私が富山市で飛行機から降りたとき、私 - 黒部市

黒部:清らかな水の都市(キャスリン・タッカベリ)
私が富山市で飛行機から降りたとき、私が暮らす黒部市に向かいながら、不安な気持ちで
いっぱいでした。市民は私を気に入ってくれるだろうか?自分であちこち行くことができる
だろうか?私は新しい家を気に入るだろうか?しかし、私の不安すべてが確証のないもので
あることに気付くのに1日とかかりませんでした。黒部市は、とてもフレンドリーで歓迎し
てくれるばかりでなく、多くの可能性を持っている都市です。リーダーたちは未来のビジョ
ンを持ち、市民は伝統を持っています。
黒部という名称は単純には「黒い部分」という意味ですが、この都市を単純に語ることは
できません。黒部川にちなんで名づけられた黒部市は、日本の西海岸の富山県内に位置し、
富山湾と日本アルプスに囲まれています。生地、石田、三日市地域が合併して 1954 年に黒部
市として設立しました。これら3つの地域がひとつになって、黒部市は、過去と未来と国際
交流のまちとして、完璧なコンビネーションを実現しています。
3地域で最も古い三日市は、900 年の歴史があります。
「ミッカ」と「イチ」は「3の日」
と「市場」という意味で、かつて3日に1回市が開かれ、商人が店を出していました。それ
は、
「農民の市場」に似たようなものでした。生鮮食料品のほか、衣類や装飾品、化粧品など
も売られていました。今日、三日市の伝統は、八心大市比古神社などの歴史的場所に引き継
がれています。
また、三日市は、新鮮な食料品や豪華な商品まで、ショッピングにもいい場所です。しか
し、過去にこだわるばかりではありません。人々の健康や福祉の増進のための多くの現代的
な施設があります。職業能力開発センター、働く女性センター、労働者トレーニングセンタ
ーなどは、市民の生活全体を向上させる施設です。また、三日市には、
「コラーレ」という国
際センターがあります。このセンターは、芸術の楽園であり、展示室やレストランとともに
多くの文化資源があります。そして、地域に根差した様々な活動がこの建物の中で行われて
います。例えば、富山県内のALT・CIRによる料理を通じた活動が毎月開催されており、
主婦、学生、ビジネスマン、外国人など様々な市民が参加しています。三日市が「中心市街
地」といわれる理由が容易に理解できます。
レクリエーションやレジャーには、黒部市民は石田(
「石の田んぼ」という意味)に向かい
ます。石田では、海岸、キャンプ場、釣りができます。夏の日中、石田でくつろぐ市民が多
く見られます。石田漁港で釣りを楽しみ、夜は石田浜で花火をして、大島海岸でバーベキュ
ーをするなど、市民や訪れる人々が石田を楽しみます。石田は、黒部市民だけに知られてい
るのではありません。5年前、
「釣りバカ(釣りのマニアック)
」という映画が石田フィッシ
ングマリーナの近くで撮影されてから、石田は有名になりました。
「生地」の2つの漢字は、文字上「生きた地面」または「生きた場所」と訳されます。ま
た、生地地区はかつて海面下だったことから、
「新しい土地」としても知られています。今日、
生地は水が有名で、約 600 箇所に湧水があります。黒部川扇状地の水が地下水となって生地
まで流れているのです。
その水は、
「清水」
となって自然の井戸や温泉として噴出しています。
また、生地には、18 箇所の「清水(きれいな水)
」があります。そのうちの 11 箇所は、地域
の共同洗濯場となっており、洗濯をしたり、野菜などを洗ったり、スイカやビールなどを冷
やしたり、その他の用途に使われています。生地の「名水通り」も地域の活動の場となって
います。生地の水は、地酒、水ダンゴ(お菓子)
、かまぼこ(魚の練り物)などにも利用され
ています。
生地は、文化的な地域でもあります。黒部市美術館、吉田科学館、黒部市公園が位置して
います。美術館では、絵画を通じて黒部や日本の美しさを実感することができます。現在、
9月9日まで「黒部市の水」についての展示をしています。絵画の多くが、水をテーマに黒
部峡谷や周辺地域を描写しています。
吉田科学館には北日本で最も大きいプラネタリウムがあり、星座、水文化とその利用につ
いて学ぶことができます。プラネタリウムでは、恐竜などの科学的研究が3−D(立体映像)
で学ぶことができます。黒部市公園には、黒部市体育館、温水プール、その他多くの施設が
あります。公園のテーマは、
「緑と水」で、市民がスポーツや文化やレクリエーションを楽し
む場となっています。
