2013-716医療の歴史 臨床医学の歴史4:血液2 病態生理学 石橋賢一 1 2 3 4 凝固抑制系 トロンボモジュリン+プロティンC=(トロンビン)⇒活性型プロテインC • プロティンC+プロティンSはVIIIとV因子(補助因子)を分解する • プロティンSの欠損が日本人に多い(静脈血栓症を合併) P2Y12 5 5 6 特発性血小板減少症(ITP)の歴史 • • • • 7 • • • • • • • • • • • • • 血小板だけ減少:抗血小板抗体による寿命低下 1735年Worlhof(ドイツ)が出血(紫斑purple<porphyra<sea snail)記載:16歳女が 感染後に鼻出血と紫斑 1842年Donne(仏)血球3種記載:1874年Osler(カ)白血球の一部 1882年Bizzozero(伊)blutplaettchen血小板と命名:1883年Brohm血小板と紫斑 の関連:1891年エイムスがWorlhof病と血小板の関連 1890年Howell巨核球:1906年Wright巨核球ちぎれて血小板できる 1905年Marino動物に抗血小板抗体作成 1912年Duke出血時間と血小板数の関連 1915年Frankが脾臓の毒で巨核球障害:1916年Kaznelson(ポ)が脾摘で治療 1951年Harrington, Hollingsworth臨床実験で液性因子の証明 1951年Wintrobeステロイド, ACTH治療 1965年IgG:1982年Glanzmann症候群の血小板にはITP抗体つかない 1981年ガンマグロブリン大量投与 1994年TPOクローニング:1996年ITPでTPO正常か低い 2003年Treg異常でT細胞活性化:B細胞に抗体作らせる 2004年巨核球も自己抗体でやられる 2009年HCV, HIV,ピロリ菌の駆除、リツキシマブ newly diagnosed ITP, persistent ITP, chronic ITPの分類へ 8 Worlhof ITP患者(O型)の血清を注射して 血小板が一過性に減少:痙攣で3日入院 脳出血予防に座位で寝た。スタッフとガン末期患者8人 9 10 血小板機能(粘着・凝集)の歴史 • • • • • • • • • • • • • • • 1882年のBizzozero血小板粘着が血栓形成のもっとも最初の反応: Virchow は血小板の存在を認めず,血栓形成の血管内血液凝固説 血小板数減少・機能低下による出血性変化:凝集は免疫学的な特異現象:血餅退縮に血 小板が必要:偽足でアメーバ運動 1961年Hellem ADP(アデノシン二リン酸)によって血小板凝集:赤血球からの ADP の漏 出が凝集の引き金機構 ADP が血小板内濃染顆粒に:傷害血管壁に血小板が粘着すると変形し、細胞内顆粒が 開放小管系と接合して膜が破れて、開放小管系開口部を通じてADP が細胞外へ放出 血小板粘着能の測定:ビーズに粘着した数( 粘着には凝集した血小板が混ざっていた) 1962 年Born と O'Brien血小板凝集塊の出現を透光度変化として記録 1962年オスロのグレッテ血小板のトロンビン刺激でADPなど放出:2次凝集 1960~70 年代「血小板活性化」ADP,コラーゲン,カテコラミン,トロンビン,セロトニンな ど:cAMP がセカンド・メッセンジャーとして注目され,血小板内 cAMP 濃度が高いと反応 が抑制される:プロテインキナーゼ C の発見、カルシウム流入の意義やプロスタグランジ ン(PG)の働き 1975年サムエルソン(カロリンスカ)トロンボキサンA2命名 1976年ヴェイン(英)プロスタサイクリンが血管から:1982年ノーベル賞 生理的にはトロンビンが重要 1970~80 年凝集の最終段階に関与する血小板膜の糖蛋白分子(GP)が研究対象 1972 Caen先天的に凝集能を欠く血小板無力症(1918年)血小板膜に GPII b/III a がな い:粘着能を欠く Bernard-Soulier 症候群(1948年)血小板膜に