地球環境保全活動 - NTT東日本

地球環境保全活動
NTT東日本では、豊かな生活・文化の創造に貢献していくために全社をあげて
地球環境保全活動を展開しています。2003年9月には、NTT東日本の環境保全活動
をまとめた「NT T東日本 環境報告書 2003」を発行しました。当報告書では、
「IT・ブロードバンド社会の形成による循環型社会の形成」を主要テーマとして取
り上げ、ITによる具体的な環境保全事例を紹介するとともに、社会全体の環境負荷
低減のためにNTT東日本が積極的に取り組んでいる「ライフサイクルアセスメン
ト(LCA)*1」の現状についても報告しています。
*1 原材料の採取から製造、使用、廃棄に至るすべての過程(人間に例えるならば“揺りかごから墓場まで”の
全生涯)を通して製品が環境に与える負荷の大きさを定量的に評価する方法です。
<URL http://www.ntt-east.co.jp/ecology/>
NTT東日本の環境保全に対する考え方
情報通信は、社会全体の環境負荷低減において重要な役割を果たしているとい
う考えのもと、NTT東日本は情報流通企業として、以下の2点を両輪として環境経
営を推進しています。
情報流通企業として循環型
社会の形成に貢献します。
―新たな情報通信サービスの
開発・普及―
事業活動における
環境負荷低減に努めます。
1.「情報通信のライフサイクルアセスメント(LCA)」の実施
NTT東日本では、電気通信分野において循環型社会をリードしていくために「ラ
イフサイクルアセスメント(LCA)
」を導入しており、NTT東日本のみならず、社
会全体の環境負荷をトータルで低減することを目指しています。
2001年度のTV会議室システム、2002年度の市内通話のLCAに続いて、2003年度
はフレッツ・ISDN、フレッツ・ADSL、Bフレッツなどの“IPサービスのLCA”
、及
び長距離中継系を含む“市外通話のLCA”を行いました。
IPサービスのLCAを行った結果、ダイヤルアップ方式に比べ常時接続方式のBフ
レッツ(ファミリー/マンションタイプ)は伝送速度が大幅にアップしているにも
かかわらず環境負荷は横ばい、または微減であることが分かりました。Bフレッツ
は光ケーブル接続を利用することにより、環境負荷を増大させずにお客さまの利
便性向上に成功したサービスであることが示されました。
さらに、Bフレッツ(ファミリータイプ)サービスの利用におけるCO2排出量の
内訳を分析したところ、総CO2排出量の83%がパソコンやモデムなどの利用者端末
の使用時に排出されており、端末機器の節電が環境負荷の低減に大切であること
が分かります。
また、市外通話のLCAを行った結果、市内通話と市外通話で環境に与える負荷
は大きく変わらないことがわかりました。これは距離的な要因を含む中継設備に
よるCO2排出量は総CO2排出量の0.1∼0.4%程度であり、非常に小さな割合であるか
らです。中継設備の主な設備であるNTT局間を結ぶ基幹回線は、大容量の光信号
による通信方式のため、環境負荷が非常に低いのです。
一方、加入者設備のCO2排出量は総CO2排出量の40∼50%程度であり、地域差に
よるCO2排出量の違いは30∼40%程度あることが分かりました。加入者設備におい
ては、NTT局から加入者宅までの平均的な距離の違いがケーブルや電柱などの数
量の違いとなり、平均的な距離の長い地方では加入者設備におけるCO2排出量が
大きくなるためです。
なお、本評価はNTT環境エネルギー研究所、NTT情報流通基盤総合研究所と共
同で実施しました。
2.「2002年度 環境会計」の公表
3. 環境ラベル「ダイナミックエコ」認定機器の発売
NTT東日本では、環境保全活動の効率的実施および積極的な環境情報の公開を
目的として、1999年度より環境会計を導入し、2000年度より環境報告書において
報告しています。
2002年度の環境活動を総括するNTT東日本環境会計は、環境保全コスト88億円
により、実質的経済効果83億円の結果となりました。環境保全コストのうち、ITS
や電子マネーなど循環型社会形成に貢献する情報通信技術の開発費用、および低
消費電力LSIの開発、クリーンエネルギー技術の開発など事業活動における環境負
荷低減技術の開発費用など、NTT持株会社への研究負担金は45億円でした。
なお、NTT東日本環境会計の主な特徴として、以下の点が挙げられます。
①「環境保全コスト」「実質的経済効果」のほか、2002年度の環境保全効果を
1999年度から2001年度までと比較し、「環境効率性」(エコ・エフィシェンシ
ー〈EE値〉:売上高/環境負荷発生量)を記載しています。
②環境保全効果の参考例として、「社内研修にWeb研修を採用したことによる
CO2排出削減効果」および「全国で使用されている約25万台のテレビ会議に
