同大医短紀要, 9:4 9-5 7 ,1 9 9 8 Bul lSc hHe al t hS°i ,Oka yamaUni v ( 原 著) 皮 膚サ ル コイ ドー シスの臨床 0 年間に岡山大学第 2内科 にて経験 した65 症例 について一最近 2 中田安 成 片 岡幹 男 1) 平松順一 1 ) 岡崎和徳 1) 要 原 田実根 1) 約 1 9 7 6 年か ら1 9 9 6 年 に岡山大学第 2内科 を受診 したサル コイ ドー シス2 5 5 例 の うち,6 5 例 ( 71 病変)の皮 膚サル コイ ドー シス ( 皮膚サ症) につ いて,臨床経過,臨床検査成績,胸部病変 との関連,予後 につ い て検討 した。皮膚サ症患者の年齢 は1 8 歳か ら77歳 で中央値 は5 1 歳 であった。女性例 が4 2 例 ( 6 5 %) と多 く,特 に5 0 歳代女性 に4 3 %と最 も高率 であった。皮膚病型 では結節型3 3 例,皮下型 1 6 例, び慢浸潤型 3 例,局面型 6例,結節性紅斑様皮疹 3例,苔療様型 1例,疲痕浸潤 9例 であった。皮膚サ症 では非皮膚 サ症 に比 して気管支肺胞洗浄液 中 リンパ球 の低率 が見 られ たが, その他 の臨床成績 に差 は認め られなか った。皮膚病型別 に検討す る と,局面型,び慢浸潤型 では気管支肺胞洗浄液 中 リンパ球 CD4 / CD8 比は / CD8 比 は低 く皮膚,肺病 高 く,3年後の皮膚お よび肺病変の残存率 は高か った。一方皮下型 では CD4 変の残存率 も低 か った。 キー ワー ド :サル コイ ドー シス,皮膚, 臨床経過,予後 緒 腹 が確 認 された皮膚サ症 は5 8 例 言 ( 8 9 %)であった。 2 例( 6 5 %) ,男性 2 3 例 皮膚サ症例 の性別 は女性 4 サル コイ ドー シス ( サ症)の皮膚病変 の報告 の 多 くは皮膚科か らの ものであ り,皮膚サル コイ ド ( 3 5 %)であ り,診断時の年齢 は1 8 歳か ら77歳, ー シス ( 皮膚サ症)の全 身症状,臨床検査 異常, 中央値 5 1 歳 であった。仝サ症 患者の年代別頻度 は 臨床経過 につ いて検討 した報告 は本邦 では無 く, 0 歳代 に,女性 は5 0 歳代 に ピー クが見 られ 男性 は2 欧米で も少 ない。 そこで岡山大学医学部 第 2内科 たo Lか し皮膚サ症 では女性 に5 0 歳代 の ピー クが に1 9 7 6 年 か ら1 9 9 6 年 までに受 診 したサ症 患者 2 5 5 み られ たが,男性 には ピー クは見 られなか った ( 図 1)。皮膚サ症 の平均年齢 は4 9 歳 で皮膚病変 を有 し 例 につ いて皮膚病変の検討 を行 った。 ないサ症 ( 非皮膚サ症)1 9 0 例 の平均年齢の4 2 歳に 成 比 して高年齢 であった ( p<0. 0 2 )( 表 1)0 績 仝サ症例 中の皮膚サ症 の頻度 は男性 2 2 %,女性 1.皮膚サ症の臨床成績 5 5 例 中皮 膚サ症 を伴 ったの は 2 9 %とやや女性 に高率 であった。女性 では加齢 と 1)頻度 二サ症 2 ともに高率 とな り,5 6 5 例 ( 2 5 %)であった。 この うち皮膚病変 を主訴 0 歳代 で4 3 %とピー クを示 し として受診 した ものは2 たが,男性 では一定 の傾 向が認め られなか った ( 図 6 例 ( 1 0 %)で,初 診時 に 皮膚病変が認め られたのは4 2 例 ( 1 6 %)であった。 2)。即 ち,皮膚サ症 は5 0 歳代女性 に頻度,症例数 皮膚病変 よ り生検 にて組織学的に類上皮細胞 肉芽 とも高値 であった。 岡山大学医療技術短期大学部衛生技術学科 1)岡山大学医学部第 2内科 -4 9- 中田 安 成他 -19 20-29 30-39 40-49 50-59 60-69 70- 年齢 図 1 サ ル コイ ドー シス患者数 :性 ・年齢別 2)臨床検査成績 ( 表 1):皮膚サ症の気管支肺 表 1 皮 膚病変 の有 無 に よる臨床 成績 皮 膚サ症 2. 7 % と非皮膚サ症 胞洗浄液 中の リンパ球比率 は2 非皮膚サ症 の3 2. 6% に比 して低率 であった ( p<0. 