神経内科 科長のメッセージ 神経内科は頭痛、めまい、ふらつき、手足のしびれや脱力、言語障害などを扱い、何らかの形ですべての科と関わりがあり、他科 との連携の中で重要な役割を果たします。神経学は一生かかっても興味が尽きることのない分野です。当院で研修すれば、世界に 通用するNeurologistになれます。 科長 松井 真 教授 (まつい まこと) ◦専門分野 神経内科学 ◦得意な分野 神経免疫疾患 ◦職歴 京都大学助手( 1987 )、佐賀医科大学助手( 1991 ) 、佐賀 医 科 大 講 師( 1993 )、 国 立 療 養 所 宇 多 野 病 院 神 経 内 科 医 長 ( 1997 )、金沢医科大学神経内科学部門教授( 2005 ) ◦主な所属学会 日本神経学会、日本内科学会、日本神経免疫学会、日本神経治療 学会、日本末梢神経学会、日本脳卒中学会、日本認知症学会 ◦専門医資格等 日本神経学会専門医、日本内科学会認定医、日本脳卒中学会専門 医、日本認知症学会専門医 ◦研究課題 臨床神経学と神経免疫学に基づく免疫性神経疾患の病態解明とモ デル動物による新規治療法の開発 ◦研究の概要 臨床神経学に根ざした日常診療から、免疫機序の関与が推定され る疾患(神経免疫疾患)における問題点を明確にし、その病態機 序の解明と治療法の開発を行う。さらに、基礎免疫学に裏打ちさ れた最新の理論と手法を用いて、免疫性疾患モデル動物を作成し、 病因の解明と治療研究を行い臨床応用へ結びつける。 概要 神経内科では、主に脳・脊髄・末梢神経・筋肉の病気の診断と内科的な治療を担当している。再来は予 約制だが、初診時は予約なしの随時診療を行い、土曜は主に初診の患者の診療にあてている。すべてのス タッフが神経内科一般を診ており、頭痛やめまい・ふらつきをはじめ、手足のしびれ感や力が抜ける、さ らにはもの忘れや呂律がまわりにくいなどの症状について治療を行い、診察の結果、さらに検査・治療が 必要な診療科が判明した場合は紹介も行う。意識障害やけいれんなどの緊急性の高い疾患については24 時間対応。夜間救急の場合は、まず救急医療センターが対応にあたり、救急医の判断により当科医師が診 察している。特に脳卒中診療における迅速な連携強化が当面の重点項目である。 特徴・特色 北陸地方で最初に設立された神経内科で、40年以上の歴史を積む。大学病院ならではの先進医療を基 盤とし、救急では脳卒中や脳炎・けいれん発作などの病気を、通常外来では頭痛から神経難病まで幅広い 疾患を、最新機器を駆使して診断。また、最先端医療による診療や治験も積極的に行っている。特に神経 感染症や免疫性神経疾患の診断と治療では定評があり、病態解明の研究で成果を挙げている。 88 指導担当医 田中 惠子 (たなかけいこ) 富岳 亮 (とみおかりょう) 長山 成美 (ながやましげみ) ◦専門分野 臨床神経学、神経免疫学 ◦学会活動 日本内科学会、日本神経学会、日本神経治療 学会、日本神経免疫学会、日本神経病理学会 ◦専門分野 臨床神経学、神経免疫学、頭痛学 ◦学会活動 日本内科学会、日本神経学会、日本神経治療 学会、日本頭痛学会、日本神経免疫学会 ◦専門分野 臨床神経学、神経免疫学 ◦学会活動 日本内科学会、日本神経学会、日本神経治療 学会、日本神経免疫学会、日本神経心理学会、 日本脳卒中学会、日本免疫学会、日本神経救 急学会 教授 准教授 准教授 教育関連施設 病院名 所在地 静 岡 県 立 総 合 病 院 静岡市 720床 原田清神経内科部長 国立病院機構宇多野病院 京都市 400床 澤田秀幸臨床研究部長 福 院 福井市 620床 高野誠一郎神経内科部長 ㈶田附興風会北野病院 大阪市 707床 松本禎之神経内科部長 井 赤 十 字 病 規模 指導者 する。このような状況から、神経疾患の診断と治療を行うと プログラムの目的 ともに、疾患発症の予防も担当する神経内科医の需要が急速 に高まっている。同時に神経内科医は、未解明の疾患の原因 神経内科は本邦では内科の中の一専門分野と位置づけられ 究明の使命も担っている。 ている。実際、内科医としての素養なしに神経内科の診療を したがって当科では、臨床神経学全般をカバーできる有能 担当することは不可能である。しかし一方では、神経内科学 な神経内科医の育成とともに、 疾病の病態研究に従事したり、 は欧米でneurologyという独立した学問体系を形成してい あるいは保健所等が企画する難病相談などの社会医療に携わ る。