米国ハイ・イールド債券の投資環境と相場見通し(PDF

2014年7月
販売用資料
スペシャル・レポート
米国ハイ・イールド債券の投資環境と相場見通し
フィデリティ投信株式会社
米国ハイ・イールド債券は、良好な米国企業の信用力を反映して適正な水準にあると考えられ、
今後も堅調な推移が期待されます。
「米国ハイ・イールド債券相場は割高では?」「金利が上昇しても大丈夫?」「円安は続くの?」など、
今の相場環境を取り巻く様々な疑問にお答えします。
【そこが知りたい相場のポイント】

Q1 米国ハイ・イールド債券相場は割高ではないのでしょうか?
米国ハイ・イールド債券相場は経済環境に沿った水準にあり、適正水準と考えることができます。
(詳しくは2ページのQ1をご覧ください。)

Q2 利上げが行われた場合の米国ハイ・イールド債券相場への影響は?
米国ハイ・イールド債券相場は利上げ局面および金利上昇局面で一層上昇する傾向があります。
(詳しくは3ページのQ2をご覧ください。)

Q3 投資にあたって、米ドル円相場をどう考えれば良いでしょうか?
円安傾向に追い風となる環境が整っています。
(詳しくは4ページのQ3をご覧ください。)
【2014年前半の相場動向】
米ドルベースでは着実に上昇してきた米国ハイ・イールド債券相場
 好調な米国経済や米国企業業績を背景に、2014年前半(1月~6月)の米国ハイ・イールド債券相場の米ド
ルベースのトータル・リターン(価格変動と金利収入の合計)は約+5.6%でした。ウクライナ情勢の緊迫化な
ど、外部環境悪化の影響を受けながらも、期間中概ね上昇基調を維持しました。
 円ベースの米国ハイ・イールド債券相場は、円高(2013年12月末
1米ドル=約105.11円→2014年6月末 1米
ドル=約101.31円。約3.6%の円高)の影響により約+1.8%の上昇に留まりました。
 米国ハイ・イールド債券相場は健全な市場環境を背景に、これまで通り堅調に推移しています。また米国投
資家の投資意欲も2014年は安定しています。
(為替レートはWMロイター、小数点以下第3位で四捨五入。)
●米国ハイ・イールド債券相場と米ドル円の推移
●ハイ・イールド債券に投資する米国ミューチュアル
ファンドへの資金流出入
(指数)
108
106
112
米国ハイ・イールド債券(米ドルベース)(左軸)
米国ハイ・イールド債券(円ベース)(左軸)
米ドル円(右軸)
104
102
110
(億米ドル)
20
15
108
10
(円)
5
106
100
104
98
25
0
‐5
‐10
102
96
‐15
‐20
94
13年12月
14年2月
14年4月
100
14年6月
2013年
年間
2014年1月
2月
(注)RIMESよりフィデリティ投信作成。【左グラフ】2013年12月末~2014年6月末。米国ハイ・イールド債券は期間初を100として
指数化。米ドル円は実数値。WMロイターを使用。【右グラフ】Bloombergよりフィデリティ投信作成。
1
※記載は2014年7月時点の投資環境の見方です。今後の相場を保証または示唆するものではありません。
また予告なく変更されることがあります。最終ページの「ご注意点」を必ずお読みください。
3月
4月
5月
2014年7月
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米国ハイ・イールド債券の投資環境と相場見通し
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【そこが知りたい相場のポイント Q1】
米国ハイ・イールド債券相場は割高ではないのでしょうか?
