30P2-am108 副作用予測を指向したリバースフィッテイングシステムの構築とその医薬品への 適用 ◯長田 真衣 1 ,川下 理日人 2,3 ,田 雨時 2 ,岡本 晃典 2 ,安永 照雄 3 ,高木 達也 2,3 ( 1 阪大薬,2 阪大院薬,3 阪大微研) 【目的】薬物によって引き起こされる副作用の中には、本来標的となる蛋白質以 外の蛋白質に薬物が結合することによって起こると考えられるものがある。そこ で、このような機序で起こる既存の薬物の副作用を in silico で予測し、それを回避 するための情報提供を目的とした。このため、我々は副作用予測のシステム構築 の一環として、複数の蛋白質を対象としたドッキングの実行や、その結果の検索・ 呼び出しが出来る in house プログラムを作成し、これを用いて以下の検討を行うと ともに、そこから得られた結果と報告されている副作用との関係性を調べた。 ① NSAIDs と COX との結合様式の比較 ② SJS の原因となりうる蛋白質を探索とその結合様式の解明 【方法】①COX-1 及び COX-2 をレセプター、COX-2 選択性が高いコキシブ系 3 種類を含む 26 種類の NSAIDs をリガンドとし、ドッキングを行った。 ②蛋白質 59789 個をレセプター、SJS の発生が報告されている薬物 26 種類をリガ ンドとし、全ての組み合わせについてドッキングシミュレーションを行った。 ①②共に、薬物の 2 次元構造は日化辞 web から、 蛋白質の 3 次元構造は Protein Data Bank からそれぞれ取得し、ドッキングには MOE2010(CCG 社)を用いた。 【結果と考察】①コキシブ系の NSAIDs と COX-1、COX-2 それぞれとのドッキ ングの結果 S スコアを比較すると COX-2 とのドッキングの方が低い S スコア が得られた。この結果は COX-2 を選択的に阻害するように設計された、コキシブ 系の特徴をよく表しているといえる。 ② S スコアより、SJS 原因薬物と軸索の再 形成を促すタンパク質 F-Spondin ( PDB ID : 3D34 ) の結合が強いことがわかった。 今後 F-Spondin が SJS 発症に関係があるか、詳しく調べていきたい。
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