知求会ニュース 2010 年 4 月 ◎ 第 33 号 博士前期課程、修了おめでとうございます! 2010 年 3 月 24 日水曜日午後 1 時 10 分から国際学部 A 棟 4 階大会議室にて、2009 年度 学位記手渡し式が開催されました。 今年度の修了生は、国際社会研究専攻 武石智史さん、欧 国青さん、大宅宏幸さん、篠 田一輝さん、謝 静川さん、田中美香さん、張 強年さん、尤 迪さん、李 雪玉さんの 9 名 と国際文化研究専攻 猪股亨子さん、金 徳淑さん、肖 迪さん、相馬 敦さん、孫 一希さん、 崔 仁叡さん、趙 敏さん、人見千佐子さん、前泊秋乃さん、宮原崇晃さん、楊 文婷さん、 李 徳元さんの 12 名、そして、国際交流研究専攻の第 5 期生 青砥真生さん、閻 偉超さん、 シナヴォン ポンヴイライさん、謝 俊巍さん、周 嘉能さん、関根功人さん、ポーラッサミ ー チラーラットさん、前川麻美さんの 8 名で、計 29 名でした。 17 年度より、学業優秀者に贈られる宇都宮大学奨学金 (奨励賞)に、国際学研究科の 1 名と して趙 敏(国際文化研究専攻) さんが受賞されました。 ◎ 博士後期課程 第 1 期生博士号取得、おめでとうございます! 戸川正人 (国際学研究専攻・1期生)さんが、3 月 24 日 (水)に博士後期課程 第 1 期生の中で、 第 1 号の博士号学位を授与されました。 ◎ 法科大学院修了、おめでとうございます! 森澤絵美 (国際社会研究専攻・6 期生)さんが、3 月 25 日(木)に駒澤大学法科大学院(法曹養成研 究科)を修了されました。なお、知求会ニュース第 22 号(2007.5 配信)と今号のフォーラム に森澤さんの原稿が掲載されています。 ◎ 博士後期課程、進学おめでとうございます! 人見千佐子(国際文化研究専攻・10 期生)さんが、2010 年 4 月から法政大学大学院 国際日 本学インスティテュート 博士後期課程 に、またポンヴィライ・シナヴォン(国際交流研究 専攻・5 期生)さんが、名古屋大学大学院 国際開発研究科 博士後期課程 国際開発専攻 に進 学されます。 根本久美子 (国際交流研究専攻・4 期生)さん・趙 敏(国際文化研究専攻・10 期生)さんの 2 名 が宇都宮大学大学院 国際学研究科 博士後期課程 国際学研究専攻に進学されます。 1 ◎教職員人事異動 石濵 昌宏名誉教授 地球文化形成研究講座の石濵先生が 3 月 31 日付で定年退職されました。宇都宮大学には 1975(昭和 50)年 4 月から在籍され、多くの方が先生にお世話になったことと思います。大 学院同窓会では、さまざまなことで大変お世話になりました。 中山 節子講師 地球社会形成研究講座の中山先生が 3 月 31 日付で契約満了につき退職されました。阪本 先生の代役として短い期間でしたが、お世話になりました。今後のご活躍を祈念します。 岩城 北斗さん 2 年 7 ヶ月在籍されていた事務職員の岩城さんが 4 月 1 日付で小山工業高等専門学校に異 動されました。後任には、小竹章裕さんが着任されました。 ◎ 着任教員紹介その 10 古村 学(KOMURA Manabu) 専門:地域社会学、観光社会学、社会調査法 前職:大阪大学人間科学研究科助教 趣味:料理、温泉、ロック 自己紹介:知求会の皆様、はじめまして、1 月に国際学部に赴任しました古村と申します。 これまでの十数年間は関西におり、宇都宮および栃木のことはわからないことばかりです。 少しずつ、いろいろなことを学んでいきたいと思っております。私が研究しているテーマ は、離島や中山間地域など「僻地」と呼ばれる地域社会において、人々と観光開発のかか わりについて調べることです。その地域で生活している人々は観光開発をどのように考え、 どのように受けとめているのか、人々にとって観光開発はどのような意味があるのか、そ の地域の人々にとって望ましい観光開発とはどのようなものなのか。住みこみ調査によっ て、その地域の人々の生活を理解することをとおして、地域社会にとっての観光開発の意 味を考えています。講義やゼミでは、地域社会について学ぶことだけでなく、大学という 場をとびだし、地域社会に入り込んで学ぶことの意義と面白さを、学生たちに伝えられれ ばと思っております。どうぞよろしくお願いします。 (2010 年 3 月 24 日原稿受理) ◎ 2 月入試合格結果 国際社会研究専攻 一般 1 名・社会人 1 名・外国人 4 名 計6名 国際文化研究専攻 一般 3 名・社会人 0 名・外国人 3 名 計6名 国際交流研究専攻 一般 1 名・社会人 2 名・外国人 国際交流・国際貢献活動経験者 2 2 名・ 0名 計5名 合計 17 名 *『HANDS―とちぎ多文化共生教育通信』のお知らせ 2007 年 9 月 20 日に、ニュースレター『HANDS』第 1 号が発行された後のニュース発行 についてお知らせします。 第 8 号(2010 年 01 月 22 日) 「中学校卒業程度認定試験について」宇都宮大学教育学部 上原秀一 「2009 シンポジウム報告」宇都宮大学国際学部 田巻松雄 「小山市の外国人児童生徒適応指導教室「かけはし」でのボランティアを体験して」教育 学部 2 年 青木さや香 「小山市立小山城南中学校 進学ガイダンスでの卒業生の体験談」 関 ダンニー 事務局だより ◎ 掲載記事紹介 1.毎日新聞 平成 21 年 9 月 20 日(日)に、 「宇大など3大学 国際キャリア養成 プログラ ム連携実施」と題して、 「国際キャリア教育のモデル校を目指したい」と話す友松篤信先生 のコメントが掲載されました。 2.下野新聞 平成 21 年 11 月 24 日(火)に、「多文化考えるシンポジウム あすから宇大」 が掲載されました。 3.読売新聞 平成 22 年 1 月 10 日(日)に、宇大・読売共催講座「市民活動で国際貢献を」 と題して、重田康博先生の記事が掲載されました。 4.読売新聞 平成 22 年 2 月 3 日(水)に、とちぎ寸言コーナーで「多文化共生 地域で模索 を」と題して、中村祐司先生の原稿が掲載されました。 5.県民だより VOL.224(平成 22 年 2 月 15 日発行)2頁に、「地方分権改革について」中村祐 司先生のコメントが掲載されました。 6.UU now Vol.20 (平成 22 年 2 月 20 日発行) 2-3 頁に、 「宇都宮大学ブランドを考える」と題 して、国際学研究科第 1 期生の李 尚珍さんの記事が掲載されました。 (http://www.utsunomiya-u.ac.jp/info/uunow/) ◎ 国際学部だより 1.平成 21 年度宇都宮大学ベストレクチャー賞受賞 2 月 10 日に表彰式が行われました。国際学部から丁 貴連先生が受賞されました。詳細は、 下のサイトにアクセスしてご覧ください。 http://www.utsunomiya-u.ac.jp/news/2009/n_100212.html 2.掲載記事紹介 ・下野新聞 平成 21 年 8 月 3 日(月)に、 「街おこし 学生奮起 合同学園祭で活気創出」と題 して、国際学部 4 年の高木大輔さんのコメントが掲載されました。 ・下野新聞 平成 21 年 8 月 14 日(金)に、 「親子で「理科ハカセ」に 3 紙作りなど体験イベン ト」と題して、国際学部 3 年葛原(かつらはら)志保さんのコメントが掲載されました。 ・朝日新聞 平成 21 年 10 月 3 日(土)に、「就職 大学にも危機感」と題して、国際学部 3 年 中郡未来さんのコメントが掲載されました。 ・下野新聞 平成 12 月 19 日(土)に、 「若者のアイデアに注目 大学生がまちづくり提案」と 題して、1 位に行政学(中村祐司)研究室の滝田祥子さんと平田真美さんの提案が選ばれまし た。 ・UU now Vol.20 (平成 22 年 2 月 20 日発行) 1 頁に、OB INTERVIEW「夢を叶える人はまた 次の夢を叶える」と題して、国際学部 4 期生の金田 瞳さんの記事が掲載されました。 3.サイトオープン 「地域の大学連携による学生の国際キャリア開発プログラム」のホームページが昨年 12 月 14 日にオープンしました。アドレスは次の通りです。 http://www.kokusai.utsunomiya-u.ac.jp/career-program/index.html 4.国際学部同窓会寄附講座報告 同窓会寄附講座開講 3 年目を迎える外国語特別講義について、2 年目に履修した学部留学生 マナラング・マリキット・グルエットさんに報告していただきました。 