Title Author(s) Journal URL 東京歯科大学市川総合病院泌尿器科発展計画 中川, 健 歯科学報, 114(5): 5i-5i http://hdl.handle.net/10130/3491 Right Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/ !!!!!!!!!!!!!! 巻 頭 言 ⑤ !!!!!!!!!!!!!! 東京歯科大学市川総合病院 泌尿器科発展計画 中 川 健 4月から赴任した小生は,現在,頭の中のほとんどが当科,病院の現状把握と発展計画で占めてい る。現病院の開設時に始まった泌尿器科3代目の教授,さらには浅学非才の我が身から,革命的な新 アイデアが湧き出るものでもないが,赴任が決まってからの思考 (妄想?) をここにまとめ,後年,検 証できれば面白いだろうと考える。個人的な見解,思いつきであり,関係各位には,問題点,間違え 等あればご指摘いただければ幸いである。 東京歯科大学市川総合病院は,病院としての性格,所在地がユニークである。私立の歯科大学の医 育機関総合病院であり,医師の大半は慶應義塾大学医局出身者,一部慈恵医大医局出身者で,歯科医 も含め,私立大学で臨床教育を受けた者のみの集団である。診療にやや重きをおきながら,研究・教 育も担っている。ある意味,全国で一番 homogeneous な専門集団で,かなり良い医療を提供できて いるのではと思う。また,その所在地である市川市は,以東在住の千葉県友人と話すと,千葉県の仲 間に入れてもらえず,もちろん東京都でもない。市川駅から東京駅まで19分という立地で,仕事,教 育,医療の場を東京に求める人も多い。前任地慶應病院でもかなりの市川市界隈の患者の執刀をして いた。赴任してわかったことは,泌尿器科も地域医療にかなり貢献しているのだが,慶應病院より患 者の年齢層が一回り高い。低侵襲,先端医療の印象が強い東京の大病院に比較的若年で元気な手術適 応患者が流れている。外科系泌尿器科において,これは大きな問題。慶應や慈恵と遜色のない医療が 提供出来るわけで,まずは地域の患者が慶應病院に流れるところからでも塞き止め,泌尿器科の手術 件数の増加をはかりたい。患者にリサーチすると職場に近く外来通院が便利,あるいは職場検診から の紹介が東京の病院であったと聞く。また,慶應駅前病院という利便性も言われる。病院と同じ外来 検査が可能な都内便利な立地のサテライトクリニックから市川総合病院に入院患者を送れるようなシ ステム構築ができれば面白いと妄想する。都内,他県在住のかなりの数の方に慶應から市川病院に転 院していただいているが,こうした方の利便性を確保し,口コミを長く活用させていただければさら にありがたい。また,東北,中国,九州地方から慶應病院に来院する方には,入院先が東京駅から右 に行くか左に行くかの違いくらいしかないと考えるのは極端だろうか。市川総合病院は込んでいるの で行かなかったという方もいた。紹介・逆紹介率の課題もあり,紹介予約患者と飛び込みで来院され る方を分けて診療することも有効かもしれない。 実際の泌尿器科臨床では,前立腺癌や膀胱癌に対する腹腔鏡手術の認定施設となり,前立腺肥大症 も含め低侵襲手術を前面に打ち出して行きたいが,患者目線,年齢層からも,前立腺癌治療ではもう 一つの低侵襲治療,放射線治療との連携,治療バリエーション拡充が必須と考える。下世話な言い方 をすれば前立腺疾患は泌尿器科のドル箱なのである。また,千葉県では腎不全に対する腎移植の普及 が極端に遅れている。 薬剤部,臨床検査科,手術室,麻酔科ならびに事務部の方々の協力を得て腎移植を再開しました。 20数年前に ME の方もいないまま一人で機械の準備をしながらスタートさせていただいた透析室 も,念願かなってようやく腎移植に活用出来ました。これも患者数の継続的蓄積に有効であり,千葉 県の腎不全医療に積極的に参入していければと欲をかきます。 現在,共に勤務している泌尿器科医師は,ここ15年の慶應勤務の中で,幸いにも最も信頼のおける 優秀な仲間達です。診療の継続性も含め,彼らへの医療技術の伝承を積極的に行い,東京歯科大学の 名前を泌尿器科領域でさらに広めることが出来れば面白いと考えながら思考する昨今です。 (東京歯科大学市川総合病院泌尿器科 教授)
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