05)が,CD 年齢 4 9±1 4 4 2±1 6 男 :女 2 3:4 2 8 2:1 0 4 T・ c el l陽性率 に差 は認め られな 4 /CD8比,CD3+ か った。胸部 Ⅹ線痛型分類,Gaシンチ グラムに よ oIH mⅣ 胸部 X線病型 G aシンチグラム: 肺野( +) 肺門( +) 経気管支肺生検 :陽性 %%%%% 83 94 21 01 1 9 0 % 5% 7% 5% 分 U% 5 1 2 4 6 5 絵症例数 4 5%( 4 4 ) 6 8%( 4 4 ) 31 %( 9 0 ) 8 0 %( 9 0 ) 5 4%( 5 4 ) 6 1 %( 8 3 ) る肺 門,肺野へ の異常集積頻度,経気管支肺生検 標本 中の類上皮細胞肉芽腫 の陽性頻度,PPD 皮 内 反応陰性率,血清アンギオテンシン変換酵素活性, リゾチーム値 に差は認め られなか った。 その他, 血清 γグロブ リン量,各種免疫 グロブ リン量等の 血清蛋 白量,血清 Ca等の電解質,末梢血液像等に 皮膚サ症 に特有 な所見は認め られなか った。 2.皮膚病型 と頻度 ( 図 3) 2 3. 8±1 1. 1( 6 0 ) 2 3. 4±9. 5( 1 4 8 ) リゾチー ム ( F L g/ ml ) 1 7. 7±8. 9( 5 8 ) 1 5. 8±7. 2( 1 2 7 ) 血清 :ACE( I U) 気管支肺胞洗浄液 : リンパ球 ( %) cD4 / CD8比 cD3+ Tc el l ( %) ppD皮膚反応 :陰性 2 2. 7±1 3. 6( 5 2 ) 3 2. 6±2 2. 6( 1 2 3 ) 5. 4 8±4. 0 3( 4 9 ) 5. 3 0±3. 6 0( 9 4 ) 8 5. 0±1 1. 3( 4 7 ) 8 6. 3±7. 9( 8 6 ) 6 4%( 6 0 ) 7 4%( 1 5 3 ) 皮膚サ症 6 5 例 中には病変の重複例が 6例 あ り, 合計71 病変が観察 された。皮膚病型分類は報告者 addに よ り多少 の差 異 が 見 られ るが 我 々 は Sc i ngl),福代 2)の分類 を参考 として以下 の如 く定義 して分類 した。皮疹が円形か ら卵円形で,皮膚表 面か ら隆起 し,強い浸潤 を触れ,淡紅色か ら暗紅 ACE:ア ンギオテンシン変換酵素 4 6 色で表面に燐層 を伴 う結節型 ( 写真 1)が33例 ( 平均値 ±標準偏差値, ( )検査症例 数 %)。弾性硬 の硬結 として触知 され,皮膚表面の変 化 は認め られず,皮膚 との癒着 も認め られない皮 - 50- 皮膚サル コイ ドー シスの臨床 45 苔串横型( 1) 40 35 30 3 e 25 磯 20 質 15 10 5 0 -19 20-29 30-39 40-49 50-59 60-69 70年齢 図 2 サル コイ ドー シスにおけ る皮膚病変の 合併頻度 :年代別 図 3 皮膚サル コイ ドー シス病型別頻度 下型 ( 写真 2)が1 6 例 ( 2 3%) 。凍唐が発生す る部 67% と多か った。年齢 中央値 は局面型が3 9. 5 歳, に好発 し, 多 くは左右対称性で暗紅色,び慢性 に 1 歳 と比較的若 く,結節性紅斑様皮疹 は6 4 皮下型4 腫張す るび慢浸潤型 ( 写真 3)が 3例 (4%)。円 歳 と高齢 であった。 2)発症部位 :結節性紅斑様皮疹 は四肢 に1 00 形か ら卵円形,辺縁は多少 とも堤防状 に隆起 し, 局面内は萎縮性で,遠心状 に拡大す る局面型 ( 写 %,皮下型 も8 8%が四肢に,局面型は顔 と四肢に 真 4)が 6例 (8%)。結節性紅斑様 であるが,柄 いずれ も8 3%,疲痕浸潤は膝 に6 7%, び慢浸潤型 理組織像 にて類上皮細胞肉芽腫 を認め る結節性紅 7% と比較的限局 した分布 を示 した。 しか は指に6 斑様皮疹 ( 写真 5)が 3例 (4%)。 ご く小 さな丘 し結節型は四肢 を始め顔,膝,躯幹 などに広 く分 疹が毛孔 に一致 して播種状 に多発 す る苔癖様 型 布がみ られた。 例 (1%)。