクリート造及び無筋コンクリート造の擁壁は構造計算によって安全を確認す
ること。
① 土圧等によって擁壁の各部に生じる応力度が擁壁の材料である鉄筋又はコンクリー
トの許容応力度を超えないこと。
② 土圧等による擁壁の転倒モーメントが擁壁の安定モーメントの3分の2以下である
こと。
③ 土圧等による擁壁の基礎のすべり出す力が擁壁の地盤に対する最大摩擦抵抗力その
他の抵抗力の3分の2以下であること。
④ 土圧等によって擁壁の基礎に生じる応力度が当該地盤の許容応力度を超えないこと。
ただし、基礎杭を用いた場合においては、土圧等によって基礎杭に生じる応力が基礎
杭の許容支持力を超えないこと。
1
2
(6)構造計算に必要な数値
① 単体体積重量及び土圧計数の数値は、状況に応じて計算された数値を用いるが、盛土
の場合の数値については、その土質に応じ、次の数値を用いることができる。
土
単位体積重量(t/m3)
土圧係数
砂利又は砂
1.8
0.35
砂
1.7
0.40
1.6
0.50
質
質
土
シルト、粘土又はそれらを多量に含む土
② 鉄筋コンクリート及び地盤の許容応力度及び基礎杭の許容支持については建築基準
法施行令第90条、第91条及び第93条を適用する。
③ 擁壁の基礎の地盤に対する最大摩擦抵抗力その他の抵抗力については、実況に応じて
計算された数値を用いること。
土
質
摩擦係数
岩、岩屑、砂利または砂
0.5
砂
0.4
質
土
シルト、粘土又はそれらを多量に含む土
(擁壁の基礎底盤から少なくとも15㎝までの深さの土を砂利
又は砂に置き換えた場合に限る。)
0.3
(7)擁壁の配筋は次のとおりとする。
① 主筋の径はφ13(D13)以上とし、ピッチは250mm以下とすること。
② 腹筋、配力筋の径はφ9(D10)以上とし、ピッチは300mm以下とすること。
③ 鉄筋のかぶり厚さは60mm以上とし、土に接しない部分は40mm以上とすること。
④ 主筋の定着長及び継手長は、鉄筋径の40倍以上とすること。
⑤ 水平方向の鉄筋の継手は、出隅部分には設けないこと。
また、擁壁の高さが2メートルを超える場合は次の各基準も満足させること。
ア.用心鉄筋を配してダブル配筋とすること。
イ.ハンチを設けること。
ウ.ハンチ筋は、主筋より1ランク下の径以上とし、ピッチは主筋ピッチの2倍以下
とすること。
(8)水抜き穴の配置及び透水層
① 擁壁には裏面の排水をよくするため、擁壁の壁面積3㎡以内ごとに1箇所以上の水抜
き穴(内径75mm以上の耐水材料を用いたもの)を設け、擁壁の裏面で水抜き穴の周辺
その他必要な場所には砂利等の透水層(練積造にあっては別表の定めによる)を設ける
こと。
【透水層の厚さ】
【透水層参考図】