GPI b/IX がない 1990 年代: 血流によるシェア・ストレスの意義や ADP,トロンビン,TXA2, コラーゲンな 11 どのアゴニストに対する受容体の構造 12 フォン・ヴィルブランド病 血友病の歴史 • vWF:血管内皮細胞・骨髄巨核球が産生:分子量25万の単量体が 重合して2,000万多量体 • 血小板のコラーゲン粘着 :vWFはVIIIと複合体形成 • 常染色体優性遺伝 :血友病に比べて出血症状は軽い(関節内出 血ない) :酢酸デスモプレシン(DDAVP)の静脈内投与は,vWF貯蔵 部位(血管内皮細胞)からvWFを血中へ放出させる( VIII因子も) • 1926年Eric von Willebrand(独)オーランド諸島のフォグロ 島で調査:血管性仮性血友病(血小板数正常で出血時間 延長) • 1918年スイスGlanzmannが血餅退縮おきない似た患者報 告 • 1953年vW病でVIII活性低下 • 1960s抗生物質リストセチンが血小板凝集:1971年vWFと 結合するためと • 1985年vWF因子の単離 13 • • • 1803年米国J.C.Otto血友病の家系を報告 1828年F.Hopffが命名:血友病(hemophilia):Virchow1854年 英国の ヴィクトリア女王の孫娘アレクサンドラとロシア皇帝ニコライII世との間に誕生した 皇太子アレクセイが関節出血を繰り返す血友病患者 • R.G.Macfarlane血友病Aと第Ⅷ因子の関連性 • 治療に新鮮血液(後に、新鮮血漿) • 1952血友病Bの区別 • 1944年、コーン(Cohn)らの研究により、エタノールによる血漿 タンパク質の分画法を発見 し、血液製剤開発 • 1964年J.D.Poolクリオプレシピテートの製法開発: 新鮮凍結血漿を融解するときの沈殿部分で、 第Ⅷ因子が血漿の数倍に濃縮、1967より治療に • 1979第Ⅷ因子濃縮製剤 • 1983年当時は献血を日本赤十字社が独占 血液分画製剤アルブミンのみ製造 • 薬害エイズ事件 血友病患者の45%1800人がHIVに感染 1983年から自己(家庭)注射 • 1985年以後は加熱製剤 • 1993遺伝子組み換え第Ⅷ因子製剤 14 凝固因子の歴史 • 1892:エストニアのシュミットがトロンビン発見 組織液がトロンビンを活性化:組織トロンボプラスチン • 1935プロトロンビン時間 • 1935尿に組織因子:血友病の治療に:カリクレインで低血圧で中止 • 1950sアンチトロンビン1~5のうち3 • 1954凝固因子の整理 • 1955ハーゲマン因子発見(XII):シカゴのラトノフ:ハーゲマンは鉄道員で落下して 骨折して入院中に肺塞栓で死(52歳) • 1987組織因子の解明 15 1856年:血栓形成の原因の 3 要因(Virchow'striad) ①血流の異常 ②血管内壁の異常 16 ③血液成分の異常 ヘパリン 17 • 1916年J.MacLeanジョンスホプキンス大医学生イヌの肝臓から抗 凝固成分を単離:脳のトロンボプラスチン(不安定)から肝臓に変え たら抗凝固物質 • 1936年JE Jorpesヘパリンはウロン酸・グルコサミンの単位の繰り 返し • 1973 RD Rosenberg, PS Damusヘパリンはアンチトロンビン(ヘパ リン協同因子)に結合してブースト • 1975血管内皮にもヘパリン様物質(ヘパラン硫酸) • 1976ビタミンK依存性蛋白のプロティンC分離 • 1977トロンビンによってプロティンCは抗凝固作用(Va, VIIIa分解): プロティンSとVの共存必要 • 1981トロンボモジュリン発見 • 1983Choay 5単糖でも 1988フォンダパリナックス:大腿骨頭骨折、 主要な膝または股関節置換術などの下肢の整形外科大手術を行う 患者での VTE 防止 • Andersson らは、ゲルろ過によって作り出した短い糖鎖のヘパリン 分子が APTT を延長しないが、まだ十分な抗 Xa 