2011年度 東洋英和女学院大学死生学研究所・(財)国際宗教研究所 共催「生と死」研究会 第10回例会 シンポジウム 生者と死者の交流 10月29日(土)14:40-17:50 発題1 小川有閑 おがわ ゆうかん 国際宗教研究所研究員 プロフィール 2000年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。2003年 東京大学大学院人文社会系研究科修士課程(宗教学宗教 史学)入学、2005年同博士課程進学、2010年単位取得満 期退学。2007年より財団法人国際宗教研究所研究員、現在 に至る。また、2008年より僧侶として「自殺対策に取り組む僧 侶の会」等で自死対策に関わる。研究テーマ:現代仏教、近 代日本宗教史。最近は、僧侶の自死に関する活動やその意 味などに関心を持ち、実践のかたわら、研究を進めている。 主要業績 「自死者のゆくえ―僧侶なりの自死遺族支援の形」国際宗教 研究所編『現代宗教2011 特集・現代文化のなかの宗教伝 統』秋山書店、2011年。 発題2 西尾温文 にしお あつふみ 順 天 堂大 学医 学 部附 属順 天堂 医 院が ん治 療 セ ン ター 臨床 心 理 士 プロフィール 1977年 丹誠塾設立。1978年 早稲田大学法学部卒。2001年 NPO遊学会 設立。2001年 立教大学文学部心理学科3年次編入。2002年 立教大学大 学院文学研究科臨床心理学専攻前期課程。2004年 立教大学大学院現代 心理学研究科臨床心理学専攻後期課程。2008年より現職。研究分野:小児 精神腫瘍学。研究テーマ:小児のがん診断時の保護者の病気の理解の仕方 が保護者の心理的苦悩に及ぼす影響。小児のがんの診断及び治療ががんの 子ども及び保護者の心的外傷後症状の要因になるのかについて。 主要業績 「ユトレヒトコーピングリスト19(UCL-19)の信頼性と妥当性」『立教大学心理学 研究』46, 2004年。「小児のがんの子どもを看ている保護者の心理的状態と サポート―CHIP(The coping health inventory for parents)を用いて―」『小児 看護』29, 12, 2006年。「小児のがんの子どもを抱える保護者への心理的援 助」『立教大学臨床心理学研究』1, 2007年。 発題3 棚次正和 たなつぐ まさかず 京都府立医科大学大学院医学研究科教授 プロフィール 1979年京都大学大学院文学研究科博士課程(宗教学専攻)修了。 1992年筑波大学哲学・思想学系助教授(宗教学・比較思想学)、 1998年同大学同学系教授を経て、2002年より京都府立医科大学教 授(人文・社会科学教室)、現在に至る。その間、1995年-1996年 シカ ゴ大学神学校・高等宗教研究所上級研究員、1998年 博士(文学)京 都大学。研究テーマは、祈りの一般研究、医学哲学、人体論、スピリ チュアルケア論など。最近は、国際科学振興財団の村上和雄氏との 共同研究「祈りと遺伝子」、医学研究者との共同研究「医学概論・医 療原論」に取り組んでいる。 主要業績 『宗教の根源―祈りの人間論序説』世界思想社、1998年。『宗教 学入門』(編著)ミネルヴァ書房、2005年。『祈りの人間学―いきい きと生きる』世界思想社、2009年。 ❑シンポジウム会場 東洋英和女学院大学大学院 (六本木)201教室 東京都港区六本木5-14-40 司会 渡辺和子 東洋英和女学院大学教授 死生学研究所所長 自死者と遺族の対話 内容紹介:家族や親しい人を亡くすことは、大きな喪失感や悲しみをとも なうが、ことに自死の場合、一方的にコミュニケーションを断絶されることに なり、遺された者の衝撃ははかりしれない。喪失の悲嘆のほかに、さまざまな 深刻な心理的動揺が生じ、常に答えのない答えを求め、自分を責める毎 日を過ごすことも多い。だが、それは、自死者が存在しない「無き人」になっ たのではなく、自死者と遺族の関係が生前よりも濃密さを増しているとも言え る。この関係をしっかりと結ぶことが遺族にとって重要なのではないか、また、 そこに宗教者が関わる可能性はあるのか、問題提起をしたい。 参考文献:小此木啓吾『対象喪失―悲しむということ』中央公論新社、1979 年。平山正実監修・グリーフケア・サポートプラザ編『自ら逝ったあなた、遺 された私―家族の自死と向きあう』朝日新聞社、2004年。自死遺児編集委員 会・あしなが育英会編『自殺って言えなかった。』サンマーク出版、2002年。 親を亡くした子との交流 内容紹介:母親をがんで亡くしたAとの心理面接(プレイセラピー)によ るグリーフケアを報告する。Aは小学校2年生。入院した母親の疼痛コ ントロール目的で緩和ケア依頼が出される。母親から、緩和ケアチー ムが相談を受ける。相談は、まだAにはがんとは話していない、病気の 治療と言っている、今後、化学療法をやると髪も抜けるし、どう話したら 良いかという内容だった。心理士がかかわり、亡くなる1週間前に父親 がAに母親の状態を話す。Aは、どのように母親の死を受け止め理解し たのだろうか。Aとの遊びを通して感じたこと、考えたことを話したい。 参考文献:ダギーセンター『大切な人を亡くした子どもたちを支える35 の 方 法』梨 の 木 舎、2005 年。Peter A. Levine & Maggie Kline, Trauma through a Child’s Eyes, North Atlantic Books, Berkeley, California, 2007. スピリチュアルケアと人間の存在構造 内容紹介:末期患者が抱くスピリチュアルペインに対するケアは、「スピリ チュアルケア」として我が国でも次第に認知されつつあるが、医療従事者に とって「スピリチュアル」の概念は馴染みがなく、対応に苦慮しているというのが 実情である。本発表では、「人間の存在構造」を問う立場から、スピリチュア ルペインが生じる要因として実存の根本条件や諸制約に着目し、そこに由 来するスピリチュアルペインの特性を浮き彫りにした上で、スピリチュアルケア が行なわれるべき方向性を探ってみたい。このスピリチュアルな次元を視野 に収めることは、人間存在の全体像を捉えるためには不可欠となる。 参考文献:棚次正和「人間の事柄としてのスピリチュアルケア」『宗教研究』349 号、日本宗教学会、2006年、47-71頁。津城寛文『社会的宗教と他界的宗教のあい だ』世界思想社、2011年、36-61頁。村田久行「臨床に活かすスピリチュアルケア の実際 1~7」『ターミナルケア』Vol.12 No.4, 2002年~Vol.13 No.4, 2003年。 ❑最寄駅 六本木駅(日比谷線徒歩10分) 麻布十番駅(大江戸線徒歩5分、南北線徒歩7分) ❑参加費1,000円(本学院在校生・教職員無料) ❑当日先着順100名様❑事前申込み不要 <予告>11月12日(土)連続講座 14:40~ 藤原達也 本学非常勤講師 生ける遺影―ガンダーラにおける仏像の起源をめぐって 16:20~ 細田あや子 新潟大学准教授 東西文化にみる絵解きの死生観 お問合せ先 東洋英和女学院大学死生学研究所 [email protected] 03-3583-4035(fax専用)
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