濁水・冷水・維持流量対策

「第7回 矢作ダム貯水池総合管理計画検討委員会」
(濁水・冷水・維持流量対策)
1.
ダム貯水池の濁水・冷水・維持流量対策の検討
1-1
冷濁水対策の効果検討の考え方と検討ケース
1-1-1 冷濁水対策の効果検討の考え方
1-1-2 検討ケース
1-2
選択取水設備及びフェンスの運用(案)
1-2-1 操作基準の考え方と運用フロー
1-2-2 濁水現象及び冷水現象を考慮した新操作基準の考え方と運用フロー
1-2-3 フェンスの運用の考え方と運用フロー
1-3
冷濁水対策の効果検討
1-4 矢作ダム濁水対策フェンスの機能評価のためのモニタリング計画(案)
1-4-1 モニタリングの考え方
1-4-2 モニタリング計画(案)
1-5
分画フェンスのモニタリング調査結果
1-6
今後の予定
1.
ダム貯水池の濁水・冷水・維持流量対策の検討
1-1 冷濁水対策の効果検討の考え方と検討ケース
効果検討ケース
ケース
名称
選択取水設備
フェンス
1
操作基準
操作基準(濁水放流軽減優先の運用)
-
2
実績運用
実績運用
-
3
新操作基準
新操作基準(アユ遡上期において放流水温
を優先させる運用)
-
4
フェンス運用なし
5
新操作基準(アユ遡上期において放流水温
フェンス設置(浮上、沈
フェンス運用あり を優先させる運用。出水後は、フェンスの
降の運用を行う)
運用と連動させて濁水放流の軽減を図る)
新操作基準(アユ遡上期において放流水温
フェンス設置(運用なし)
を優先させる運用)
1-2
選択取水設備及びフェンスの運用(案)
【選択取水設備の運用フロー (新操作基準) 】
毎日データ
4月21日~ 6月30日
下段取水指定日か
下段放流水温> 13℃
①
Yes
上段取水濁度
> 下段取水濁度
No
Yes
No
指定日数の設定
日平均流入量≧50m3/s
Yes
上段取水
No
上段取水
貯水位< 273.0m
Yes
下段取水
A
下段取水
* 下段取水の指定日数
流入量m 3/s
指定日数
0< Q<= 50
50< Q<= 100
100< Q<= 300
300< Q
0
2
4
6
No
表面取水、 下部取水
による放流濁度の予測
上段放流濁度> 25度
上段取水
Yes
②
濁度25度
No
No
A
下段放流濁度> 25度
Yes
濁度25度
上段取水
No
濁度25度
Yes
4月21日~ 6月30日か
① 指定日は基本的には下段取水とするが、 出水の発生時期、 出水規模により浸入位置が表
層付近になることもあるため、 下段取水にとらわれず高濁度放流となる位置より取水した。
② アユ遡上期においては水温を優先することとし下段放流水温が13℃ 未満となる場合は上段 取水とした。
③ 7月~ 10月においては、 基本的には下段取水とするが、 下段取水で放流水温が13℃ を下回 る場合もあるため、 下段放流水温が13℃ 以下となる場合は上段取水とした。
③
7月~ 10月で
下段放流水温≦13℃
No
下段取水
Yes
4月21日~ 6月30日
下段放流水温< 13℃
上段取水
Yes
上段取水
下段取水
【選択取水設備及びフェンスの運用フロー (新操作基準 + フェンス運用) 】
毎日データ
4月21日~ 6月30日
下段取水指定日か
①
Yes
下段放流水温> 13℃
上段取水濁度
> 下段取水濁度
No
Yes
下段取水
下段取水
* 下段取水の指定日数
流入量m 3/s
指定日数
No
指定日数の設定
日平均流入量≧50m3/s
上段取水
No
上段取水
貯水位< 273.0m
Yes
0< Q<= 50
50< Q<= 100
100< Q<= 300
300< Q
Yes
No
0
2
4
6
A
表面取水、 下部取水
による放流濁度の予測
上段取水
フェンスの運用
フェンス沈降時か
Yes
No
貯水池内濁度< 25度
( 水深15m 以浅) Yes
フェンス再浮上
No
②
出水後
Yes
フェンス上流側表層濁度
< 25度
No
フェンス沈降
フェンスの運用
1月から8月において運用する
沈降・・・・・・日平均流入量50m3/
s以上の出水の減衰期に
おいてフェンス上流側表
層濁度が25度を下回っ
た時点で沈降させる。
再浮上・・・・水深15m以浅が25度以
下となった時点、 または、
日平均流入量50m3/s以
上の 出 水 で再 浮 上 させ
る。
上段放流濁度> 25度
下段放流濁度> 25度
No
Yes
濁度25度
上段取水
No
濁度25度
4月21日~ 6月30日か
④
7月~ 10月で
下段放流水温≦13℃
No
下段取水
Yes
4月21日~ 6月30日
下段放流水温< 13℃
No
A
① 指定日は基本的には下段取水とするが、出水の発生時期、出水規模により浸入位置が
表層付近になることもあるため、 下段取水にとらわれず高濁度放流となる位置より取水
した。
