環境システム学科 2013年度総合研究「学士論文概要集」 東京都上下水道における LCA 分析 ―節水効果及びブロワ技術の改良効果の視点から― r10001-6 相原崇 r10043-8 小高巧 指導教員 松下潤 1.研究背景 1-2.既存の上下水道の LCA に関する研究 1-1.東京都上下水道事業の現状 1-2-1.上水道の LCA に関する既存研究 現代の日本の課題として、事業の効率化、透明化など 水道技術センターの浄水施設を対象とした LCA に関 に加え、地球環境問題等への対応がある。公共事業でも する研究(2)において「凝集沈殿+砂ろ過」 、 「膜ろ過」 、 「高 同じことが言え、いかに効率的で環境負荷の少ない施設 度処理」の 3 方式について LCA 評価が行われている。 であるかが問われている。図 1.に東京都電力使用量内訳 ここでは、日量 2 万㎥の浄水施設のエネルギー消費や を示す。 2010 年における東京都の電力使用量内訳におい CO2 排出量を事業期間全体で評価した結果、ポンプ動力 て、水道・廃棄物処理は全体の 3%の 2,529(106kWh/年) の他に薬品注入や活性炭更新など浄水処理の運転段階に を占めており、これは運輸部門の 4%に次ぐ大きさであ 関する負荷が高いことがわかった。また、岡田明大の研 る。また、水道・廃棄物処理はその中でも上水・下水・ 究(3)によると、アセットマネジメント導入の際に LCA 評 廃棄物処理でそれぞれ 1:1:1 の割合となっており、上下 価をしたところ、適切な予防・更新を行うことで、建設・ 水道だけで東京都の電力使用量の約 2%を担っている。(1) 廃棄段階におけるエネルギー負荷は軽減され、運転段階 におけるエネルギー負荷が比較的大きくなることがわか った。運転時の際にエネルギー消費の少ない浄水処理を 行うには節水対策が有効なことが判明した。 1-2-2.下水道 LCA に関する既存研究 国土技術政策総合研究所の LCA に関する研究(4)をこ こで示す。同研究では下水道のライフサイクルにわたっ て発生する環境負荷を定量的に把握し、評価することに より、負荷低減の検討及び改善に活用することを目的と 図 1.東京都電力使用量内訳(2010 している。まず土木建築・機械・電気の3つの項目から 年度)(1) 表 1.に東京都浄水場、下水処理場における消費電力内 それぞれ建設・併用・解体廃棄段階に分けて考える。対 訳を示す。平成 22 年度において水道事業における電力 象期間は土木建築施設 50 年、機械電気設備 6~20 年とし (106kWh)であり、浄水処理工程は ている。表 1.に下水処理場における各工程の環境負荷の 全体の 31%にあたる。また、下水道事業における電力使 割合を示す。これを見ると併用段階が 8 割とずば抜けて 用量は年間約 914 (106kWh)であり、その中でも送風機 いる。建設または解体廃棄にかかる割合は合わせて 2 割 の割合は 25%と高い。(1) 程度であり、下水処理場で建物が出来てから機械が動い 使用量は年間約 782 今後の公共施設の維持管理を考えていく上で、東京都 浄水場処理場においては節水対策による省エネルギー化、 ているとき、電力を使用している時に多くの CO2 を排出 していることがわかっている。 表 2.上下水道における各工程別割合(2)(4) 下水処理場においては送風機の改良が環境負荷削減に貢 献すると考えた。 既存研究の浄水場(2008年) 表 1.東京都浄水場、下水処理場における消費電力(1) 浄水処理工程別使用電力(10⁶ kWh) 取水・導水 469.7 浄水処理 2,616.80 送水・配水・給水 4,722.10 割合(%) 下水処理工程別使用電力(10⁶ kWh) 揚水(汚水・雨水) 送風機 6% 水処理 沈砂池機械・脱臭など 諸機械・その他 31% 濃縮・脱水 汚泥処理 焼却 63% 諸機械・その他 191.94 228.5 127.96 137.1 82.26 109.68 36.56 kg-CO2/m³ 割合(%) 21% 25% 14% 15% 9% 12% 4% 建設 kW/m³ 既存研究の下水処理場(2004年) 割合 kg-CO2/m³ kW/m³ 割合 0.0189 0.0669 16.7% 0.0741 0.2426 19.2% 運転 0.0684 0.4212 60.3% 0.3088 1.8187 80.2% 更新 0.0257 0.0388 22.6% 0.0002 0.0008 0.1% 解体 0.0005 0.0017 0.4% 0.0019 0.0053 0.5% 合計 0.1135 0.5288 100% 0.3850 2.0673 100% 環境システム学科 2013年度総合研究「学士論文概要集」 2.