菊池 秀彦

世界を視野に 地域から始めよう
【研究テーマ】
リンパ球細胞機能のエピジェネティック制御機構の解析
ライフ
サイエンス
白血球スーパーオキシド産生系のエピジェネティック制御機構の解析
ヒストン修飾酵素の生理機能の解析
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研
究
概
要
ヒストン H2A, H2B, H3 および H4 がそれぞれ2分子ずつ集合して形成されたコアヒス
トン八量体に DNA が巻き付いてヌクレオソームが形成される。ヌクレオソームはクロマ
チン構造の最も基本的な単位であり、ヒストンはその最も主要な構成タンパク質であ
る。ヒストンは様々な翻訳後修飾を受けることにより、ゲノム機能の制御に関与している
ことが明らかとなってきた。本研究室ではヒストンの翻訳後修飾のうちアセチル化に標
的を絞り、これを制御する酵素の機能解析およびその臨床もしくは産業への応用に関
する研究を進めている。
菊池 秀彦
医学部
医学科
機能制御学講座
機能生化学分野
助教
キーワード
ヒストンアセチル化・脱ア
セチル化、エピジェネティク
ス、リンパ球機能制御、ス
ーパーオキシド産生系、遺
伝子ターゲッティング法、D
T40
共同研究・特許・
応用分野など
☆共同研究
東京大学医科学研究所
拠点研究員(GCN5 ファミリ
ーによるタンパク質リン酸
化のエピジェネティック制
御機構の解析および発
癌・癌悪性化への関与の
検討)
☆特許
レチノイン酸効果増強剤
およびこれを用いたリンパ
腫治療剤キット、並びに、
活性酸素産生促進剤およ
びこれを用いた免疫賦活
剤 (特開 2011-190228)
(1)リンパ球細胞機能のエピジェネティック制御機構の解析
免疫に於いて重要な役割を担っている B リンパ球および T リンパ球の細胞機能(増
殖、アポトーシス、抗体産生、スーパーオキシド産生、サイトカイン類産生など)のエ
ピジェネティック制御機構の解明を目指している。特に、ヒストン修飾酵素(主として
アセチル化および脱アセチル化を触媒する酵素)とリンパ球特異的転写因子(Ikaros
ファミリー、E2A、EBF など)を対象にした解析を進めている。
(2)白血球スーパーオキシド産生系のエピジェネティック制御機構の解析
好中球やマクロファージなどの食細胞は、生体内に侵入した細菌などの異物を貪食
し、これらを殺菌・排除するなど、細菌感染防御の初期に於いて非常に重要な役割
を担っている。食細胞の殺菌および細胞障害作用には活性酸素が関与しており、そ
の最初の産物であるスーパーオキシドの産生系(B リンパ球にも存在する)の研究
は食細胞による生体防御機構を解明する上で非常に重要である。白血球のスーパ
ーオキシド産生系のエピジェネティック制御機構を解明し、その人為的コントロール
を可能にする手法の開発を進めている。
(3)ヒストン修飾酵素の生理機能の解析
ヒストン修飾酵素、特にヒストンのアセチル化と脱アセチル化に関与する酵素群(ヒ
ストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC))の生理
機能を、ニワトリ B リンパ球系株細胞 DT40を用いた遺伝子ターゲッティング法を駆
使することにより解析している。既に HAT の一種である GCN5 が細胞周期制御、ア
ポトーシス細胞死制御、スーパーオキシド産生系遺伝子発現制御(下欄論文 1)や
紫外線トレランス制御(下欄論文2)に、また、HDAC の一種 HDAC2 が免疫グロブリ
ン産生制御に、それぞれ関与していることを明らかにしてきた。
その他の研究紹介、卒論・修論紹介
☆論文
1. Kikuchi H. et al. GCN5 regulates the superoxide-generating system in
leukocytes via controlling gp91-phox gene expression. J. Immunol. 186:
3015-3022, 2011
2. Kikuchi H. et al. GCN5 protects vertebrate cells against UV-irradiation via
controlling gene expression of DNA polymerase . J. Biol. Chem. 287:
39842-39849, 2012
ラ
イ
フ
サ
イ
エ
ン
ス