特集3 肱 川 と と も に 歩 む ス ポ ー ツ ―「大洲市 = 肱 川 = カ ヌー」― が、最 大 の 特 徴 は、後 ろ 向 き に 進 む ボ ー ト と違って、 「前向き」に進むことである。 肱川とカヌー 22 23 大洲カヌー 谷野 秀明 クラブ会長 スポーツ に お い て も、 ジュニアトライアスロ ン大会やカヌーツーリ ング駅伝大会、ドラゴン ボート大会などが行わ れ て い る。特 に カ ヌ ー ツ ーリング 駅 伝 大 会 は、 回 を 数 え、毎 年、約 300名の選手が肱川 を舞台にパドルを漕ぎ 合う。 と り わ け「 レ ジ ャ ー カ ヌ ー」は、国 立 大 洲 青 少年交流の家の野外体 験活動の一環として取 り入れられ、県内外から多くの児童や生徒、 一 般 の 方 々 が 体 験 さ れ て い る。肱 川 ツ ー リ ン グ や カ ヌ ー 教 室 な ど は、大 洲 市 カ ヌ ー 協 会や県立大洲高等学校カヌー部もサポート し な が ら、青 少 年 交 流 の 家 と 一 緒 に な っ て 活 動 を 展 開 し、地 域 に 根 ざ し た 取 り 組 み を 行っている。 平 成 年 か ら は、大 洲 市 が 窓 口 に な り、 愛媛県カヌ ー協会、 大洲市カヌ ー協会、 大洲カヌー 同好会所属 8 2013.1 緊張のスタート (2012.7 山梨 B&G 大会) 肱 川 は、市 の 中 心 部 を 貫 流 し、市 の シ ン ボ ル で あ る 大 洲 城、つ つ じ の 開 花 で 赤 く 染 とみ す やま まる冨士山やミシュラングリーンガイドで 1 つ 星 に 選 ば れ た 臥 龍 山 荘 を 望 む。ま た、 う か い や 花 火 大 会、い も た き、肱 川 あ ら し など、四季折々の風物詩がある。 大洲城とカヌー(ホリデーインカヌー) カヌーって カ ヌ ー は、人 類 最 古 の 舟 と さ れ、最 も 古 いもので6千年前のものが王墓に残される な ど と て も 歴 史 が あ る。人 類 の 生 活 に 根 差 し た 最 も 古 い 道 具 の 1 つ で あ る が、あ ま り 知られていない。 オリンピックの正式種目でもあるカヌー は、ヨ ー ロ ッ パ や ア メ リ カ な ど で は、人 気 の あ る ス ポ ー ツ だ が、日 本 で は ま だ ま だ 認 知されていない状況にある。 カ ヌ ー に は、漕 ぎ 手 が 座 る コ ッ ク ピ ッ ト 以外は甲板で覆わ れ、シャフト(棒)の 両 端 に ブ レ ー ド( 水 掻 き )の 付 い た パ ド ル( 舷 に 固 定 さ れ て い な い 一 種 の 櫂 )を 用 い る「 カ ヤ ッ ク 」 と、艇に甲板が無く、 片端にブレードの付 いたパドルを用いる 「カナディアン」の2 種 類 が あ る。カ ヌ ー は、こ の パ ド ル を 用 いて艇を進ませる 大洲北中学校カヤックペア(青) !? 特集 青 少 年 交 流 の 家 と タ イ ア ッ プ し、修 学 旅 行 生 の カ ヌ ー 体 験 を 受 け 入 れ、2 0 1 2 年 は 6校243名の生徒らがカヌーに親しんで いる。 また、大洲市におけ る体験型観光のメー ンとして、大洲カヌー 同好会が主催してい る「 ホ リ デ ー イ ン カ ヌー」がある。 これは、えひめ町並 博2004の自主企 画イベントプログラ ムの一つとして企画 したもので、9年間続 いている。大洲に訪れ る観光客をターゲッ トとして交流人口の 拡大を目指し、大洲城 や冨士山など風光明 媚な景色を眺めなが ら、カヌー体験ができ る。町 並 博 期 間 中 は 250名ほど、ここ数 年は予約制としたこ ともあり、年間 名程 度の方に体験しても らっている。 