研究目的 の回収水利用による減少分 7ℓ の二つから構成され、計 本研究では、東京都浄水場処理施設において節水効果 8ℓ の減少量となった。また、需要者側の節水行動効果も による環境負荷削減、また東京都下水処理施設における 含まれる。ここでは、水道事業者による広報活動や逓増 節水効果、加えて送風機技術の改良による環境負荷削減 料金制度の導入などがある。広報活動においては、東京 について LCA 手法を用いて評価・検証する。 都の厳しい水需要の説明のパンフレットや教材の作成、 3.研究手法 節水コマの開発と頒布、節水を呼び掛けるポスターの作 本研究では、東京都節水対策の内訳の分析・把握を行 い、 また東京都上下水道処理施設における現状を把握し、 節水対策及び送風機技術の改良による環境負荷削減の 成、水道モニター制度などがある。 5-2.供給者側の対策 供給者側の対策として、当初 30%以上あった漏水の削 LCA 分析、評価・検証を行う。 減と水道検針メーターの不具合による不感水の削減があ 4.東京都給水量の変遷 る。各々の節水量は、都民一日一人当たり漏水対策は 55ℓ、 東京都における給水量の変遷(5)を図 2.に示す。東京都 の給水量の変遷をたどると、 1978 年の都民一人一日当た 不感水対策は 20ℓ の効果がある。 5-3.給水量の増加 り 428ℓ をピークにそれ以降は年々減少している。2007 給水量の増加を考慮した場合、主に都市構造の変化と 年時点では 347ℓ であるので 30 年間の間に 81ℓ の削減が 家族構造の変化(核家族化)による水消費のムダとその 行われた。これは東京都が過去 30 年間で様々な節水対 間に生じたライフスタイルの変化に伴う水消費量の増加 策を施してきたからである。 があると考えられる。 ここでは都民一人一日当たり89.5ℓ ALL東京用途別一人当たり平均有効水量 生活用水 ℓ/p/d 1969年までの有効水量 の給水量の増加が考えられる。 ※各年度の給水人口で算出 都市活動用水 工場用水 無効水量を含む総給水量 給水人口 (人) 表 3. 節水対策内訳 人 500 13000000 1人当たり平均有効水量 428ℓ(ピーク時) 450 1人当たり平均有効水量 347ℓ(30年間で81ℓ削減) 400 12500000 81ℓ 12000000 200 10000000 150 9500000 100 9000000 50 8500000 0 8000000 1,969 1,970 1,971 1,972 1,973 1,974 1,975 1,976 1,977 1,978 1,979 1,980 1,981 1,982 1,983 1,984 1,985 1,986 1,987 1,988 1,989 1,990 1,991 1,992 1,993 1,994 1,995 1,996 1,997 1,998 1,999 2,000 2,001 2,002 2,003 2,004 2,005 2,006 2,007 10500000 1,968 11000000 250 1,967 300 1,966 11500000 1,965 350 図 2.東京都給水量変遷(5) 5.節水対策内訳 5-1.需要者側の対策 東京都の過去 30 年間の節水対策の内訳は大きく需要 者側と供給者側の対策に分かれる。需要者側の対策とし 各要因 都市構造の変化 家族構造の変化 増減量(ℓ/p/d) +22.7 増加要因 +66.8 小計 +89.5 漏水の削減 -55.0 減少要因 不感水の削減 -20.0 (供給者側) (小計) -75.0 節水型トイレの開発・販売 -22.2 節水型洗濯機の普及 -26.4 下水処理の循環利用 -6.7 減少要因 雨水の雑用水利用 -0.03 (需要者側) 工場用水による節水 -8.0 広報活動 -32.2 逓増料金制度 (小計) -95.6 小計 -170.6 合計 -81.0 LCA貢献量(ℓ/p/d) 22.2×200%=44.4 26.4×130%=34.32 6.7×0%=0 0.03×100%=0.03 8.0×0%=0 32.2×100%=32.2 110.95 1978年の428ℓより 約26%削減 6.