溝を乗り越える

て、そのことを忘れないでいて、何かのおり感
優良賞
謝を込めてお返しをする。それが中国の考えか
たです。その時、私は相手に「返さなくていい
ですよ。あなただけに渡したのではないし、み
溝を乗り越える
苏
んなに中国の食べ物を味わってもらうつもりだ
丹
妮
けだったから、日本の食べ物は自分でよく食べ
SU DAN NI
れますから」と失礼なことを言ってしまい、心
の中では中国人が貧しいと思って何か持たせて
中国から日本に来て瞬く間に今までと違う生
くれたのではないかと、とても失礼なことを
活の一年が過ぎました。私の中では日本に来た
思ってしまいました。相手はそう言った私を見
のはつい最近のように思えます。時間がたつの
て唖然としてしまいました。後である本を読ん
は早かったのですが、早く国に帰りたいと思っ
だときに日本人はよくお返しをすること、貰
てしまうこともありました。私が仕事をするよ
いっ放しというのは逆に相手に失礼だという考
うになって最初はあまり言葉も通じなく、悩ん
えだということがわかりました。
でしまったことがあったからです。そんな時、
プレゼントの習慣は簡単なようでむずかしい
会社の部長さんや課長さんがいろいろと話をし
です。せっかくの好意のつもりが逆に気を使わ
てくれました。日本語の勉強にもなるし、話を
せてしまったり、好意が伝わってないのかなと
していると明るい気持ちにもなるし、私はとて
思ってしまったり。
も感謝の気持ちでいっぱいでした。いろんな話
中国にいる時、
「郷に入りては郷に従え」とい
が出来てとてもうれしかったのですが、一緒の
う日本のことわざを勉強しました。だから、私
仕事をしている職場の人たちと、もっと交流を
は何に対しても日本人の考えを知りたいし、日
深めたいと強く思うようになりました。そんな
本人と同じようにしてみたいです。અ年間の日
時、私は中国と日本の文化や習慣の違いで理解
本での生活でもっと日本になじめるように。
できないことがあり、私が言ったことで相手を
日本人ももっと外国人の習慣を調べて知って
困らせてしまったり、失礼なことを思ってし
いければもっとお互い分かり合えると思いま
まったことがありました。それは職場の人たち
す。日本はすぐれた技術と経済力があるのです
にプレゼントを持ってきたときのことでした。
から、もし他の人の気持ちを理解して一緒に進
ある日、私が中国から持ってきたお菓子を職
歩していければ、もっとすばらしい国になって
場の人たちに贈りました。でも、その後にある
いけると思います。
人がもっと大きなお菓子を「お返し」と言って
・区
分 技能実習生
・国
籍 中国
・職
種 電子機器組立て
・受入れ企業 旭電器工業株式会社
・受入れ団体 三重ELC事業協同組合
渡してくれました。中国ではプレゼントをも
らってすぐにお返しをするのでは「交換」と同
じことになってしまって、最初に私が渡した感
謝の意味が小さくなってしまいます。貰った人
は好意は好意としてありがたく受け取っておい
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