第10回講義:Taylor展開, 多変数関数

微分積分学第一 V 類 S 組 第 10 回講義内容(6 月 29 日)
l’Hospital の法則の − δ を用いた証明等、質問があれば説明する予定。
定理 0.1 (l’Hospital の法則) (1) f (x), g(x) は x = a の近くで連続で、 x = a 以外では微分可能であると
する。更に、 f (a) = g(a) = 0 であり、x = a 以外では g (x) = 0 とする。このとき、
もし
lim
x→a
f (x)
=
g (x)
ならば次の極限が存在して
lim
x→a
f(x)
=
g(x)
である。
(2) f (x), g (x) は x = a の近くで a を除いて微分可能、g (x) = 0 で、x → a のとき g(x) → ∞ かつ f (x) → ∞
とする。このとき、
もし
lim
x→a
f (x)
=
g (x)
ならば次の極限が存在して
lim
x→a
f(x)
=
g(x)
である。
(3) また、これらは x → a ± 0, x → ±∞ の場合も同様に成立する。
証明:(1) −∞ <
< ∞ の場合 : 仮定より、任意の > 0 に対しある正数 δ があって
0 < |x − a| < δ =⇒
f (x)
−
g (x)
≤
となる。Cauchy の平均値の定理より、任意の x に対し 0 < θ = θx < 1 があって
0 < |x − a| < δ =⇒
f (x) − f (a)
−
g(x) − g(a)
≤
f (x) − f (a) f (a + θ(x − a))
f (a + θ(x − a))
−
+
−
g(x) − g(a)
g (a + θ(x − a))
g (a + θ(x − a))
≤0+ .
= ∞ の場合: 仮定より、任意の N に対し δ > 0 があって
0 < |x − a| < δ =⇒
f (x)
≥N
g (x)
となる。更に、Cauchy の平均値の定理を用いると、
0 < |x − a| < δ =⇒
即ち、limx→a
(2)
f(x)−f(a)
g(x)−g(a)
f (x) − f (a)
f (x) − f (a) f (a + θ(x − a)) f (a + θ(x − a))
=
−
+
≥ N,
g(x) − g(a)
g(x) − g(a)
g (a + θ(x − a))
g (a + θ(x − a))
= ∞ となる。 = −∞ の場合も同様。
= ±∞ かつ x → a + 0 の場合。任意の > 0 に対し x1 があって
a < x < x1 =⇒
f (x)
−
g (x)
≤
となる。Cauchy の平均値の定理より、a < x < x1 なる x に対して 0 < θ = θx < 1 があって
f (a + θ(x1 − a))
f (x) − f (x1)
=
g(x) − g(x1)
g (a + θ(x1 − a))
となる。上式左辺の分母分子を g (x) で割って
f (a + θ(x1 − a))
g(x1 )
f(x1 )
f (x)
=
1−
+
g(x)
g (a + θ(x1 − a))
g(x)
g (x)
となる。即ち、x → a + 0 のとき、δ > 0 があって、g(x) → ∞ なることを用いて
a < x < a + δ < x1 =⇒
f (x) f (a + θ(x − a))
−
≤ .
g(x)
g (a + θ(x − a))
1
故に、
a < x < a + δ < x1 =⇒
f (x)
−
g(x)
x → a − 0 の場合も同様に示される。
=
f(x) f (a + θ(x − a)) f (a + θ(x − a))
≤ + .
−
+
g(x)
g (a + θ(x − a))
g (a + θ(x − a))
= ±∞ かつ x → a ± 0 の場合も同様。
(3) x → ∞ の場合は以下のように考えて、x → +0 の場合に帰着できる:
f (x)
f (1/x)
−f (1/x)/x2
f (1/x)
f (x)
= lim
= lim
= lim
= .