節水対策別 LCA 分析 6-1.節水対策内訳 LCA 分析 て、節水型機器(節水型便器・洗濯機)の開発・販売、延 表 3.に節水対策別の LCA 分析を示す。東京都が過去 床面積 1 万㎡以上の新規建築物、開発面積 3 万㎡以上の 30 年間に行った節水対策は水及びエネルギー消費の削 開発事業を対象とした循環利用による雑用水利用への協 減に貢献していると考えられる。節水対策を LCA 分析 力依頼、雨水利用、工場移転による工業用水道水の減少 し、貢献量に換算すると東京都の節水対策は過去 30 年 が挙げられる。表 3.に各々の節水対策について節水量を 間で約 26%の節水効果が得られる結果となった。なかで 示す。節水型機器の開発・販売において各々の都民一日 も節水対策にかかったエネルギーを LCA の視点から見 一人当たりの節水量は節水型便器が 22.2ℓ、節水型洗濯 ると節水型機器の開発・販売による普及の貢献度は高い。 機が 26.4ℓ の計 48.6ℓ に当たる。循環利用による雑用水 6-2.節水型便器の LCA 削減効果 利用においては都民一日一人当たり 6.7 ℓ、雨水利用にお 表 4.に従来型、節水型便器のライフサイクルにおける いては墨田区の例を用いて計算を行ったところ都民一日 CO2 排出量を示す。2011 年の TOTO の環境報告書(6)に 一人当たり 0.03 ℓ に当たる。工場用水における節水効果 よると、8ℓ 洗浄のタイプの節水型便器を製品ライフサイ は都内の工場の移転促進政策による減少分 1ℓ と工場内 クル 10 年とした場合、便器1台の製造から使用段階に 環境システム学科 2013年度総合研究「学士論文概要集」 かかるエネルギーCO2 排出量は 999kg とわかった。また、 7-1-2.フロック形成池・沈澱池(9) 1回あたりの洗浄水量とそれにかかる年間 CO2 排出量 沈澱池は流入した濁質を効果的に沈殿除去し、後続の は 1976 年の大洗浄水量 13ℓ のトイレにおいては 45kg ろ過池にかかる負担を軽減する機能を持つ。沈澱池には であり、1998 年の大洗浄水量 8ℓ のトイレにおいては 主に沈殿、緩衝及び排泥の 3 つの機能がある。節水対策 22kg である。これらの数値を元に従来型の大洗浄水量 による処理水量の削減(26%)により凝集池及び沈澱池に 13ℓ のトイレにおいてはライフサイクル 10 年で見たと おける表面積の削減が可能となる。また、凝集池におい ころ商品使用時においては年間約 1,912 ㎏のCO2 が発生 ては凝集剤の使用量の削減、沈澱池においては機械攪拌 していることが判明した。 エネルギー及びスラッジ発生量の削減につながる。 表 4.ライフサイクルにおける CO2 排出量 製造 従来型便器 13ℓ型 節水型便器 8ℓ型 輸送 50kg-CO2 /台 使用時 13kg-CO2 /台 オゾン処理設備は沈殿水処理を組み込むことで有機物 1,912kg-CO2/台・年 の低減を図るために用いられる。オゾン処理設備はオゾ 936kg-CO2 /台・年 ンの接触池と排オゾン処理設備を必要とする。同様の処 6-2.節水型洗濯機の LCA 削減効果 東芝環境研究所(7)が洗濯容量 6kg 7-1-3.オゾン処理設備 理水量の削減により、オゾン処理設備においてはオゾン の従来型と節水型2 処理の際の接触槽の表面積の削減が可能となる。また、 種類の全自動洗濯機について LCA 評価を行っている。 オゾン注入量及び機械の運転時間が減少する。排オゾン 節水型全自動洗濯機は従来型と比べ節水構造により洗濯 処理設備については活性炭吸着槽の表面積の縮減が可能 1回あたりの平均使用水量が 177 ℓ から 92 ℓ へ削減され となり、さらに活性炭の更新量及び機械運転時間が削減 ている。使用条件を一日一回洗濯し、9年間使用(耐用年 する。 数)にしたところ、原材料や製造工程の変更による負荷は 7-1-4.急速ろ過池 節水型の方が各排出量とも 13~18%増加しているのに 対し、使用段階での負荷は共に約 40%削減している。 