特別寄稿 「外国語特別講義: 言語学習だけでなく、異なる文化を理解する道へ」 国際社会学科4年 マナラング・マリキット・グルエット 今の世界は絶えず変化しているとよく言われている。グローバル化が進んでいると共に、各国の 社会と文化が互いに接触し、政治的、経済的な国際問題も増加している。 そのため、国家や民族 間の相互理解に基づく共 生を目的とする宇都宮大学国際学部は、諸問題を理解するために基礎 的、専門的な知識だけでなく、外国語運用能力も重視している。国際学部では、様々な外国語が 教えられているが、最近ではポルトガル語を教える外国語特別講義 I と II という授業が行われた。 授業で学ぶポルトガル語は、現在影響力と経済力を強めているブラジルで使用されているポルトガ ル語である。授業では、言葉、発音、文法のみならず、ブラジルの豊かな文化、生活、習慣につい ても勉強する。このように、それらの授業は国際学部の目的と概念に合っていると感じた。 その上、担当教師から外国人児 童に関わる教育問題について聞かせてもらうときがあった。私 は外国人留学生として、毎日日本語で勉強したり生活したりするため、日本語をうまく話すことが出 来ない子供達の気持ちと苦しさをよく理解できる。先生の話を聞いて、日本語能力を上達させ、日 本語がわからない外国人をサポートする活動に参加しよう と思った。 その二つの科目の基本的な相違点は、外 国語特別講義 I は文法と基礎に重点を置いている が、一方で、外国語特別講義 II は自然な発音と日常会話に目を向けている。しかし、どちらの授 4 業も学生達になるべくプレッ シャーをかけないで、とても楽しい雰囲気をつくることによって学習意 欲を促進している。授業環境は楽な感じがするが、試験のために準備しなければならない。外国語 特別講義 II の話し方テストでは、会話パターンを暗記し、できるだけ自然な言い方で会話をする ことが特に重要である。したがって、外国語特別講義 I と II は学習の楽しさと教育水準のバラン スが取れた授業と言えよう。 宇都宮大学の他の外国語系授業を受けたことがあるが、ポルトガ ル語の授業を受けた事は本当 に素晴らしい経験であった。面白い内容から教師のユニークな教え方まで、全てのポイントに満足 している。 (2010 年 03 月 24 日原稿受理) 研究室訪問 25 第 9 号から国際学研究科に関係する内外の先生方に寄稿をお願いしたコ ーナーを設けました。第 25 回には、地球文化形成研究講座の石濵昌宏先生にお願いしまし た。先生のご都合により、次号に掲載を延期いたします。なお、最終講義の様子は以下の アドレスにアクセスしてください。 http://www.kokusai.utsunomiya-u.ac.jp/whatnew/10_02_17.html 知究人 12 第 9 号から特に、国際学部出身者で他大学院へ進学された方に、寄稿をお願 いしたコーナー(ちきゅうびと)を設けました。 第 33 号の第 12 回目は、中央大学大学院に 進学された今井研究室 OG の小井沼範子さんと上智大学大学院に進学された松尾研究室 OG の加藤悠美さんにお願いしました。 「総合政策とは ~セクシュアルマイノリティの研究を例に~」 小井沼 範子 私は宇都宮大学国際学部国際社会学科を 2009 年に卒業した後、中央大学大学院総合政策 研究科博士前期課程総合政策専攻に入学しました。今回は総合政策学と私の研究テーマに ついて書かせて頂こうと思います。 まず、総合政策学というものはどのようなものかというと、政治学、法学、行政学だけ ではなく、経済学、社会学など様々な分野から総合的に政策を研究する学問です。かつて は政治学、行政学、法学などの分野で主に論じられてきた政策ですが、政策とは様々な分 野と密接しているものです。そこで、政治学、行政学、法学の分野のみから政策を研究す るのではなく、初めから様々な分野を総合して政策を研究することが総合政策学なのです。 私の大学院における主な研究テーマは「日本におけるセクシュアルマイノリティの人権 に関する法と政策」です。セクシュアルマイノリティとは性同一性障害者や同性愛者、両 性具有者などのマイノリティな性のことを指しています。このような性を持つ人々は現在 の社会の仕組みでは苦しみを感じてしまうことが少なくありません。