日本獣医解剖学会 A−05 A−06 八シブトガラスとフクロウにおける後肢のmック機構の ネコの膝関節筋に関する形態学的研究 比較 ○武藤顕一郎、大野秀樹、善岡一機、大脇将夫、谷口和蘂、 ○辻 知香}、本進栄一1、杉曲昭栄2、木曾康郎1 独口大・農学部・獣医解剖、2宇都筥大・農学部 Sotthlbandhu Pongsiw∂ 、鶴類の多くは、物を掴む際に欄んだ状態を維持するロック機構 を持つ。ロック機構は後肢の趾の屈筋腱とその周囲組織から構 成され、構成要素は、屈筋腱表縢の結節、腱鞘内壁ヒダ、屈筋 腱に付属した弾牲線維靭帯および鞍1鞘のパッドの4つとされる。 屈曲時、燃筋鍵.の結籔に腱鞘内壁ヒダが入り込む咬み禽い構造 を形成し、屈筋腱が近位方肉へ引っ張られる力に対しての摩擁、 力を生み出す。その結果、この機構は筋にかかる負担を小さく する。今圏、三薦肢足であるハシブトガラスと第4趾が町動し 蕪富む肢側から対肢足に変位するフクロウを用い、ロック機構の 差異を比較検討した。 肉眼解剖では、両者ともロック機構を 構成する4つの要素が、全ての蹴で鍛遠位の趾骨間関節から認 められた。屈筋腱の結節および腱鞘内壁ヒダの分布については、 フクロウは一趾骨分の範囲に収まるのに対して、ハシブトガラ スは蹉全体の慢さの半分、あるいはほぼ金域を粛める広い範囲 で観察された。腱鯖内壁ヒダについては、ハシブトガラスの方 が長く明瞭であった。次に各趾の横断組織切片を作成し、組織 を染め分けることで構成要素の位置関係を観察したところ、ハ シブトガラスでは、屈筋腱の結節および弾性線維靭樽がより発 達していた。また岡者ともに撫管が趾骨と屈筋鍵を取り囲むよ うに発達していた.神経は、趾骨と鵬筋腱の境雰にある皮下組 織に左右対称に位畷していた。 以.ヒ爾潜の比較の結果より、ロッ ク機構構成要素は、ハシブトガラスの方が発達していることが 分かった.これよりハシブトガラスの方が、愚曲時により強いロッ ク機構が作用していることが示唆された。今後は、澗潔のロッ ク機構の神経支灘を検討する予定である。 A−07 間葉系幹細胞から骨へ分化する過程でのデ鶯リンの関与と役割 O保坂善真1、小海康夫3、竹花一成2、今川智敬1、 上原正入l l鳥取大・農・獣医解剖、2酪農大・獣鷹・獣医解剖、 3札幌医大・医・分子機能解析 北蟄大・獣曙解剖 【際的】我々はこれまで、イヌの関節筋の形態について報告し てきた。膝関鄭筋は、ウマ、反甥類、イヌに見られる大腿骨曹 藤から膝関節包にかけて存在する小筋であるが、ネコに閲する 報籍は少ないようである。この研究はネコの膝関節筋について 肉眼的、組織学および楚登型電予顕微鏡(SEM)的など形態学 蘭に研究したものである。 【材料と方法】供試ネコは当硯究盛 に10%ホルマリン液に闘定、保存されていた幼猫から老猫の12 頭で、肉眼解剖学的に各検体の大腿部特に大腿四頭筋を涯童深 く剰がし、膝関節筋の観察を行った。紐織学的には定法に従っ てパラフィン包埋し、薄切切片はヘマトキシリン、エオシン重 染色などを施し,必要に応じて薄切後のパラフィン包埋標本を 脱樹脂し、SEM標本として、光学顕微鏡像とSEM像の隅視野比 較を行った。 {所晃と寿察】ネコの膝関節筋は小ベルト状の薄 い筋で、中聞広筋の深禰で大腿骨背側の遠位約1/3から起始し、 内側および外側に2分し逆V掌型を呈して、膝関節包の内側お よび外倒に終止していた。膝関節筋は加齢に俸い筋質が減少し、 脂紡化する傾肉がみられた。膝関節筋に入る神経は大腿神経で、 中間広筋への分枝から、膝関節筋の起始部で分かれ、さらに2分、 内側、外側のそれぞれの筋に分布していた。組織学的に幼猫に おいて膝関節筋は充実した筋維織が観察されたが、老齢猫では 肉眼所見と一・致した脂肪化像が認められた。この筋の特徴とし て筋紡錘が腐頻度で観禦され、核鎖錘内筋細胞、核嚢錘内筋細 胞も認められた。また筋実質の無い部位にはr筋外筋紡錘」も 認められた。SEMに筋紡錘の錘内筋細胞に終わる神経、および その神経線維が紡錘内に入る孔も観察された。 