陳旧性の癒痕が急速に ( 写真 6)が 1 3)胸部病変 :局面型 は 6例全て胸部 X線病型 腫張す る疲痕浸潤 ( 写真 7)が 9例 ( 13%) であ のⅠ Ⅰ, ⅡⅠ 型 と,肺野病変が認め られたのに対 して, った。結節性紅斑例 はなか った。重複例 は結節型 結節性紅斑様皮疹,苔癖様型では仝例 0型ない し とび慢浸潤型の合併が 2例,局面型 と結節型,結 Ⅰ型 と肺野に異常 を認めていない。 しか し結節型, 節型 と疲痕浸潤,結節性紅斑様皮疹 と苔癖様型, 皮下型,疲痕浸潤 では特徴的な所見はなか った。 皮下型 と結節型,皮下型 と局面型の合併が各々 1 経気管支肺生検 による類上皮細胞肉芽腫 の陽性率 例 の計 6例 であった。 1 %と最 も高率 であったが各 は疲痕浸潤において7 内科初診時に皮膚病変が認め られたのは局面型, 病型間に有為 な差 は認め られなか った。気管支肺 0 0%であった。し 結節性紅斑様皮疹,苔癖様型で1 胞洗浄液 中の リンパ球百分率 は各病型 ともに健常 3%,皮下型4 4%,び慢浸潤型3 3 か し,結節型は5 2. 6% 者に比 しては高率 であるが,非皮膚サ症の3 %であ り, これ らの病型の約半数 は経過 中に観察 されている。 1 8. 0% と著 明な低下がみ られたC リンパ球 の CD と比較 す る とむ しろ低率 であ り,特 に皮下 型 は 3.皮膚病型別臨床成績 ( 表 2) 4 /8 比は皮下型にて3. 75と低値 であったが,他の 1)性 ・年齢 :結節型,療痕浸潤,び慢浸潤型 病型には一定の傾 向は認め られなか った。 しか し 9%,7 8%,6 7% と多 く,反対に皮下型, は女性に7 健常者 と比較すればいずれの病型で も高値 であっ 局面型,結節性紅斑様皮疹 は男性 に5 6%,6 7%, た。 - 51- 写真 5 結節性紅斑様良 彦 写真 6 苔療様 型 ( 岡山大学医学部皮膚科 よ り提供 ) 写真 3 び慢 浸潤型 写真 7 癒 痕 浸潤 写真 4 局面型 -5 2- 皮膚サル コイ ドー シスの臨床 表 2 サル コイ ドー シス皮膚病型別臨床成績 局面型 3 6 41 歳 5 6 歳 3 9. 5 歳 6 4 歳 6 4 歳 7 :2 6 9 :7 1:2 4 :2 2 :1 %%%%% 73 3000 6 1:0 %%%%% 0 00 0 00 1 5 4%( 2 4 ) 5 4%( 1 3 ) 3 3%( 3 ) 5 0%( 4 ) 5 0%( 2 ) 0% ( 1 ) 年齢 ( 中央値) 結節性紅斑様皮疹 苔癖様 聖 31 顔痕潤 9 %% % %% 経気管支肺生検 :陽性 % % %% % 3 11 30 50 6 胸部 Ⅹ線病型 %%%%% 52 74 863 1 oI H ⅢⅣ 男 :女 %%%%% 003 87 10 び慢浸 潤型 1 6 %%%%% 06 703 30 皮下型 3 3 結節塑 総症例数 %( 7 ) 71 気管支肺 胞洗浄液 2 2. 9±2. 2( 2 9 ) 1 8. 0±3. 5( 1 2) 21.2±8. 4( 3) 2 6. 8±9. 5( 4) 2 0. 2±2. 0( 3) 2 4. 7( 1 )3 0. 4±8. 5( 6 ) 8 3. 7±2. 5( 2 5 ) 8 7. 5土 2. 0( l l ) 7 8. 2±1 0. 7( 3 ) 9 0. 3±0. 4( 3 ) 81.4±8. 2 %( 3 ) 8 4. 1( 1 ) 8 4. 1±6. 2( 6 ) 5. 3±0. 6( 2 7 ) 3. 8±0. 7( l l ) 8. 6±±2. 8( 3 ) 9. 7±4. 9( 4 ) 8. 5±3. 6( 3 ) 3. 3( 1 ) 5. 4±1. 6( 7 ) リンパ球 % CD3+Tc e l l% CD4 / 8 比 血清 ACE( I U) 2 2. 7±2. 1( 3 0) 2 6. 5±2. 8( 1 5) 2 3. 9±3. 3( 3) 3 0. 7±6. 4( 6 ) 2 4. 3±2. 0( 3 ) 1 7. 7±2. 1( 6 ) 21. 7±3. 5( 3 ) リゾチー ム ( F t g/ ml ) 1 6. 4±1. 9( 28 ) 1 9, 4±2. 5( 1 5 ) 1 6. 3±2, 0( 3 ) P P D皮膚反応 ■陰性 5 8%( 31) 7 3%( 1 5 ) 0% ( 3) 6 0%( 5 ) 1 0 0%( 3) 2 3. 