主要3地区の北部地域は、黒部市の魅力を高めています。宮野公園には、野球場、桜並木
通りがあり、多くのイベントが行われます。毎年4月、市内外の人々が、開花した 800 本の
桜と黒部川扇状地の眺めを楽しんでいます。公園の先には、戦後間もなく建てられた仏舎利
等(仏教の塔)があります。塔の裏は、納骨堂となっており、黒部市民の永遠の眠りの場所
となっています。
さらに北部に行くと、
「新川牧場」があります。たくさんの牛や馬がいることで子どもたち
に人気があります。また家族でバーベキューを楽しむこともできます。
おそらく、黒部市で最も有名な地域は宇奈月です。中心市街地の北西部に位置します。宇
奈月は、2006 年4月に正式に黒部市の一部になりました。宇奈月には、たくさんの温泉(足
だけをつける温泉も含みます。
)があります。毎年約 100 万人の観光客が宇奈月の温泉を楽し
みます。黒部市で最も古い屋外の温泉が「黒薙温泉」で、黒薙駅から徒歩 20 分のところにあ
ります。この温泉は 135 年前につくられ、現在の宇奈月温泉の源泉です。鐘釣温泉は、夏で
も川の対岸に残雪が眺めることができ、最も人気があります。
列車の駅を過ぎて、とても急な山道を登ると、
「大原台自然公園」に達します。
「平和の像」
と呼ばれる 12.5mの像があります。
また、宇奈月には、
「セレネ美術館」と「黒部川電気記念館」があります。美術館には「黒
部の自然」が主な特徴です。本多省三黒部市教育委員会教育長の作品も展示されています。
また、国際会議場や喫茶店もあります。電気記念館では、自然の資源を開発した人々のドラ
マとともに、
黒部市の興味深い側面を、
ダイナミックな映像と立体モデルで紹介しています。
1/7,500 のパノラマ式黒部川流域の山から日本海までの模型があり、黒部峡谷の鳥瞰図が眺
められます。
黒部峡谷の入口は、宇奈月にあります。黒部峡谷は日本一の深さがあり、北アルプスの「中
部山岳国立公園」
(新潟県、長野県、富山県、岐阜県にまたがる)にあります。峡谷には、険
しい山々、花崗岩の岩、そびえる断崖、滝、急流があります。峡谷には、いくつかの場所が
「美しい自然のモニュメント」として指定されています。毎年約 100 万人の観光客が訪れる
理由がわかります。
峡谷のさらに上流には、日本で最大の「黒部ダム」があります。関西電力により発電が行
われています。高さは 186m、総貯水量は2億立方メートルです。513 億円の費用と約 200
人の犠牲者のもと、1963 年に完成しました。
黒部市は、名前の由来である「黒部川」なくして今日の姿はないと思います。黒部川は、
全長 85km、流域面積 682k㎡です。黒部川の最も深いところは 1,500mもあります。年間
の降水量は 3,000∼4,000mmあり、冬の積雪は5mにも達します。多くの雨と雪が一年を通
じて黒部に水を供給しています。
黒部の水の純度は驚くべきものです。
黒部川扇状地の水は、
国指定の名水に登録されています。
実際に、黒部市は、祭りやイベントで知られています。生地地区で開催される「カーター
記念名水ロードレース」
、
「新川牧場フェア」
、
「黒部川魚手づかみ取り」などは、黒部市で実
施される祭りやイベントのほんの一部です。最も大きく、最も多くの人々が訪れる祭りが、
毎年8月に開催される「生地浜の花火」と「えびす祭り」です。大変多くの人々が、食べ物、
花火、踊りを楽しみ、祭りを祝います。祭りの目的は、大漁を神に祈り感謝することです。
黒部市は、市民に多くのものを提供しています。大きな産業(YKK、酒の会社、桜井ハ
ム)
、名水、教育の施設(美術館、科学館)
、福祉施設(働く女性センター、高齢者デイサー
ビス)
、歴史的場所(若栗城跡、神社、寺院)
、そして、世界との接点(コラーレ、ALT、
新幹線)などです。しかしながら、黒部市の最も素晴らしい資産は、市民です。黒部市民を
3つの言葉で表せば、
「扶助」
「歓迎」
「愛情」です。
私は、黒部市に暮らしてまだ1箇月です。この都市の不思議の表面を引っかいたに過ぎま
せん。私が書くことができる遥かに多くのものが黒部市にあります。食べ物のことだけでも
さらに5ページを必要とするでしょう。また、たくさんの文化的・国際的なイベントが実施
されています。このレポートを終えるにふさわしいまとめの言葉がありません。なぜなら、
黒部市は絶え間なく成長し、変化しているからです。従って、私の新しい故郷に関するレポ
ートのとりあえずのまとめとして、
「黒部市が都市として成長するように、私も人間として成
長したいと思います。
」