低アルブミン患者におけるプレアルブミンの検討

低アルブミン患者におけるプレアルブミンの検討
東京都立府中病院 検査科
岩切 重憲 大内 美由紀 神谷 由紀子
高橋 亘 高田 忠雄
神白 和正 目 的
栄養評価を行う際、生化学的指標としてアルブミン
や半減期の短いRapid Turnover Protein(RTP)などが
使用されている。
今回我々は、アルブミン値が2.0g/dL以下の低アル
ブミン患者血清を用いてアルブミンとプレアルブミン
(トランスサイレチンTTR)の関係を検討したので報告
する。
対 象
アルブミンの依頼患者数 224名
アルブミン値(1.0−2.0 g/dl) 21名(9 %)
検討対象患者数 17名
測 定 項 目
No
検査項目 ・ 単位
1 アルブミン(ALB) g/dl 試薬メーカー
カイノス
2 プレアルブミン(PA)
mg/dl
日東紡
3 クレアチニン(Cre)
4 CRP
mg/dl セロテック
A&T mg/dl
5 AST
IU/l 関東化学
6 ALT
IU/l 関東化学
7 免疫グロブリン(IgG)
mg/dl 日東紡
mg/dl 第一化学
8 総コレステロ−ル(TC)
測定機種
日立7600
検討対象患者 17名の既往と現疾患
既往歴 / 現疾患
精巣腫瘍 / 脳転移
肺癌 / 膵炎
結核 / ネフロ−ゼ症候群
糖尿病性腎症 / 骨折
慢性腎不全 / 肺炎、消化管出血
咽頭癌 / 肺転移
慢性肝炎 / 膿胸
S状結腸穿孔 / 汎発性腹膜炎
腎硬化症 /慢性動脈足趾壊死
関節リュウマチ / 臀部皮下膿瘍
白血病 /
消化管GVHD
肺癌 / 骨転移
糖尿病性腎症 /脳梗塞 、 肺炎
膵臓癌 / 腹空内膿瘍
胆管癌 / 腎機能障害
肝癌、多発性嚢胞腎 / 肝性脳症
肺癌 / 癌性胸膜炎
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
歳
29
81
82
56
85
76
73
75
71
70
24
63
67
74
70
58
81
性別
男性
男性
女性
男性
男性
男性
男性
女性
男性
女性
男性
男性
男性
女性
男性
男性
男性
ALB プレドニン
1.2
無
性別:
1.2
無
男性 13名
女性 4名
1.3
有
1.3
無
平均年齢:
1.3
無
66.8歳
1.4
無
1.5
無
疾患分類:
1.7
有
悪性腫瘍 8例
1.7
無
腎疾患 7例
1.7
有
悪性腫瘍+ 2例
1.8
無
腎疾患 1.8
無
1.8
無
その他 4例
1.8
無
1.8
無
1.9
無
1.9
無
アルブミンとプレアルブミンとの関係
m g/ dL
g/ dL
20
2
PA
A LB
1.5
ALB
PA
10
1
0.5
0
1
精
巣
2
腫
肺
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
0
糖
慢
咽
腎
結
慢
S
肺
関
白
肺
糖
膵
胆
肝
癌
尿
性
頭
硬
核
性 状結
癌
節
血
癌
尿
臓
管
癌
/膵 /ネ 病
腎
癌
化
肝
/
腸
リ
病
/
病
癌
癌
、
瘍
性
不
症
/
炎
骨
多 癌性
ュ
フ
肺
穿
/
/
性
/脳 炎
腎
全
/
/
転
ウ
ロ
/
腹
腎
発
慢
転
膿
孔
腎
胸
症
、
−
転
胸
/ 汎 性動 マチ 消化 移
症 空内 機能 性嚢 膜
/大 /肺 移
ゼ
移
、
/
管
/
症
炎
発
脳
膿
障
胞 炎
候 腿骨
、消
性 脈足 臀部 G V
梗
瘍
害
腎
群
HD
腹
塞
/肝
趾
皮
頸
化
膜
壊
下
部
管
性
炎
死
膿
骨
脳
瘍
折 出血
症
アルブミンとプレアルブミンとの関係
m g/ dL
g/ dL
2
30
PA
CR P
A LB
1.5
20
ALB
PA
・
CR P
1
10
0.5
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
0
慢
精
糖
慢
S
腎
結
肺
咽
肺
関
白
糖
肺
膵
肝
胆
性
巣
尿
性 状結
硬
癌
頭
核
癌
節
血
尿
癌
癌
臓
管
腎
腫
肝
化
癌
/膵
/ネ 病
リュ 病
腸
/骨 病
癌
癌
、多 /癌
不
瘍
性
/
炎
症
フ
/脳 炎
/膿 穿孔
/慢
ウ / 消 転 性腎 /腹 /腎
発 性胸
ロ− 腎症 全、 肺転
移
マ
空
機
性
移
胸
性
転
症
/
/
化
/
チ
汎
肺
内
ゼ
能
嚢 膜炎
、
動
/
移
/
管
脳
症 大腿
発
炎
障
膿
胞
臀