2( 1 ) 21.2±3. 3( 8 ) 3 0( 1 ) 1 6. 6±2. 1( 8 ) 1 0 0% ( 1 ) 7 5%( 8 ) ( )の数値 は検査症例数 平均値 ±標準誤差 ACE二ア ンギオテン シン変換酵素 100 80 ( 60 読 ) 僚・ 装 40 20 0 結節型 皮下型 び慢浸潤型 図4 局面型 癖痕浸潤 結節性紅斑様 皮疹 3年後の病変残存率 4)臨床検査値 :血清アンギオテンシン変換酵 清アンギオテンシン変換酵素活性, リゾチーム値 0. 7 I U と最 も高 く,皮下型,び 素活性は局面型で3 は健常者に比較 して上昇がみ られ るが,病型に特 慢浸潤型,結節性紅斑様皮疹 にお いて も基準値 異的な所見 は認め られなか った。PPD皮 内反応陰 ( 8. 3-2 1. 4 I U)よ り高値 であった。血清 リゾチー 0 0 %,び慢浸潤型で 性率 は結節性紅斑様皮疹では1 1. 7 / J g/ mlを ム値 も同様 に結節性紅斑様 皮疹 の2 は 0%であったが,他 の病型では5 8 %か ら7 5 %で 最高にいずれの病型において も基準値 ( 5. 4-9. 8 あった。 〟g/ ml )よ り高値 であった。即 ち,各病型 ともに血 -5 3- 5)他臓器への浸潤 :病巣が皮膚のみであった 中田 安成他 症例 は 5例 (8%) で,大 多数 の症例 は他臓器病 齢 であ り,皮膚病変 を伴 う頻度 は女性 では加齢 と 変 を伴 っていた。最 も高頻度 に認め られたのは肺 0 歳代 では4 3% とピー クを来 したo ともに上昇 し,5 で,局面型の1 0 0% を始め とし,結節型8 8%,皮下 Lか し男性 では一定 の傾 向はみ られなか った。欧 型8 1 %, び慢浸潤型6 7%,癒痕型 67%,結節紅斑 0 歳未満 の症例 が 6 4%か ら7 9% と我々の2 6 米 では4 様皮疹 3 3%であった。 その他疲痕型に眼病変が 4 4 %に比 して高率 で,比較 的若年者 に多い こ とが報 % と比較 的高率 にみ られた以外 には リンパ節,肝, 告 5)されてい る。 その原 因 としては欧米 に 多 く認 筋 肉- の浸潤 に特徴的 な所見は認め られ なか った0 め られ る結節性紅斑例 に よる と考 え られ る。結節 4. 病変残存率 ( 図 4):初診 よ り 3年 間以上 の 2 歳 6),3 0 歳7 ) と結節性紅斑 性紅斑例 の平均年齢 は3 経過観察が可能であった4 6 症例 ,5 1 病変 につ いて 2歳 , 48 歳 と比較 して若 い。我々 以外 の皮膚サ症 の4 皮膚及 び肺病変の残存率 を検討 した。皮膚病変 の 9 の症例 には結節性紅斑例 はな く, その平均年齢 4 3 病変 ( 4 5%) であった。病 型別 では局面 残存は2 歳 は結節性紅斑例 を除いた欧米の成績 と比べ る と 0%, び慢浸潤型 6 7% と高率 であったのに対 し 形8 差 はない。更 に我々の症例 は最近 2 0 年 間の症例 で 5% と低率 であった。結節型 では5 0 て,皮下型は1 あ り,最近 の 日本 でのサ症患者の高齢化傾 向 をも %,癒痕浸潤 6 0%であった。 なお結節性紅斑様皮 反映 してい る と考 え られ る。 症,苔療型 は 1例 と少数 のため結論 は出せ なか っ 皮膚サ症 の病 型分類方法 は報告者 に よ り多少 の た。同様 に 3年後の胸部 Ⅹ線上 の異常影 の残存率 違 いが見 られ る。特 に結節性紅斑 は通常 の結節性 を検 討 した ところ,局 面型 8 0%, び慢 浸潤型 1 0 0 紅斑 と臨床 的 に も病理組織学的に も差異が な く, %,皮下型 3 8%,結節型 5 0%,癒痕浸潤 40% と皮 サ症 に特異的病変 とは言 えず単 なるア レル ギー性 膚病変の残存率 とほぼ並行 していた。 病変 と考 え,狭義 の皮膚サ症 とは区別 す る報告 も 多い。その頻度 も欧米 では6 5%6 ) ,4 6%1 ) ,1 2%7 ) と 考 高率 であ る。