前立腺肥大症とＥＤ前立腺はまた、排尿のコントロールにもかかわっています。ます。くても、強い排尿障害の症状を訴える立腺がかなり肥大していても、症状がすが、前立腺の大きさと症状の強さは代に入る頃から前立腺肥大男性は、症やＥＤの頻度が高くなってきます。前立腺肥大症とＥＤは別の疾患ですが、これらの発症には加齢だけでなく、血流障害がかかわっていると考えられ、両方の症状がある人も少なくありません。排尿障害やＥＤの兆候を感じたら、積極的にかかりつけ医や泌尿器科医に相談して、生き生きとした中高年期を過ごしましょう。前立腺は、その構造から、尿道が通っている内側を内腺、外側を外腺と呼び人もいます。を取り戻しましょう。うであれば、治療を受けて快適な日常尿症状があり、生活に支障をきたすよん。特に困った症状がなければ、治療ないこともあれば、それほど大きくな必ずしも比例するとは限りません。前ますが、肥大症は内腺が大きくなった男性の生殖活動に重要な役割をしていし、運動のエネルギーを与えるという、大きくなった前立腺が尿道を圧迫すると、排尿のトラブルを引き起こしま 8 ●前立腺肥大症前立腺は男性特有の生殖器官で、膀胱の直下、出口に近い場所に、尿道をものです。一方、外腺から発生するの 70 性にみられるといわれます。 50 歳前後から増加排尿症状があれば治療取り囲むように位置する、重さ数グラ 1994 年、東邦大学医学部卒業。’97 年、同医学部泌尿器科学第一講座助手。’98 年、米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校泌尿器科研究員。2008 年、東邦大学医学部泌尿器科学講座講師。同医療センター大橋病院泌尿器科准教授。’11 年、東邦大学医学部泌尿器科学講座教授。日本泌尿器科学会専門医・指導医。日本性機能学会専門医・理事・評議員。日本 Men’s Health 医学会評議員、日本生殖医学会評議員などを務める。前立腺肥大症は、基本的に良性の病気で、命にかかわるものではありませ ◉略歴が前立腺がんです。中島耕一先生ムの小さな器官です（なかじま・こういち）の必要はありませんが、なんらかの排東邦大学医学部泌尿器科学講座教授東邦大学医療センター大森病院泌尿器科診療部長前立腺肥大症は歳前後から増え始め、歳で半数以上、歳で割の男監修前立腺の主な働きは、前立腺液を分泌することです。前立腺液は、精液の 50 一部となって、射精の際に精子を保護 60 50 12 の働きを障害し、腎不全につながる危ただし、残尿には注意が必要です。膀胱に残尿が多い状態が続くと、腎臓め泌尿器科で調べてもらいましょう。ている可能性がありますから、念のた症状があれば、膀胱に尿がたまり過ぎ肥大の状態や排尿障害の程度によって治療法︵経過観察、薬物療法、手術療法︶を検討します。最大の危険因子は加齢生活習慣病との関係も前立腺肥大症の最大の危険因子は加齢ですが、ほかに性ホルモン、炎症など、いくつかの因子が関係していると考えられています。前立腺肥大症に伴う症状 ●排尿症状 ●蓄尿症状 ●排尿後症状尿が出にくい。尿の勢いが弱い。尿が途切れる。尿が近い。夜中に何度もトイレに起きる。トイレまでがまんができない。強い尿意が起こる。尿が漏れることがある。残尿感がある。は残尿感の自覚がなくても、尿漏れの険があります。横から見た前立腺の位置害の程度がわかります。前立腺の大きさは超音波検査ですぐにわかります。尿流量検査では排尿障︵前立腺がん︶正面から見たところ輪切りにしたところ残尿感があるとき、あるいは本人に︵前立腺肥大症︶近年、生活習慣病との関係が指摘されており、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症などがある男性は、前立腺が肥大しやすいという報告があります。生活習慣病の温床はメタボリックシンドローム︵内臓肥満症候群︶ですが、内臓脂肪が蓄積すると体にインスリン抵抗性︵インスリンが効きにくい︶が 13 中高年男性の泌尿器の悩み特集2 、両方の症状が起こっていることも生じ、そのことが前立腺を肥大させるとも考えられています。