藤 棚 - 狭山ヶ丘高等学校

平成23年7月16日(土)
藤
棚
第255号
狭 山 ヶ 丘 高 等 学 校
学 校 通 信
http://www.sayamagaoka-h.ed.jp/
この夏高校生に望むこと
校長
小川義男
日記をつける
あやつ
まだその習慣をつけていない人も、夏休みを契機に始めて欲しい。文章を 操 り悩むような事がな
くなる。事実の経過、心の動きを一日ごとに纏めてみると精神が安定してくる。人間は高度の「精密
機械」だから、精神の自己管理が大切なのだ。
日記をつけるときは買い物の記録もつける事。後日になって「昔の物価」を知る貴重な資料になる。
沈思黙考
人生の曲がり角に立ったとき、大きな試練に直面したとき、他人は絶対に当てにしてはならない。
すべて自分で乗り越えて行かなくてはならない。
その際、解決の道は沈思黙考の中から生まれる。孤独こそは君の人生の母である。
どんしゆう
うお
およ
大宰相吉田茂は次の言葉を好んだ。
「呑 舟 の魚は枝流に游がず」この気概、英気を養うものも孤独
である。
「とかくめだかは群れたがる」が、仲間とのおしゃべりから人生の一大決意、一大抱負が生
まれるものではない。
「沈思黙考」するひとときを毎日の生活に持ち込んでほしい。電車の中、通学のひととき、散歩等
は孤独に浸る絶好の機会なのであるが、多くの若者、この頃では年寄りまでが、ウォークマンまがい
の器具を耳に突っ込み、他人との触れあいも、木の葉を揺する風の音もすべて拒否して、狭小な己の
中に閉じこもってしまう。おそらく自分自身を振り返ったりはしていないのであろう。携帯電話も沈
思黙考を台無しにする小道具である。電車の乗客の六割が携帯電話かゲーム機まがいの小道具にうつ
つを抜かしている。
「一億総白痴化」とは良く言ったものである。
黙想も素敵な手段の一つだが、沈思黙考が趣味となるような夏に出来たら素晴らしい。
テレビ離れ
もう子どもではない。テレビから独り立ちしろ。民放は本当にひどい。チャンネルを回すごとに、
いつも見かけるようなタレントが薄笑いを浮かべて映像に登場する。薄笑いを浮かべていなければ視
ぐ まい
聴率を稼げないほどに大衆が愚昧化させられてしまったということであろうか。
どうも国民の間には、テレビに登場する人は偉いという価値観が定着してしまったらしい。
将来国を背負っていかねばならぬ狭山ヶ丘の生徒たちだ。あのように低級なテレビ番組からは自立
しろ。最近は名画の DVD が廉価に販売されている。そのような質の良い映画を楽しむ事にしてはど
うか。
どうしても見たい番組がある場合は、ビデオに撮ってから見るのも一方法である。そうすれば一日
の予定を拘束されないし、つまらぬコマーシャルは飛ばして見ることができる。時間的には相当の節
減になる。
とにかくテレビ、携帯、ゲーム機等の外界情報に支配されず主体的に生きる事が大切なのだ。
夏休みの読書計画
三年生はゆっくり読書している暇はあるまい。その場合はあまり難しくない英書を読むことをお薦
めする。読書は日本語に限定する必要はないからである。
一、二年生は、高校時代に読むべき読書計画をこの休みに立ててみるのも良い。この面での参考書
めいそうじよう き
も多く出ているし、文学史を参考にするのも良い。「明窓 浄 机」という言葉が私は好きだ。古来中国
の知識人は、明るい窓の所に机を据え、机上を美しく拭いて、「さあ読むぞ」と机に向かった。その
時が至福の時だったと言う。
読書の時は、時代劇に出てくる武士たちのように背骨を真っ直ぐに伸ばして読むと良い。実は私に
はこれができない。たるんだ青春時代を過ごしてきたために、背筋力があまりしっかりしていないの
だ。これからも努力したいとは思うが、若い諸君には背骨を真っ直ぐ伸ばし、頭脳に新鮮な酸素を送
り込みながら読書を楽しむ習慣を形成してもらいたい。
散歩
登山
できれば数回山に向かって欲しい。大自然との触れあいは人間のスケールを大きくする。汗ばんだ
額に吹く風は、人の小なる悩みなど吹き飛ばしてしまう。運動部生は別として、現代高校生は肉体を