本邦 では稀 で 1%弱 8)と考 え られ て 案 サ症 におけ る皮膚病変 の合併頻度 は 4%か ら7 6 お り,我々は 1例 も経験 していない。 しか し結節 % と幅広 く報告 されてお り3 ) ,皮 膚科 の報告 は高 性紅尭: であって も組織学的に類上皮細胞 肉芽腫 を 率 で, 内科,呼吸器科 では低率 であ る。 当科 の初 認め た ものは結節性紅斑様皮疹 として分・ 類 した。 診時の皮膚病変の発見率 は1 6% で,経過 中の発見 また癒痕浸潤 は癒痕組織 の大部分 にシ リカな どの 例 を含め る と2 5% とな る。本邦 の1 9 91 年 の全 国調 異物 が認め られ るこ とか ら,福代2 ) は狭義 の皮 膚 7 8 例 で,発見時に皮疹 を認め 査 では新発見患者は8 サ症 とは別 に分 類 してい るが, 欧米 では皮膚サ症 たのは1 8. 5%であった4) Scaddi ngl ) も皮膚サ症 の として分類 されてい るこ とが 多 く,我々 は皮膚サ うち初 診時に認め られた ものは6 0%で,残 り40% 症 と して分 類 した。 そ の他 の病 型 に 関 して も 0 は経過 中に出現 してい る と報告 してい るD したが Scaddi ngl ) は結節型 をその大 きさに よ り区別 して って,合併率 は初 診時か,仝経過 を含 め るか に よ 分 類 してい るが,結節型 として ま とめ た ( 表 3) 0 5%か ら350 / . って も異 なって くるが,一般的には1 各病型の頻度 は欧米ではび慢浸潤型が 1 1%-27%, 程度 と考 え られ る。 1%-3 8% と比較的高頻度 に見 られたO 局面型が 1 6%, ニュー ヨー ク6 8 性別 では女性が ロン ドン5 本邦 の特徴 としては皮下型が 1 8%-2 2% と高頻度 % .,パ リ4 5%, ジュネー ブ4 7% と一定 の傾 向はな であ った。福代2 ) は療痕 浸潤 を5 3% と我々 を含 め い5 ) 。同 じ報告 の中に 日本 は男性 が 5 3% とやや 多 た他 の成績 よ りも高率 に報告 してい る。 く報告 され てい るが,最近 の本邦 での全 国集 計 4) 皮膚サ症 の気管支肺胞洗浄液 中 リンパ球 は非皮 では皮膚サ症 1 6 2 例 中女性 は1 26 例 ( 7 8%) と女性 膚サ症 と比較 して低率 であ っが, リンパ球 CD4 / が 多 く,我々の成績 の6 5% とほぼ一致す るもので Tce l lに差 はなか った。気管支肺 CD8比や CD3十 あ る。 胞洗浄液 中 リンパ球 の増加 は肺病変 の活動性 を反 皮膚サ症 患者の年齢 は非皮膚サ症 に比 して, 高 映す るとすれば,皮膚サ症 の肺病変 の活動性 は非 - 5 4- 皮膚サルコイ ドーシスの臨床 表3 報告者 ( 午) 皮膚サルコイ ドーシスの病型別頻度 :文献報告例 芸警 病変数 結節 型 皮下型 び慢浸 潤 型 局 面 型 J ame s ,DG( 1 9 5 9 ) 6 Shar ma,OP( 1 9 7 2 ) 9 Sca ddi ngJ D( 1 9 8 5 ) 1 Ve i e n,NK( 1 9 8 7 ) 7 1 9 9 7 ) 1 0 Mama,J( 福代 ( 1 9 8 0 ) l l 3 3 2 9 8 2 1 9 2 3 7 6 2 2 4 3 4 4 8 4 7 3 8 1 1 0 0 7 1 1 1 4 1 8 2 7 2 1 1 3 1 1 5 5 3 0 3 1 1 1 1 7 3 8 2 霊 霊芝 霊 苔 癖 様 型 疲痕 浸 潤 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3 5 6 1 8 7 1 7 1 4 5 5 3 その他 0 0 0 0 0 8 数値 は百分率 皮 膚サ症 に比 して低 い と考 え られ た。Carut her s12) パ節腫 張 の見 られ たのは13% , 眼症状 を訴 えたの は皮膚病変 が認め られ た症例 の予後 は良好 であ り, は22% , ブ ドウ膜炎 が認め られ たのは 9% と他 臓 皮膚病変 の合併 は慢性化 の指標 とは成 らない と報 器- の浸潤 に特徴 的 な所 見 は見 られ なか った。