アニュアルレポート 2009 - 豊田通商株式会社

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Toyota Tsusho Corporation
CSR(企業の社会的責任)
CSRに関する基本的な考え方
理委員会」、
「社会貢献活動委員会」、
「地球環境連絡会」、
豊田通商グループは、CSRを特別な取り組みではなく、 「安全方針会議」を改組し、それぞれのCSR 活動に積極的に
企業活動のすべてのあり方を律する、経営そのものである
取り組める体制を構築しました( P.54 コーポレート・ガバナ
と考えています。私たちは様々な事業活動を通じて、世界
ンス体制図参照)。コンプライアンスや労働安全衛生といっ
の人々 の生活に密接に関わっており、今後の「持続可能な
(下図)
に関わる事項はもとより、高まる社
た「基礎的 CSR 」
社会づくり」のために果たすべき役割と責任は大きいもの
会からの期待に応えるべく
「戦略的」
「慈善的」CSR 領域へ
であると認識しています。世界中のステークホルダーの皆
の取り組み強化についても積極的に議論を進め、今後もグ
さまとの関係を念頭において、国内外の法令を遵守し、
「事
ローバルベースで豊田通商らしい、豊田通商ならではの活
業・機能の強化、環境保全、社会との共存」を軸に、誠実な
動を進めて社会へ付加価値を提供していきます。
事業活動を行う。これこそが、持続可能な社会づくりの実
現に向けた豊田通商グループの社会貢献の姿であると考え
安全文化の構築に向けて
お客さまに提供する付加価値を追求し、グローバルな事
ています。
業拡大を進める豊田通商グループにとって、安全確保こそ
CSR 体制
が信頼の基本です。当社は様々な事業分野において加工
2005 年 1 月、前身の企業倫理委員会を改組する形で発足
や物流など付加価値を創造する現場を有しており、安全文
した「 CSR 推進委員会(委員長:社長)」が、現在の豊田通商
化の確立は最優先の経営課題であると認識しています。職
グループの CSRを考える中心組織となり、年 2 回開催され
場の災害ゼロ・危険ゼロを実現するには、
「安全を先取りす
ています。委員会では、全社横軸の観点から各商品本部の
る体質」と「結果から手を打つ体質」の両方を確立しなけれ
企画部長およびコーポレート本部・業務本部の部長が活動
ばなりません。そのため当社では、国内外のそれぞれの現
実績・課題などについて委員(経営陣)
に報告を行い、今後
場においてリスクアセスメントを実施し、リスクの低減に努
の方向性や方策について指示を受けています。また2009
めているほか、安全の原点といえる「人づくり」にも積極的
年 6 月よりCSR 推進委員会の下部組織として、
「特定貿易管
に取り組んでいます。各商品本部に「ゼロ災推進メンバー」
豊田通商の考えるCSR 階層図
より上位のCSR活動へ
[ カテゴリーA ]
慈善的CSR領域
行うのが望ましい
社会貢献活動など
[ カテゴリーB ]
戦略的CSR領域
行うべきこと
(行うことで競合他社の優位に立つ)
本業による社会問題解決
(リサイクル事業、風力発電事業など)
[ カテゴリーC ]
基礎的CSR領域
行って当然(行わないほうが問題)
コンプライアンス、労働安全衛生など
Annual Report 2009
を設置し、各自の職場において安全管理のリーダーシップ
を発揮できるように社員のレベルアップを図る活動が続けら
れています。
また、客先での工事や納品業務においては関係仕入先・
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環境へのさらなる取り組み
気候変動をはじめとする地球環境問題とエネルギーシス
テムの転換が世界中で議論されている今、企業は「持続可
能な社会」の実現に向けた取り組みをさらに加速していく必
委託先の協力が不可欠であることから、安全協力会を組織
要があります。豊田通商グループは事業活動を通じて、経
化し、定期的な安全大会の開催による意識の向上や日常的
済発展と環境保全の両立を図る試みに全社を挙げて取り組
な工事の安全巡視・指導を行っているほか、工事を伴う事
んでおり、中でもCO2 排出量の削減はグループ全事業の最