鍛える機会が少ない。進学校の場合は一層そうである。
精神の拠り所は肉体、頭脳の拠り所も肉体である。「健全な精神は健全な身体に宿る」、言い古され
た言葉だが、汲み尽くせぬ真理を含んでいる。
新聞を読む
関心のある部分でよいから、確実に読め。新聞は時代そのものを対象化したものだと言える。知性
は少なからず新聞によって培われる。
安全への配慮
かけがえもなく大切な日本の若者である。くれぐれも安全に配慮を。特に女子は男子のように強い
わけではないから、賢く、聡明に身の安全への気配りを保たなければならぬ。
秋風吹く頃、全員揃って再会しよう。
高校時代、夏休みの「特訓」の思い出
音楽科
大久保
友子
高校3年生の夏休み、私は東京藝術大学作曲科の受験のため、師匠であった北村昭先生のご自宅へ
通っていました。普段は週1回、御茶ノ水の教室へ通っていたのですが、夏休みには「特訓」という
名の2週間のレッスンが先生のご自宅で開かれていました。特訓には門下生20名程がおり、中には
大阪や広島から飛行機で通っている人もいました。
東京藝術大学作曲科の入学試験は4次まであり、1∼3次は作曲の実技試験で、4次試験は音楽の
基礎能力試験です。1∼3次の「模擬試験」を行うのが、この「特訓」です。特に大変なのは3次試
験です。あるテーマを与えられ、8時間でピアノも使わずに机に向かい、紙と鉛筆のみで1曲を完成
させなければなりません。
「特訓」の間、頭の中で音楽を鳴らしながら、ひたすら鉛筆を走らせました。ピアノを使わずに曲
を作れるのは不思議、と思う人もいるかもしれませんが、実際音は鳴っていなくても頭の中で音楽を
聴くことは出来ます。5線紙を見つめながらそこに音楽を想像し、音符を記していきます。
私は先生に「拙(つたな)い」と何度も赤ペンで書かれ続けました。具体的にどこが「拙い」のか、
教えてはくれません。自分に何が足りないのか、試行錯誤が続きました。そして、基礎を強化するこ
とと共に感性を磨くことが必要なのだ、と感じました。音楽の基礎である和音の勉強を徹底し、ベー
トーベンやモーツァルト、メンデルスゾーンなどの作品を研究しました。クラシックの名作には「エ
ネルギーの美」のようなものがあることを発見しました。先生はめったに褒めることがなく、一度だ
け「まあまあだ」と言われた時は本当に嬉しい気持ちになったことを思い出します。
その後、苦労しつつも志望校であった東京藝術大学の作曲科に合格することができたのは、先生の
「特訓」のお陰です。特訓の仲間の何人かは大学で一緒に勉強することができ、今でも交流があり、
かけがえのない友人となっています。
北村昭先生は、2年前に79歳で逝去され、先日上野にある旧東京音楽大学奏楽堂にてメモリアル
コンサートがありました。そこで多くの門下生と再会しました。プログラムに載っていたある先輩の
ノートにはこうありました。
「北村先生から教わったこと。最善の努力を正しい方法で根気強く実行することが、人生を切り開
くこと。
」
高校3年生の夏の「特訓」から学んだ、大切なことを改めて感じたのでした。
=本校卒業生からメッセージが寄せられました。夏休みは事故や病気など様々な面で注意が必要
な時期です。自分がいかに周囲の人から目に見えぬ愛情を注がれているか、考えてみてください=
寄稿「生きる」ことの大切さ
明治大学経営学部経営学科2年 縄田 敏之
(平成21年度卒業 清瀬市立第五中学校出身)
今日みなさんに一番伝えたいことは、「生きる」ということです。私は1か月ほど前、自転車で帰
宅中にバイクにはねられ緊急入院しました。20メートルほど引きずられ頭を強く打ったせいかその
ときの記憶がなく何も覚えていません。今回の事故のことも全て警察の人から後に聞かされました。
意識が戻ったのは救急車の中でした。意識は朦朧として、周りにたくさんの人のような影があり、そ
の人たちが何を喋っていたのか、また自分が何を言ったのかわかりません。ただ私はここで死ぬのだ
と思っていたことは確かです。意識が戻り病院のベッドにいるとわかった瞬間、激しい頭痛に襲われ、
