リン脂質の分析 - Agilent Technologies

LC/MS Application News No.58
リン脂質の分析
リン脂質は生体内に多く存在する物
質群で生体機能に対して重要な役割
を担っています。
従ってこれら物質の生体内中の存在
量は様々な疾患との関連が深く、リン脂
質の分析は診断や予防に広く用いられ
ています。リン脂質には多くの物質群が
存在し、ホスファチジルコリン
(PC)
、ホス
Fig.3 SIM chromatogram of Phosphatidylcholines(1ng/ml)
ファチジルエタノールアミン、ホスファチジ
ルセリン、スフィンゴミエリン等がよく知ら
Fig.1 TIC of Phosphatidylcholines(1μ/ml)
れています。この中でPCはレシチンとも
呼ばれ、リン脂質中最も存在量の多い
化合物群です。PCは様々な脂肪酸エ
ステルであり、従来の分析法としては、
GC,GC/MSやHPLC法等のクロマトグ
ラフィー法による個別分析が使用されて
います。GC,GC/MS法は各分子種の分
離には優れていますが、直接分析は不
可能です。また、HPLC法は感度、選
択性に欠けます。そこで今回はエレクト
ロスプレー法を使用したLC/MSで4種
類のPCについて検討を行いました。
Fig.2 Mass spectra of Phosphatidylcholines(1μ/ml)
その結果、Scanモードでは各1ppm
肪酸組成の確認が可能でした。これら
能でした。さらに市販の卵黄レシチンを
スペクトルでは
(M)や
(M-H+Na)が主
イオンをモニターイオンとしたSIMモード
分析した結果、4種類のPCが検出され、
イオン種として観察され、分子量から脂
においては各1ppb濃度での検出が可
マススペクトルによる同定が可能でした。
濃度で検出が可能で、測定されたマス
+
Table
+
HPLC and MS conditions
HPLC
Instrument
:HP1100
Column
:Develosil UG-3 ODS(75mm,4.6mm,3μm)
Mobile phase A :0.05%TFA
Mobile phase B :IPA
50%A/B−100%B 0−30 min
Flow rate
:1 ml / min
Oven temp.
:40℃
Injection vol. :30μl
MS
Instrument
Mass range
Ionization
Fragmentor
Nebulizer
Drying gas
Mode
:HP1100MSD
:m/z 100 ∼ 1000
:APCI
:140V
2 60 psi)
:N(
2 12L/min, 350℃)
:N(
:Positive
Fig.4 TIC and Mass spectra of Phosphatidylcholines in egg
TI 16B2G1-058
1999.6 発行
本書の一部または全部を無断複製することは禁止されています。
〔記載内容は、お断りなく変更することがありますので、ご了承ください。
〕
製品名はデータ採取時の型名を記載しています。
(HPの分社にともない、1999年11月1日よりAgilent Technologies, Inc. のブランドに変更されています)
LC/MS Application News No.58
リン脂質の分析
リン脂質は生体内に多く存在する物
質群で生体機能に対して重要な役割
を担っています。
従ってこれら物質の生体内中の存在
量は様々な疾患との関連が深く、リン脂
質の分析は診断や予防に広く用いられ
ています。リン脂質には多くの物質群が
存在し、ホスファチジルコリン
(PC)
、ホス
Fig.3 SIM chromatogram of Phosphatidylcholines(1ng/ml)
ファチジルエタノールアミン、ホスファチジ
ルセリン、スフィンゴミエリン等がよく知ら
Fig.1 TIC of Phosphatidylcholines(1μ/ml)
れています。この中でPCはレシチンとも
呼ばれ、リン脂質中最も存在量の多い
化合物群です。PCは様々な脂肪酸エ
ステルであり、従来の分析法としては、
GC,GC/MSやHPLC法等のクロマトグ
ラフィー法による個別分析が使用されて
います。GC,GC/MS法は各分子種の分
離には優れていますが、直接分析は不
可能です。また、HPLC法は感度、選
択性に欠けます。そこで今回はエレクト
ロスプレー法を使用したLC/MSで4種
類のPCについて検討を行いました。
Fig.2 Mass spectra of Phosphatidylcholines(1μ/ml)
その結果、Scanモードでは各1ppm
肪酸組成の確認が可能でした。これら
能でした。さらに市販の卵黄レシチンを
スペクトルでは
(M)や
(M-H+Na)が主
イオンをモニターイオンとしたSIMモード
分析した結果、4種類のPCが検出され、
イオン種として観察され、分子量から脂
においては各1ppb濃度での検出が可
マススペクトルによる同定が可能でした。
濃度で検出が可能で、測定されたマス
+
Table
+
HPLC and MS conditions
HPLC
Instrument
:HP1100
Column
:Develosil UG-3 ODS(75mm,4.6mm,3μm)
Mobile phase A :0.05%TFA
Mobile phase B :IPA
50%A/B−100%B 0−30 min
Flow rate
:1 ml / min
Oven temp.
:40℃
Injection vol. :30μl
MS
Instrument
Mass range
Ionization
Fragmentor
Nebulizer
Drying gas
Mode
:HP1100MSD
:m/z 100 ∼ 1000
:APCI
:140V
2 60 psi)
:N(
2 12L/min, 350℃)
:N(
:Positive
Fig.4 TIC and Mass spectra of Phosphatidylcholines in egg
TI 16B2G1-058
1999.6 発行
本書の一部または全部を無断複製することは禁止されています。
〔記載内容は、お断りなく変更することがありますので、ご了承ください。
〕
製品名はデータ採取時の型名を記載しています。
(HPの分社にともない、1999年11月1日よりAgilent Technologies, Inc. のブランドに変更されています)