ポートフォリオ・マネージャーが語る、銘柄選択の切り口 - フィデリティ投信

販売用資料
日本株スペシャルレポート
ポートフォリオ・マネージャーが語る、銘柄選択の切り口 ②
フィデリティ投信株式会社
2010年8月23日
日本株相場は、リーマンショック以降、回復の兆しが見えたものの、引き続き日経平均は10,000円を
下回る水準が続いており、なかなか力強い回復基調にのれないのが現状です。
こうした環境の中、フィデリティのポートフォリオ・マネージャーたちは投資環境をどう見ているのか、
どんなところに日本株投資の魅力を見出しているのか、を3回にわたってお伝えする第2回です。
(以下は、7月に行われた「フィデリティ セールス サミット」の講演の内容を再構成したものです。)
2人のポートフォリオ・マネージャーがお話します。
海老原 佐京(えびはら さきょう)
「フィデリティ・日本株・アクティブ・ファンド」などの運用を担当
短期的な調整は、むしろ魅力的な銘柄をポートフォリオに組み入れる好機
檜垣 慎司(ひがき しんじ)
「フィデリティ・日本小型株・ファンド」の運用を担当
景気の良し悪しや為替の動向に関係なく、伸びる会社は常にある
(聞き手はフィデリティ投信 ディレクター・オブ・リサーチ 三瓶裕喜(さんぺい ひろき))
日本企業は競争力を失ってしまったのか?
下図の通り、日本と韓国を比較すると、どの業種においても国内市場の規模は日本のほうが大きいものの、1業
種あたりの企業数が多いため、1社あたりの国内市場規模は韓国のほうが1.5倍∼4倍も大きくなっています。
日本企業が国内競争で消耗してしまっている一方で、国内で寡占化が進んでいる韓国企業は自国市場で稼いだ収
益を足場にグローバル展開しています。日本の競争力は韓国に劣後してしまったのでしょうか?
日本と韓国の比較<日韓の市場規模比較>
日本
主要企業数
市場規模
日韓比較
韓国
市場規模/1社
主要企業数
市場規模
市場規模/1社
市場規模
/1社
韓国:日本
乗用車
鉄鋼
携帯電話
電力
石油元売
6社
423万台
70万台
4社
76百万㌧
19百万㌧
(新日鉄他)
6社
(シャープ他)
10社
(東電他)
9社
(新日石他)
1社
102万台
102万台
1.5 : 1
58百万㌧
29百万㌧
1.5 : 1
2,250万
台
1,125万台
2.2 : 1
3,500億
kwh
3,500億
kwh
3.9 : 1
2,291千
b/d
573千
b/d
1.1: 1
(現代・起亜)
(トヨタ他)
2社
(ポスコ他)
2社
3,100万
台
516万台
8,900億
kwh
890億
kwh
(韓国電力)
4,845千
b/d
538千
b/d
(SK他)
(サムソン他)
1社
4社
日本より国内
市場の小さい
韓国の方が、1
社当たりの国
内市場は大き
い。
(注)携帯電話は2009年見込み値。その他は2008年実績値。鉄鋼の主要企業:世界粗鋼生産トップ40位内の企業数。乗用車の主要企業:国内販
売20万台以上の企業数
出所:経済産業省「日本の産業を巡る現状と課題」、各種資料よりみずほコーポレート銀行産業調査部作成
データ:2010年2月
当資料に記載されている個別の銘柄・企業名については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等の売買を推奨す
るものではありません。また、当社ファンドへの組み入れをお約束するものではありません。本文中の数値は各種資料よりフィデリティ調べ。
1
最終ページの「ご注意点」を必ずご確認ください。
販売用資料
フィデリティ投信株式会社
(前頁に続く)
檜垣
各々の国内市場だけを見ると、韓国携帯電話メーカーの規模は日本の2倍強となりますが、実際の差はこ
んなものでは済みません。日本の携帯電話メーカーはほとんど輸出をしていないので、生産台数は3,000
万∼4,000万台止まりです。一方、韓国のサムソン、LGは合わせて世界シェアの30%程度を占めており、年間計約3
億台を生産しています。日本の6社で3,000万台と韓国の2社で3億台という生産規模の格差があっては、残念ながら
全く競争になりません。これが完成品分野の実態ですが、その中に組み込まれている部品を調べると全く違った姿が
見えてきます。
これは自動車分野における例になりますが、私の保有銘柄の1つにプラスチック製の留め具を製造するニフコという
企業があります。環境対応で自動車を軽量化するニーズからこれまでの金属に代わってプラスチック製の留め具の需
要が高まっていますが、ニフコは日系自動車メーカーだけでなく現代自動車などにも部品を納入し成長しています。こ
のように、日本企業の競争力が低下しているように見えても、「完成品で韓国企業が成長しても、中の部品は日本製で
共に成長する」といった具合に、まだまだ日本の競争力が高く、成長している分野を見つけることは、ボトム・アップの
企業調査によって可能です。
リチウムイオン電池のような新しい技術でも日本が凋落傾向にあると言われていますが?
