Twinkle:Tokyo Womens Medical University - 東京女子医科大学

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End-systolic wall stressからみた先天性心疾患の非侵襲的心
機能評価の検討
片山, 博視
東京女子医科大学雑誌, 60(8):819-820, 1990
http://hdl.handle.net/10470/7478
Twinkle:Tokyo Women's Medical University - Information & Knowledge Database.
http://ir.twmu.ac.jp/dspace/
217
(80)
氏名(生年月日)
本
カタ
ヤマ
ヒロ
シ
博視(昭和32
籍
学位の種類
医学博士
学位授与の番号
専管1079号
学位授与の日付
平成2年3月16日
学位授与の要件
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者)
学位論文題目
論文審査委員
End・systolic wall stressからみた先天性心疾患の非侵襲的心機能評価の検討
(主査)教授 高尾 篤良
(副査)教授 細田 瑳一,杉野 信博
論 文 内 容 の 要 旨
目的
ているが,高血圧群,容量負荷率では正常域にあり,
最近,前負荷,後負荷の影響を受けない左心機能評
またドーパミン負荷においてはその陽性変力作用を反
価の新しい指標として,Colanらが提唱している収縮
映した.すなわち本指標が諸負荷条件に依存しない左
末期左室壁応力(σes)と左室円周短縮速度の関係が注
室収能能の良好な指標であることが示唆された.
Jatene術後遠隔期において本指標による心パ
目されている.この指標について次の点を明らかにす
フォーマンスは良好であったが,従来の指標では捉え
る目的で本研究を行った.
(1)日本人の小児から思春期にいたる正常値の確立
られなかった軽度の左室収縮能低下症例を1例認め得
(2)種々の病態における本指標の意義と心機能評価
た.術後急性期心不全に対するカテコラミン投与例,
慢性心不全に対する血管拡張面面与島において本指標
の有用性の検討
(3)本指標を用いた治療効果判定
はその薬理作用から予測される変化を的確に反映して
対象と方法
いた.しかもこれらの変化は従来の指標では捉えられ
東京女子医科大学循環器小児科外来受診の準正常心
ず,これらの薬物効果判定において有用であった,
本指標の適応の問題として,左心室の形態や収縮様
34例におけるσesと左室内径短縮率(FS),σesと左室
平均円周短縮速度(mVcf),σesと心拍補正mVcf
式に異常のある症例などがある.
(mVcfc)の関係を検討した.さらに肺動脈弁狭窄症で
結論
経皮的バルーン弁形成術前後にσesを測定し,左室形
σes・mVcfc関係は準正常心において負の良好な相
態の影響を検討した.またうっ血性心不全群,容量負
関を示し,種々の病態における検討で諸負荷条件に依
荷群,高血圧群などの種々の病態においてそのσesを
存しない左心機能の良好な指標であることが示唆され
検討した.最後に本指標による治療効果判定として次
た.また種々の薬剤の効果判定においても有用である
のような検討を行った.1)Jatene術後遠隔期症例の
と思われた.しかし左心室の形態や収縮様式に異常の
評価,2)術後急性期の心不全に対するカテコラミンの
ある症例ではその左心機能を的確に反映し得なかっ
効果,3)慢性心不全症例に対する血管拡張剤(エナラ
た.
プリル)の効果.疾患群の総数は68例であった.
結果および考察
FSとσes, mVcfとσesの関係に比し,σes・mVcfc
関係はmVcfc=一〇.0055×σes十1.25(r=一〇.73)と
負の良好な相関を得た.
うっ血性心不全症候群ではσes・mVcfc関係は低下し
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論 文 審 査 の 要 旨
前負荷後負荷の影響を受けない左室機能評価の新しい指標として,収縮末期左室壁応力と左室円周短縮速度
の関係が注目されている.本研究はこの指標について,(1)日本人の小児から思春期にいたる正常値を確立し,
(2)種々の病態における本指標の意義と心機能評価の有用性を検討し,(3)本指標を用い治療効果判定を行っ
たもので,臨床小児心臓病学に貢献するところ大である.
主論文公表誌
る肺動脈閉鎖合併の有無:胎児心エコー法に
End-systolic wall stressからみた先天性心疾患の非
よる鑑別)
侵襲的心機能評価の検討
Echocardiography 6(6):509-515,1989
東京女子医科大学雑誌 第60巻 第1号
3)ドプラーエコー法による肺静脈血流の解析 第
1報 肺静脈血流はいくつの成分より成るか
69-81頁(平成2年1月25日発行)
副論文公表誌
’〔〉臓
1)心室中隔欠損の形態分類とその心エコーによる
21 (9) :1057-1063, 1989
4)左室性単心室症に対するSeputa£めn手術(人工
心室中隔作成術)後の血行動態について
診断
Annual Review循環器 1989(杉本恒彦他
日小児循環器会誌 4(3):356-366,1989
5)フォンダン手術後の右心系血統パターンの成因
編)pp162-167,中外医学社(1989)
についての一考察一完全房室ブロックを伴っ
2)Ebstein’s anomaly with or without pulmonary
atresia:Differentiaユdiagnosis by fetal
た術後症例の分析から一
echocardiography(エプスタイン奇形におけ’
日小循環器会誌 5(2):232-239,1989
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