急速ろ過池は沈澱池で取り除くことができなかった細 かいフロックの汚れをろ過して取り除き汚濁物質の最終 全ライフサイクルでの排出量は、節水型は従来型に比 除去をする施設である。こちらも同様の処理水量の削減 べて CO2 が 27%低減されている。また、使用段階での により、ろ過池の表面積の削減が可能である。また、ろ CO2 排出量を 100 とした場合には洗剤、水、電気が各々 過後における洗浄工程において洗浄水の減少及び洗浄機 37%、49%、15%削減され、使用段階全体として約 40% 器の維持・管理エネルギーの削減が期待できる。 の CO2 が低減されたことになる。 7-2.上水道 LCA 分析まとめ 7.上水道 LCA に関する分析 浄水場の高度処理工程を仮定した際に処理水量の削減 7-1.節水効果による浄水処理場工程別 LCA 分析 に伴い凝集沈殿、オゾン処理、砂ろ過の 3 工程では土木 7-1-1.高度浄水処理工程の説明(8) 構造物においては約 26%の表面積の建設の縮減が可能 となる。これは凝集沈殿、オゾン処理、砂ろ過の 3 工程 ② ① ③ においては全て有効水深が決められているからである。 運転段階では処理における機械エネルギーは約 26%の 削減が可能となる。 8.下水道 LCA に関する分析 8-1.節水効果による下水処理場工程別 LCA 分析 8-1-1.下水処理工程の説明(10) ① ② 着水井 汲み上げた原水の水位や量を調整するための水槽 フロック形成地 原水中の細砂や土粒子などを凝集剤によりフロック化する池 沈殿池 フロックを沈殿させ取り除くために池 オゾン沈触池 オゾナイザによりオゾンを発生させ有機物を分離する池 活性炭吸着池 オゾンで酸化分解された物質を活性炭の吸着作用や生物の分解作用によって除去する池 ③ 急速ろ過池 配水池 沈殿池の上澄み水を砂層を通して水をこして浄化するための池 供給する水道水を一時的に貯蓄するための池 図 3.高度浄水処理フローシート(8) 図 3.に高度浄水処理のフローシートを示す。高度浄水 処理は通常の処理ではしきれない物質を除去するために 浄水処理の過程で沈澱池と急速ろ過池の間にオゾン処理 と生物活性炭吸着処理を組み込んで処理する方法を言う。 沈砂池 下水中に含まれる砂や土粒子を沈殿させ、除去するための池 ①最初沈殿池 下水中の粗大な汚物を沈殿させ除去するための池 ②返送汚泥 生物反応槽中で増殖した汚泥 (好機性微生物の集合体)を最終沈殿池で沈殿させた後に生 物反応槽に戻す汚泥のこと 下水中の溶解・浮遊性有機物を培養した好機性微生物の餌とすることで水と炭酸ガス等に ③生物反応槽 酸化分解する反応槽のこと。活性汚泥法と呼ばれ、比較的低コストでかなり高度な浄化を 行うことができる ④最終沈殿池 生物反応槽中の下水と活性汚泥の混合液を沈殿させ、汚泥を除去するための池 図 4. 下水処理の工程フローシート(10) 環境システム学科 2013年度総合研究「学士論文概要集」 図 4.は下水処理工程のフローチャートである。その下 に各項目の説明が載っている。この中から主要施設①最 初沈殿池②生物反応槽③最終沈殿池の 3 施設に注目して いく。 8-1-2. 8-3.下水道 LCA 分析まとめ 上記で示してきた結果から、下水道施設の LCA を考 えてみる。 最初沈殿池と最終沈殿池に関しては、有効水深、沈殿 最初沈殿池(11) 時間が決まっている。しかし、池自体の表面積を削減で 最初沈殿池は下水中の汚泥を沈殿させる機能を持つ施 きる。仮に処理水が 26%減るとして、その分表面積も小 設である。節水対策による処理水量の削減(26%)により、 さくできるため、池自体を小さくでき、LCA 削減できる 池自体の表面積を建設段階で削減可能と思われる。 なお、 と考えられる。製造物のため、土木建築段階の削減が見 有効水深、沈殿時間は変動出来ない。 込まれる。 8-1-3.生物反応槽 生物反応槽に関しては、滞留時間、タンク自体の有効 生物反応槽とは、下水中の有機物を微生物の餌とさせ 水深、幅が決まっている。ただ長さは変えることが出来 ることで処理水を浄化する施設である。同様の処理水量 る。そのため、タンク自体を小さく出来ると思われるた の削減により、タンク自体の縦幅を建設段階で削減可能 め、土木建築段階の削減が見込まれる。 である。