JEOL MS Data Sheet I 日本電子株式会社 日本電子株式会社 MS Tips 応用研究センター MS 事業ユニット MS アプリケーション部 お問い合わせ先:グローバル営業本部 〒 196-8558 東京都昭島市武蔵野 3-1-2 Tel : (03) 6262-3568 www.jeol.co.jp Tel : (042) 542-2242, Fax : (042) 542-3132 No.203 No. (I: 3/’14) 040 JMS-S3000 Application Data コンベンショナル HPLC と MALDI-SpiralTOFMS を 用いた EO-PO ランダムコポリマーの分析 【はじめに】 Ethylene oxide (EO) - propylene oxide (PO) コポリマーは、様々な機能性材料に用いられているが、その詳 細な分析をすることは簡単ではない。 クロマトグラフィーを用いることなく、質量分析だけを用いたコポリマー分 析では、イオンサプレッション効果により、すべての成分を検出することは極めて難しいと考えられる。ここでは、 イオンサプレッション効果を軽減し、より多くの成分が検出されることを期待して、LC-MALDI-SpiralTOF MS シ ステムを用いて、EO-PO ランダムコポリマーの分析を行った。 【分析試料:EO-PO ランダムコポリマー】 Fig. 1 に示す市販の EO-PO ランダムコポリマー (Mn ~2500)を水溶液として調整して測定に用いた。 HPLC で分離することなく MALDI-SpiralTOFMS で測 定すると Fig. 2 のマススペクトルが得られた。 Fig.1 EO-PO コポリマー Fig.2 EO-PO コポリマーのマススペクトル %B 100 【実験条件】 Gradient diagram 90 ・HPLC システム: Agilent 1200SL ・移動相 A/B: H2O/MeOH ・流速: 0.2 mL/min ・LC 試料導入量: 20 μL ・分析カラム: Imtakt Cadenza CD-C18 (150 x 2.0 mm) 80 70 60 50 40 30 0 10 20 30 ・フラクション: 15 秒ごと (50 μL/フラクション) ・質量分析計 JMS-S3000 “SpiralTOF” (Spiral Positive mode で自動測定) ・MS 分析試料量: 各フラクションから 1μL (濃縮なし) ・マトリックス/カチオン化剤: CHCA/NaI(メタノール溶液) ・プレート: HST μFocus 900 μm 40 50 Fig.3 グラジェント条件 60 min 【HPLC フラクションの MALDI 測定結果】 min 40 PO 17 PO 16 36 PO 15 PO 14 PO 13 32 PO 12 28 PO 10 24 PO 8 20 PO 1 16 1000 2000 1500 PO 4 PO 3 PO 2 m/z 2500 3000 PO 11 PO 9 PO 7 PO 6 PO 5 3500 4000 Fig.4 Survey View による表示とシグナル帰属 Fig. 4 は msTornado Analysis が標準装備する“Survey View”を用いて自動測定の結果を表示したものである。 シグナルを帰属すると、より脂溶性の高い PO ユニットの数が多い成分ほど、溶出時間が長くなる傾向が顕著 に見られ、期待通り PO ユニットの数による分離に成功した。PO ユニットの数が異なる成分は溶出時間で分離 され、EO ユニットの数が異なる成分は、各溶出時間のマススペクトル上で EO ユニットに対応する 44u 間隔のシ グナル群として分離検出することができた。 また、溶出時間が 22 分程度のフラクションまでの早い溶出時間で は、EO ユニットが多く PO ユニットが少ない水溶性の高い成分が、m/z 1600 未満の領域に観測された。その水 溶性の高い成分は Fig.2 では観測されていないシグナル群なので、HPLC による分離なくして観測できなかった 成分である。実験前に検出される事を想定した実験ではないため、Fig. 3 に示す HPLC のグラジェント条件では PO の数ごとの分離が不完全である。 拡大 min 40 4 ▼ 分離前 39.00 min EO39-PO17 6 6 42-17 28-16 ▼ ▼ 39.00 min 0 38-14 2 8 43-11 28-9 22.50 min 48-8 25-7 39-6 24.75 min ▼ EO51-PO8 22.50 min EO55-PO5 20 ▼ ▼ 53-5 2 1000 ▼ ▼ 24.75 min 5 5 ▼ 28.50 min EO47-PO11 28.50 min 3 30 ▼ 33.50 min 33.50 min EO43-PO14 2000 3000 m/z 4000 2744 2748 2752 m/z 2744 2756 2748 m/z 2752 2756 Fig.5 LC による分離の効果 (m/z 2744-2756) HPLC による分離の前後を比較したデータを Fig. 5 に示す。分離前のマススペクトルが示す同位体の分布か らは、最も強度の高い EO47-PO11(赤)の成分と、その 2u 低質量側の EO43-PO14(橙)の成分が重なって観測 されている事は容易に推察できるが、EO39-PO17(緑)の成分は拡大して確認してやっとシグナルの存在がわ かる程度であったのに対し、HPLC 分離した各フラクションでは分離前では存在の確認が困難であった EO51-PO8(紫)と EO55-PO5(青)の成分も高い S/N のシグナルとして明瞭に観測できた。 【まとめ】 コンベンショナル HPLC と、MALDI-SpiralTOFMS の組み合わせは、複雑な EO-PO ランダムコポリマーの分 析において、より多くの成分を検出することに有効であった。 主に 1 価イオンを生じる MALDI MS では、 “Survey View” 等を用いた解析により、視覚的に化合物の分布を理解することが容易であった。 弊社は、本文章の作成にあたって万全を期しておりますが、記載内容の正確性および有用性までを保証するものではなく、掲載内容を使用することで 生じた直接的あるいは間接的な損害の一切に対しても免責とさせて頂きます。また、本文書の掲載内容は将来予告なしに変更することがあります。 Copyright (C) 1996-2014 JEOL Ltd. All Rights Reserved.
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