よるCO2排出削減効果」を記載しています。
NTT東日本では、グリーン購入法*4や国際エネルギースタープログラム*5への
適合のほか、2001年3月に、環境ガイドライン「通信機器グリーン調達のためのガ
イドライン」を制定し、循環型社会の構築に向けた環境にやさしい通信機器の提
供を推進しています。本ガイドラインについては、2002年4月に追補版としてサプ
ライヤ評価ガイドラインを制定し、実施しています。これは取引先の体制・製品
について「企業体制評価」と「製品評価」の2つの側面から評価するもので、企業
体制評価は企業の環境への取り組み度合いについて評価しており、製品評価につ
いては、購入している製品の有害物質含有状況や廃棄・リサイクルに観点を置い
た評価を実施しています。
また、環境負荷の低い商品の提供を推進するために、環境ラベル「ダイナミッ
クエコ」を制定し、NTT東日本が提供する環境に配慮した通信機器に表示するこ
ととしています。
「ダイナミックエコ」はISO14021に準拠したタイプⅡのエコマー
クで、一定の基準を満たした商品に対して認定を行っています。2004年7月末時点
で72機種の「ダイナミックエコ」認定機器を発売しています。
〈2002年度 環境会計〉
コ
ス
ト
環境保全
コスト
環境保全
対策に伴う
効 経済効果
果
88億円
・投資額(31.5億円)
・費用額(56.5億円)
環境R&D
コスト
(NTT〈持株会社〉
への環境関連
研究負担金)
実質的経済効果
83億円
・リサイクル売却益(9億円)
・省エネに伴う費用削減額(9億円)
・通信設備類のリユースによる
新規購入費用削減額(65億円)
仮定的計算を伴う
見なし効果(*2)
・事前対応によるリスク回避
(法規制の罰金や汚染の回避費用など)
・広告宣伝効果
*2 白マド部分については、現在、算出方法を検討しています。
*3 ▲は環境負荷が削減できたことを示します。
環境保全
効果
45億円
・社会全体の環境負荷
低減技術開発
・事業活動の環境負荷
低減技術開発
自社の事業活動の環境負荷
低減による社会への効果(*3)
・CO2排出量(3.9万t-CO2)
・純正パルプ使用量(▲0.41万t)
・廃棄物最終処分量(▲0.91万t)
・情報通信による社会への貢献
〈参考例〉
社内研修にWeb研修を採用したこと
によるCO2排出削減効果(80t-CO2)
お客さまでの効果(*2)
・情報通信による社会への貢献
〈参考例〉
全国で使用されている約25万台のテレビ会議に
よるCO2排出削減効果(約60万t-CO2〈推定〉)
*4 国などの機関にグリーン購入への取り組みを義務づけるとともに、地方公共団体、事業者、国民にもグリ
ーン購入に努めるべきことを定め、また、事業者、民間団体、国が環境物品に関する適切な情報提供を進
めることを定めた法律。2001年4月より施行されました。
*5 米国、日本などが協力して実施している国際的な制度で、パソコンなどのオフィス機器について、待機時
の消費電力に関する基準を満たす商品に特定のマークがつけられます。経済産業省が運営しています。
■「ダイナミックエコ」
「ダイナミックエコ」
認定ファクス
OFISTAR® B6100
「ダイナミックエコ」の主な認定基準
●法的に製造が禁止されている物質(PCBなど)を使用していない
●法的に規制の対象となっている物質(水銀、カドミウムなど)の使用
を抑制している
●はんだに含まれる鉛の使用を抑制した鉛フリーはんだを採用している
●PVC(ポリ塩化ビニル)
、ハロゲン系難燃材などの使用を抑制している
●消費電力、待機電力を低減している
●リサイクル可能な部品を使用している
●発泡スチロール梱包材の使用を抑制している
4. 環境にやさしい鋼管製電柱(エコ鋼管柱)の開発・導入
NTT東日本は、関東から東北、北海道までの東日本全域に多数の鋼管柱を敷設
しています。鋼管柱はブロードバンドを含めて通信を支える重要な通信インフラ
設備の一部であり、私たちは設備・資源の有効利用、廃棄の問題を鑑み、鋼管柱
の長寿命化に取り組んできました。その結果として、PET*6粉体塗装を鋼管柱の地
下埋設部に施した「環境にやさしい鋼管製電柱(エコ鋼管柱)
」を開発しました。
鋼管柱は、その下部が地下に埋設され、固定されます。鋼管柱の長寿命化のポ
イントは、地下という腐食性の高い環境において*7鋼管柱本体の腐食を長期に防ぐ
ことにあります。この防食用塗装として、これまでコールタールを含有するター
ルエポキシ樹脂*8が使用されてきましたが、この塗装は防食性が十分ではありませ
んでした(写真)
。これに対し、NTT東日本では、極めて優れた防食性を有し、コ
ールタールを含有しないだけでなく、環境3Rの機能を有する塗装として、PET粉
体塗装の開発を進めてきました。今回、長年蓄積した技術をもとに、耐候性に優