なお、有効水深、エアレーション時間、横幅は 一方、送風機に関しては機械的性能で使用時電力 7% 変動出来ない。 減ということが分かっている。また水が 26%減ったこと 8-1-4.最終沈殿池 で送風機の運転エネルギーも減ると考えられる。 最終沈殿池とは、生物反応槽中の下水と活性汚泥の混 9.結論・今後の課題 合液を沈殿池させ汚泥を処理する施設である。ここは構 東京都が過去 30 年間に行った節水対策を LCA で評価 造上ほぼ最初沈殿池に似ているため同じことが言える。 すると約 26%の節水効果が得られると分かった。また、 こちらも同様の処理水量の削減により、池自体の表面積 上下水道ともに節水効果により土木構造物の建設及び機 を建設段階で削減可能と思われる。なお、有効水深、沈 械等の運転エネルギーが約 26%削減できる。さらに送風 殿時間は変動出来ない。 機は機械的性能の改良により電力使用量を 7%削減でき 8-2.生物反応槽と送風機に関して ることがわかった。 表 1 で説明した送風機とは、水中の微生物が生きてい 今後の課題として、節水対策に関する LCA 評価は下 くために必要な空気を送り込むための機械で、その工程 水処理の循環利用、工場用水における節水について LCA は生物反応槽で行われている。生物反応槽では一度汚泥 評価を行い具体的な数字を出すことが必要である。 また、 を沈殿させた下水を微生物のいる生物反応槽へ投入し、 本研究では節水により約 26%の水がなくなったとして、 溶解・浮遊性有機物を食べさせて浄化する場所である。 各施設、各工程において直接に 26%効いているという過 送風機の消費電力が大きいことは上記に記した通りで 程で考えている。よって、上下水道ともに今後は詳細な あるそのため、 同装置の機械的な改良は日々進んでいる。 LCA 評価が必要である。さらに、送風機に関しては、運 表 5.は送風機メーカーA 社の実際導入されてきた送風 転時のみのデータのみ開示されたため、製造・廃棄過程 機の 30 年前のものと最新技術との比較である。 30 年前使用されていた送風機では仮に 70%の風力で 使用したとして年間に 1,581,970 (kW・h)かかっていた。 しかし、最新の省エネモデルは同じ条件だと年間で 1,481,158(kW・h)である。 削減量は年間で 99,623(kW・h) となり、30 年前の送風機に比べ、7%の削減となってい る。 以上より、7%の LCA の削減が見込まれる。 表 5. 30 年前、最新の送風機の数値比較 30年前の従来仕様送風機 8760(24h*365d) 年間運転時間(h) 年間CO2排出量(kg) 672,337 年間CO2削減量 ‐ 年間電力(kW・h) 1,581,970 年間電力削減量(kW・h) 最新型高効率送風機 - 629,492 7%減 42,845 1,481,158 7%減 100,812 を含めた LCA を考察する必要がある。 参考文献 (1) 経済産業省:都道府県別エネルギー消費統計 (2) 渡部英、滝沢智、藤原正弘: 浄水施設を対象とした LCA に関する研究, Journal of EICA 2009.3, p44-p47 (3) 岡田明大:LCA による東京都の浄水場施設におけるアセットマネジメ ント手法の評価 (4) 国土技術政策総合研究所:下水道における LCA 適用の考え方 (5) Nafisah.A.R, Akihiro Okada: Assessement on Total Water Resources Management(TWRM) For Selangor, Malaysia with Emphasis on Rainwater Harvesting in the Basic of Lessons Learned from Tokyo’s TWRM, Journal of Japan Society Shimanto Policy and Integrated River Basin Management, 2011 (6) TOTO 2013 年環境報告書 (7)洗濯機を事例とした簡易法 LCA LCA 日本フォーラムニュース (8)兵庫県 伊丹市 いたみの水道 HP (9)日本水道協会 水道施設設計指針・解説 (10)東京都下水道局 HP (11)日本下水道協会 下水道施設計画・設計指針と解説
© Copyright 2024 ExpyDoc