その一例として、ド 5 ラマ「3 年 B 組金八先生」でも扱われた性同一性障害の当事者は自分の肉体の性別と自分 が自認している心の性別が一致していないため、学校指定の制服を着用しなければならな いことにかなりの精神的苦痛を感じてしまいます。また、就職活動の際もいくつかの企業 は男女の性別によって制服を定めているために就職先の選択が狭まってしまうということ も起こるのです。 このようにセクシュアルマイノリティであるが故に直面する様々な辛い事態を削減して いくために、どのような法と政策が必要かということを私は研究しています。そして私の 専攻は冒頭でも述べた通り総合政策学ですので法学、政治学、行政学の観点からだけでな く経済学や社会学も含めて研究しています。現在では企業においてセクシュアルマイノリ ティの社員の権利が保護されるためにはどのような法と政策がバックアップとして必要な のか、またそのことによってどのような経済効果が予測されるかという研究も進めていま す。 また、セクシュアルマイノリティに関する講演などにも足を運び当事者の方たちの意見 に耳を傾けることもしています。私が研究を進める中で心がけているのは、研究のために 書物は勿論必要ですが、それ以上にセクシュアルマイノリティの人々が何を感じ、どのよ うに今の社会を生き抜いているかということを知り、それらを尊重することが重要だとい うことです。今、このように他の人々の価値観や生き方を大切にしながら研究を進めるこ とができているのは宇都宮大学の国際学部生だったときに、海外からの学生や教授も含め た様々な人々と親しくなり、多様な価値観を知り、たとえそれが自分のものとは違ったと しても、互いに尊重しあう大切さを学ぶことができたからだと思います。 現在の私は中央大学大学院の学生ですが、これからも宇都宮大学で学んだことを活かし、 研究に励んでいきたいと思っています。 (2010 年 03 月 20 日原稿受理) 「近況報告」 上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科 地域研究専攻 加藤 悠美 早いもので宇都宮大学を卒業してから、もう 1 年が経過しようとしています。昨年の 2 ~3 月といえば卒業旅行という名目で屋久島旅行を皮切りに、関西~東海地域を夜行バスと 電車でめぐったり、仙台に行ってみたりといろんなところへ行っていました。そんな 1 年 前を懐かしく思い出しながら…私は、今年の 2~3 月をフィリピンでの現地調査に費やしま した。前回の調査ですっかりフィリピン人的生活 (?) に馴染んでしまった私は、週末にな るとお世話になっているステイ先の家族や近所の人たちとおやつの時間を目安に酒盛りを 始めるという、日本では考えられない生活を送っていました。これでは 1 年前とあまり成 長が見られない気もしますが、 「現地調査」という大義名分があることが心の支えです。今 回は、このような状態が約 2 ヶ月も続くので、うーむ…日本のキッチリとした生活にまた 6 戻れるか、不安です。 私は、フィリピンのマイノリティグループであるイスラーム教徒を対象に行われている、 教育政策の現状や他教徒との関係を、小学校に焦点をあてて調査・研究しています。今回 の現地調査では、前回からお世話になっている公立小学校やマドラサ(イスラーム学校)をま わり、政府の公布した政策が現場でどのように行われているのかを見ています。現地調査 ということで、学校に毎日足を運び、授業を見学させていただいていますが、実際のとこ ろ、先生や生徒たちと家族や学校、日本との文化の違いなどの話に、ついつい目的を忘れ て花を咲かせてしまうことがしばしばあります。しかし、そのような世間話の中でポロッ と核心をつく情報がえられることがあるので、調査は不思議なものだとつくづく思います。 大学院での勉強 (研究といった方が適切かもしれませんが)は、自分の興味関心を徹底的 に追究し、突き詰めていくことにその中心があるなぁと、日々感じます。大学院入学当初、 漠然としていた問題意識も文献や調査を通して現在では随分と身の丈にあったテーマに狭 められてきたように思います。それと同時に、そのテーマですら調べていくと奥深く、フ ィリピンの歴史や現在の政治、情勢などと複雑に関係しているので、そのテーマを掘り下 げていけばいくほどドツボにはまっていっているような気もします。しかし、自分の関心 のあることについて、徹底的に考え、文献や調査を通して小さな発見ができる、そんな現 在の生活が楽しい!