学習指導案の様式例 特別支援教育の学習指導案には、一人ひとりの児童生徒の実態に即した、個々の目標、活動及び教師 の支援等を明記することが大切です。 ○○○○○学習指導案 ○立案者が分かるようにする。 ○一人ひとりの児童生徒に応じた指導・支援を行う際、複数の指導者が いる場合には、どの指導者がどの児童生徒を指導・支援するかを記 号(T1.T2)で示す。 学習者 ○年○○組 場 ○○○○教室 所 指導者 ○○○○(T1) ○○○○(T2) 1 単元(題材)名 ◎活動がイメージしやすい表現を工夫する(ひと目で何をするのかが分かるように記述する)。 (例) ・ジャングルを探検しよう(サーキット運動) ・○○さんを発表会に招待しよう(手紙) ・あてっこしよう(形の弁別) ・玉とり遊び(数の概念) 2 単元(題材)の目標 ◎単元の中心となる活動を通して、何をめざすのか。児童生徒につけたい力を具体的、簡潔に表現する。 ○「・・・(中心となる学習活動)をとおして、・・・(学習内容・方法の獲得)をすることができる。」等の表現で記 述するよう心がける。 (例)・興味・関心を高め、意欲・態度を育てる視点 「発表会の準備をとおして、みんなで協力し、一つのことに取り組もうとする態度を育てる。」 「ボウリング遊びをとおして、ピンを数え、得点を加えるなどの数量的な活動に関心をもつ。」 ・経験させ、慣れ親しませる視点 「カレンダー作りをとおして、配色やレイアウト等の多様な表現の方法を経験する。」 「歓迎会に向けての調理活動をとおして、自分で考えた献立を作って食べる楽しさを味わう。」 ・特定の学習内容・方法を獲得させる視点 「玉とり遊びをとおして、一対一対応で、多少が分かり、比較することができる。」 「校外学習の思い出をまとめる活動をとおして、適切な助詞を用いて文をつくることができる。」 3 単元(題材)設定の理由 (1)児童生徒観 児童生徒の実態は! ◎単元に対する児童生徒の認識や学習経験などを記述する。 ○学級(学習集団)及び一人ひとりの児童生徒の障害の状態、発達の様子 等 ○単元に対する興味・関心、これまでに学習してきた内容及び変容 等 (2)教材(題材)観 ◎単元の意義(選定理由)や単元におけるねらいを明確にする。 ◎単元に対する考え方や単元で主に扱う教材の価値を述べる。 ○教材を学習することにより期待される効果、指導仮説(教師の思い)を記述する。 「○○を学習することにより、××(期待する児童生徒の姿)になる。」 だからこの単元を!! (3)指導観 このように指導する!!! ◎児童生徒観、教材観との関連から、有効な指導の在り方を考え、指導の重点、 指導上の留意点や工夫などを明確にする。 ○単元全体の流れや特色ある活動、指導の重点を記述する。 ○指導上の留意点や教師の対応の工夫、指導形態、学習環境について記述する。 ※この部分は主に、教師に視点を当てた授業評価につながる。 内容によって「児童生徒観」と「教材(題材)観」の順番は入れ替わることもあります。 4 単元(題材)の計画 ◎総時数と、単元における本時の位置付けを明記する。 ○本時の授業と前後の授業との関連、本単元以降の学習とのつながりを意識して記述する。 <単元計画例> 次 1 2 3 4 5 6 7 8 5 時数 1 1 1 2 2 1 2 1 主眼及び学習活動 新聞の見出し、記事・写真を眺めて、新聞に親しもう。 新聞にはどんなことが載っているか、確認しよう。 新聞作りについての計画をたてよう。 自分の好きなものについて調べよう。 調べたことを記事にまとめよう。(本時1/2) 先生や友達にインタビューをし、記事にまとめよう。 新聞を仕上げよう。 仕上げた新聞を発表しよう。届けよう。 教師の手立て・教材教具 自宅の新聞を利用する。 新聞の興味のある部分を利用する。 役割分担、予定の確認をする。 インターネットを利用する。 パソコン、デジカメを利用する。 人と話すマナーを確認する。 前時の記事や写真をレイアウトする。 新聞の役割にも触れる。 本時の学習(本時案) (1)題材名 (2)本時の主眼及び個人目標 ◎「全体の目標」と「個人の目標」を記述する(現実的で具体的な表現を心がける)。 ○上位の目標との関連を考えて記述する。 ・全体の目標・・・単元の目標との関連 ・個人の目標・・・単元の目標、個別の指導計画の目標との関連(個別の教育支援計画との関連も考慮) <目標の例> ①全体の目標 友達や教師と一緒に、「卒業生を送る会」用の衣装を飾る活動をとおして、飾りつけ を楽しむとともに、アイロンの用途や使い方を理解することができる。 ②個人の目標 児童生徒 A B これまでの様子 個人目標 ・いろいろな形のフェルトを組合せて作った 模様を、教師と一緒にアイロンではる。 ・模様等について教師と言葉でやりとりしな がら、衣装を飾る活動に取り組む。 ・自分でいろいろな形に切ったフェルトを組 み合わせて模様をつくる。 ・教師の手本をよく見て、アイロンがけの手 順を理解し、自分からアイロンがけに取り 組む。 (3)準備物及び配置図 ◎本時の学習活動に必要な教材・教具等を記述する。 ○児童生徒や教師の位置、教材教具の位置、環境整備の工夫等がひと目で分かるようにする。 ※学習過程の中や後に明示できる場合は、項を起こす必要はない。 (4)学習過程 ◎授業の流れ、児童生徒や教師の動きが分かるように記述する(必要に応じて児童生徒で欄を分ける)。 ・学習課題 ・課題達成のための支援(教材・教具の利用、環境設定等) ・児童生徒の学習の様子(予想される児童生徒の活動) ・評価の観点(課題達成の状況) 等 ○TTの場合は、各教師の役割や児童生徒へのかかわり方を記述する。 ○支援の方法や教師の対応を具体的に記述する(×「集中させる」→○「~によって集中させる」)。 <学習過程例> 指導上 学習活動 の留意点( 課題、○支援、☆評価 児童(生徒)A 3 ) 児童(生徒)B 児童(生徒)C 物語の ○既習の場面ごとのさし絵カード5枚と、あら筋の書いてある文カード5枚を掲示し、前時までの あら筋を 理解する。 (20分) 話を思い出せるようにする 。 (T1) できごとの順序に沿って、5枚のカードを並べる。 5枚の絵カードの中から、 「何が」 「どうした」にあ ○文カードを一枚ずつ一緒 ○課題の前に絵カードを見 たるものを1枚選ぶ。 ○絵カードを見せ、対応する言 に読み、並べ替えさせる。 せ各場面のできごとを振 葉を聞き出しながらカードを 難しい場合は、まず絵カー り返りやすくする。 (T2) 選ばせる。 (T1) ドを並べさせてから、絵 ○困っている場合は、絵カ カードに対応する文カー ードの数を減らす。 (T2) ○絵カードを1枚ずつ提示し、 一つの課題ができたら次を提 ドを選ばせる。 (T2) ○「何が」 「どうした」と問 示するが、意欲的に話してい ○できた文を読み、順序を確 いながら絵カードの順番 るときは傾聴する。(T1) を一緒に確かめる。(T2) かめるように促す。 (T2) ☆場面にあった絵カードを選ぶ ことができたか。 ☆できごとの順序を意識することができたか。 ☆できごとの順序どおりにカードを並べることができたか。 選んだ絵カードを、その都 並べた文カードをワーク 度ワークシートにはる。 シートに視写する。 どの場面で、どのような支援をし、どのような 観点で児童生徒の学習の様子や課題達成の 状況を評価するのかを記述します。 ノートにはった絵カード の横の枠に、 「何が」 「ど うした」の単語を書く。 T1、T2などの記号で、誰が、 どの児童生徒の指導を担当す るのかを明確にします。 【参考】支援の内容例 ○主に導入部で ○主に展開部で ○主に終末部で ○授 業 全 般 で ・・児童生徒の興味・関心を喚起するための支援 ・・児童生徒の学習課題への取組を促すための支援 ・・児童生徒の活動が停滞したときの支援 ・・児童生徒の学習内容を理解、定着させるための支援 ・・児童生徒の健康や安全への支援 (5)評価 ◎児童生徒の具体的な姿に基づく評価になるようにする。 (観点)「関心・意欲・態度」「思考・判断」「知識・理解」「技能・表現」等 ◎教師側に対する評価についても明記する。 ※評価の視点や具体的な課題達成の状況を明記することで、効果的な授業観察及び研究協議が可能となる。 【参考】教師側に対する評価の視点(例) ・主眼は達成されたか(適切だったか) 。 ・実態把握は的確だったか。 ・学習の内容と分量は適切だったか。 ・指導や支援の内容やタイミングは適切だったか。 ・授業の流れや指導形態は適切だったか。 ・教材・教具は効果的だったか。 等
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