② 流入水が清水化した時点(目安として流入濁度30度以下)でフェンスを沈降させるものと
するが、 流入濁度とフェンス上流側表層濁度に差異があることから、実際にはフェンス
上下流の濁水の状況を目視で確認する。計算上の清水化の判断は 、フェンス上流表層
濁度が25度以下とした。
③ アユ遡上期においては水温を優先することとし下段放流水温が13℃未満となる場合は
上段取水とした。
④ 7月~ 10月においては、 基本的には下段取水とするが、 下段取水で放流水温が13℃を
下回る場合もあるため、 下段放流水温が13℃ 以下となる場合は上段取水とした。
Yes
③
濁度25度
Yes
Yes
上段取水
上段取水
下段取水
1-3
冷濁水対策の効果検討
フェンスの設置、運用による効果について検討した。
濁水放流についての軽減効果を5年間の濁水長期化日数で見ると、フェンス設
置による効果は、新操作基準に対し5日間の低減が予測された。フェンスの運用
による効果は、さらに12日間(新操作基準と比べると17日間)の低減が予測さ
れた。
冷水放流については、フェンスの設置により、新操作基準に比べ放流水温は
若干低い値となる。
以上より、フェンスを設置、運用した場合、適切な選択取水設備の運用に比
べ、放流水温は若干低くなるものの濁水長期化の低減には効果が得られるもの
と考えられる。
50
43
50
44
37
40
37
40
操作基準
実績運用
新操作基準
フェンス運用なし
フェンス運用あり
31
30
30
20
20
21
10
10
0
0
放流水温超過日数(15℃以上)
22
16
16
10
※図中の数値は放流水温超過日数であり、各
年4月21日~6月30日での平成11年~15年の
放流水温超過日数(17℃以上) 平均値である。
フェンス設置の効果
フェンス運用の効果
180
167
160
153
140
148
136
136
120
操作基準
実績運用
新操作基準
フェンス運用なし
フェンス運用あり
100
80
60
40
20
※図中の数値は濁水長期化日数であり、平成11年
~15年の出水毎の合計値である。
0
濁水長期化日数
フェンスによる冷濁水対策効果
1-4
矢作ダム濁水対策フェンスの機能評価のためのモニタリング計画(案)
採水深度
◎:採水地点
採水地点
流量
フェンス沈降
フェンス沈降後に調査開始
時間
調査項目
採水
フェンス
フェンス沈
沈降後
沈降後
浮上中
降直後
1 日後
2 日後
○
○
モニタリング調査のタイミング
○
1-5
分画フェンスのモニタリング調査結果
8月30日の降雨に伴い、分画フェンス上流側が濁ったことから、9月3日、6日
にモニタリング調査を行った。なお、その後は、次の出水が発生したため調査
が実施できなく、2回で調査を終わらせた。
今回のモニタリング調査結果及び自動観測結果より以下のことが判明した。
・濁水はフェンスの下側に侵入し、フェンス~ダムサイト間の上層に清水が確
保された。
・出水後に下段取水から上段取水に切り替えたことにより高濁度放流が改善さ
れた。
・フェンスを沈降させないで上段から取水した場合には、濁水層が放流量に見
合った分上昇してくることが確認できた。
・今回のフェンス浮沈の効果については、時期的に流入水温が貯水池水温より
も低く、流入水がフェンスの下側に侵入したため確認できなかった。
以上から、 濁水をフェンスの下側に導くフェンスの機能と選択取水の運用
(下段→上段)とにより放流濁度が改善された効果が確認できた。
ダムサイト
分画フェンス地点における貯水池の状況(平成16年9月3日)
-流入 -放流
流入濁度・放流濁度
流入量・放流量
100
300
250
75
200
150
濁度(度)
H16.8.31
出水
流入量・放流量(m3/s)
フェンスあり
100
25
50
0
8/30 8/31 9/1 9/2 9/3 9/4 9/5 9/6 9/7
0
8/30 8/31 9/1 9/2 9/3 9/4 9/5 9/6 9/7
100
300
250
75
200
150
濁度(度)
H14.7.9
出水
流入量・放流量(m3/s)
フェンスなし
25
50
0
7/9 7/10 7/11 7/12 7/13 7/14 7/15 7/16 7/17
100
300
250
75
200
150
濁度(度)
流入量・放流量(m3/s)
H14.10.1
出水
50
100
0
7/9 7/10 7/11 7/12 7/13 7/14 7/15 7/16 7/17
フェンスなし
50
50
100
25
50
0
10/1 10/2 10/3 10/4 10/5 10/6 10/7 10/8
0
10/1 10/2 10/3 10/4 10/5 10/6 10/7 10/8
フェンスの有無による放流濁度の比較
1-6
今後の予定
・フェンス設置後のモニタリング調査と効果の検討
・フェンスの運用手法の検討