Terminal 商船三井

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道稼
敷働
設開
へ始
リポート
商船三井が米国で4∼5年前から積極展開してきたコンテナターミナル
事業が実現に近づいている。米国最大のゲートポート、ロサンゼルス港で
は、オンドック鉄道の敷設をはじめターミナル機能強化に向けた準備が
着々と進められている。また、今年1月には、米国東岸では珍しい州の運
営ではない船社系ターミナルがフロリダ州のジャクソンビル港で稼働し
た。世界最大の荷主国、米国で同社が展開するターミナル事業の現況を紹
介する。
IT駆使し自動化追及
CARGO FEBRUARY 2009
線を8 本 持ち、ユニット・トレイン2 本 分
同社では今後、その他オプションの採用
(2400TEU相当)の規模を持たせる計画
の可能性も含め、導入・運用にかかるコス
である。同社の自営ターミナルにオンドック
トなど多角的に検討を重ね、陸電供給シ
鉄道が敷設されれば、他社との競争上同
ステムを導入していく考え。
等になる。この分野でもTraPacは荷役効
このほか、ヤード内の荷役機器について
率化の計画を練っているが、その全容は
も随時、環境負荷の低いタイプに切り替え
まだ明らかにされない。
ていく。その一例として、TraPacは昨年
環境問題への取り組み強化
LAの自営CT
末、三井造船からトランステナー用脱塵装
置2式の納入を受けた。この脱塵装置は、
割を占める“ローカルポート”から東西基幹
ロサンゼルス港のターミナルについては
ターミナル拡張とは別に、ロサンゼルスの
一定回転数で稼動するディーゼルエンジン
航路のサービス船の寄港する“主要コンテ
の運営主体者は、同社が100%出資する
08年 春 、E.I.R.( Environmental Impact
専用ターミナルでは、環境対応への取り組
搭載の荷役機器を対象に開発されたもの
ナポート”へ脱却を図りたいジャクソンビル
ターミナルオペレーターのTraPac。
Report=環境評価報告書)が認可された
みも加速することになる。まず、現在交渉
で、触媒とフィルターの組み合わせにより、
港、双方の思惑が一致した結果だ。Tra-
TraPacは現在、米国においてロサン
ことで港湾整備が前進するめどが立った。
中のターミナル借受契約の更改に伴い、
フィルターで補集したPMを連続的に燃焼
Pacとジャクソンビル港湾局とのターミナル
ゼルス、オークランド、ジャクソンビルの3港
また、ロサンゼルス市港湾局は昨年11月、
TraPacではコンテナ船停泊時の電力供給
除去する連続再生式を採用している。ま
設営の交渉開始から完成までの所要期間
で自営のコンテナターミナルを展開してい
今後の各種プロジェクト推進に向け総額3
を陸上から実施する体制に改める。これ
た、同時に一酸化炭素と炭化水素ガスも
は5年間と驚異的な数字である。TraPac
る。同社のターミナル運営の特徴は、IT
億8370万㌦(約320億円)
の投資を予定し、
は、LA/LB両港が実施している環境保
処理することができる、という。
とロサンゼルス市港湾局の拡張・契約延長
(情報技術)
を駆使した自動化、省力化の
このうち9790万㌦(約87億円)
はTraPacの
全プログラムの一環として、将来的に全タ
ターミナル拡張に充てる、と発表済み。こ
ーミナルに義務付けられるもの。陸電供給
うした環境変化を受け、TraPacでは現在、
システムの導入により、PM(微粒子状物
米国東岸地域におけるターミナル事業展
ナルで最も積極的に自動化に取り組んで
ターミナル機能強化に向けロサンゼルス市
質)
、NOx(窒素酸化物)
、SOx(硫黄酸化
開としては、先月稼働を開始したフロリダ
07年末、東京で行われた記者会見の席
きたのが同社である。04年に各ターミナル
港湾局と最終交渉の段階にきている。
物)
といった汚染物質の削減を目指す。
州ジャクソンビル港の自営ターミナル「Tra
上、ジャクソンビル港湾局首脳は「取扱量
Pac・ジャクソンビル・ターミナル」
に注目したい。
全体の10%程度の東西基幹航路貨物の
追求だ。
2002年ごろからロサンゼルス港のターミ
米東岸に自前の拠点
交渉から完成予定まで15年を考えるとジャ
クソンビル市長をはじめとする地域の期待
がいかに大きなものか想像に難くない。
独立運営方式からロサンゼルス本社集中
工事完了後、ターミナル面積は現在の
商船三井は昨年10月、同ターミナルにお
方式に経営を変更し、システム化を加速さ