檜垣
携帯電話などで使われるいわゆる民生用と、自動車用とは競合状況が違うと考えています。携帯電話は2
∼3年で新しいものに買い換えられることが多く電池の寿命が問題になりにくいため、中国や韓国などの新
興企業が入り込みやすい分野といえます。しかし電気自動車用の場合は、最低でも10年程度は使用できることを目指
すため、信頼性に優る日本企業が強みを発揮します。また、リチウムイオン電池を構成する材料分野でも、日本企業
は引き続き強い競争力を持っています。やはり私の保有する銘柄に戸田工業という正極材メーカーがありますが、日
系企業で唯一その技術力を認められて米国政府から電気自動車開発のための補助金を受けることとなり、北米に工
場を作って事業展開しようとしています。因みに補助金を受ける韓国企業はありません。リチウムイオン電池材料の分
野では日本企業の技術が5∼10年程度は先行していると評価しています。
海老原
確かに、ソニーがリチウムイオン電池を開発、商用化した頃のシェア100%に比べれば、現在のシェアは
50%程度にまで低下しています。しかし、海外メーカー製の電池でも中を開けて見ると、性能を左右する鍵
となる材料においては9割以上が日本製であったりします。なぜでしょうか?リチウムイオン電池の材料は普通の電子
部品とは違って、微妙な加減で変わってしまう化学反応を細かく調整していかないと作れないものであり、長い開発期
間と高度な製造ノウハウが必要とされるものです。ボルドーワインは、長年かけて作った最適な土壌と熟練した職人技
術の賜物であるそうですが、リチウムイオン電池材料の製造にはそれ以上の難しさがあるとも言われており、一朝一
夕に真似できるものではないのです。
当資料に記載されている個別の銘柄・企業名については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等の売買を推奨す
るものではありません。また、当社ファンドへの組み入れをお約束するものではありません。本文中の数値は各種資料よりフィデリティ調べ。
2
最終ページの「ご注意点」を必ずご確認ください。
販売用資料
フィデリティ投信株式会社
自動車が普及し始めたばかりの中国でも現地資本メーカーが電気自動車を開発しているように、今はまだ差が
あっても、あっという間に追いつかれてしまうという懸念はないですか?
海老原
そのような中国企業では、電気自動車を開発するとともにリチウムイオン電池にも積極的に投資を行って
いますが、材料はやはり日本製が多く使われているようです。また実際に試乗した者に聞くと、電気自動車
であれば通常はスポーツカーよりも優れているといわれる加速性能が、普通のガソリン車にも劣るということです。日
本メーカーなど電気自動車で先行している企業と比較すれば技術水準の違いは明らかであり、まだ先進国で受け入
れられるレベルには達していないと判断しています。
製造業以外や内需系の分野でも、今後の成長が見込まれる企業はありますか?