 米国ハイ・イールド債券の利回りは通常米国国債の利回りより高く、この利回りの差をスプレッド(上乗せ
金利)と呼びます。スプレッドが縮小しているほど、米国国債に対して米国ハイ・イールド債券の利回りが低
下している(価格は上昇している)ことを意味します。
 2014年6月末の米国ハイ・イールド債券の利回りは5.8%で、スプレッドは3.3%と過去平均の5.4%より低い
水準まで縮小しています。しかし、直近のデフォルト率も1.9%と過去平均の4.9%より低く、過去最低水準で
す。したがって、現在の米国ハイ・イールド債券相場は、信用リスクの低下に見合った水準にあり、適正水
準と考えることができます。
 スプレッドが現在と同じ4%未満の水準で推移した局面は、90年以降下のグラフのように大きく2回ありま
す。どちらも景気拡大および利上げ局面で、低いデフォルト率を支えに、米国ハイ・イールド債券相場は堅
調に推移しました。また、概ね3~4年はスプレッドは低位安定しています。
 したがってデフォルト率が低い水準にとどまれば、過去同様に、今後数年はスプレッドは低位安定し、金利
収入を中心とした堅調な相場推移が期待できると考えます。
●米国ハイ・イールド債券の上乗せ金利(スプレッド)とデフォルト率
20%
スプレッドが4%未満の時期
米国ハイ・イールド債券指数のスプレッド
デフォルト率
スプレッド平均
デフォルト率平均
18%
16%
14%
12%
10%
8%
(平均)5.4%
(平均)4.9%
6%
4%
3.3%
1.9%
2%
0%
88年12月
91年12月
94年12月
97年12月
00年12月
03年12月
06年12月
09年12月
(注)Bloomberg、Moody’s、RIMESな
どよりフィデリティ投信作成。期間は
1988年12月末~2014年6月末。過去
平均も同期間で算出。スプレッドは、
小数点第2位で四捨五入した米国ハ
イ・イールド債券指数と米国10年国
債の利回りの差。1988年12月末~
1996年11月末は米国ハイ・イールド
債券はバンクオブアメリカ・メリルリン
チ・USハイ・イールド・・インデックス。
米ドルベース。デフォルト率は
Moody’sよ り( 過 去12 カ 月、発 行 体
ベース)。
12年12月
米連邦準備制度理事会(FRB)は、米国企業の債務拡大をどのよう
に考えているのでしょうか?
この点については、様々な見方があります。今回は実際に米国ハイ・イールド債券を運用しているフィデリティ
の運用担当者の見方をお伝えします。
 イエレンFRB議長は、6月18日の議会証言で、米国企業が低金利金融の継続を過信し
て、債務を著しく拡大することに警戒的な発言を行いました。FRBとしては、資産バブルを
抑制するために利上げに追い込まれることは避けたいので、早めに警告的な発言を行っ
たと思われます。
 一方、イエレン議長は、「FRBは現在の米国企業の債務が過剰とは決して考えていな
い。」と発言しており、現状に懸念を持っているわけではありません。
フィデリティの
米国ハイ・イールド債券
の運用担当者
ハーリー・ランク
2
 米国ハイ・イールド債券発行企業の資金調達は確かに増加していますが、その金利コス
トは過去に比べて著しく低いので、信用力が損なわれているわけではありません。むしろ
足元の堅調な企業収益を考慮すれば、企業の返済能力はむしろ上昇していると言えま
す。市場全体は健全で安定した状況にあると考えています。
※記載は2014年7月時点の投資環境の見方です。今後の相場を保証または示唆するものではありません。
また予告なく変更されることがあります。最終ページの「ご注意点」を必ずお読みください。
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米国ハイ・イールド債券の投資環境と相場見通し
2014年7月
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【そこが知りたい相場のポイント Q2】
利上げが行われた場合の米国ハイ・イールド債券相場への影響は?
●景気局面と金融政策のイメージ図
2014年6月
①回復期
ゼロ金利 (経過期間) (利上げ検討期間)
低水準の政策金利
②拡大期
③過熱期
標準的な政策金利
高水準の政策金利
量的緩和
●利上げ局面と米国ハイ・イールド債券指数の推移
(グラフ1)
1,600
米国ハイ・イールド債券
 2013年12月に米連邦公開市場委員会
(FOMC)は量的緩和の規模の縮小を決定し、
2014年に入って継続的に縮小しています。秋
口には量的緩和は終了すると見られていま
すが、その後もFRBは、ゼロ金利政策を半年
間は継続し、その後に景気動向をにらみなが
ら、利上げを慎重に判断するという姿勢を明
らかにしています。
800
400
 実際に利上げが行われても、過去2回の利上
200
(%)
10
利上げ
期間
利上げ期間
8
6
 また過去の実績では、米国ハイ・イールド債
4
政策金利
2
米国長期金利
0
93年5月 95年5月 97年5月 99年5月 01年5月 03年5月 05年5月 07年5月 09年5月 11年5月 13年5月
(注)RIMESよりフィデリティ投信作成。期間は1993年5月~2014年6月。政策金利
はFF金利。米国長期金利は10年国債。1994年6月より。利上げ期間は政策金利が
最初に引き上げられた時点から最初に引き下げられた時点まで。米国ハイ・イー
ルド債券は対数グラフで表示。
●金利の局面と米国ハイ・イールド債券指数の騰落率
(グラフ2)
局面
四半期数
平均指数騰落率
(年率)
金利上昇局面
23
14.40%
金利低下局面
23
7.39%
(注)RIMESよりフィデリティ投信作成。局面判断はバンク
オブアメリカ・メリルリンチ・10年USトレジャリー・インデック
スを使用。期間は2002年12月末~2014年6月末。
3
げ局面(1994年、2004年)では好景気による
企業の業績向上を期待して米国ハイ・イール
ド債券相場はむしろ上昇しています。
(グラフ1)
券は、金利が上昇した局面の方が、金利が
低下した局面より、平均騰落率が高くなって
います。
(グラフ2)
 これは、金利上昇局面は、景気や企業収益
が堅調であることが多く、企業の信用リスク
が低下しているからです。米国ハイ・イールド
債券相場は企業の信用力の影響を受けて推
移しており、信用リスクが低下すれば相場が
上昇する傾向にあります。
 今後利上げ局面に入り、金利が上昇する局
面になっても、米国ハイ・イールド債券相場
は堅調な企業収益に沿って堅調に推移する
と思われます。
※記載は2014年7月時点の投資環境の見方です。今後の相場を保証または示唆するものではありません。
また予告なく変更されることがあります。最終ページの「ご注意点」を必ずお読みください。
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米国ハイ・イールド債券の投資環境と相場見通し
2014年7月
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フィデリティ投信株式会社
【そこが知りたい相場のポイント Q3】
投資にあたって、米ドル円相場をどう考えれば良いでしょうか?