= lim
x→∞ g(x)
x→0 g(1/x)
x→0 −g (1/x)/x2
x→0 g (1/x)
x→∞ g (x)
lim
注意 [(2) の別証明]: f ∗(x) = 1/f (x), g ∗ (x) = 1/g(x) (f ∗ (a) = g ∗ (a) = 0) とおくと f(x)/g(x) =
g ∗(x)/f ∗ (x) は (1) の仮定を満たすから、
lim
x→a
f (x) (a)
g ∗ (x) (b)
g ∗ (x) (c)
f (x)2
g (x)
= lim ∗
= lim ∗
= lim
lim
x→a f (x)
x→a f (x)
x→a g(x)2 x→a f (x)
g(x)
となる1 。これは
lim
x→a
f (x)
f (x)
= lim
x→a
g(x)
g (x)
を意味する。
問題:不定形の極限を求める時に、この法則は高校時代からの馴染みであろう。しかし、君が家庭教師を
している高校生が以下のような計算をしてしまったとして、どこがどうおかしいのか、指摘して欲しいのだが?
lim
x→0
cos x
(cos x)
− sin x
= lim
= 0.
= lim
x→0
x→0
x+1
(x + 1)
1
Taylor 展開
定義 0.1 (Taylor 展開 ) 関数 f を x = ξ の近くで C ∞ とすると、任意の n に対して上の注意で述べた Rn が
定義できる。特に
lim Rn = 0
n→∞
となるとき、
∞
f(x) =
k=0
(x − ξ)k (k)
f (ξ )
k!
が成立することになる。これを関数 f の ξ の周りの Taylor 展開とか、Taylor 級数という。特に ξ = 0 の時を、
Maclaurin 展開と呼ぶ。
命題 0.1 (Taylor 展開例)
1
=
1−x
∞
ex =
k=0
∞
xk
(−1 < x < 1),
(1)
k=0
xk
k!
(−∞ < x < ∞),
∞
log (1 + x) =
k=1
3
(−1)k−1 xk
k
(2)
(−1 < x ≤ 1),
x2n+1
x
x5
+
− · · · + (−1)n
+ · · · (|x| < ∞),
3!
5!
(2n + 1)!
x4
x2
x2n
+
− · · · + (−1)n
+ · · · (|x| < ∞),
cos x = 1 −
2!
4!
(2n)!
α(α − 1) 2
α(α − 1)· · ·(α − n + 1) n
x + ··· +
x + ···
(1 + x)α = 1 + αx +
2!
n!
sin x = x −
(3)
(4)
(5)
(|x| < 1).
(6)
1 この式の読み方:等号 (a) は定義から分り、等号 (b) が (1) の結果から分る。一方 (c) の等式は極限を取る前には成立し、最右辺の
第1項の極限は (a), (b) より存在している
2
証明:何故、異なる剰余項の表現が必要なのか? 例えば、 (1) を証明してみよう。x = 1 で定義された関
数 f (x) = 1/(1 − x) に対し Lagrange の剰余は
Rn = (1 − θ {n}x)−n−1 xn
(0 < θ{n} < 1)
となる。0 ≤ x < 1/2 ならば、x < 1/2 < 1 − θ {n} /2 < 1 − θ {n} x、従って −1 < 0 < x/(1 − θ {n} x) < 1 が
成立する。また、−1 < x < 0 ならば、1 − θ {n} x > 12 だから、−1 < x < x/(1 − θ {n} x) < 0 < 1 が成り
立つ。故に、−1 < x < 1/2 ならば limn→∞ Rn = 0 となり、この範囲で Taylor 展開が得られる。しかし、
1/2 ≤ x < 1 の場合には 1 − θ {n}x はいくらでも0に近付く可能性があり、上の論法では Rn を評価できない。
そこで、 Cauchy の剰余を用いて
Rn = n(1 − θ {1} )n−1 xn (1 − θ{1} x)−n−1
より、0 < (1 − θ {1} )n+1 /(1 − θ{1} x)n+1 < 1 だから、 1/2 ≤ x < 1 の範囲で 0 < Rn < n(1 − θ {1} )−2 xn → 0
が分かる3 。
その他の展開式は下の補題を用い、適当な剰余項の表現を用いる。
補題 0.1 数列 {an } が

lim
|an+1 |
n→∞ an = 0
= c =⇒
n→∞ |an |
lim
n→∞ |a n | → ∞
lim
if 0 ≤ c < 1,
if c > 1.