腺 l er1 3 ) も皮膚 サ症 の予 後 は良好 であ る と 告 し, Kel 腫 につ いて も超 音波 診断 に よる牌 臓 の計測 18)を行 報告 してい る。 58%) に腫大 が見 られ った ところ, 12例 中 7例 ( 類上皮細胞 肉芽腫 の量 を反 映す る と考 え られ る たが,他 の病 型 にて も53% に腫 大 が認め られてお 血清 ア ンギオテ ンシン変換酵素 活性 はび慢浸潤型 り,結節型 に特徴 的異常 とは言 えなか った。病 巣 の75% に上昇 を認 め た との報告 1 4 ) が あ り,我 々の 残存率 も皮 膚,肺共 に50% と特 に慢 性化傾 向が強 成績 で もび慢浸潤 型 では健 常者 に比 して高値 であ い とは言 えない。結節性紅麹三 様 皮疹 では14例 中13 った。 しか し病 型 に よる特 異性 は認め られ なか っ 例( 93%)に眼症状 を伴 って い る との報告 1 9 ) があ り たQ文献 的 に もアンギオテン シン変換酵素 活性 は 当科 の症例 では 3例 中 2例 ( 67% ) に眼症状 が見 皮膚病変 の有無や皮膚浸潤 の程 度 を反映す る もの られ た。 ではない と認識 され てい る15)16)。その他,血清 リゾ 4.ま とめ チー ム値 ,PPD皮 内反応等 の臨床検査 成績 も皮 膚 皮 膚サ症 65例 , 71 病変 につ いて臨床成績 の検討 を行 った。皮膚 サ症例 は50歳代 ,女性 に多か った。 病変 の有無 に よる差 は認め られ なか った。 皮膚病 型別 に検討す る と, び慢浸潤 型 は40歳 以 臨床 成績 は皮 膚サ症 に気管支肺 胞洗浄一 液 中 リンパ 上 の女性 に多 く,他 臓器浸潤 の頻度 も高 く肺線維 球 百分率 の軽度低 下 が見 られ た以外 に,皮 膚病巣 化 を伴 い予後不 良 と報告 されてい る3)5)6)9)1 2 ) 。我々 の有 無 に よるに差 はな く,皮膚病 変 か ら全 身の病 の 3例 も全例 に胸部 Ⅹ線 にて肺 野 に異常影 が認 め 態 を窺 うこ とは出来 なか った。 しか し病 型別 に検 られ, 3年後 に も肺 で100% ,皮 膚 で67% に病変 の 討す る と皮 下型 の予後 は良 く, び慢浸潤 型 と局 面 残存が認 め られ た。局面型 も同様 に肺 線維化像 を 型 は慢性化 す る傾 向が認め られ た。 伴 い リンパ節腫大,腺腫 を来 す こ とが 多 く,皮 膚 謝辞 二皮膚サ ル コイ ドー シスの診断,加療 に岡 病変 も慢性化 す る との報告5 ) 6 ) が あ る。我々 の症例 山大 学 医学部皮膚科 学教 室 の ご協 力 を頂 いた事 を で も 3年後 の病変残 存率 は皮 膚で80% ,肺 で80% 明記 し,深 く感謝致 します。 と慢性化 が見 られ た0-万 では皮下 型 の病変残存 文 ) ,25% 1 3 ) と予後 の良 い こ とが報告 され て 率 は20%7 お り,我々の症例 で も 3年後 の病 巣残 存率 は皮 膚 で15% ,胸部 で38% と比較 的予後 良好 であ った。 結節型 は リンパ節腫 張や肝腺腫 の合 併 や 16), ブ ド ウ膜炎 の合併 が 多 く17),肺 野病変 の慢性化傾 向が 報告 され てい る7)O我 々 の症例 では結 節 型 で リン 献 1)Sc addi ngJ Ga ndMi c he l lDN ( e d):Sar c oi dos i so f lLt d,Lont hes ki n.Sar c oi dos i s ,ChapmanandHal don.1 8 1 2 0 6 ,1 9 8 5 . 2)福代良一 :皮膚病変,サルコイ ドーシス,日本サルコ イ ドーシス協議会編,東京大学出版会,東京.1 0 4 1 2 0 ,1 9 7 9 . - 55- 中田 安成他 3)Sa mt s o v AV:Cut a ne o uss ar c oi dos i s .t nt∫De r . mat o13 1:3 8 5 3 9 1 ,1 9 9 2 4)平賀洋明 :サル コイ ドー シス分科会報告,厚生省特定 疾患び慢性肺疾患調査研究班平成 5年度研究報告書, 厚生省特定疾患特定疾患び慢性肺疾患研究班,熊本, 1 7 2 2 ,1 9 9 4 . 