れた良好な塗膜を得ることに成功しました*9。その結果、PET粉体塗装を鋼管柱の
地下埋設部に施した環境にやさしい鋼管製電柱(エコ鋼管柱)が完成し(図表)、
平成15年11月より順次導入を開始しています。
<エコ鋼管柱の特長>
エコ鋼管柱は、環境のキーワードである3R(リデュース・リユース・リサイク
ル)を満たしています。
(1)リデュース:省資源
長期間のサービス提供を考えた場合、製品寿命(ライフサイクル)が大幅に
延びることにより鋼管柱の更改回数が減少し、鋼管柱生産に必要な天然資源、
エネルギーが大幅に減少します。
*6 PET:ポリエチレンテレフタレート[Polyethylene Terephthalate ]の略。飲料容器などに幅
広く使われ、容器リサイクル法でリサイクルが強く推進されています。
*7 鋼の腐食は、水、酸素(空気)、塩分が大きな要素で、これらの存在により腐食が加速されま
す。鋼管柱が埋設される地下土壌は、一般にこれら3要素がすべて存在します。
*8 タールエポキシ樹脂塗料:汎用の防食塗料でこれまで世の中で広く使われてきましたが、含有
するコールタールに発ガン性が疑われ、使用を制限する動きがでてきています。
*9 粉体塗装は、細かく砕いたプラスチック粉体原料を加熱した塗装面に付着させ、粉体原料を溶
融させることにより、緻密で強靭な塗装皮膜を形成する技術です。良好な塗膜を得るためには
温度制御がポイントで、PETは溶融温度が高く、この温度制御が非常に難しい技術でした。今
回、長年蓄積した技術をもとに、温度を適切に制御することに成功し、良好な塗膜を得ること
に成功しました。また、屋外の過酷な使用条件(紫外線、熱サイクルなど)に耐えるため、粉
体原料の組成・微細構造・製法に特別な工夫(抗劣化性の付与、塗膜均一性の向上のための粉
体微細構造・組成の材料設計、製法改善など)を凝らしています。
地上部
これまでの一般鋼管柱
エコ鋼管柱
亜鉛めっき
亜鉛めっき
土中部
(2)リユース:再利用
PET粉体塗装は強靭で寿命が長いため、移転等により一度撤去した鋼管柱を別
の場所で再度使用できます。
(3)リサイクル:再資源化
鋼管柱自体が鋼(スチール)でできており、廃棄時には良質な再生資源にな
ります。PET粉体塗装の原料には、ペット(PET)ボトルなどからのリサイク
ル材を使用できます。
(4)その他
粉体塗装の工程では、有害で光化学スモッグの原因にもなる有機溶媒を一切
使用しませんので、製造過程においても環境負荷の低減を達成しています。
PET粉体塗装
による防食
タールエポキシ樹脂
による防食
写真 土中で腐食した鋼管柱
図表 新旧鋼管柱の比較
エヌ・ティ・ティ ジーピー・エコ株式会社
NTT GP-ECO communication, Inc.
URL:http://www.ntt-gp.com
環境問題に取り組むためのあらゆるお手伝いをします。
■社会的使命
■ビジョン
・情報通信、環境、エネルギーの融合技術を駆使し、21世紀型循環型社会の実
現に貢献する環境総合コンサルティング会社を目指します。
・環境事業を通じ、お客さまの企業価値の向上を図ると共に、社会貢献に努め
ます。
エコロジーとコミュニケーションの融合(エコミュニケーション)を基本とし、豊
かな生活・文化の創造に貢献します。
商号
エヌ・ティ・ティ ジーピー・エコ株式会社
NTT GP-ECO communication, Inc.
環境経営
役員
代表取締役社長 辻 和勝
取締役(常勤) 市村 充
取締役(非常勤) 工藤 賢 大津 智 蔵本芳弘 潮崎浩則 監査役(非常勤) 秋光健生 吉澤秀樹
資本金
1億円
資本構成
東日本電信電話株式会社(51%)
株式会社エヌ・ティ・ティ ファシリティーズ(34%)
株式会社荏原製作所(10%)
西日本電信電話株式会社(5%)
◆環境マネジメントシステム
・ISO14001コンサルティング ・環境経営支援システム
・環境eラーニング
資源循環
◆資源循環事業支援
(ゼロエミッションの推進)
・堆肥化システム
・メタン発酵システム
気候変動
環境保全・改善
◆GHG削減診断
◆環境系商品企画
排出量算定、施策選定、 ・e-blue(消色トナー)
費用算出
・リサイクル舗装
・屋上緑化
◆ CDM PDD作成
・無農薬芝
◆各種エネルギー
コンサルティング
センシング
◆ITモニタリング環境測定
・生活情報 ・設備情報
花粉、エネルギー、大気、水質、土壌、紫外線、NOx、SOx
組織
環境マネジメント部 ISOコンサル
環境経営コンサル 等
環境エネルギー部
気候変動関連コンサル
エネルギー関連コンサル 等
ビジネス企画部
ビジネスインキュベーション
(センシング、資源循環) 等
総務経理部
総務、経理
03-5910-7911
03-5910-7910
03-5910-7971
03-5910-7900