Neurologistは、脳神経外科・整形外科・精神科・眼科・ ることで、より深く疾患を理解し患者ケアにも配慮できる良 耳鼻科さらには泌尿器科などの他科との連携を密に行うため 医の確立を目指している。 の該博な知識と経験を要求され、各科から頼りにされる専門 医である。 期間割(後期臨床研修開始後) 近年、人口の高齢化に伴い、脳卒中のみならず認知症やパー キンソン病などの寝たきり老人を増加させる要因として注目 1年次 されつつある疾病は、ほとんどが神経内科疾患(以下神経疾 神経内科病棟における入院患者診療(特に救急疾患) 患)である。さらに、頭痛やめまい・しびれといった日常自 各種検査所見の判読 覚されることが多い症状も神経内科医が扱う一方で、未だに 研究会・地方会レベルの症例発表 根本的治療がない難病指定の神経変性疾患が少なからず存在 89 2年次 神経内科病棟における入院患者診療(急性および慢性疾 患・検査入院など) 電気生理学的診断技術の習熟 特殊診断技術(生検等)の習得 地方会レベルの発表 3年次 神経内科病棟における入院患者診療 他科よりの対診対応 カンファレンス 末梢神経生検、筋生検法の習熟 神経画像診断—脳血管撮影の実践 学会総会レベルでの発表 研修内容: オプション: ・神経内科専門医の指導の下、主治医として数人の患者を受 他科(脳神経外科、放射線科、病理)での研修 教育関連施設での研修 け持つ ・部内の筋電図や末梢神経伝導速度検査を引き受ける ・院内の脳波・SEP・VEPの判読とレポートを担当する 研修内容と到達目標 ・地方会で症例報告を行う 第1年次 第3年次 到達目標:代表的神経疾患を約数十例経験する 到達目標: 習得すべき技能: ・神経内科専門医レベルの技量完成と知識の整理 ・神経学的診察を行い、検査および治療計画を立てる ・診断手技の習熟と専門的治療技術の習得 ・脳卒中・けいれん重積を含むneurological emergency ・神経内科における政策医療的側面の理解 への対処 ・脳波・筋電図・CT・MRIの所見を判読する ・腰椎穿刺 習得すべき技能: ・指導医の監視下で末梢神経生検を行い、病理所見を判読す る 研修内容: ・指導医の監視下で筋生検を行い、病理所見を判読する ・神経内科専門医の指導の下、主治医として5-10人の患 ・指導医の援助下で脳血管撮影を行う 者を受け持つ ・症例検討会で発表を行う ・神経病理標本を作成し所見を読む ・神経内科全般の様々な治療法に習熟する 研修内容: 第2年次 到達目標:診断手技の習得と解釈 習得すべき技能: ・機器を自ら操作し、筋電図や末梢神経伝導速度検査を行う ・機器を自ら操作し、脳波・SEP・VEPなどの検査を行う ・指導医の援助下で、末梢神経生検を行い、病理所見を判読 する ・指導医の援助下で、筋生検を行い、病理所見を判読する ・適切な画像検査を選択してオーダーし、その評価を行う ・神経内科専門医の指導の下、主治医として数人の患者を受 け持つ ・他科よりの対診依頼を受け指導医の監督下で返事を作成す る ・1・2年次後期臨床研修医の、電気生理学的検査手技習得 を支援する ・生検組織を適切に扱い病理組織切片を作成し教官指導下で 所見を記載 ・地域保健所等の主催する難病相談において上級医を補佐す る ・ある疾患について症例を集積して知見をまとめ、学会報告 90 を行う ・さらに、下記いずれかのオプション研修を選ぶことができ る 1)脳神経外科研修(3-4ヵ月) 2-1)の場合、社会人大学院入学時に神経学会会員の登録 をすれば、2年次に内科認定試験に合格した上で、4年 次には神経内科専門医を受験することが可能である。 2-2)の場合、昼間部大学院入学時に神経学会会員の登録 2)神経放射線研修(3ヶ月) をすれば、大学院修了後は医員として後期臨床研修に準 3)病理学教室で神経病理研修(3ヵ月) じたトレーニングを継続し、1年後に内科認定医の試験 4)他の地域中核病院で臨床研修(3-4ヵ月) に合格すれば、その翌年には神経内科専門医を受験する 資格が得られる。 プログラム修了後のコース 日本脳卒中学会脳卒中専門医 神経内科専門医資格を取得後は神経内科外来を担当し、入 2-1)社会人大学院の2年次までに日本脳卒中学会に入会 院では研修医の中間指導医となる。