心室中隔欠損に伴う三尖弁瘤に感染性心内膜炎を合併した一例

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心室中隔欠損に伴う三尖弁瘤に感染性心内膜炎を合併した一例
○杉尾 英昭,浮田 康貴,米澤 綾香,高柳 由佳(社会医療法人 孝仁会 釧路孝仁会記念病院 臨床検査部)
【はじめに】感染性心内膜炎は弁膜や心内膜,大血管内膜に
三尖弁中隔尖は肥厚し、三尖弁瘤を形成し、疣贅を疑う可動
細菌集蔟を含む疣贅を形成し、菌血症、塞栓症、心障害など
性のある等輝度塊状エコーを認めた。三尖弁逆流から求めた
の臨床症状を呈する全身性敗血症性疾患である。心室中隔欠
右房-右室間圧較差は31mmHgであった。【経過】ペニシリ
損、動脈管開存などの先天性心疾患は、感染性心内膜炎のハ
ン系抗生剤が開始となり、CRPは正常範囲内に改善した。転
イリスク群とされている。今回、心室中隔欠損に伴う三尖弁
院前の心エコー検査では、塊状エコーのサイズは縮小してい
瘤(tricuspid pouch)の近傍に疣贅を認めた一例を経験したの
た。感染コントロール後に転院となり、2012年5月心室中隔
で報告する。【現症】28歳、男性、小児期より心室中隔欠
欠損孔閉鎖術が施術された。【考察】本症例では、不完全閉
損にて経過観察となっていた。2012年3月より、感冒様症
鎖の心室中隔欠損に右心系の感染性心内膜炎を合併し、それ
状が持続し、呼吸苦も出現したため近医受診。胸部CTにて
を原因とした肺塞栓により呼吸苦を起こしたと考えられる。
敗血症性肺塞栓を疑う所見があり、当院へ転院となった。血
心室中隔欠損(膜様部欠損型)の自然閉鎖の機序としては、三
液検査ではCRP19.8mg/dl、白血球12,000/μlと炎症反応を
尖弁中隔尖の癒着が主な機序と考えられている。Bloomfeld
認め、感染性心内膜炎が考えられた。静脈血培養では、メチ
らは、心室中隔欠損の剖検21例のうち、膜様部欠損型11例
シリン感受性黄色ブドウ球菌が同定された。【心エコー所
(うち完全閉鎖9例)は、三尖弁中隔尖の癒着を認め,3例では
見】心電図は洞調律、LVDd:43m m、左室駆出率(modified
周囲の組織反応による痩孔様の不完全閉鎖を認めたと報告し
Simpson法)52%、IVC:12.0mm、拡張期に心室中隔は扁
ている。心エコー検査時に疣贅を認めた際には、疣贅の性状
平化(D-shape比:0.88)を認め、肺体血流比(Qp/Qs)は1.30
だけでなく、その原因となる形態的異常の有無も評価するこ
であった。三尖弁中隔尖近傍で左室から右室へ向かう短絡血
とが重要と思われた。
流を認め、VSD Ⅱ型(膜様部欠損,欠損孔7.4mm)と診断した。
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