A−08 マウス骨格筋発生に関与するカスパーゼファミリーの 活性化 ○池閉哲平1、俊々木蜜哉2、橋本善春孝、毘 泰寛1 1北大・獣医・解剖、2北大・獣医・爽験動物 幹細胞株KUSA−A1細胞に、デコリン発現を阻轡するsiRNAを 【背景と目的】カスパーゼ(Casp)ファミリーはアポ1・一シス シグナル伝達経路を制御しているシステインブロテアーゼの一 稗である。Caspカスケード濡性化によるアポトーシスは全身臓 滞のリモデリングに関わる。近年、マウス胎予骨格筋組織にお いて広箱囲のCaspカスケード漉惟化が報省され、その役割が濫 目されている。本研究では、マウス胎子期におけるCaspファミ リーの隣閥的変化を検索し、骨格筋の発盤とCaspファミリーと トランスフェクションした細胞(siDT)を作成した。siDTを骨 分化誘導条件下で培養し、増殖、分化および石灰化の段階での C57BL/6マウス胎子より光顕試料、新鮮凍結組織およびtotal 細胞応答を解析した。 1結果と考察ユs沿丁の増殖性はコントロー RNAを採取し、各胎齢におけるCaspファミリーの発現を組織 ルであるKUSA−A1よりも顕著に促進していた。KUSA−A1を 学的および分子盆物学的乎法で解析した。 1結果と考劉Casp3、 【背景1これまで我々は、ある程度分化の進行した細胞(線維 芽細胞や筋芽細胞)でのデコリンの機能を明らかにしてきた。 本研究ではこれら細胞の共髄の幹細胞である問葉系幹細胞の骨 への分化成熟過程でのデコリンの閾与とその役割を開らかにす ることを騒的とする。 【材料と方法1マウス骨髄由来の間葉系 骨分化誘導すると、種々の轡勢細胞分化マーカー(アルカリフォ スアターゼ;ALPやRunx2)を発現し、分化誘導28E1照には細 胞周囲に骨マトリックスを認め、von Kossa染色およびアリザ リンレッドS染魚に強い陽性反応を確認した。一方siDTでの ALPおよびRUnx2の発現は弱く、骨マトリックスはほとんど検 出されなかった。その一方で、オイルレッド0に陽性を示す脂 肪細胞が多数撮現した。また、脂肪細胞特異マーカー一である PPARγのmRNA発現量はsiDTで有意に窩かった。slDTの骨分 化培養液中にデコリンを添加して培養を行い、ALP活性の回復 を試みたが、デコリン添加量に関係なくsi王)TのALP漸性は弱い ままであり、培養を継続しても骨マトリックスの形成を認めなかっ た。以上のことより、デコリンはALPの発現調節を遺伝子レベ ルで行い、闇葉系幹細胞の骨芽細胞への分化誘導を制御してい ること、そして、デコリンが闘葉系幹細胞に曲来する骨穿細胞 と脂肪細胞における細胞系譜の決定機構に璽要な役割を擦って いる可能性が蕎いと考えられた。 F 公 衛 生 の闘連性を検証した。 1柑料と方法】胎齢(E)/L5∼工7,5臓の Casp9およびCasp12に対する免疫染色により筋穿細胞が陽惟反 応を示し、陽性反慮は筋管細胞へと分化するにつれて胎齢と共 に増強した。一方、アポトーシスマーカーであるss工)NAに対す る免疫染色では、筋穿細胞はほとんど陽性反応を示さなかった。 また、各Caspの遺伝子発競は骨格筋組織においてLaser microdissection/RT−PCR法で確認された.さらに舌組織の各 Casp遣伝子発現をRT−PCR法で、頚部組織のmRNAシグナルを in situ hybridizatioa法で定蹴化したところ、いずれもE15.5で 簸も鶴値を示した。同様の傾肉は筋分化特異的遺伝子である Myo−Dと一致したが、アポトーシスシグナル伝達経跳中の遺伝 子であるFasL、Bax、Rock1とは一致しなかった。上述の所見 は、Caspファミリーがアポトー一シスに颪接関与するのではなく、 筋穿細胞の分化に深く関与している可能性を示す。 生 理
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