 米ドル円相場には、円安になる可能性を高める、いくつかの環境面の要因があります。
●世界株式と主要通貨の対円レートの推移
円安
世界株高
 過去米ドル円相場はリスク資産の動きと連動
160
140
130
120
米ドル(左軸)
150
ユーロ(左軸)
140
世界株式(右軸)
130
してきました。リスク資産が下落すると、退避
的に円が買われる消去法の円高が起こり、リ
スク資産が上昇すると、資金は円から各国通
貨へ流出し円安となりました。世界株式が上
昇する局面では米ドルやユーロは対円で上
昇し、円安となっています。
120
110
110
100
100
 今後、米国の景気拡大を背景に米国株式や
90
90
米国ハイ・イールド債券などのリスク資産が
上昇すれば、円安になりやすい環境となる可
能性があります。
80
円高
80
10年12月
11年7月
12年2月
12年9月
13年4月
13年11月
70
14年6月
世界株安
(注)RIMESよりフィデリティ投信作成。期間は2010年12月末~2014年6月末。
期間初を100として指数化。
米国金利
上昇(※)
●日米長期金利差と米ドル円相場
円安
(円)
6%
150
140
 また米ドル円相場は日本と米国の長期金利
の影響を受けてきました。日米長期金利差が
縮小すると円高となり、逆に日米長期金利差
が拡大すると円安となってきました。
130
4%
120
110
100
2%
90
`
70
0%
円高
60
94年6月
97年6月
00年6月
03年6月
06年6月
09年6月
12年6月
(注)RIMESよりフィデリティ投信作成。期間は1994年6月~2014年6月。
長期金利は10年国債。(※)日本金利を一定とした場合。
米国金利
低下(※)
日本の経常
収支悪化(※)
●日米経常収支差と米ドル円相場
円安
利が上昇すれば、円安になりやすい環境とな
る可能性があります。
80
米ドル長期金利-円長期金利(左軸)
米ドル円(右軸)
 今後、米国の景気拡大を背景に米国長期金
(兆米ドル)
(円)
0.0
150
140
‐0.2
130
 長期では米ドル円相場は日本と米国の経常
収支の影響を受けてきました。日米の経常収
支差が拡大すると円高となり、逆に日米の経
常収支差が縮小すると円安となってきまし
た。
120
‐0.4
110
‐0.6
100
90
‐0.8
80
`
70
‐1.0
日米経常収支差(左軸)
円高
‐1.2
87年12月
60
米ドル円(右軸)
 今後、日本の経常黒字が減少すれば、円安
になりやすい環境となる可能性があります。
50
93年12月
99年12月
05年12月
11年12月
日本の経常
(注) 米ドル円はRIMESよりフィデリティ投信作成。期間は1987年末~2013
収支改善(※)
年末。経常収支差はIMFの2014年4月予想データよりフィデリティ投信作成。
期間は1987年~2013年。(※)米国の経常収支を一定とした場合。
4
※記載は2014年7月時点の投資環境の見方です。今後の相場を保証または示唆するものではありません。
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米国ハイ・イールド債券の投資環境と相場見通し
2014年7月
フィデリティ投信株式会社
(ご参考)金利上昇局面の米国ハイ・イールド債券とバンク・ローンの比較
 バンクローンは米国ハイ・イールド債券より信用リスクが低いため、米国企業の信用リスクが高まり、米国ハ
イ・イールド債券が下落する局面では、バンクローンの方が下落率が少なくなる傾向があります。逆に信用リ
スクが低下し、米国ハイ・イールド債券が上昇する局面では、米国ハイ・イールド債券はバンクローンを上
回って上昇する傾向があります。
 Q2でご説明したように、金利上昇局面は、景気の拡大によって企業の信用リスクが低下する傾向があるた
め、米国ハイ・イールド債券相場は上昇しやすい傾向があり、過去の実績では、米国ハイ・イールド債券はバ
ンクローンを上回って上昇しています。
●金利上昇局面の米国ハイ・イールド債券とバンクローンの推移と期間別騰落率
350
①
③
②
8%
④
300
65.6%