脈
G
梗
候
性
、消
害
瘍
腎
部
V
足
骨
H
塞
群
腹
/肝
皮
趾
頸
D
化
膜
下
壊
部
性
管
炎
膿
死
骨
脳
出
瘍
折
症
血
症例3 結核 / ネフロ−ゼ症候群 プレドニン mg/day
60
20
40
20
15
ALB
プレドニン mg/day
300
PA
16
14
200
13.3
12
12.4
11.5
10
8
6
10.6
10.9
11.3
150
7.9
100
6.1
4
50
2
0
CR P
250
0.8
1.1
13 12 11 10 9 8
1.6
7 6
1.3
1.2 1.3
1.3
5 4 3 2 1 0 1 2
1.2
0
(日)
Cre
TC
TC mg/ d
A LB ,PA , RB P ,CRP ,CRE
18
症例4 糖尿病腎症 / 骨折
ALB ,PA, RBP, CRP, Cre mg/dl
20
17.3
15
10.8
10
9.6
8.4
9.1
ALB
PA
CRP
Cre
11.5
10.1
9
5
1.2
1.3 1.1
1.1
1.6
1.3
1.2 1.2
0
13 12 11 10
9 8 7
6
5 4
3
2
1
0
1
2
3 4
(日)
症例8 S状結腸穿孔 / 汎発性腹膜炎
プレドニン mg/day
7.5
25
AL B
PA
ALB, PA, RBP, CRP mg/dl
手術
手術
20
C RP
15
1 3 .5
1 1 .4
10
9 .7
6 .7
7
1 .6
1 .6
5
2 .3
0
5
4
3
1 .9
1 .7
2
1
0
1
2
日
症例11 白血病 / 消化管GVHD
2 1 .5 2 1 .6
2 0 .9
20
1 8 .5
1 7 .7
15
ALB
450
PA
400
1 8 .9
350
250
1 0 .6
200
150
100
5
1 .7
1 .6
1 .5
0
10 9 8 7 6
5 4
1 .8
1 .4 1
3 2
C RP
Ig G
300
1 3 .9
10
500
1 0
50
1 .7
0
1 .8
1 2 3 4 5
6 7
日
IgG mg/dl
ALB,PA,RBP,CRP mg/dl
25
まとめ
アルブミン値2.0 g/dl 以下と著しい低アルブミン血症をきたした17例
中、プレアルブミン値10 mg/ dl以上と軽度低下の症例が4例みられた。
プレアルブミンが変動する原因は多岐におよぶので、アルブミン値と
プレアルブミン値が乖離を示す場合は、症例の原疾患や病態および他
の検査結果もふまえて評価する必要がある。
06
06
06
06
06
06
06
06
06
06
/1
/1
/1
/1
/1
/1
/1
/1
/1
/1
1/
1/
1/
1/
1/
1/
1/
1/
1/
1/
24
23
22
21
20
19
18
17
16
15
2006/11/20
2006/11/22
2006/11/18
2006/11/14
2006/11/16
2006/11/12
症例 8
2006/11/8
2006/11/10
2006/11/4
2006/11/6
PA
RBP
Tf
2006/11/2
160
140
120
100
80
60
40
20
0
/1
/1
1/
7
06
1/
9
/1
20 1/1
06
1
/1
20 1/1
06
3
/1
1
20
/
06 15
/1
20 1/1
06
7
/1
1
20
/
06 19
/1
20 1/2
06
1
/1
1/
23
20
06
06
PA
RBP
Tf
20
120
100
80
60
40
20
0
2006/10/29
2006/10/31
16
14
12
10
8
6
4
2
0
20
20
06
/1
20 1/7
06
/
20 11/
9
06
/1
1
/
20
06 11
/1
20 1/1
3
06
/1
1
/
20
06 15
/1
20 1/1
7
06
/1
20 1/1
9
06
/1
1/
21
14
12
10
8
6
4
2
0
2006/10/27
20
20
20
20
20
20
20
20
20
20
PA,RBP,Tf
症例 3
20
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
症例 4
症例 11
25
20
15
10
5
0
140
120
100
80
60
40
20
0
PA
RBP
Tf
140
120
100
80
60
40
20
0
PA
RBP
Tf