その後は個々の将来設計 すると、4年次終了後に神経内科専門医を取得し(7年 により様々な方向が考えられる。例として挙げると、 目)、さらにその翌年には脳卒中専門医を受験する資格 1)大学院へ進学し、学位取得後上級医として勤務。その後 が得られる。 希望により国内又は海外留学。 2)医員・助教として大学での診療・教育に携わりながら臨 床研究を継続する。 2-2)昼間部大学院の3年次までに日本脳卒中学会に入会 すると、8年目に内科認定医、9年目に神経内科専門医、 10年目に脳卒中専門医を取得することができる。 3)テーマを絞った臨床研修を目的として(たとえば慢性難 病患者が多い旧国立療養所系病院、あるいは急性期脳卒 日本認知症学会専門医 中を専門に扱う国立循環器病センターなど)、他施設で 2-1 )社会人大学院の2年次までに日本認知症学会に入会 勤務し専門領域の経験を深める。 すると、4年終了後の5年目に神経内科専門医を取得し ( 7年目)、さらにその翌年には認知症専門医を受験する 取得できる認定医、専門医(必要な期間) 資格と、その取得にかかわる概要 資格が得られるが( 8年目) 、受験の過去3年以内に一 度は認知症学会へ出席した実績が必要である。 2-2 )昼間部大学院の3年次までに日本認知症学会に入会 日本内科学会認定医 すると、8年目に内科認定医、9年目に神経内科専門医、 神経内科専門医資格を取得するためには、内科学会の認定 10年目に認知症専門医を取得することができる。ただ 医であることが必須条件である。 し認知症専門医受験の過去3年間に一度は認知症学会へ 出席した実績が必要である。 1)本学で初期臨床研修を受け、後期臨床研修プログラムに 内科認定医、神経内科専門医、脳卒中専門医、認知症学会 参加した場合には後期プログラムの2年目に受験して資 専門医を取得すれば、日本中どこへ行っても通用する。 格を得ることができる。 金沢医科大学病院は、神経内科専門医・脳卒中専門医・認 2-1)本学で2年間の初期臨床研修を終了し臨床系社会人 大学院に進んだ場合、大学院の2年目に受験して資格を 得ることができる。 2-2)同上、臨床系昼間部大学院に進んだ場合、4年間の 大学院を修了した後の1年間を当院神経内科で研修すれ ば翌年の試験を受けて資格を得る事ができる。 日本神経学会専門医 知症専門医の教育病院認定を受けている。 取得可能な認定医・専門医および指導医 日本内科学会認定医 3年以上 日本内科学会総合内科専門医 6年以上 日本神経学会専門医 6年以上 日本脳卒中学会脳卒中専門医 7年以上 日本認知症学会専門医 7年以上 1)の場合、後期臨床研修プログラム開始と同時に神経学会 会員登録をすれば、後期臨床研修プログラム終了後に受 験資格が成立する。 91 大学院進学と研究内容、概要、学位取得後 の道すじ 他科研修、他教室での研究 他科での研修 ・脳神経外科での研修 ・大学院進学後は原則として4年間で学位を取得することを ・放射線科での神経放射線研修 目指す。 ・病理学教室での神経病理研修 (研究内容:変性疾患の臨床病理、多発性硬化症や重症筋 ・他院での研修 無力症の免疫異常、脳卒中の臨床神経学、神経感染の免疫 病態と治療など) ・社会人大学院とは、学位の取得と専門医試験の準備を同時 並行で進めることを可能にする制度である。 ・研究のための海外あるいは国内留学は、学位取得後あるい 活躍する先輩達 は専門医資格取得後に、当人の希望と教室の実情に応じて 藤田 充世(ふじたみちよ) 機会が与えられる。 神経内科 助教 (これまで当教室と関係のあった海外の施設は、ハーバー ◦代表所属学会 日本内科学会、日本神経学会 ◦得意な分野 臨床神経学の修業中 ◦コメント 様々な患者さんを担当する中で、 当科や各科の先生方のバックアッ プにより、患者さんにとって、よ り良い診療が模索できていると感 じています。 ド大学、スタンフォード大学、ペンシルベニア大学、テキ サス大学、トロント大学、NIHなど) 週間スケジュール(下記は一例である) 午 前 92 午 後 月 新患病歴予診聴取 病棟診療・神経電気生理検査 火 教授回診 病棟診療 抄読会・症例検討会 水 病棟診療 末梢神経・筋生検 神内脳外合同症例検討会 木 出張病院診療 出張病院診療 金 神経放射線検査 病棟診療 土 新患病歴予診聴取
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