演習問題 0.1 上の補題を証明せよ。
この補題の証明はできただろうか?もし出来なかった人がいたら証明を与える予定である。
注意: (3) で x = 1 とおくと、log 2 = 1 − 1/2 + 1/3 − 1/4 + 1/5 − 1/6 + · · · となる。このように、正と負
の項が交互に足し合わされ、かつその項の絶対値が 0 に収束しているものを(収束する)交代級数という。一般
には「数列 an > 0 は an > an+1 であり、 limn→∞ an = 0 とするとき、級数
∞
k+1
ak
k=1 (−1)
は収束する」。収
束する値をどう求めるのかはそれぞれの場合に考察しなくてはならないが、1 −1/2+ 1/3 − 1/4 +1/5 − 1/6 + · · ·
の場合は値が求まったことになる。このような、“条件収束” する級数の値をどう求めるかには、多くの努力が
刻み込まれている。
注意: “条件収束” ではないが、(1) で x = −1 とおくと、全く形式的にだが
1
=
2
∞
(−1)k = 1 − 1 + 1 − 1 + · · ·
k=0
となる。前に、上式右辺は 0 と 1 の間を振動するから収束しないとしてきたが、その値の半分 1/2 が出てくる
のは何とも意味深だな−!
注意:Euler の公式 eiϕ = cos ϕ + i sin ϕ のおおよその導き方:Taylor の定理から “何となく” であるが
k−1
ex =
j=0
eθx k
xj
+
x ≈
j!
k!
∞
j=0
xj
j!
(0 < θ < 1)
となるような気はするであろう(Taylor の定理では有限和であったが、ここでは突然無限和になったのだから
「何故ー」とは思って欲しい。これを正当化できる場合が Taylor 級数展開、Maclauri n 級数展開である)。Euler
の公式は (2) から類推できるだろうが、変数 x を複素数にまで “拡張” するために、絶対収束級数という概念
が必要で、後に考察する。また、ここまで数学的な準備ができると、e が超越数になることの証明が理解でき
るはずである。教科書の付録を見よ。
2 この
θ {n} は 0 ≤ x < 1/2 に対応してでてきたものとは一般に異なるが、それらが (0, 1) にあることが大切
θ = 1 だったのか、思い出して欲しい
3 ここで何故
3
演習問題 0.2 0 < x < 1 に対し limn→∞ nxn = 0 が成り立つ。
復習問題:定義に戻って以下の極限を求めよ。
log (x + h) − log x
,
h→0
h
ex+h − ex
.
h→0
h
lim
lim
Taylor の定理を用いた不定形の極限の求め方の例:
ex − esin x
=1
x→0 x − sin x
lim
を示そう。Taylor の定理より sin x = x −
x3
3!
+ O(x5 ) (x → 0)、即ち、x − sin x = 16 x3 + O(x5 ) (x → 0)
となる。また、
x3
ex − esin x = ex − ex− 3! +O(x
5
)
1
1!
= ex 1 − 1 +
−
x3
+ O(x5) + O(x6 )
3!
= ex
1 3
x + O(x5 ) .
6
だから
ex − esin x
=
x − sin x
1 3
6x
ex
1 3
6x
+ O(x5 )
→1
+ O(x5 )
(x → 0).
演習問題 0.3 面積 C の定円に内接する正 n 辺形の面積を An 、外接する正 n 辺形の面積を Bn とするとき
C − An
を求めよ。
lim
n→∞ Bn − C
命題 0.1 の証明続き:(2) の Lagrange の剰余項は Rn = eθx xn /n! (0 < θ < 1) と書ける。ここで θ は x と
n に依っているが、どういう形で x と n に依っているのかは一般的には何も言えない。|θx| ≤ |x| であるから
|Rn | =
e|x| |x|n
eθx |x|n
≤
→ 04
n!
n!
(n → ∞).
(3) に対しては、まず数学的帰納法を用いて log (n) (x) = (−1) n − 1(n − 1)!/(1 + x)n を示す。Cauchy の
剰余を用いて
|x|n (1 − θ)n−1
|Rn | =
(1 + θx)n
となり、0 < (1 − θ)/(1 + θx) < 1(0 < θ < 1, |x| < 1) に注意すれば
|Rn | =
|x|n
1−θ
1 + θx 1 + θx
n−1
≤
|x|n
|x|n
≤
→0
1 + θx
1 − |x|
Lagrange の剰余を用いると
|Rn | =
x
1 + θx
n
(n → ∞).
