除去・回収対象物質・窒素・リン

● 除去・回収対象物質・窒素・リン(3) (2-E-9-1∼2-E-10-2)
本セッションでは,排水からのリン除去技術について,物理化学的処理法2件と生物学的処理法3件の
講演が行われた。
2-E-9-1 では,小規模浄化槽の新しいリン除去技術として,ペレット型リン除去剤(主成分:カリミョウ
バン)を少しずつ溶解し,凝集沈殿によってリンを除去する技術が提案された。高い BOD・T-N 除去率を
維持したまま処理水 T-P 濃度 1mg/L を達成することが示されたが,低水温期でのリン除去性能の悪化が見
られるなどの不安定さも露呈された。年間を通して安定したリン除去率を保つためには,ペレットの適正
な溶解速度を保つことが重要であることがわかった。
2-E-9-3 は,DHS リアクターを用いてポリリン酸蓄積細菌を様々なリン濃度条件下で培養した場合に,
どのような種が優占化するかについての調査を行った結果の報告である。16S rRNA 遺伝子および ppk1 遺
伝子をターゲットにしたクローニングライブラリーを構築した結果,リン濃度に応じて優占種が異なるこ
とがわかった。
2-E-9-4 は,微量元素が生物学的リン除去に及ぼす影響を評価した結果の報告である。良好なリン除去性
能を維持するためには,Fe および Mo の添加が必須であることがわかった。一方,Cu, Co, B, I, Mn, Zn に
ついては,添加を行わなくてもリン除去には影響を与えないことがわかった。
2-E-10-1 は,ポリリン酸蓄積細菌(PAO)を包括固定化し,半回分式リアクターにおける嫌気・好気処
理に適用した結果の報告である。包括固定化のショックで PAO の活性が低下すること,運転期間 30 日程
度でリン放出速度がゼロ近くまで低下することがわかった。一方,運転期間 50 日を通して有機物の除去
速度は維持されていたことから,PAO に代わってグリコーゲン蓄積細菌(GAO)が優勢になることが示唆
された。
2-E-10-2 では,微生物燃料電池(MFC)によって養豚廃水処理を行った場合に,リン除去が同時に達成
できることを報告している。本研究で用いたエアカソード型 MFC(カソードに Pt/C 触媒を分散させたカ
ーボンペーパーを使用)の最大電力密度は 2.3W/m2,COD 除去率は 61-95%であった。また,リン除去率
は 70%程度であった。除去されたリンのうち 27%がカソード析出物として回収された。この析出物を X 線
回折で分析した結果,MAP(リン酸アンモニウムマグネシウム)と一致した。なお,本処理法のリン除去
メカニズムの詳細については,2-F-11-1 の講演で報告された。
(早稲田大学・理工学術院 常田 聡)