水 仙水仙の香やこぼれても雪の上 加賀千代女 水仙や庭に待たせて藪

 水 仙
水仙の香やこぼれても雪の上
水仙や庭に待たせて藪にさく
水仙や折葉もさらに浜あらし
水仙は葱のきはにて咲にけり
水仙の花の高さの日影かな
水仙や門を出づれば江の月夜
水仙に花なき里の小鴨かな
一すぢもあだなるはなし水仙花
水仙や誰が面ざしを忍ぶべき
水仙や屋根が出来たと啼く烏
水仙や朝寝をしたる乞食小屋
水仙やもとより脛は雪の肌
水仙や日を経る瓶の水の減り
水仙や室町殿の五間床
菊にはなれかたはら寒し水仙花
水仙や薮の付いたる売屋敷
水仙や夜はかくるる月の中
水仙に色ありしかもきほひ有り
水仙や白き障子のとも映り
なほ清くさくや葉勝ちの水仙花
村中にひと畑なり水仙花
水仙や練塀われし日の透き間
水仙や背戸は月夜の水たまり
水仙の花を見て居る別れかな
女でも若衆でもなしすいせん花
水仙やたれが骨よりかかる花
水仙に日のあたるこそさむげなれ
煤萱の中から白し水仙花
水仙を生けしや葉先枯るるまで
謎かけてとけぬ恨みや水仙花
水仙や女ごころのひとねぢれ
藪かげや一本手折る水仙花
水仙に作事は済んで梅の客
加賀千代女
横井 也有
加舎 白雄
夏目 成美
河合智月尼
各務 支考
岩間 乙二
岩田 涼菟
宮崎 荊口
建部 巣兆
広瀬 惟然
溝口 素丸
高井 几董
黒柳 召波
山口 素堂
釈 浪化
勝見 二柳
小西 来山
松尾 芭蕉
松本 氷固
杉坂 百明
菅沼 曲翠
成田蒼きゅう
西村 定雅
大場 寥和
大島 蓼太
大伴大江丸
沢 露川
炭 太祇
長野りん女
田辺 文里
藤堂 探丸
内藤 丈草
長閑さの侘しからまし水仙花
水仙になほ分け行くや星月夜
葉を隠す雪に其の名や水仙花
水仙に狐遊ぶや宵月夜
水仙やぞつと出揃ふ畑のすみ
水仙や垣に結ひこむ筑波山
服部 土芳
宝井 其角
野々口立圃
与謝 蕪村
江(戸 岱)水
小林 一茶
◎ ヒ ガ ン バ ナ 科 の 多 年 草 。 地 中 海 沿 岸 が 原 産 で 、 古 く シ ル ク ︲
ロードを通って東アジアに渡来した。日本の暖地海岸でも自生化
した水仙を見ることが出来る。直立する厚みのある細長い葉を持
ち、冬から早春に、同じように直立した花茎の先に六弁白色の数
個の花を横向きにつける。和歌の世界ではあまり採り上げられて
いない。