1
n
となる。x = 1 の近辺では n → ∞ のとき 0 となるが x = −1 の近辺ではそれを保証できない。これが Cauchy
の剰余を用いる理由である。
(4) と (5) は
sin (n) (x) = sin x +
nπ
,
2
cos (n) (x) = cos x +
に注意し、上の補題を用いればよい。
4 上の補題を用いる
4
nπ
2
(6) の場合、f (x) = (1 + x)α とおくと f (n) (x) = α(α − 1)· · ·(α − n + 1)(1 + x)α−n となることは直ちに
示される。Cauchy の剰余を用いて
|Rn | =
α(α − 1)· · ·(α − n + 1) n
x (1 − θ)n−1 (1 + θx)α−n
(n − 1)!
n−1
α(α − 1)· · ·(α − n + 1) n
1−θ
(1 + θx)α−1
x
(n − 1)!
1 + θx
α(α − 1)· · ·(α − n + 1) n
1−θ
x (1 + θx)α−1 (∵) 0 <
< 1),
≤
(n − 1)!
1 + θx
=
多変数関数の連続性、偏微分可能性、全微分可能性
多変数関数の導入、距離関数、etc: ● 多変数関数とは何か?何故必要か?
もともと関数とはある種の対応関係であった。例えば、数列は自然数から実数への対応だから関数の一
つである。また、関数の値は「測定値」に当るものであるから、その値は色々の変数(測定するにあたっての
「環境設定の仕方」)に依っている。この変数の数が1つの場合を今まで考えてきたのだが、この変数が複数個
になる場合を多変数関数という。この関数が連続と言うことはどう定義したら良いのだろうか?
●「近い」と言う概念に絶対値が用いられたが、絶対値とは何か、どんな性質を持つのか?
1変数関数の場合、連続性の定義では絶対値が使われていた。この絶対値の性質を思い起こそう。
|x − y| ≥ 0,
(|x − y| = 0 ⇐⇒ x = y),
|x − y| = |y − x|,
|x − y| ≤ |x − z| + |z − y |.
第3番目の不等式を3角不等式といい、
|α β| ≤ |α||β|,
∀α, β ∈ R
(7)
に注意すると簡単に
|x − y|2 = |(x − z) − (y − z)|2 = (x − z)2 − 2(x − z)(y − z) + (y − z)2
≤ |x − z|2 + 2|x − z||y − z| + |y − z|2 = (|x − z| + |y − z|)2
(8)
と証明される。
● 距離関数の定義、Schwarz の不等式。
多分、後学期に線形代数学で Rn を内積の定義された空間として考察し、対称行列、ユニタリ行列等と言
う概念を学ぶことになる。前に、Rn に距離関数なるものを導入し、(7) に相当する Schwarz の不等式について
説明したことを思い出して欲しい。
定義 0.2 Rn の元を x = (x1, x2 , · · ·, xn ), y = (y1 , y2 , · · ·, yn ), z = (z1 , z2 , · · ·, zn ) と書く。このとき、 Rn の任
意の2元 x, y から R への関数 d(x, y ) で以下の性質を持つものを距離関数と呼ぶ。
(i) d(x, y) ≥ 0. d(x, y) = 0 となるのは x = y なるときに限る,
(ii) d(x, y) = d(y, x),
(iii) d(x, y) ≤ d(x, z) + d(z, y)
∀z ∈ Rn .