70%
7%
米国ハイ・イールド債券
60%
6%
45.5%
50%
250
58.7%
バンクローン
5%
40%
200
4%
28.6%
30%
3%
150
2%
100
1%
50
0%
98年10月
00年10月
02年10月
04年10月
06年10月
08年10月
金利上昇局面
バンクローン(左軸)
10年10月
20%
10%
13.8%
9.2%
7.2% 6.8%
0%
12年10月
①
②
③
④
米国ハイ・イールド債券(左軸)
米国長期金利(右軸)
(注)RIMESおよびBloombergよりフィデリティ投信作成。期間は1998年10月末~2014年6月末。期間初を100として指数化。米国長期金利は実数値。米ドル
ベース。金利上昇局面は1年前よりも1%以上金利が上昇した月を含む期間を対象とし、当該期間において金利が最低値であった月を開始月、最高値であった
月を終了月とする。但し、金利が最高値に対して1%以上低下せずに、金利が再び上昇基調となった場合は、その後の最高値であった月を終了月とする。
(ご参考)米国ハイ・イールド債券と米国株式の比較
 過去、米国ハイ・イールド債券は米国株式と同様の動きとなってきました(※)。これは米国ハイ・イールド債
券相場が米国企業の収益力や信用力の影響を受けて推移しているからです。
 米国ハイ・イールド債券は、米国株式に比べて価格の動きはより安定していますが、高い利回りの効果で
過去の実績では米国株式と同様に長期的には上昇してきました。
 好調な米国経済や世界景気の回復を背景に、米国企業収益は今後数年好調が予想されており、今後も米
国ハイ・イールド債券相場は、高い金利収入が積み上がる効果によって底堅い推移が期待されます。
●米国ハイ・イールド債券と米国株式および予想企業収益
(指数)
(米ドル)
400
150
米国ハイ・イールド債券(左軸)
350
130
米国株式(左軸)
300
米国企業予想収益(右軸)
110
250
90
200
70
150
50
100
50
02年12月
5
(※)過去10年の米国ハイ・イールド債券と米国株式の相
関係数(米ドルベース)は0.73と高い水準です。また、四半
期騰落率で米国株式が上昇しているのに米国ハイ・イール
ド債券が下落した四半期は、過去10年間(40四半期)で1
回しかなく、米国ハイ・イールド債券が上昇しているのに米
国株式が下落した回数も5回にとどまりました。(2014年6月
末時点。)
(注)RIMESおよびBloombergよりフィデリティ投信作成。期間は2002年12
月末~2014年6月末。期間初を100として指数化。米ドルベース。米国企
業予想収益はS&P500種指数1年後予想収益を使用。Bloomberg予想
ベース。期間は2006年1月~2017年6月。
30
04年6月
05年12月
07年6月
08年12月
10年6月
11年12月
13年6月
14年12月
16年6月
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・換金時に直接ご負担いただく費用・・・信託財産留保金 上限 1%
・投資信託の保有期間中に間接的にご負担いただく費用・・・信託報酬 上限 年率2.0844%(消費税等相当額抜き
1.93%)
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金融商品取引業者:関東財務局長(金商)第388号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会
IM140718-3 CSIS140722-1
資料中グラフの注記に別途記載ない場合は以下の指数を使用しています。
米国ハイ・イールド債券: バンクオブアメリカ・メリルリンチ・USハイ・イールド・コンストレインド・インデックス。
米国10年国債:バンクオブアメリカ・メリルリンチ・10年USトレジャリー・インデックス。
米国株式:S&P500種指数。世界株式:MSCIワールド・インデックス。
バンクローン:S&P/LSTA レバレッジド・ローン指数。
なお米国企業収益はS&P500種指数の1年後予想収益を使用しています。
6