危険性評価試験 - 住化分析センター

Technical News
株式会社 住化分析センター
TN110
●危険性評価試験
Hazard Evaluation Test of Chemical Substance
[概
要]
化学物質に起因する火災・爆発の災害を防止するためには、化学物質が取り扱われる環境下での危険要因を
把握し、それに対する潜在危険性の評価をすることが前提となります。その結果を踏まえた上で設備、操作お
よび管理上の適切な安全対策を施す必要があります。当社はわが国で最も長い経験と豊富な実績を基に、物質
の危険性を総合的に評価できる信頼性の高いデータを提供しています。
[方
法]
1.ガス爆発試験
可燃性ガスまたは揮発性物質の蒸気が、空気と混合すると爆発性をもつ混合ガスが形成され、静電気な
どの微少な着火源でも爆発を起こすことがあります。このため可燃性ガスや蒸気は爆発範囲を避けて運転
するように注意する必要があります。
弊社では、運転条件下(温度、圧力)での爆発範囲の測定を、信頼性の高い1Lあるいは2Lの球形爆
発装置を用いて、ニクロム線溶断火花法で行っています。
この他N2シールの管理基準である限界酸素濃度測定、爆発圧力・圧力上昇速度測定、最小発火エネルギ
ーの測定などが可能です。
2.粉じん爆発試験
可燃性粉体や金属粉が、空気中に浮遊して粉じん雲を形成したときに、なんらかの着火源が存在すると、
爆発を起こすことがあります。特に乾燥粉体を取扱う工程においては、粉じん爆発の危険性を調べておく
事は必要不可欠なことです。
弊社では、爆発の可能性、起こし易さ、大きさ、激しさなどを調べるため、
1)爆発下限界濃度測定
2)限界酸素濃度測定
3)爆発圧力・圧力上昇速度測定
4)最小発火エネルギー測定
を実施しています。
3.着火・燃焼性
消防法危険物第2類、第4類判定試験法に準じて、物質の引火点や発火点を測定しておくこと、および
不安定物質や可燃性固体類などが容易に着火するか否か、また着火した場合の燃焼の持続性、燃焼の激し
さなどを十分に把握しておくことは、災害を防ぐ上からも大変重要なことです。
弊社では、このような危険性を評価する種々の試験が可能です。
4.熱分解・熱安定性試験
物質を加熱したり、長期に保存したりする場合、その物質の熱分解の可能性、起こし易さ、激しさ、大
きさをその取扱い雰囲気下で調べておく必要があります。
弊社では、これらの熱分解・熱安定性を取扱い方法に応じて合理的に調べ、安全な取扱い条件の基礎デ
ータを提供しています。
不純物添加の影響や第3成分混入の危険性、および反応の危険性の評価などを行うことも可能です。
5.機械的感度
物質に機械的衝撃、機械的摩擦を与えた時に、爆発または発火するか否かを調べる試験で、取扱い物質
の爆発の起こし易さを評価します。
6.静電気特性
静電気放電による事故を防止するためには、その物質の静電気特性を十分把握しておくことが重要です。
弊社では、粉体、固体、液体、フイルムのそれぞれについて体積抵抗率、表面抵抗率、帯電電位、帯電電
荷量といった物性の測定が可能です。
7.消防法
消防法危険物第1類∼第6類の判定試験を、危険物確認試験実施マニュアル(監修;消防庁危険物規制
課)に準拠して行います。
8.関連試験
危険物船舶運送および貯蔵規則に定める危険物判定試験(国連の危険物輸送の勧告に準拠した試験)に
ついても実施致しております。
9.熱物性
反応熱、比熱、蒸発熱、熱伝導率、熱膨張率などの基本熱物性を測定しています。
[事例(1)] ガスの爆発範囲測定
装
置:1L球形爆発(多摩精機製)
点火方式:ニクロム線溶断
温
度:200±3℃
圧
力:大気圧
プロピレン−O2−N2系
結果を Fig.1 に示します。
Fig.1 Explosion range of gas explosion
[事例(2)] 粉じんの限界酸素濃度測定
装
置:1.8Lハルトマン(アマノ製)
点火電源:ネオントランス
点火方式:スパーク
電極間隔:9mm
試
料:ポリプロピレン
平均粒子径:150μm
結果を Fig.2 に示します。
Fig.2 Limiting oxygen concentration of dust explosion
[事例(3)] 粉じんの最小発火エネルギー測定
装
置:ふるい落下式(星理科学機械製)
電源装置:DC20KV
点火方式:容量放電
電極間隔:2mm(移動式)
試
料:PMMA微粒子
粒
径:200メッシュパス
結果を Fig.3 に示します。
Fig.3 Minimum ignition energy of dust explosion
[事例(4)] 密封セル型示差走査熱量測定(SC−DSC)
装
置:DSC―220(セイコー電子製)
試料セル:SUS 15μl
昇温速度:10℃/min
試
料:T−209−2(ジアゾ化合物)
結果を Fig.4 に示します。
Fig.4 Sealed-type differential scanning calorimetry (SC-DSC)
[事例(5)] 自然発火性試験(SIT)
装
置:SIT−1型(島津製作所製)
温
度:110℃、120℃、130℃
雰 囲 気:空気(2ml/min)
試
料:トリエチレングリコール/断熱材
(ファインフレックス)
結果を Fig.5 に示します。
Fig.5 Spontaneous ignition tester (SIT)
[事例(6)] 暴走反応測定試験(ARC)
装
置:ARC(CSI社製)
試料容器:チタン
雰 囲 気:空気
検出感度:0.01℃/min
試
料:DTBP(過酸化物)/TEP(20/80)
結果を Fig.6 に示します。
Fig.6 Accelerating rate calorimeter (ARC)
000601
350
1400
Sample:SONY NP-FM50
LGP18500P
測定前電圧 4.1V
電池容量 1180mAH(100%)
Bomb type:SUS製電池用
1200
250
1000
測定打ち切り(200℃)
温度 [℃]
フル充電 ( )
50%放電 (−−−)
200
800
150
600
1st peak
(84.86∼85.01℃)
↓
100
400
↑
3rd peak
↑
(99.24∼201.32℃)
2nd peak
(89.51∼91.72℃)
温度
↓
50
圧力 [psiA]
300
200
圧力
↓
0
0
0
200
400
600
800
1000
1200
1400
1600
1800
2000
2200
2400
時間 [min]
図1 ARCの測定チャート
作成:愛媛(TY0109) 5-W0-(1)
分析・測定・調査の総合分析会社
株式会社住化分析センター
これ以外にも技術資料をご用意しています:http://www.scas.co.jp/analysis/
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