第1章 計画の策定にあたって 1 計画策定の背景と目的 わが国では、世界的にも例をみないスピードで高齢化が進んでいます。 国立社会保障・人口問題研究所の推計では、 「団塊の世代」が高齢期に達する平成 27 年(2015 年)には高齢者*人口が 3,000 万人を超えるとともに、平成 37 年(2025 年)には高齢化率*は 30.5%としており、3 人に 1 人が高齢者になると見込まれています。 また、高齢化の進展に伴い、高齢者のひとり暮らしや高齢者のみ世帯の増加が予測されて おり、高齢者が尊厳を保持し、自立した生活を送ることができるよう、各種施策の展開が必 要となってきています。 国においては、平成 18 年、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう介 護保険やその他サービスをはじめ、保健・福祉・医療等様々な資源を活用した支援を包括的・ 継続的に行うための中核機関として地域包括支援センター*を各市町村に設置し、取り組みを 進めてきました。しかし、地域における様々な資源は、いまだに断片化しており、有機的に 連動し提供されているとは言い難い状況にあります。 こうした中、第 5 期計画においては、 「介護」 「予防」 「医療」 「生活支援」 「住まい」の 5 つ のサービスを一体化して提供していく『地域包括ケア体制』の実現に向けて、高齢者を含め た地域住民の生活を支援する視点をより強め、自助を基本としながら、互助・共助・公助に かかわる多様なサービスを有機的に連動させて提供していくための、より具体的な取り組み を進めていくことが必要であるとしています。 本市では、平成 20 年度に策定した「泉南市第 4 期高齢者保健福祉計画」において基本理念 である「積極的な健康づくりといきがいをもって暮らせるまちづくり」 「人権尊重を基本とし た自立支援とこころふれあうまちづくり」のもと、めざすべき将来像として「住み慣れた地 域で共に支え合い、活力ある長寿社会」を掲げてまいりました。また、その実現のため、 「健 康寿命の延伸に向けた施策の推進」「地域におけるケア対策の推進」「高齢者の人権尊重に基 づくケア対策の推進」 「介護サービスの質の向上」 「利用者支援方策の推進」 「いきがいと安心 のある暮らしづくりの推進」の 6 つを基本方針として地域の福祉サービスの推進や介護保険 制度の円滑な実施・運営に取り組んできました。 第 4 期計画の基本理念・基本方針等を基礎としつつも、社会情勢の変化や今後の高齢化へ の対策をより一層推進するため、本市がめざすべき高齢者福祉の基本的な方針を定め、具体 的に取り組むべき施策を明らかにすることを目的に「泉南市第 5 期高齢者保健福祉計画」 (以 下、 「本計画」という。 )として改定することとします。 2 計画の位置づけと内容 (1)計画の位置づけ 介護保険事業計画は、介護保険法第 117 条の規定に基づき、本市における要介護者や要支 援者の人数、介護サービスや介護予防*サービスの利用意向等を勘案し必要なサービス量を見 込み、介護サービスや介護予防サービスを提供する体制を確保するなど、介護保険事業の円 滑な実施に関する事項を定めるものです。 また、老人保健福祉計画は、老人福祉法第 20 条の 8 に基づく計画であり、高齢者に対する 福祉事業の実施に関する事項を定めるものです。 さらに、本計画は、 「泉南市総合計画」を上位計画とし、高齢者福祉と介護保険事業を一体 的に推進するための個別計画として位置づけられるものです。本計画の具体的な事業はこの 上位計画や「泉南市地域福祉計画」と調整を行い、進めていきます。 また、下記の図に示した関連計画や、大阪府の「大阪府高齢者計画 2012」とも整合性を図 りつつ、高齢者介護のあり方や介護保険制度の利用に関する目標値等について現状をふまえ、 中間段階としての見直しを行うものとします。 泉南市総合計画 泉南市地域福祉計画 老人保健福祉計画 65 歳以上を対象とする地域における高齢者福祉に関する計画 介護保険事業計画 40 歳以上の要支援者・要介護者を対象とする介護サー ビスの提供などに関する計画 ・健康せんなん 21 後期計画 ・泉南市障害者計画及び障害福祉計画 ・泉南市次世代育成支援対策地域行動計画(後期計画) (2)計画の内容 高齢者人口の急増とそれに伴う要介護等認定者の大幅な増加、認知症高齢者、ひとり暮ら し高齢者世帯等の増加といった課題に対応し、高齢者を中心とする市民の安心した自立生活 を支援することを目的とします。また、介護予防は保健・医療・福祉・介護の横断的な取り 組みが必要となることから、老人保健福祉計画と介護保険事業計画とが関連した一体的な計 画として策定しました。 3 計画の期間 本計画の期間は、平成 24 年度を初年度とし、平成 26 年度までの 3 年間を1期とする計画 です。 平成 21 年 平成 22 年 平成 23 年 平成 24 年 平成 25 年 平成 26 年 平成 27 年 平成 28 年 平成 29 年 第4期計画(平成 21∼23 年) 見直し 第5期計画(平成 24∼26 年) 見直し 第6期計画(平成 27∼29 年) 見直し 4 計画の策定体制 (1)「高齢者まちづくりアンケート」の実施 泉南市老人保健福祉計画・介護保険事業計画の見直しのための基礎資料として、あわせて、 本市で展開してきた高齢者施策の評価、見直しを行い、市民ニーズをふまえた新たな「高齢 者のためのまちづくり」を行うことを目的として実施しました。 対 象 者:55 歳以上の市民 3,000 人(無作為抽出) 【市民対象アンケート】 泉南市内居宅介護支援事業所及び小規模多機能型居宅介護事業所に勤務す る介護支援専門員*57 名【介護支援専門員対象アンケート】 調査実施期間:平成 22 年 10 月 15 日∼10 月 31 日【市民対象アンケート】 平成 22 年 12 月6日∼12 月 23 日【介護支援専門員対象アンケート】 調 査 方 法:郵送による配布・回収及び無記名調査 回 収 状 況: 対象者 配布数 市民対象アンケート 介護支援専門員対象 アンケート 回収数 回収率 3,000 1,954 65.1% 57 35 61.4% (2)「泉南市高齢者保健福祉計画推進委員会」の開催 本計画の策定にあたり、学術経験者、市議会代表者、保健医療関係者、介護関係者、福祉 関係者、被保険者代表者、行政関係者で構成する「泉南市高齢者保健福祉計画推進委員会」 により検討を行いました。 (3)計画素案のパブリックコメントの募集 計画について、広く市民の声をお聞きするため、平成 24 年 2 月 8 日から 2 月 21 日までホ ームページに掲載するとともに、市役所で閲覧できるようにするなどパブリックコメントを 行うとともに、その内容を公開しました。
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