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JEOL MS Data Sheet
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No.
(I: 3/’14)
040
JMS-S3000 Application Data
コンベンショナル HPLC と MALDI-SpiralTOFMS を
用いた EO-PO ランダムコポリマーの分析
【はじめに】
Ethylene oxide (EO) - propylene oxide (PO) コポリマーは、様々な機能性材料に用いられているが、その詳
細な分析をすることは簡単ではない。 クロマトグラフィーを用いることなく、質量分析だけを用いたコポリマー分
析では、イオンサプレッション効果により、すべての成分を検出することは極めて難しいと考えられる。ここでは、
イオンサプレッション効果を軽減し、より多くの成分が検出されることを期待して、LC-MALDI-SpiralTOF MS シ
ステムを用いて、EO-PO ランダムコポリマーの分析を行った。
【分析試料:EO-PO ランダムコポリマー】
Fig. 1 に示す市販の EO-PO ランダムコポリマー
(Mn ~2500)を水溶液として調整して測定に用いた。
HPLC で分離することなく MALDI-SpiralTOFMS で測
定すると Fig. 2 のマススペクトルが得られた。
Fig.1 EO-PO コポリマー
Fig.2 EO-PO コポリマーのマススペクトル
%B
100
【実験条件】
Gradient diagram
90
・HPLC システム:
Agilent 1200SL
・移動相 A/B:
H2O/MeOH
・流速:
0.2 mL/min
・LC 試料導入量:
20 μL
・分析カラム:
Imtakt Cadenza CD-C18 (150 x 2.0 mm)
80
70
60
50
40
30
0
10
20
30
・フラクション:
15 秒ごと (50 μL/フラクション)
・質量分析計
JMS-S3000 “SpiralTOF” (Spiral Positive mode で自動測定)
・MS 分析試料量:
各フラクションから 1μL (濃縮なし)
・マトリックス/カチオン化剤: CHCA/NaI(メタノール溶液)
・プレート:
HST μFocus 900 μm
40
50
Fig.3 グラジェント条件
60 min
【HPLC フラクションの MALDI 測定結果】
min
40
PO 17
PO 16
36
PO 15
PO 14
PO 13
32
PO 12
28
PO 10
24
PO 8
20
PO 1
16
1000
2000
1500
PO 4
PO 3
PO 2
m/z
2500
3000
PO 11
PO 9
PO 7
PO 6
PO 5
3500
4000
Fig.4 Survey View による表示とシグナル帰属
Fig. 4 は msTornado Analysis が標準装備する“Survey View”を用いて自動測定の結果を表示したものである。
シグナルを帰属すると、より脂溶性の高い PO ユニットの数が多い成分ほど、溶出時間が長くなる傾向が顕著
に見られ、期待通り PO ユニットの数による分離に成功した。PO ユニットの数が異なる成分は溶出時間で分離
され、EO ユニットの数が異なる成分は、各溶出時間のマススペクトル上で EO ユニットに対応する 44u 間隔のシ
グナル群として分離検出することができた。 また、溶出時間が 22 分程度のフラクションまでの早い溶出時間で
は、EO ユニットが多く PO ユニットが少ない水溶性の高い成分が、m/z 1600 未満の領域に観測された。その水
溶性の高い成分は Fig.2 では観測されていないシグナル群なので、HPLC による分離なくして観測できなかった
成分である。実験前に検出される事を想定した実験ではないため、Fig. 3 に示す HPLC のグラジェント条件では
PO の数ごとの分離が不完全である。
拡大
min
40
4
▼
分離前
39.00 min EO39-PO17
6
6
42-17
28-16
▼
▼
39.00 min
0
38-14
2
8
43-11
28-9
22.50 min
48-8
25-7
39-6
24.75 min ▼
EO51-PO8
22.50 min
EO55-PO5
20
▼
▼
53-5
2
1000
▼
▼
24.75 min
5
5
▼
28.50 min EO47-PO11
28.50 min
3
30
▼
33.50 min
33.50 min EO43-PO14
2000
3000
m/z
4000 2744
2748
2752
m/z 2744
2756
2748
m/z
2752
2756
Fig.5 LC による分離の効果 (m/z 2744-2756)
HPLC による分離の前後を比較したデータを Fig. 5 に示す。分離前のマススペクトルが示す同位体の分布か
らは、最も強度の高い EO47-PO11(赤)の成分と、その 2u 低質量側の EO43-PO14(橙)の成分が重なって観測
されている事は容易に推察できるが、EO39-PO17(緑)の成分は拡大して確認してやっとシグナルの存在がわ
かる程度であったのに対し、HPLC 分離した各フラクションでは分離前では存在の確認が困難であった
EO51-PO8(紫)と EO55-PO5(青)の成分も高い S/N のシグナルとして明瞭に観測できた。
【まとめ】
コンベンショナル HPLC と、MALDI-SpiralTOFMS の組み合わせは、複雑な EO-PO ランダムコポリマーの分
析において、より多くの成分を検出することに有効であった。 主に 1 価イオンを生じる MALDI MS では、
“Survey View” 等を用いた解析により、視覚的に化合物の分布を理解することが容易であった。
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