第 22 回 JaSECT 関東甲信越地方会大会報告 第 22 回 JaSECT 関東

第 22 回 JaSECT 関東甲信越地方会大会報告
第 22 回 JaSECT 関東甲信越地方会大会
大会長 東條 圭一
平成 27 年 4 月 18 日~19 日の 2 日間、神奈川県足柄下郡箱根町の箱根ホテル小涌園にて
『体外循環を考える』をテーマに第 22 回 JaSECT 関東甲信越地方会大会を開催いたしまし
た。会期の 1 ヶ月ほど前から、約 3km 先の大涌谷の火山活動があるとの情報があり開催が
危ぶまれましたが、幸いにも大会の 1 週間後に火山活動が活発になり入山制限がかかると
いう(会場はギリギリ 2km 圏外でしたが…)幸運にも恵まれて、山の神に見守られながら
の開催となりました。
学会の方は 339 名の皆様にお越しいただき、大盛況の中行うことが出来ました。一般演
題は、関東全域の皆様から 5 セッション 25 演題をご発表いただきました。内容は、非常に
レベルの高い演題ばかりで、最新の研究成果を箱根の地から発信することができました。
また、臨床工学技士養成校の学生の皆様にも卒業研究の成果をご発表いただき、多岐にわ
たる様々な内容の研究を聴講することが出来ました。ご発表いただきました皆様、本当に
ありがとうございました。
特別講演では、北里大学医学部 心臓血管外科学主任教授 宮地 鑑 先生に「開心術にお
ける低侵襲化の試み」と題してご講演いただきました。人工心肺中の血球成分の破壊や白
血球の活性化による全身炎症性反応による侵襲を低減するために、生体適合性回路による
低充填量人工心肺の導入と保存前白血球除去濃厚赤血球や好中球エラスターゼ阻害剤の使
用が、新生児・乳児早期の複雑心疾患に対する手術成績の向上に極めて重要であることを、
詳細なデーターを元に解説いただきました。
シンポジウムでは、
「補助循環について考える」と題して、群馬県立心臓血管センター 安
野誠様を司会に、E-CPR に関する内容を日本大学病院 三木隆弘様、ECMO に関する内容
を弘前大学医学部附属病院 後藤武様、補助循環の安全に関する内容を名古屋第二赤十字病
院 薗田 誠様、最新デバイスに関する内容をテルモ株式会社 竹内和彦様にご講演いただき
ました。全国規模の調査・検討から得られた最新の情報をご紹介いただき、補助循環の現
状と問題点について討議することが出来ました。
宿泊希望の参加者は 215 名で、箱根ホテル小涌園にお泊りいただきました。懇親会では、
参加の皆様方にリレーショナルで壇上にご登壇いただき自施設の自己紹介を行っていただ
きました。200 名を超える大宴会は、圧巻の風景でした。
ナイトセッションは、
「最新のデバイスについて考える」と題して、湘南鎌倉総合病院渡
辺英樹様を司会に、人工心肺装置を横浜市立大学附属市民総合医療センター 土橋克彦様、
人工肺を大和成和病院 小野浩一郎様、シミュレータを東海大学医学部付属病院 林 康範
様、PCPS 装置を聖マリアンナ医科大学病院 佐藤尚様に、ご講演いただきました。会場は
入り切れないほど大盛況となり、参加の皆様にはお酒を片手に夜遅くまで熱心に討論いた
だきました。
2 日目も、多数の皆様にご参加いただき、最近話題となっている経カテーテル大動脈弁留
置術「TAVI」について 4 題の演題を発表いただきました。その後、メーカープレゼンでは
コスモテック株式会社、株式会社ジェイ・エム・エス、泉工医科工業株式会社、ソーリン・
グループ株式会社、テクノウッド株式会社、テルモ株式会社の 6 社から、最近発売された
デバイスの数々をご紹介いただきました。
大会最後のセッションは、日本心臓血管麻酔学会合同チームシンポジウム「体外循環中
(開心術中)の臓器保護について考える」でした。プランナーを北里大学医学部麻酔科学 教
授 岡本浩嗣先生にお願いして開催いたしました。外科医より東京医科大学外科学第二講座
教授 荻野均先生、麻酔科医より東京慈恵会医科大学麻酔科准教授 三尾寧先生、体外循環
技士より、東京医科歯科大学医学部附属病院 倉島直樹様、川崎幸病院 長澤洋一様をお迎
えして、臓器保護の基礎から応用まで、詳しくご講演いただきました。大会運営側の不手
際で十分な時間がご用意できず、時間が足りずに十分な討論が出来ませんでしたが、コメ
ンテーターの宮地先生、野村先生より、考えることの意味とチーム医療の大切さをコメン
トいただき大会を終えることが出来ました。
参加の皆様をはじめ、展示やメーカープレゼンなどでご協力いただきました企業の方々、
大会実行委員を引き受けていただいた関東甲信越地方会役員の皆様のおかげをもちまして、
無事盛会のうちに終了したことを感謝申し上げます。今大会は、関東甲信越地方会大会発
足当時のコンセプトである「最良の体外循環」を志す同士が集まって、温泉につかりなが
ら、また酒を酌み交わしながら体外循環について語り合うという、本来の姿に戻っての開
催を目指しましたが、私の不手際で宿泊者の制限など、参加の皆様に大変ご迷惑をおかけ
したことをこの場を借りてお詫び申し上げます。最後に、この第 22 回大会が皆様にとって
安全な体外循環を行うために「考える」参考になれば幸甚に存じます。