「競技カヌー」 一方、 に お い て は、国 体 を は じ め 各 年 代 の 全 国 大 会 に 参 加 し て お り、過 去 に は 世 界 選 手 権 に 出 場 し た 選 手 を 輩 出 し、市 内 に 在 住 し て い る 経 験 者 は、現 在 も カ ヌ ー の 指 導 者 と !! し て 活 躍 し て い る。ま た、大 洲 高 校 で は、 1 9 8 7 年 に 同 好 会 を 設 立 し、1 9 9 0 年 に部に昇格した県内唯一の「カヌー部」があ り、2 0 1 7 年 に 開 催 さ れ る 愛 媛 国 体 に 向 けての強化指定校にもなっている。 このように大洲市のまちの中心部 を流れる肱川は、水量が豊富なうえカ ヌーには抜群な環境であり、子どもか ら大人まで地元住民だけでなく観光客 等に対しても、官民が一体となってカ ヌーの普及とカヌー人口の拡大を図っ ている。 愛媛国体で地元選手を表彰台へ 2012.5 中国レガッタ(広島県) 2017年に開催される愛媛国体に おいて、大洲市の鹿野川湖ではカヌー スプリント競技が開催される予定であ る。地 元 の 選 手 を 育 成 強 化 し、来 る 愛 媛国体での優勝を目指して、2011 年に愛媛県カヌー協会の下部組織とな る「大洲カヌークラブ」を立ち上げた。 現在、小中学生 名とその保護者が一 緒になって土曜日、日曜日を中心にカ ヌーの練習を行い、全国大会をはじめ 各種大会に参加している。練習場所は 市の中心部ということで練習環境にも 恵 ま れ、め き め き と 実 力 を 上 げ、今 年 の7月末に山梨県で開催された全国小 学生大会では、6位に入賞した選手もおり、 さらなる飛躍を目指して練習に励んでい る。 ク ラ ブ の 活 動 方 針 と し て は、水 の ス ポ ー 2012.10 OHK 杯(坂出市) 15 ツ と い う こ と も あ り、万 が 一 と い う こ と も 考 え、① き ま り・ 約 束 事 は 必 ず 守 る、② マ ナ ー や 礼 節 に 対 す る 心 構 え、③ 練 習 場 所 で もある肱川をはじめとしたクリーン活動へ の 取 り 組 み 等 を 指 導 し て い る。さ ら に は カ ヌーを通して郷土に愛着を持ってもらうこ とを念頭に活動している。 大洲市=肱川=カヌーの方程式 カヌークラブは立ち上げて1年半ほどで あ る が、子 ど も 達 は 着 実 に カ ヌ ー を 好 き に な っ て い る。そ こ か ら、生 ま れ 育 っ た 地 域 に 愛 着 を 持 ち、誇 り に 思 う よ う に な り、こ の よ う な 活 動 を 通 し て、地 域 と 一 体 と な っ て、い い 選 手 や 人 材 も 育 て て い け れ ば と 考 えている。 ホ リ デ ー イ ン カ ヌ ー や ク ラ ブ・ 大 洲 高 校 の 練 習 拠 点 は「 肱 川 」で あ る。肱 川 橋 を 行 き 交 う 人 々 や 地 域 の 方 々、市 民 に と っ て、 カ ヌ ー は 身 近 な ス ポ ー ツ で あ り、大 洲 市 を 代 表 す る 地 域 ス ポ ー ツ と し て、 「肱川のカ ヌ ー」を こ れ ま で 以 上 に 定 着 で き れ ば と 熱 い想いを抱いている。 「大洲市に肱川有り、肱川にカヌー また、 有り。」と認知されるように、1艇でも多く の カ ヌ ー を 肱 川 に 浮 か べ、地 元 住 民 だ け で は な く 観 光 客 に も「 カ ヌ ー」を 見 て も ら い、 肱川・カヌーを肌で感じてもらいたい… そ し て、で き る だ け 多 く の 人 に、生 涯 ス ポーツであるカヌーの魅力を体感してもら い、 「大洲市=肱川=カヌー」の方程式が成 り立つように今後も活動していきたい。 2013.1 9 地域に根ざした スポーツクラブ 50
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