活性を示す:低分 18 子ヘパリンの開発 ワルファリン • • • • • • • 19 ビタミン Kに拮抗し,ビタミン K 依存性凝固因子である第 II,VII,IX,X 因子の産 生を抑制して,抗凝血作用を発現 1920年代,カナダや北部アメリカで発生したスィートクローバー病:トウモロコシ や他の牧草の代わりに、牛や羊の飼料として盛んに用いられ、牛が出血が止ま らなくなり次々と死亡 サイロに貯蔵されていた腐ったスィートクローバーによる:病状にはプロトロンビン の減少が関与 ウィスコンシン大学の生化学者Linkのところに持ち込まれ、スィートクローバーか ら出血誘発物質ジクマロールが分離された 1948 年Link らにより、ジクマロールをもとに、より作用の強い誘導体ワルファリ ン合成: 特許所有者の頭文字Wisconsin Alimni Research Foundationに, クマ リン(coumarin)系薬物の語尾 arin をつけ,warfarin 活性化ビタミン K(還元型ビタミン K)と構造がよく似ており、肝臓でのビタミン K の作用を拮抗的に阻害:凝固活性を有しない(Gla 残基のままの)凝固因子 (PIVKA-Protein Induced by Vitamin K Absence or antagonist) を増加させるこ とにより抗凝血作用、抗血栓作用 強力な出血誘発作用からもっぱら殺鼠剤として使用 20 1951年殺鼠剤として使用されていたワルファリンを自殺目的で大量服用し,無事蘇 生した例が報告されたことから, ヒトへの臨床応用の可能性を模索 • 1954年American Heart Associationにより心筋梗塞に対する臨床試験 • 1962年市販開始:肺栓塞,静脈血栓及び反覆性特発血栓静脈炎,末梢動脈の 血栓性及び栓塞性の急性閉塞,心筋梗塞を伴う血栓性及び栓塞性の急性冠状 動脈の閉塞 ワルファリンの適応 • 1967 年:心筋梗塞,狭心症,心不全,リウマチ性心疾患,血栓性静脈炎, 動・静 脈の血栓塞栓,脳血管障害,腸間膜血栓,網膜中心静脈血栓,肺塞栓などの治 療および予防、心臓外科手術後,血管手術後,骨盤手術後,内臓手術後,分娩 後の血栓症,その他塞栓のあるなしに拘らず以前血栓症の病歴を有する患者の 手術に用いる • 1977 年静脈血栓、心筋梗塞における冠状動脈閉塞、肺塞栓、血栓形成進行中 の脳血管発作 • 1980 年血栓塞栓症(静脈血栓症,心筋梗塞症,肺塞栓症, 脳塞栓症,緩徐に 進行する脳血栓症等)の治療及び予防 • 2011年トロンビン阻害薬RE-LY試験ダビガトラン、第Xa因子直接阻害薬の AVERROES試験アピキサバン、リバロキサバンROCKET-AF試験 21 22 t-PAの開発と臨床応用の歴史 1933年溶血性連鎖球菌から血液を溶かす物質ストレプトキナーゼ 1936年ロシアのユディンが死体血の輸血 1947年Astrup Tらが,生体組織中にフィブリンを分解する物質プラスミンを発見 1950年初組織中のフィブリン分解活性は,t-PA プラスミノーゲンアクチベーター であるこ とが判明 1952年Sobel GW らは,尿中にも t-PA が存在することを見出した。尿中の t-PA は,組 織中の t-PA とは全く異なる物質であった 1960年代組織中に存在 t-PA の活性は,フィブリン存在下に促進されることが明らかにさ れた:フィブリン溶解阻止因子(アンチプラスミン)発見 1974年血管内皮からもt-PA出る(刺されて出た血液は固まるが血管内の血液は固まらな い) 1976年α2プラスミン・インヒビター(肝で作る):トラネキサム酸(トランサミン)類似作用 1983年プラスミノーゲン・アクチベーター・インヒビターPAI-2が胎盤から, PAI-1血管内皮から 1960年 Herndonフィブリノリシン(トロンボリシン,ストレプトキナーゼで活性化されたヒトプラ スミン)を用いた 脳血栓の治療 米国ではトロンボリシンやストレプトキナーゼの静脈内投与の臨床試験:致死的な脳内出血 