Series 企業 Report 赤尾杉 文男(あかおすぎ ふみお) 相手の本気さに応えること 根本的に人が好きで、興味を持つ性格らしい。 人々とふれ合うことから、生きる上での情報を吸 収する。それは社会人になっても変わらなかった。 大手不動産会社に就職はしたが、世はバブル崩壊 の時期。下積みの仕事を根気強くこなし、 やがて 責任ある仕事を任され るよ う にな る 。 ﹁経験 が直感力を養い、物事 を 論 理 的に見ること が出 来 るようになっ た。お客 様と密 接に な る と 、相 手 の 本 気 さ 加 減 がわか る ﹂。そこから 、そ の 本 気 さに 応 え よ う と す るサー ビス精 神が、自 然と培われて きたのかもしれない。 自分の生きる価値 家では深夜、月に 本以上の映画を見る。休み には料 理の腕も振るうという。また、妻と9歳の 娘をこよなく愛し、季節ごとに旅行を愉しむ。本 人曰く﹁妻と子供には申し訳ないですが、 行った先 では何 もしないでぼうっとしています 。でもそれ が、ゆるみかけた自分の 〝ネジまき〟 になるんです よ﹂と笑う。 武者小路実篤の名言﹃この道より我を生かす 道はなし、 この道を行く ﹄を信 条にしている赤 尾 杉社長。大きな夢に向かって仕事に邁進すること も 、映 画 に 共 感した り 、旅 行 を 愉 し むこ と も 、全 て が ま ぎれも な く 自 分 らし い暮 らしで あ り 、生 き かたなのだ。 我 この道を行く ろな人の生きかたが分かるはずだと思ったから。 ﹁やってみたいことが沢山ある。今の仕事はその通 過点に過ぎない﹂と常に前を目指す。間近な目標 は、女性と高齢者が働ける環境づくりと、未来を 担う子供たちへの投資であり、 その仕事をともに こなしていける人づくりである。現在、 いろいろな 事業を計画中で、その中には、国内外に今までに ないような学校をつくる計画もある。 ﹁ 仕事は自分のためにするものですが、その全 ては家 族や自 分に関わる人々の暮らしにつなが り、 その人達をどれだけ幸せにできたかが、自分の 生きる価値につながっていく ﹂と考える。 ﹁ 私の夢 はすぐにはかなえられないでしょう。ひょっとする と二、 三世 代 後にやっと実 現できるものかもしれ ませんね﹂と言いながらも、 一日も早く実現させよ うとする熱意が伝わってくる。 1969年10月4日生まれ。 39歳。大学卒業後、不動産会社、住宅 メーカーに勤務、平成14年11月に株式会社ウィルホームを設立。 経験から身につけた直感と、 あらゆる角度からの論理的分析で、宇 都宮を本拠地に選び実績を積み上げてきた。小山、高崎とシェア を拡大し、夢に向かって邁進中。現在は妻と愛娘の3人暮し。 活では会うことのない様々な人々の生き様を見ら れたことは、 かけがいのない人生勉強だった﹂そう だ。そんな 経 験から、﹁ 人として生まれたのは偶 然 。生まれたことに意 味があるのではなく 、どう 生きてきたか、 この先をどう生きるかが価値のあ ること﹂ ととらえはじめる。 Profile 〝生きかた〟 に対する興味は、 どんどん深まるば かりだ。住宅会社を設立したのも、暮らしの中心 である﹁ 家 ﹂をつくることにたずさわれば、 いろい 10 関わった人には好意をもって 人の生き様で人生の勉強をする 住宅メーカーでありながら﹁ 建築業というより もサービス業だと思う﹂と言い切る㈱ウィルホーム の赤尾杉文男社長。家づくりはどんな家が良いか よりも、 どのような暮らしがしたいか、 から提案を 始める同社のスタイルは、 施主のどんなわがままに も誠意をもって応えてくれる会社と評判である。 暮らす人の思いや夢を一番に大 切にする姿 勢 は、確かにサービス業とも言える。 ﹁ 関わった人に は、好意を持って接する﹂という信念は、 お客様だ けではなく従業員にも向けられている。 生まれてきたことより どう生きるかに価値がある 東京の中野に生まれ、﹁ 母はお店 を経営して忙しく、従業員や親の知 人にかわいがってもらった﹂と言う。親 戚にも同 年 代の子 供がほとんどおら ず、実弟も 歳違いで、常に大人の中 で育った。 ﹁大人との付き合いばかりで、 いつも周りの様子を伺いながらすごして いた﹂と冗談めかすが、異なった環境に生 まれ、 いろいろな環境下で育った大人たち が、 それぞれの夢をかなえていく生き様を 間近に見ているうちに、﹁ 生きていく﹂ こと の意味を肌で感じ取っていった。 中高を、祖父の住んでいた佐野で過ごす。中学 時 代は水泳 、高 校ではボートとスポーツ三昧の生 活を送った。 ロックにも熱くなった青春時代。大学 に入ってからは、生活費をバイトで稼いでいたとい う。 ﹁いろいろなバイトをする中で、普通の学生生 14 株式会社ウィルホーム 代表取締役:赤尾杉 文男 トップに聞く Vol.25
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