檜垣
小型株には内需系の企業も多く、成長が期待できるビジネスもたくさんあります。インターネットはここ10年
で社会に様々な変化をもたらしてきましたが、最近ではソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上に
おけるゲーム関連のビジネスが大きく伸びています。私の保有銘柄でいえば、携帯電話を通じて無料のゲームを提供
するグリーなどがこれに該当します。
例えば釣りのゲームにおいては、ただ一人で釣りをするだけではなく、釣った魚の数や種類が点数化され、同時に
ゲームをしている人同士で順位を競うことができるようになっています。順位を上げるためには、お金を使って良い餌
や良い釣竿を揃え、珍しい魚をたくさん釣らなければいけません。良い餌、良い釣竿といってもデジタルですから、ゲー
ム会社としてはほぼタダのコストで売上を稼ぐことが出来ます。約2,000万人いる会員のうち、仮に10人に1人がこのよ
うな積み重ねで月3,000円程度使うと考えただけでも、大きな収益機会となります。携帯電話のゲームが新しい娯楽と
して広がりを見せているなか、とても魅力的なビジネスモデルが構築されていると考えています。
海老原
アップル社のiPhoneが世界で大ヒットしていますが、そもそも携帯電話上でアプリケーションを提供して使
用者に課金するというビジネスモデル自体は、NTTドコモが開発した日本発の仕組みですし、グリーや
ディー・エヌ・エーのようなSNS関連銘柄は、この「使用者に課金する」というビジネスモデルを活用して成長している、
世界でも数少ない上場企業です。このように考えますと、日本のモバイル・インターネット・ビジネスは世界に先行して
進んできたといえます。インターネット分野で積極的に世界展開して成長する日本企業が今後出てくる可能性は充分
にあるわけでして、次のアップルは日本から生まれてもおかしくないと思っています。
<③に続く>
当資料に記載されている個別の銘柄・企業名については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等の売買を推奨す
るものではありません。また、当社ファンドへの組み入れをお約束するものではありません。本文中の数値は各種資料よりフィデリティ調べ。
3
最終ページの「ご注意点」を必ずご確認ください。
販売用資料
フィデリティ投信株式会社
ご注意点
● 当資料は、信頼できる情報をもとにフィデリティ投信が作成しておりますが、正確性・完全性について当社が責任を負う
ものではありません。
● 当資料に記載の情報は、作成時点のものであり、市場の環境やその他の状況によって予告なく変更することがあります。
また、いずれも将来の傾向、数値、運用結果等を保証もしくは示唆するものではありません。
● 当資料に記載されている個別の銘柄・企業名については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は
企業の株式等の売買を推奨するものではありません。
● FIL LimitedおよびFMR LLC とそれらの関連会社のネットワークを総称して「フィデリティ」ということがあります。
● 当資料にかかわる一切の権利は引用部分を除き当社に属し、いかなる目的であれ当資料の一部又は全部の無断での
使用・複製は固くお断りします。
● 投資信託のお申し込みに関しては、下記の点をご理解いただき、投資の判断はお客様自身の責任においてなさいます
ようお願い申し上げます。なお、当社は投資信託の販売について投資家の方の契約の相手方とはなりません。
● 投資信託は、預金または保険契約でないため、預金保険および保険契約者保護機構の保護の対象にはなりません。
● 販売会社が登録金融機関の場合、証券会社と異なり、投資者保護基金に加入しておりません。
● 投資信託は、金融機関の預貯金と異なり、元本および利息の保証はありません。
● 投資信託は、国内外の株式や公社債等の値動きのある証券を投資対象とし投資元本が保証されていないため、当該
資産の市場における取引価格の変動や為替の変動等により投資一単位当たりの価値が変動します。従ってお客様の
ご投資された金額を下回ることもあります。又、投資信託は、個別の投資信託毎に投資対象資産の種類や投資制限、
取引市場、投資対象国等が異なることから、リスクの内容や性質が異なりますので、ご投資に当たっては目論見書や
契約締結前交付書面を良くご覧下さい。
●ご投資頂くお客様には以下の費用をご負担いただきます。
・申込時に直接ご負担いただく費用・・・申込手数料 上限 3.675%(消費税等相当額抜き3.5%)
・換金時に直接ご負担いただく費用・・・信託財産留保金 上限 1%
・投資信託の保有期間中に間接的にご負担いただく費用・・・信託報酬 上限 年率2.0265%(消費税等相当額抜き1.93%)
・その他費用・・・・・・上記以外に保有期間等に応じてご負担頂く費用があります。目論見書、契約締結前交付書面等で
ご確認ください。
ご注意)上記に記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。費用の料率に
つきましては、フィデリティ投信が運用するすべての公募投資信託のうち、徴収する夫々の費用における最高の料率を
記載しておりますが、当資料作成以降において変更となる場合があります。投資信託に係るリスクや費用は、夫々の投資
信託により異なりますので、ご投資をされる際には、事前に良く目論見書や契約締結前交付書面をご覧下さい。
フィデリティ投信株式会社
金融商品取引業者:関東財務局長(金商)第388号
加入協会:社団法人投資信託協会、社団法人日本証券投資顧問業協会
IM100819-2
4