175エーカー
(約71ha)から225エーカー
(約
いて、環境機器メーカーのクリーンエア・ロ
同社は05年7月、ジャクソンビル港湾局
比率が、新CTの稼働開始により40%前後
せている。これまで実現したIT化の事例
91ha)
に拡張される。同時に、コンテナバ
ジックス社(CAL社)
と共同で、停泊中のコ
から、ターミナルを30年間借り受ける契約
まで上昇する」
との見通しを示している。
は①ゲートのイン・アウトのシステム化②ヤ
ースは現在の3バース体制(岸壁延長は約
ンテナ船に陸上から電力を供給する実験
を結んだ。ターミナル自体は同港湾局の整
ード内の空コンテナ、実入り輸出入コンテ
930m)から4バース体制(同1340m)
に増
を実 施 、実 験 が 成 功したと発 表した 。
備によるものだが、新CTのガントリークレ
将来への投資
ナのロケーション管理③船舶側の荷役デー
強。工事完了後、北米サービスの主流船
LA/LBの両港では既に複数の定航船社
ーンなど荷役機器、および上屋などの施設
商船三井・TraPacの積極展開は世界同
タ管理④オンシャーシ貨物情報の管理
型である5000∼6000TEU型のコンテナ船
が陸電供給システムを導入しているが、同
運営はTraPac。
は同社が自前で整備する。
時不況の影響で、ご多分に漏れず厳しい
―など枚挙にいとまがない。システムソフ
の場合、4隻同時着岸が可能となる。同港
実験では、陸側においても発電機の燃料
ターミナル面積は160エーカー(約65ha)、
状況に置かれているといえるであろう。し
トや機器の開発を外注せず、自社で開発
湾局では、TraPacターミナルで1年間に取
にLNGを利用するなど、環境負荷低減へ
岸壁延長は約2400フィート
(約730m)。荷
かし数年前までは北米におけるコンテナ・
することで、開発期間の短縮、現場のニー
り扱うことができるコンテナ本数は、03年時
さらに踏み込んだ方式を採用した点が注
役機器としてガントリークレーン6基、
トラン
ターミナル需給バランスはこのまま行けば4
ズにマッチしたシステムの構築を実現して
点の90万TEUから、25年の段階で240万
目される。
スファークレーン6基などを配備している。
∼5年後に逼迫すると誰もが分析していた
いる。
TEUへと、約2.7倍の規模に拡大する、と
陸電供給実験は、4500TEU積みのコン
新ターミナルには1月12日午後、同社が加
状況を考えると、その成功の行方は米国
テナ船“MOL Enterprise”を対象に実
盟するザ・ニュー・ワールド・アライアンス
経済に密に連動している。すべてが悲観
予測している。
ひっぱく
すべての事務所からパソコンを通じて統計
今回のTraPacターミナル拡張プランの
施。CAL社の技術を用いて、LNGを燃料
(TNWA)の中国/米国東岸航路「ESX」
的になっている現在の世界同時不況の今、
データと同時にカメラでモニターできるシス
中で、特に注目されるのがオンドック鉄道
とする発電機で発生させた電力を船舶の
のサービス船が第1船として着岸、荷役が
長期投資に対しその成功の可否をうんぬ
テムを構築している。
の敷設だ。LA/LB地区でオンドックレー
バウスラスターモーター用電源線を利用し、
行われた。
んするのは早計と言わざるを得ない。ター
ルを敷設してないターミナルはTraPacとLB
陸上から供給。これにより、停泊中の船舶
ジャクソンビル港の新CT整備は、今後
ミナルビジネスは不動産ビジネスと共通した
ス州オースティンに事務所を開設し、ここで
にある船社系ターミナルの2社だけである。
から発生する環境汚染物質の排出を大幅
もアジアを中心に荷動き増が予想される
ところが多く、長い目で見れば正しい判断
システムを駆使して東西の顧客対応する機
11年にわたる港湾局との交渉の結果、よう
に抑えることができた、という。実験では、
米東岸において自前の拠点を確保したい
と将来評価されるのではないだろうか。
能を持たせているところも興味深い。
やくこの敷設が実現化される。建設予定の
重油を燃料とする4機の船内発電機のう
商船三井と、南北航路の貨物が全体の9
ジャクソンビル開業以前に同社はテキサ
50
ち、2機を停止した。
商船三井の北米におけるターミナル事業
さらに各ターミナルの荷役状況、効率は
TraPac本社ビル
LAの専用CTは4バース体制に
施設は3600フィート
(約1097m)
の引き込み
(西 拓也)
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