この d(x, y) をどう見つけるか?もっとも良く使われるのは Rn 上で
n
1/2
(xj − yj )2
d(x, y) =
j=1
5
∀x, y ∈ Rn
と定めたものでユークリッドの距離というのだが、これが実際に距離関数になっているかどうかは確かめなく
てはならない。上の (i), (ii) は直ちに示されるが、定義の (iii) はどう示すのか。
Rn に内積とノルムと言う概念を導入し、Schwarz の不等式を示して、3角不等式を証明した。5 月 11 日
第 4 回講義で一度説明したので、もう一度読み返しておいて欲しい。
定義 0.3 (連続関数の定義) Rn 上の関数 f (x) が x = x
¯ で連続とは、
(i) 関数 f(x) が x = x
¯ の近くで定義されている、これは、ある正の数 γ があって x − x
¯ < γ を満たす
x に対し f (x) が定義されていること。
(ii) x → x
¯ のとき f (x) → f (¯
x) となる。これは任意の > 0 に対してある正数 δ(≤ γ ) があって x − x¯ ≤ δ
なるとき |f (x) − f(¯
x)| ≤ となることである。
注意:中心 a の半径 r の開球を B(a; r) = {x ∈ Rn | d(x, a) < r } と定める。
● 1次元での連続関数で成立した定理が、多次元で成立するかどうか、を考えてみることを宿題とした。
例えば、Bolzano-Weierstrass の補題(有界数列は収束する部分列を含む)は多次元で成立するか?もし ∞ 次
元になったらどうか?∞ 次元空間は Hilbe rt 空間として、量子力学でたちあらわれるのだが、それは頭の柔軟
体操をもう少ししてからのお楽しみ。
注意 1:この定義は1変数のときの絶対値をノルムに変えたものでしかない。とすると、絶対値とノルム
とどう違うのか?という質問があるのは、もっともである。また、上の定義におけるノルムを1次元空間上で
考えれば絶対値と同じである。しかし、絶対値は1次元の要素についてのみ定義されているのであって、ノル
ムはベクトルに対しても定義され得る。この意味で、ノルムは絶対値という概念の自然な拡張になっている。
注意 2:Rn 上のノルムは上の形とは限らない。例えば、任意の p(1 ≤ p < ∞) に対して
n
x
p
1/p
|xj |p
=
,
∀x ∈ Rn
j=1
て定義すると、これらはすべて、Rn 上のノルムを与えることが証明される。そして、dp (x, y) = x − y
p
とお
くと、これらは任意の 1 ≤ p ≤ ∞ に対し距離を与える。また、空間次元 n が 1 のときは、任意の 1 ≤ p ≤ ∞
に対して x
p
= |p| である。
注意 3:R2 で
d1 (x, y) = |x1 − y1 | + |x2 − y2 |,
1/2
d2 (x, y) =
|x1 − y1 |2 + |x2 − y2 |2
,
d∞ (x, y) = max{|x1 − y1 |, |x2 − y2 |}
を考え、次の集合の形を描いてみることをすすめた:a = (a1 , a2 ) ∈ R2 として
B∗ (a) = {x = (x1 , x2) ∈ R2 | d∗ (x, a) ≤ 1}
∗ = 1, 2, ∞.
講義では間違った図を描いたかもしれないが、B1 (a) ⊂ B2 (a) ⊂ B∞ (a) となっているはずである。また、d∞
の ∞ の意味は limp→∞ (|α|p + |β|p )1/p = max{|α|, |β |} から推察して欲しい。
注意 4:1 次元空間の中にも別の距離関数がある。例えば、x, y ∈ R に対して ρ(x, y) = | arctan x−arctan y |
とおくとこれは距離の公理を満たしている(各自検証して欲しい)。また、x と書いたとき、それが文脈上どこ
の元か、R か Rn か、しっかりと認識して理解して欲しい。もしすっきりしなかったらともかく質問!君だけ
が分からないということは滅多にない、君の質問で君のみならず何人かがスッキリする のだから。
注意 5:関数をグラフで書いて視覚による理解で話をすすめていくことが良くある。1変数関数でもその
グラフ
Γ(f ) = {(x, f (x)) | x は関数 f の定義域 }
6
は2次元的である。そのためか、グラフの面を動かすということ?を考えて質問しに来た人がいた。これは、
その質問の意味を私が誤解しているのかもしれないが、「グラフの面を動かす」という意味が「関数を変数と
見なそうということ」ならば「凄い質問」になっている。これは、また何年か先の別の機会に話せるかもしれ
ない。
メモ:出席者は 90 名弱か?急に暑くなって睡魔に襲われる人が増えたか?時間の関係でホームページの
講義録には講義でした以上の事が書かれてもいる。もし、読んで分からないときは講義後来るか、メールで質
問して欲しい。
7