平成 25年産大豆の技術対策について ~収量向上を目指した技術対策のポイント~ 24 年産大豆は、技術対策が徹底されたことに加え天候に恵まれたことから、収量 250 ㎏/10a (特定加工合格以上)を超える経営体の数が例年より多くなりました。現時点で、まだ調製中 のものがあり管内の単収は未確定ですが、平年より多収になるものと思われます。 しかしながら、不十分な排水対策や不適切な培土など技術対策の不徹底により、低収になっ た経営体もみられます。以下に示す技術対策のポイントを今一度確認して、次年度産に向け地 域全体でさらなる収量向上を目指しましょう。 400 子実重(kg/10a) 【技術対策のポイント】 1)土づくり 大豆の作付回数の増加にともない地力が低下して います。堆肥の散布や地力増進作物のすき込みを積極 的に行って下さい。地力を向上させると、収量の増加 やしわ粒を減らす効果がみられます(図1)。 また、石灰質資材を施用し、土壌 pH6.0~6.5 にす ることで、収量の増加や茎疫病等の土壌伝染性病害の 軽減が期待できます。 350 300 250 200 2)排水対策 排水不良圃場では、苗立ち率低下、初期生育不足、雑 草繁茂などが生じます。収量・品質を向上させるために は額縁排水溝の設置(溝幅 30cm、溝深さ 20cm)や心 土破砕(間隔3m程度、深さ 30~40cm)など、排水対 策の徹底が重要です(図2)。 有 無 有 牛糞堆肥 図1 無 発酵鶏糞 大豆に対する堆肥の施用効果 (2005 高生産性大豆実証ほ成績) ①水口はしっ かり止める ②額縁排水溝は ⑥排水溝は 早めに設置する 確実に連結 用 水 路 排 水 路 ⑤播種直後 ④サブソイラな 3)播種量 ③排水口は深 に基幹排水 どによる心土破 く掘り下げる 栽植本数を適切にすることで、莢数が確保され、高収 砕 を設置 量になるとともに、最下着莢位置が高くなり、収穫ロス 図 2 排水対策の手順 が軽減されます。 表 1 品種別、播種時期別の栽植本数および播種量の目安 表1を目安に品種や播種時期ごとに 栽植本数 播種量 品種 播種時期 適切な量を播種して下さい。 (本/10a) (㎏/10a) エンレイ 5月6半旬~6月上旬 6月中旬 14,000~16,000 16,000~18,000 5.1~5.9 5.9~6.6 4)培土 6月上旬 10,000~12,000 4.3~5.2 オオツル 6月中旬 12,000~14,000 5.2~6.1 培土は、①根域の拡大、根粒の増加、 5月6半旬~6月上旬 14,000~16,000 5.2~6.0 シュウレイ ②雑草の抑制、③排水の促進、④倒伏 6月中旬 16,000~18,000 6.0~6.7 防止の効果があります。培土の効果を 注)播種量は、百粒重をエンレイ:33.0g、オオツル:39.0g、シュウレイ:33.6g(全て大粒の場合)として計算 高めるため、培土は適期に行うとともに、株元までしっかりと土をかけることが重要です。 また、培土後は、培土でできた溝と額縁排水溝はしっかり連結して下さい。 培土時期と高さ 1 回目 本葉2~3葉期(播種後20~25日頃): 子葉節まで 2 回目 本葉4~5葉期(播種後30~35日頃): 初生葉節まで 良い培土 図3 - 4 - 悪い培土 培土の仕方 5)畦間かん水 大豆の根や根粒は乾燥に弱く、開花期以降の水不 足は落花・落莢や百粒重の低下をもたらし、収量減 につながります。このため、7月中旬(開花期)か ら9月上旬に3日以上晴天が続いた場合は、土壌の 乾き具合に応じて早めに畦間かん水を行って下さ い。 なお、かん水は短時間で実施し、ほ場全体に水が 行き渡ったら速やかに排水して下さい。 6)病害虫防除 病害虫防除は表2を参 考に、ほ場を巡回し、早 期発見、適期防除を心が けて下さい。 特に、最近はカメムシ の加害による青立ちが散 見されています。 基本防除後でもカメム シの発生がみられた場合 は、適切に防除して下さ い。 表2 かん水の効果 ~収量・品質の向上~ ○根系や根粒の活性維持→葉の老化防止→百粒重増加 ・根の養水分吸収の向上 しわ粒減少 ・根粒による窒素固定の向上 ・光合成の向上 ○着莢数の確保 ・落花・落莢、不稔莢の発生防止 ・莢先熟の発生防止 生育期における大豆害虫の調査・観察時期と防除要否判定の目安 調査・観察 時期 7月6半旬 防除要否 判定の目安 対象害虫 ウコンノメイガ 8月上旬~ ハダニ類 防除時期など 1本当たり平均葉巻数が6個以上 8月上旬まで 黄化した葉が見られたら 黄化葉の除去 随時防除 8月上旬頃 カメムシ類など 基本防除(紫斑病との同時防除) 8月中下旬 カメムシ類、ハスモンヨトウなど 基本防除(紫斑病との同時防除) 8月下旬~ ハスモンヨトウ 9月上旬 白変葉の除去 随時防除 白変葉が見られたら フタスジヒメハムシ 1.8m間払い落とし虫数42頭以上 カメムシ類 1.8m間払い落とし虫数2頭以上 1) 2) 即時 即時 1)福井県、2)高岡農林振興センターの防除要否判定の目安を参考 7)収穫 刈り遅れるとしわ粒など被害粒の発生や収穫ロスが多くなるため、子実水分 22%(ほとんど の莢が褐色になった頃)からの刈り始めを基本に、地域の施設荷受計画等に応じて、適期収穫 を行って下さい。 発生が多いと つるが大豆に からみつき、大 豆を覆います。 8)帰化雑草対策 近年、管内では防除の困難な帰化雑草が増えています(表3)。 これらは、たくさんの種子を作り、どんどん増えますので、種子 を作らせないように花が咲いたら直ちに防除して下さい。 表3 難防除雑草(帰化雑草等)の種類と各種除草剤の防除効果の目安 ヒユ科 ヒルガオ科 科 (ヒユ類) (アサガオ類) 種 類 ・アオゲイトウ ・イヌビユ など 開花期頃の 写真 マルバル コウ多発圃 場 ナス科 (イヌホ オ ズキ類など) ・アメリカアサガオ ・マルバルコウ など ・イヌホオズキ ・ワルナスビ など アオゲイトウ イヌホオズキ マルバルコウ マルバアサガオ マメアサガオ (注)花色について ・マルバルコウは朱赤色 ・マルバアサガオは紅色から 青色、白色ま で変化に富む ・マメアサガオは白色、まれに 淡紅色 イヌビユ ロロックス 除草剤の (収穫30日前まで) 防除効果 バスタ液剤 (収穫28日前まで) 注) ○:効果が高い、▲:効果が劣る 写真 ワルナスビ ○ ▲(種間差あり) ○ ○ ○ ○ - 5 - (砺波班 沼田 班長)
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