何度も吐血しながら、
「やっぱり本当なのだ、もう終わりなのだ」と覚悟しました。
深夜をまわったころでしょうか、遠くから聞きおぼえがある声がしました。両親でした。私は親の
顔を見た瞬間、涙が止まりませんでした。あの優しい声、あの涙目になりながらも必死で私に微笑み
かけようとする顔。私は痛みを我慢して必死に親の手を握ろうとしました。その手を優しく包んでく
れた父と母の暖かい手。親が帰った後、私は「絶対、絶対生きてやるのだ!今度は自分が笑ってあげ
るのだ!」ひとりベッドで泣きながらこぶしを握りしめ、そう誓いました。毎日面会に来てくれる両
親や姉、恋人や友達、自分は一人じゃない、みんなが支えてくれると感じ、「生きたい」という気持
ちがますます強くなりました。早く元気になるために、病院のあまり美味いとはいえない食事でも無
理やり口に運びました。
こうして何とか退院して、いま思うことは「生きる」ことの大切さです。みなさんは何気なく日々
の生活をしていることでしょう。もちろんそれが普通だと思います。しかし、健康はお金では買えな
いものです。また、友情や愛情に勝るものは何もないのです。だからこそ、みなさんには、親の愛情
や友達との友情を大切にし、そしてなにより自分を信じて生きてほしいと思うのです。
夏に向けて、前進!躍進する運動部
速報
野球部
2回戦突破!
17年ぶりのシード権を獲得した野球部は、10日(日)県営大宮球場において行われた第2試合
で所沢商業高校に6−2で快勝した。次回は16日(土)12時30分から、熊谷公園球場において
深谷商業高校と対戦する。熱き声援を乞う。
【試合観戦記】
ダンス部顧問
数学科
松中
恭子
7月10日、野球部を応援するため、ダンス部を引率して球場に行きました。天気は快晴で、応援
席は特に日差しが強く感じられました。まさに闘志を燃やすのにふさわしい日に思えました。
私も含め野球のルールを知らない部員もいました。しかし、勝利が決まったときの応援席の生徒の
喜びようはすごいものでした。ダンス部員の表情は嬉しさであふれ、飛び上がって喜んでいました。
汗をかいた顔がとても輝いていました。野球部員からは、大きな勇気をもらいました。勝利の瞬間、
同じ場所にいたことは、応援席にいた生徒にとって高校生活の良い思い出となったはずです。
私は教師として生徒の絆がこのように深くなったことをうれしく思います。暑い中、一生懸命に戦
う姿には心から敬服しました。野球部の皆さん、がんばってください。応援しています。
水泳部
関東高等学校水泳競技大会出場!
女子の部では、吉田安菜(3年B組 青梅市立第三中学校出身)が、800メートルフリー決勝3
位(全国標準タイムを突破)、男子の部では、髙岡慎司(3年N組 小金井市立東中学校出身)が、
背泳で決勝2位の成績を収めるなど活躍した。
その結果、個人8種目、リレー4種目で、7月22日(金)∼25日(月)に行われる関東高等学
校水泳競技大会(山梨県)への出場が決定した。
卓球部
高校総体埼玉県予選
インターハイ出場へ
ダブルス優勝・団体戦準優勝!!
藤原康明(3年I組 長野市立若穂中学校出身)・高本卓(3年A組 所沢市立小手指中学校出身)
組がダブルス優勝。シングルスでは藤原が第5位に入賞し、団体・シングルス・ダブルスの3種で、
8月8日(月)∼14日(日)にインターハイ(会場:青森県、青い森アリーナ)出場が決定した。
女子サッカー部
林田早紀(3年A組 所沢市立狭山ヶ丘中学校出身)が、埼玉県U−18選抜20名の1人に選ば
れ、7月9日(土)
・10日(日)に鹿島ハイツにて行われる対抗戦に出場が決定した。
なぎなた部
高校総体埼玉県予選 個人の部優勝に輝く
インターハイ出場(個人・女子の部)へ
個人の部(女子)で輪嶋知里(3年J組 入間市立豊岡中学校出身)、個人の部(男子)で鈴木啓
章(3年I組 杉並区立井荻中学校出身)が、それぞれ優勝し、8月17日(水)∼19日(金)に
秋田県(大仙市)で行われるインターハイへの出場が決定した。