一方、前立腺肥大症の発症を抑制する効果がある物質として、野菜、穀物、 ●ＥＤ中高年のＥＤは全身の動脈硬化のサイン﹁性交時に十ＥＤ︵勃起障害︶は、分な勃起が得られない、あるいは十分大豆などに多く含まれるイソフラボノイドやリグナン︵ゴマ︶があげられてな勃起が維持できないために、満足な過ぎないようにしましょう。水分、コーヒー、アルコールをとりくくなります。茎動脈に動脈硬化が起こると、血陰液が十分に充満せず、勃起が起こりにによる血流障害です。の原因として見逃せないのは動脈硬化加齢や身体的・精神的ストレスはＥＤの原因になりますが、中高年のＥＤ性行為が行えない状態﹂をいいます。います。日常生活にも気を配りましょう生活習慣病に注意するとともに、排尿症状の悪化を防ぐために、日常生活食事は規則正しくとりましょう。脂心臓の冠動脈︵直径３∼４㎜︶や脳に血液を運ぶ内頸動脈︵直径５∼７㎜︶にも気を配りましょう。質を控え、魚や野菜を中心とした和に比べて、陰茎動脈は直径１∼ ㎜と食が勧められます。刺激の強い食品泌減少を引き起こします。半身の冷えに注意しましょう。入浴血流がわるくなる長時間の座位や下ましょう。動をして、便秘にならないようにし食物繊維を積極的にとり、適度な運は避けましょう。る重要なサインでもあります。詰まりやすくなっていることを暗示すること、特に心臓や脳の重要な血管がは、全身的に動脈硬化が進み始めていい時期から現れます。ＥＤ症状の出現非常に細く、動脈硬化による症状が早ションにも大きな影響を及ぼします。また、ＥＤは男性に精神的なストレスをもたらし、夫婦のコミュニケーます。危険な血管病が隠れていることもありＥＤの潜在患者さんは１１００万人といわれていますが、放置している人動脈硬化はまた、男性ホルモンの分ＥＤは、単に加齢による性機能の衰えではなく、れっきとした疾患であり、る神経障害もＥＤを引き起こします。糖尿病は動脈硬化を強く進めるのでＥＤにもなりやすく、糖尿病に合併す中高年のＥＤの原因として見逃せないのが動脈硬化。心臓や脳の動脈より早く症状が現れますは血流をよくします。 2 14 前立腺肥大症とＥＤ、が多く、受診率は３割以下となっています。勃起は男性にとって健康のバロメーターでもあります。ＥＤの兆候が見られたら、まずはかかりつけ医に気軽に相談してみてください。 ●前立腺肥大症とＥＤ同時にあることも多く血流障害など共通の因子しょう。メタボリックシンドロームにも注意が必要です。喫煙は、動脈硬化を早めるだけでなく、全身の多くの臓器に悪影響を及ぼします。ぜひ禁煙しましょう。前立腺肥大症もＥＤも、効果的な治療薬があります。症状があったら放置せず、進んで医療のサポートを受けてほしいと思います。かかわる物質が減少し、ＥＤや排尿障てもらってください。なお、インターネットで手軽に購入できるＥＤ治療薬は偽の薬であること一人の男性が前立腺肥大症とＥＤの両方の症状を持っていることは珍しい害が引き起こされるといわれています。が多く、危険です。必ず医師に処方し血管を若々しく保つことが予防につな前立腺肥大症もＥＤも、効果的な治療法があります。まずは気軽にかかりつけ医に相談してみましょう％に勃起障害があるという報ことではありません。中等症以上の排 ∼ 尿の悩み︵下部尿路症状︶がある男性のひとつは血流障害です。膀胱底部や前立腺に血流障害があると排尿障害ががります。前立腺肥大症にも、ＥＤにも、血管の老化や血流障害がかかわっており、血管を若々しく保ち医療的なサポートも両方に共通の因子といわれています。そのほか、交感神経系の亢進、平滑筋に関係する酵素の働きの影響なども血流障害は前立腺肥大症とＥＤの共通の発症因子らしい。血管を若々しく保つことが大切です起きます。陰茎動脈の血流障害はＥＤがあるといわれています。ニズムには、いくつかの共通する因子前立腺肥大症とＥＤの関係は、はっきりわかっていませんが、発症のメカ告もあります。 90 生活習慣病は前立腺肥大症にも、Ｅの直接的な原因になります。また、血管内皮が障害されていると、Ｄにもなりやすいので、なんらかの生活習慣病を持つ人はきちんと管理しま血管内皮から放出される勃起や排尿に 15 60