5)J a me sDG:Sar c oi do s i soft hes ki m Se mi nRe s pi r Me d1 3:4 3 2 4 4 1 ,1 9 9 2 . 6)J ame sDG:De r ma t ol o gi c ala s pe c t sofs ar c oi dos i s . Q JMe d2 8:1 0 9 1 2 4 ,1 9 5 9 , 7)Ve i e nNK,St a hlD a ndBr odhage nH:Cut ane o us s ar c oi dos i si nCauc a s i a ns . IAmAc adDe r mat ol1 6: 5 3 4 5 4 0 ,1 9 8 7 . 8)福代良一 :サル コイ ドー シスをめ ぐって 5.皮膚病 8 4 ト1 8 4 3 ,1 9 8 1 . 変,臨床医 8:1 9)Sha m aOP:Cut a ne o uss a r c oi do s i s:Cl i ni c alf e at ur e sandmana ge me r l t .Che s t6 1:3 2 0 3 2 5 ,1 9 7 2. 1 0 )Ma nna∫ ,Ma r c o valJ. Gr ae l l s∫ , Sal az a rA. Pe yr i∫. a nd Pu j oI R:Cut a ne o us i nvol ve me nt i ns a r c oi dos i s:Re l a t i ons hi pt os ys t e mi cdi s e as e.Ar c h De r ma t ol1 3 3:8 8 2 8 8 8 ,1 9 9 7 . 皮下型) .皮 l l )福代良一,池田真康,サル コイ ドー シス( 8 3 7 8 6 ,1 9 8 0 . 膚病診療 9:7 1 2 )Car u t he r sB,DayTB,Mi nusHRandYoungRC: Sar c oi dos i s;ac o mpar i s onofc ut a ne ousmani f e s t at i o nswi t hc he s tTadi o gr a phi cc hange s .JNa t lMe d As s o c6 7:3 6 4 3 6 7 ,1 9 7 5 . 1 3 )Ke l l e rAZ:Anat o i cs m i t e s ,a ge at t ibut r e s ,a nd r at e sofs ar c oi do s i si nU. S. Ve t e r ans .Am Re vRe s pi rDi s1 0 7:6 1 5 6 2 0 ,1 9 7 3 . 1 4 )spi t e r iMA, Ma t t he yF, Co r donT, Car s t ai r sLSand J ame sDJ:Lupuspe r ni o:a c l i ni c or adi ol o gi c al s t udyoft hi r t yf i ve sc as e s .Br i tJDe r mat o l1 1 2: 31 5 3 2 2 ,1 9 8 5 . 1 5 )Cal l e nJ P and Hanno R:Se r um angi ot e ns i nI c o nve r t i nge nz ymel e ve li npa t i e nt swi t hc ut ane o us s ar c oi dalgr a nul omas . Ar c hDe r mat ol1 1 8:2 3 2 2 3 3 , 1 9 8 2 . 1 6 )Cal l e nJ P: Re l at i o ns hi pofc ut ane o uss ar c oi dos i st o s ys t e mi cdi s e as e.Cl i nDe r mat 014:4 6 5 3 ,1 9 8 6 . 