業投資においては安全管理体制や安全対策の措置がとら
重要課題に位置付けて、世界各地で金属・自動車・家電製
れているか計画段階で事前審査を行っています。今後も豊
品などのリサイクルを推進しています。また、地球温暖化
田通商グループ社員一人ひとりが「安全管理こそ企業存続
対策につながる環境保全機器・商品、クリーンエネルギー
の礎である」という認識を共有し、自分自身の課題として取
の開 発・販 売、新 興 国におけるクリーン開 発メカニズム
り組んでいける体制を構築していきます。
( CDM )の推進など、排出権ビジネスにも取り組んでいます。
ステークホルダーの皆さまとの関係を保持していく上でも、
多様な人材による価値創造
環境への配慮は積極的な情報開示やきめ細やかな顧客対
人材の活性化こそ事業の動力源です。当社では「性別や
応と並んで、ますます重要になっていきます。これからも
年齢、国籍や文化の違いにかかわらず、誰もが力を発揮で
皆さまから信頼される企業であり続けるため、当社は環境
きる組織となり、新たな価値創造を目指す」をコンセプトに、
保全に向けた社会的な責任を全うしていきます。
人材の「ダイバーシティ(多様化)」に取り組んでいます。
世界約 60ヵ国にわたりグループ 400 社以上がビジネスを展
社会貢献活動への取り組み
開し、営業利益の約 7 割を海外拠点が占めるようになった現
豊田通商グループは「良き企業市民として社会に貢献す
在、豊田通商グループのビジョンを実現していくためには
る」ことを行動指針とし、地域社会に直接関わりを持ちなが
各国のビジネス事情に精通したナショナルスタッフの力が
ら、その課題解決に向けて積極的に参画し、人々に喜んで
欠かせません。当社では、世界の多様な価値観を尊重する
いただけるような活動に取り組むほか、人的貢献として社
ことを基本姿勢とした上で、グローバルな人材戦略の策定
員にボランティアなどへの参加を促すなど、
「顔の見える活
と、海外事業体の経営を担う人材の育成を進めています。
動」への取り組みも推進しています。また、2007 年から準
また、社員一人ひとりが最大限に「個」を発揮できる環境
備を開始し2008 年 6 月に発足した社会貢献委員会において
・社会(福祉)
・地球(環境)」を重点テーマに位
をつくるため、ワークライフバランス
(仕事と家庭の両立) 「人(教育)
の支援を行っています。2007 年 5 月には育児関連の社内規
置付けて、 企業による 資金的援助、自主的プログラムの
定を大幅に改定し、本格的に仕事と家庭が両立できる環境
企画・実行、 役職員による ボランティアへの参加を通じた
づくりに取り組み始めました。今後もこれらの取り組みを精
貢献、参加を支援する制度・風土づくり、 事業による 地球
力的に進めていくことで、世界中の社員が「現地・現物・現
環境負荷低減、循環型社会づくりへの貢献、の 3 つのアプ
実」、
「商魂」、
「チームパワー」をキーワードとする「豊田
ローチをバランス良く選択し、豊田通商らしい取り組みを推
通商グループウェイ」を共有しながら協働し、お互いを高め
進することで、
「豊かな社会づくり」の実現に貢献できるよ
合う関係が創造できると確信しています。
う努めています。
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Toyota Tsusho Corporation
世界各地での社会貢献活動
豊田通商の社会貢献活動は、今日も世界の各地で行われています。
中国(北京)
・中国人学生の日本でのホームステ
イ、企業視察事業支援(中国日本商
会主催)
ミャンマー
・豆選別工場で働く子息
への奨学金供与
ポーランド
・廃棄物処理関連教育
タイ
・教育支援・昼食の寄付・寺院の清掃
・昼食の提供・教育機器・玩具の寄贈
・植林
マレーシア
・ジャパンチャリティーフェスタ
& バザー2008 開催支援
ベルギー
・自然保護 NGO 活動で
の植林活動
モーリシャス
・トヨタファンドによる恵まれな
い子どもたちへの教育支援
南アフリカ
・HIV エイズ撲滅運動
(社員ボランティア、社員教育)
シンガポール
・アイスクリームのチャリティー販売
で病院に寄付
教育 人を育てる心を育む
環境 みんなの地球、もっときれいに
子どもたちが安心して学べる環境を!
