第24回日本呼吸器外科学会総会号 PS−103−5 胸骨動揺に対するNuss法の応用 PS−103−6 311(505) HA/PLLA肋骨ピンを屠いたフレイルチェスト 多発性肋骨骨折に対する治療 名古屋第二赤十字病院呼吸器外科 石川県立中央病院呼吸器外科 吉岡 洋,國谷 康平 田中 伸佳,常塚 宣男,清水 陽介 NUSS法はペクタスバーによる胸骨挙上術で,漏斗胸に対する低侵襲手術と 胸部外傷における多発性肋骨骨折は通常,保存的治療にて経過を観察するこ して1997年以降普及してきた術式である.本法を胸骨動揺によるfrail cbest に応用し良好な結果を得たので報告する.【症例113才女児.総動脈幹にて生 後66日で正中切開による右肺動脈絞拒術施行.その後左開胸による絞拒術も 施行された・3歳10ヶ月で肺動脈形成術予定であったが開胸時点で断念.閉 とが多い.しかし,フレイルチェスト(Flail chest)に対する治療法は患者の 状態,外傷部位により大きく異なる.以前・標準治療とされていた人工呼吸 器管理による内固定法(intemal pneumatic stabilization)は長期管理による 肺炎無気肺などの合併症が高率に認められることから,現在は長期的には 胸時に胸骨動揺による陥没呼吸認めNUSS法施行、術直後より呼吸状態良 行われない傾向にあり,適切な時期の肋骨固定(外固定法:surgical 好となり2週間後退院術後2年目の現在,バー留置したまま心臓外科通院中. 【症例2146歳男性、交通事故による胸部外傷にて救急外来搬送.両側多発肋 骨骨折による胸骨動揺を認め,挿管内固定施行し入院.肺挫傷軽快後, stabilization)が推奨されている.今回,我々はbioresorbable NUSS法施行.術直後より自発換気良好となり抜管.術後2週問で退院,社 で報告する.肋骨外閲定における圃定器具には多くの種類があるが,それぞ 会復帰した.術5ヶ月後にバー抜去している.1考察1胸郭動揺に対する胸郭 國定術には様々な方法があるが,NUSS法は術式が容易で低侵襲であり有効 な術式である.一方異物を留置することに伴う弊害や保険適応の問題があり れに特徴がある.今回用いたHA/PLLA costal cQaptatlen pinは以下の特徴 grow出owing to t}1e gradual decrease in mechanlcal stre頁gth,3)Less risk 症例の選択に検討を要する、 of osteoporosity caused by stress−shieldi頁9(1ue to excessive短gh strength,, hydroxyapatite/poly−L−lactite(HA/PLLA)costal coaptation p魚(Super Flxsorb30.,Takiron Co、,LTD,Osaka,Japan〉)を用いた外固定を施行したの を有する.1)Noneedo{reoperation for remova1,2〉No restriction o王bone 4)No tissue reaction by metallic corrosion,a貝d5)No generation of artifacts on computed tomography.これの特徴は他の固定器具には無く,適応患者 を選べば極めて有効な器具となり得ると考えられる. PS404−1 穐驕灘篠蕪論経胸腔艦横隔膜的腹腔内鏡 PS−104−2 大阪大学大学院医学系研究科心臓血管呼吸器外科 山梨大学医学部第二外科 南 正人,田村 光信,小田 知文,徳、永 俊照,出口 寛 林 明男, 奥脇 英人,松原 寛知,宮内 善広,進藤 俊哉,松本 雅彦 完全鏡視下に修復術を施行したMorgagni孔ヘルニ アの一例 内海 朝喜 井上 匡美 塩野 裕之 奥村 明之進,澤 芳樹 【背景1横隔神経麻痺や横隔膜弛緩症などで経胸腔的に横隔膜を縫縮する際に は横隔膜下の臓器損傷に涯意が必要である.右では肝を腹腔側におとして縫 縮することが困難ではないが,左では横隔膜下に消化管が存在する.ことに 横隔膜が長期間挙上している横隔膜弛緩症では消化管の挙上も著しいのでこ れらを損傷しないように確実な保護が求められる,1目的】腹腔内臓器損傷の ない安全な横隔膜縫縮術を行う.【症例173歳男性.以前から左横隔膜の挙上 を指摘されていたが精査はされず.2−3年前から労作時呼吸困難が増悪.胸 部MRIにて横隔膜ヘルニアは否定、横隔膜透視にて左横隔膜の呼吸性低下 は右に遅れ,かつ小さいが,奇異性運動は認めず、以上から横隔膜弛緩症と 診断約30年前の胸部Xpでも左横隔膜挙上を確認したが縦隔右方偏位はよ り増悪し,心エコーで軽度の肺高血圧と胸部造影CTで左主肺動脈の屈曲を 認めた.これらにより縦隔偏位の改善を主目的として横隔膜縫縮術の適応と 考えた.手術は右片肺換気下に右側臥位とし頭側を挙上.第6・7肋聞の2ヶ 所のポートから胸腔鏡観察下に第9肋間に8cmの小開胸(ラッププロテクタ〉. 胸壁に近い横隔膜に小切開をおいて,小開胸創の前方から腹腔鏡用ポートを 横隔膜下に挿入.腹腔内を鏡視しながら胸腔側から横隔膜に4ヶ所の縫縮の 手がかりとなるknlfelessstaplerをうったのち,これらに沿うように2−O Prolineにて連続縫合.追加縫縮ののち横隔膜切開部を閉鎖.1結語】経胸 腔・経横隔膜的な腹腔内鏡視を併用することによって安全で確実な横隔膜縫 縮を行うことが可能であった. 症例は69歳,女性.咳鳳を主訴として近医を受診し胸部レントゲン写真, CTで横隔膜ヘルニアが疑われ当院を紹介された.胸部レントゲン写真正面 像では右肺野の下半分を占める濃度上昇域として認められ内部にガス像もみ られた.CTでは径約10cmの境界明瞭な腫瘤として認められた.当院で胸 部MRi,注腸造影検査を行ったところ,ヘルニア門はいわゆる胸肋三角部 に存在しておりMorgagnl孔ヘルニアと診断した.門の大きさは径3∼4cm と考えられ大網と横行結腸が脱出しており門にて狭窄が認められた.臨床経 過と検査所見を総合し更なる脱出の増大による圧追症状,呼吸障害等の出現 の可能性を考慮し,また腸管の嵌頓・絞挺予防の観点からも手術適応と判断 し,鏡視下手術の方針とした.まず胸腔鏡にて観察すると胸腔内に癒着はな く3ポートからの操作でヘルニァ内容の腹腔内への還納を試みたが困難であ り,当初の予定通り腹腔鏡を追加して計5ポートで胸腔、腹腔両方からのア プローチにて修復術を施行した、術後経過は良好で術後第7病日に退院とな った.退院後の経過も良好である.Morgagnl孔ヘルニアはよく知られた疾 患ではあるが頻度としてはまれである、今回我々は完全鏡視下(胸腔鏡,腹 腔鏡併用)に修復術を施行し,本疾患に対する手術のアプローチとして有用 と思われたので報告する.
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