1 7 )Bur geSM,Col ve rGB andDa wbe r PR:Nodul ar s ubc ut ane o uss ar c oi dJnt∫De r ma t 016 6 4 6 6 5 ,1 9 8 5 . 1 8 )片岡幹男, 中田安成,前田 剛,細谷茂衛,西崎 浩, 小野芳郎,飛岡 徹,森 由弘,玉井 守,江尻束伍, 大家泰亮,木村郁郎 :サル コイ ドー シスにおけ る牌艦 の検討一超音波診断法による-. 日本胸部疾患学会雑 誌 2 8:7 5 0 7 5 5 ,1 9 9 0 . 1 9 )Okamot oH,Mi z unoK,I mamur aS,NagaiSa nd I z um i T:Er yt he ma nodos uml i kee upt r i o ni ns ar c oi do s i s .Cl i nExpe 一De r ma t ol1 9:5 0 7 51 0 ,1 9 9 4 . 2 0 )samt s o v AV:Cut a ne ouss ar c oi dos i s .I nt∫De r mat o13 1:3 8 5 3 91 ,1 9 9 2. -5 6- Bull Sch Health Sci, Okayama Univ, 9 : 49-57, 1998 (Original) Cutaneous sarcoidosis: Clinical features and management Yasunari NAKATA, Mikio KATAOKA ' ), Junichi HIRAMATU ' ), Kazunori OKAZAKI ' ) and Mine HARADA ' ) Abstract Of 255 patients with clinical and histologic evidence of sarcoidosis, 65 (25percent) presented with various cutaneous manifestations of the disease. Cutaneous sarcoid patients were 42 women and 23 men ranging from 18 to 77 years in age. The skin lesions have included nodular infiltration in 33 patients, subcutaneous tumor in 16 patients, lupus pernio in 3, £.lnnual plaques in 6, erythema nodosum-like eruption in 3, lichinoid in 1, and scars in 9. There was no correlation between the presence of cutaneous lesions and chest radiolographic stages, abnormal pulmonary gallium uptake, cell differenciations of bronchoalveolar lavages and serum angiotensin converting enzyme activities. Forty-six patients followed ~or at least 3 years to determine the course of the disease. Subcutaneous tumors tended to heal within 3 years, while lupus pernio and plaque lesions were likely to have a protracted course. Key words: sarcoidosis, skin, clinical-features, prognosis School of Health Sciences, Okayama University 1) The Second Department of Internal Medicine, Okayama University Medical School - 57-
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