と素直に思うのです。 まだまだ勉強不足でうまくいかないことも多いですが、ゼミなどにおける教授や先輩、 同期からのさまざまな意見や調査、現地の人たちとの交流を通して、納得のいく修士論文 が書けたらと思います。そして、1 年後の今ごろには私の調査地を案内しつつ、フィリピン を両親と一緒に旅行できたらいいなぁと思います。そんな 1 年後になることを祈って… (2010 年 03 月 15 日原稿受理) 海外だより 06 第 27 号から国際学研究科、国際学部出身の海外在住者からの寄稿をお願 いしたコーナーを設けました。自薦・他薦を問いませんので、海外在住者の積極的な情報 提供を事務局にお寄せ下さい。今回は、マレーシアでご活躍の藤田研究室 OG の中村緑里 さんにお願いしました。 「近況報告」 中村 緑里 2001 年度国際社会学科、藤田研究室卒業の中村と申します。マレーシアのペナン赴任中 で、今月 9 ヶ月目となりました。初めての海外生活のため色々不安もありましたが、半年 後あたりから、仕事にもプライベートにも慣れてきました。さて職場は、オーディオ製造 事業所で、よく皆様がご存知の Walkman などを生産しているところです。国際学部のメン バーを思うと、そう珍しくはないはずですが、やはり一般企業において、製造現場への日 本人女性赴任者は珍しいようです。 仕事上ローカライゼーションは、私にとっても大きな課題です。日本での管理業務を、 7 現場に移管する流れの中で、私の一部ミッションも関係しています。日本人からのサポー トはほどほどにして、いかにローカルメンバーが主体的にオペレーションをまわせるか、 長期的に計画をすすめることが重要です。日本式考えの押し付けではなく、ローカルの視 点から物事を見て、一緒に考え、最善策を導くアシストができるよう、時間をかけながら、 取り組んでいきたいと思います。しかし、部品供給や生産上トラブルなど、緊急のリカバ リー対応に時間をとられがちな業務のため、先述の課題に正面から向き合う時間が、少な くなってしまうというのが正直なところです。特に、新機種生産の時期には、なかなかス ムーズな立ち上げとは行かず、出荷期限が近づくにつれて、心身ともに厳しい状況になり ます。ただし、逆に言えば、この難関を乗り越えた瞬間の達成感は、現場にいてこそ味わ える特別な感覚とも言えるでしょう。 ペナンは観光地であり、街並みが世界遺産にも登録され、またリゾートホテルも数多い ところです。また、セカンドライフをペナンでゆっくりする方も、増えてきました。日本 のように物資豊かな暮らしは叶いませんが、のんびりとしたい方は是非足を運んで下さい。 イスラーム教のコーランが早朝街中に響き渡ったり、安い屋台飯やトロピカルフルーツを 堪能したり、年中灼熱の太陽の下ゴルフに没頭したり、日本では非日常の世界を味わうこ とができます。皆様のお越しを心よりお待ちしております。 (2010 年 03 月 05 日原稿受理) フォーラム 第 4 号からこのコーナーをラテン語のフォーラムとします。2010 年の卯月 を迎えて、皆様慌しいことと思います。(原稿集めに苦労しています。)今回は、今井研究室 OG の森澤絵美さんと柏瀬研究室 OG の松原真実子さんにお願いしました。 「近況報告―法科大学院での生活を通して」 森澤 絵美 私は、宇都宮大学大学院を修了し、その後、法科大学院に入学した。そして、もう修了 である。 そもそも、私が法科大学院の入学に至ったのは、宇都宮大学での研究を通し、弁護士に なりたいという思いを強くもったためである。 しかしながら、法学部出身ではなく、これまで法律の勉強をしたことのなかった私にと って、はじめのうちは授業にすらついていくことができず、本当に大変だった。周りはほ とんど、法学部出身者である等、すでに入学前から司法試験合格に向けた勉強を開始して いたからである。私を支えていたのは、「弁護士になりたい」という強い思いだけだったよ うに思う。 そんな時、私は、担任だった先生からある言葉を頂いた。 「考える力を身に付けなさい」、 「わからない部分があっても教科書を何度も読み自分で考えなさい」という言葉である。 確かに、これまでの私は、問題を解く中で、又は教科書を読み進める中で、わからない部 8 分があると、すぐにだれかに聞いていた。