美しい森づくりを目指して
― 町外れの学校への設備支援
― 富士山麓の下草刈り活動
豊田通商タイランドでは、生産性の向上を目的として毎年取
植林プロジェクト
「豊通の森」の実施が予定されている2009
り組んでいる「 POWER UP PROJECT 」の 2007 年と2008 年の
年。その前段階として、2008 年夏、東京、名古屋、大阪の各
テーマをCSRとし、各部門が独自の社会貢献活動に取り組みま
拠点から社員や家族の計 47 名が集まり、財団法人オイスカと
した。機械部とエネルギー部では、都市から遠く離れた場所に
の協働作業で、富士山麓の下草刈りボランティアを体験しまし
ある設備の行き届かない学校について、電気の供給がなく通
た。現地のボランティアスタッフによる道具の持ち方や刈り方
学は水路(ボート)のみという学校には、石油ランプとドライフー
の指導を受けながら、力を合わせて硬く、長く伸びた下草を刈
ドを寄贈、また、食堂設備が老朽化していた学校には、食堂を
り取っていきました。作業後のアンケートでは、
「環境保護へ
改装し学校内にキノコの栽培地を設置、その他、奨学金、書籍、
の意識が高まった」
「また参加したい」との意欲的な声が多数
台所用品の提供などを行いました。
寄せられ、植林プロジェクトにつながる大きな一歩となりました。
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その他の社会貢献活動
ベルギー
・ ペットボトルのキャップ回収で病院へ車いすを寄付
チェコ
・ ペットボトルのキャップ回収にて幼稚園に寄付
・ 大使婦人会バザーへの寄付
・ 日本人会の秋祭りへ出展
バングラデシュ
・ 日本人会の春祭りへの出展、景品提供
・ Japan CUP Golf Tournament(ポロシャツ・キャッ
プ提供)
タイ
・ 図書館の建設
・ スポーツ用品、パソコン、書籍の寄贈
マレーシア
・ 孤児院の子供たちを小旅行へ招待
シンガポール
・ 募金活動(社員の給料から募金、会社がマッチング)
・ 日本人会、日本商工会への寄付
・ ミャンマーサイクロン被害への募金
インドネシア
・ 日イ国交樹立 50 周年記念事業活動
・ ジャカルタジャパンクラブ奨学金寄付活動
ベトナム
・ 貧しい地区の小学校への文房具寄贈
・ 商工会バザーへの商品提供
香港
・ 四川大地震被災者への義援金寄付
[ 中国 ]
日本
(株)
グランプラスによるチョコレートの寄付
・
・豊通エネルギー(株)による小学校への太陽
電池式照明灯の寄贈
アルゼンチン
・文房具・学用品の福祉施設への寄付
広州
・ 四川大地震被災者への義援金寄付
天津
・ 四川大地震被災者への義援金寄付
・ 日本人学校運営支援
大連
・ 日本人児童向けサッカー教室開催
・ 沈陽日本人補習校運営支援
フィリピン
・ 学校づくり活動への寄付
・ 地球環境保護活動への参加
・ 身体障害者の自立を支援
[ 米国 ]
プリンストン
・ 郡商工会議所への寄付
ラファイエット
・ 日本人学校への寄付
ロサンゼルス
・ 虐待された女性の支援
メリービル
・ サッカー、野球チームへのスポンサー支援
シカゴ
・ 子どもの虐待防止活動
バトルクリーク
・ 社員ボランティア活動
ジョージタウン
・ 貧しい家族へのクリスマスプレゼントの購入、奨学金
・ 市、高校、バスケットボール、YMCA 、米国がん協
会などへの寄付
メンフィス
・ クリスマスに自転車の寄付
アーカンサス
・ 乳がん治療法研究支援
福祉 「まぁるく豊かな社会」をつくる
マイアミ&ダニアビーチ ・ 日本文化の紹介
無電化村解消プロジェクトへの支援
ブラジル
・ 寄付の取りまとめ(日系移民資料館の保存資料総整
備のための寄付)
チリ
・ 身体障害者向け資金サポートのための募金
・ 低所得者層の方たちへの寄付や現物寄贈
―インドネシア「貧困層自立支援プロジェクト」
豊田通商は NPO 法人プラネットファイナンスが実施する「無
電化村解消プロジェクト」に日本で最初の企業として参加して
います。このプロジェクトは、インドネシアおよびバングラデシュ
の非電化地域でマイクロファイナンスを活用し、太陽光発電を
導入、新しいエネルギーによって貧困層の家庭と、自立のため
の様々なビジネスを支援するものです。2008 年にプラネットファ
イナンスに一部資金を拠出し、12 月には、日本や現地駐在員
事務所からも社員が赴いて、インドネシアでの太陽光発電パネ
ルの据付作業やメンテナンスのトレーニングの実地視察を行い
ました。
詳細は Web サイトをご参照ください。
http://www.toyota-tsusho.com/corporate/csr.cfm