そこで、私は、これまでの勉強方法を変更する ことにした。 とはいえ、考える力はすぐに身につくものではなかった。考える力を身につけるために は、まず、基礎的知識を身につけることが必要となるためである。しかし、この言葉を胸 に、わからないと思った部分があっても何度も教科書を読み、調べ、それでもわからなか ったら先生に質問をするという方法で勉強を進めていくことにより、私は次第に法律の理 解を深めることができるようになった。徐々に友人との法律に関する議論が可能となり、 授業もより興味深いものとなった。勉強の中でうまれる新たな発見により、法律の面白さ を知ることができた。そして、学校内での成績も次第にトップクラスにまで追いつくこと ができた。 「考える力を身につける」ことは、法律の世界のみならず、どの世界においても共通す る重要なことではないだろうか。 修了後も弁護士を目指し勉強の日々となる。私は、今後も、「考える」ということを意識 しながら、まずは司法試験合格を目指し、勉強を続けていきたい。 (国際学研究科 国際社会研究専攻 第 6 期修了生) (2010 年 03 月 19 日原稿受理) 「大学院修了から 1 年を経て」 松原 真実子 大学院修了から、はじめての桜の季節を迎えます。1 年前の修了式、満開の桜の美しさ、 今でも忘れられません。私が、大学院へ進みたいと思うようになったのも、桜もほころぶ 春、40歳の誕生日のことでした。人生の節目にあたり、大学院へ行って、これまでの集 大成をし、人生の中締めをしたいと考えたからです。そしてなにより、少しでも多く人と 人とが理解し合い、平和な世界になることを強く願ったからでした。 私はこれまで「コミュニケーション学」および「キャリア教育」では、宇都宮大学大学 院国際学研究科国際文化研究専攻、中西学園名古屋総合ビジネス専門学校秘書科主任教員、 栃木県求職者支援センター・ジョブカフェ、伊日文化産業教育振興協会、イタリアスロー フード協会、民間企業では、富士通、ブラザー等において研鑚を積んでまいりました。特 に、コミュニケーション能力開発講師、ビジネスコンサルタント、そしてキャリアカウン セラーとして、日本をはじめアメリカ、イタリアでの海外勤務も経験してきました。 このような実務経験と学術的知識を踏まえ、以下の3点に基づき研究を行ってきました。 ①コミュニケーション、②相互理解、③フィードバック、です。①では、グローバル化と 世界経済の変動にともない新たな問題が今後も次々と登場してくることが予想され、問題 9 解決のためにどのようなコミュニケーションが効果的かを研究してきました。②では、相 互理解にむけたコミュニケーションがいかに展開していくか、その過程を研究してきまし た。③では、問題解決には、相互理解にむけた効果的なコミュニケーションを展開するこ と、そのためにフィードバックの活用が有効であること、そして、実際にどのようなフィ ードバックがあり、どのように活用することでより効果的なコミュニケーションを展開す ることができるかを研究してきました。そして、これらについて今後も研究を深めていき ます。 さらに4点目としてコミュニケーション学とキャリア教育の両分野で重要な項目の1つ である「能力開発」研究にも取り組んできました。世界同時不況を招いた 2008 年秋のリー マンショックから 1 年余りたち、日本の大学生就職内定率は、78%と過去最悪。就職氷河 期とも言われています。 (厚生労働省調査 平成 21 年 12 月 1 日現在)そんな中、現職、栃 木県求職者支援センタにおける統計では、採用企業が、大学生を含む求職者に求める能力 の第1位として、「コミュニケーション能力」をあげ、求職者側もほぼ 100%が就職に結び つく能力として「コミュニケーション能力」をあげています。それにもかかわらず「コミ ュニケーション能力」に不安を持ち身につけたいと思っている求職者は、90%以上という 結果がでています。(平成 22 年 1 月現在) このようなニーズを踏まえ就職に直結する実践 型コミュニケーション能力開発講座を開催。5 か月で就職率約 30%アップを実現しました(平 成 22 年 2 月現在)今後は、求職者のグローバル化の段階に応じた能力開発を中心に、映像 を見たり、講義を受けたりする座学形式、また、ロールプレイング形式やシミュレーショ ン形式といった有効な教育訓練の実施、OJT(日常の業務につきながら行う教育訓練)、Off-JT(通 常の業務を一時的に離れて行う教育訓練)、自己啓発、カルチュラル・アウエアネスを効果的に取 り入れた研究を進め、コミュニケーション学の進歩と求職者・企業双方のニーズに対応し た研究を行っていきます。 以上の研究成果を踏まえ、さらに、会社や家庭内で相手を理解し相手にとって適切で快 適なコミュニケーションをとる必要性を理解できる社会人、相互に理解しあうことの喜び と充実感を分かちあうことのできる、心豊かな社会人を育むことができるよう研究を進め ていくことで、平和な世界の実現に貢献していきたいと考えます。もっともっと平和な世 界になるためには、もっともっと人と人とが相互に理解しあえるようになることが必要で す。今はまだ、つぼみのような世界平和かもしれません。しかし、1 歩を踏み出し、少しで も前進することで、つぼみがひとつ、またひとつと開き、いつか満開の桜を愛でる日が来 ることを信じ、研究を続けていきたいと思っています。 1 年前、修了式の日、私たちを見守ってくれていた、あの美しい満開の桜のように・・・。 (国際学研究科 (2010 年 03 月 23 日原稿受理) 10 国際文化研究専攻 第 9 期修了生) ◎ 第 1 回宇都宮大学ホームカミングデーの開催案内 平成 22 年 4 月 29 日(祝日・昭和の日)午前 10 時から午後 3 時まで、宇都宮大学峰キャ ンパスおよび陽東キャンパスにて、実施されます。現在、学長の諮問機関である「宇都宮 大学ホームカミングデー実行委員会」を編成し、企画立案、事業運営の準備が行われてい ます。国際学部午後の部のイベントとして、「講話―国際学部 過去・現在・未来―」が決 定しました。小池清治国際学部名誉教授・北島滋国際学部名誉教授・藤田和子国際学部名 誉教授の三先生が講話されます。ぜひ、先輩・同級生・後輩らに声を掛け合っていただき、 多くの同窓生のご来校を期待しています。 ◎ 訂正 前号の2頁 「着任教員紹介その 10」において米川正子先生の英文表記に誤りがありまし た。 (YENEKAWA Masako)ではなく、正しくは(Y0NEKAWA Masako)です。関係者の 方に大変ご迷惑をお掛けしました。 ◎ 編集者のひとりごと 大学院同窓会は本年、9 年目を迎えました。創立当初は学部同窓生が多数在籍していて、 学部同窓会がある理由で大学院同窓会無用論がありました。そんな雰囲気の中、外部から 入学してきた社会人・外国人の受け皿になることを願って細々と運営してきました。学部 同窓会との差異は大きく 3 点あります。第1に、国際学研究科入学者全員ということです。 第 2 に、会費徴収をせず、ボランティアで運営していることです。第 3 に、同窓生の構成 が概ね社会人 4 割、外国人4割、学部出身者 2 割の構成になっていることです。これまで の修了生は延べ 286 名が修了されました。(平成 22 年 4 月 1 日現在) また、他大学院で博士 号の学位記取得者は、名古屋大学大学院(文学博士)・お茶の水女子大学大学院(人文科学博士)・ 筑波大学大学院(芸術学博士)・東京農工大学連合大学院(農学博士)からの計 5 名です。 この度の第 1 回ホームカミングデーに関して、当大学院同窓会を悩ませたのは住所録の 未整備でした。通常、知求会ニュースはメーリングリストによって配信しています。ある 同窓生の感想ですが、 「知求会ニュースによって目にみえない糸でつながっている」という 言葉に編集者として労苦が報われる思いです。周りの同窓生で、もしニュースが届いてい ない場合にはメールアドレスが変更になっている可能性がありますので、ご一報ください。 編集後記:限られた時間でのニュース発行、同窓生の皆さんのご感想はいかがでしたか?ぜひ、今後の紙 面に反映させていきたいと思いますので、メールを下さい。また、皆さんの記事も受け付けますので、近 況報告や研究報告などさまざまな情報をお寄せいただければ幸いです。 同窓会会員の皆様へのお願い: 住所、勤務先およびメールアドレスの変更の際は事務局へメールして下さい。[email protected] 宇都宮大学大学院国際学研究科同窓会 11
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