が増す:対象となった患者が元来脳内出血あるいは出血性梗塞であった可能性 1960年代後半にはウロキナーゼが得られるようになり,その毒性の低さや血栓溶解薬として のよい特性 1976年 Fletcher急性期脳梗塞31例にウロキナーゼ1200~1800単位/ポンド/時間で10~20 時間静脈内投与:有効性は認められず 以来,米国では脳梗塞に対する血栓溶解療法は禁忌 23 24 1974 年 肺の転移性悪性黒色腫より Bowes 株細胞が樹立化 1978 年 Billiau 液中に t-PA を分泌していることを発見 1979 年 Rijken DC らは,ヒトの子宮から t-PA を効率良く精製 Rentrop らがウロキナーゼを用いて急性心筋梗塞の再灌流に成功 1981 年 Rijken DC らは,Bowes 株細胞(メラノーマ)の培養液から t-PA を精製し, これが子宮由来の t-PA と同一:t-PA はUK と同様にプラスミノゲンをプラスミ ンに活性化してフィブリンを溶解するが, t-PAはフィブリン親和性があり,フィブ リン存在下において作用し,またフィブリノゲンを分解する作用が弱い 世界初の t-PA 臨床使用:1981 年t-PA がヒトに投与:右腸骨大静脈に巨大な血 栓の30 歳女性で, 5mgと 7.5mg の t-PA が 24 時間持続点滴静注、 血液中 のフィブリノゲンは分解されず,かつ出血性合併症なし 1983 年 Genentech 社Pennica D,Collen D らは,t-PA の cDNA を Bowes 株 細胞の cDNA ライブラリーよりクローニングすることに成功した:Chinese Hamster ovary cell での発現に成功 1984 年 組換え t-PA を用いて急性心筋梗塞症例を対象に臨床治験が行われた 1987 年 米国で,t-PA 製剤の発売開始 1991 年 日本で,t-PA 製剤の発売開始 1998 年 日本で第二世代 t-PA 製剤発売開始 • • • • • • • • 25 • • • • • • • 血漿中のプラスミノーゲンに対しては活性は低く, フィブリンの表面に結合したプ ラスミノーゲンに作用する血栓特異性の高いt-PAが, 遺伝子組換え技術を用い て量産:急性心筋梗塞の場合にはrt-PAが全身投与で十分な効果 1990年にはハイデルベルグで第1回の虚血性脳血管障害に対する血栓溶解療 法の国際シンポジウム 1992年には米国,ドイツ,本邦で行われた両方のプロトコルの第II相臨床試験の 結果が発表され, rt-PAによって再開通が増強されること,梗塞の出血性変化の 危険は許容範囲内であること, rt-PAの投与あるいは再開通によって症状が改善 する 1996年米国の発症後3時間以内の虚血性脳血管障害患者を対象としたrt-PAの 全身投与の臨床試験 (NINDS Study);FDAは虚血性脳血管障害に対するrt-PA による治療を認可 欧州で行われた発症後6時間以内の比較的重症の患者を対象としたrt-PAの全 身投与の試験(ECASS)では, 有用性を確認するには至らなかった 米国では発症後3~5時間の患者を対象にしたrt-PAの臨床試験ATLANTISも無 効 ストレプトキナーゼ投与群に症状の悪化を伴う梗塞の出血性変化またはそれに よる急性期死亡が有意に多く発生し中止 27 血管が閉塞したとき,重篤な虚血の中心部と灌流が側副血行によってある程度 維持され血流の低下が比較的軽いその辺縁領域ができる。 機能を失っているが再灌流によって蘇生できるニューロンが存在している急性脳 虚血の病的状態が ischemic penumbra 血栓溶解療法がめざす再灌流の作用対象はこのischemic penumbraの部分 1980年はじめ急性心筋梗塞に対する冠動脈内血栓溶解薬の投与 1982年以降 Aachen発症早期の脳動脈閉塞に対して血栓溶解薬の動脈内投与 1985年Thrombolysis in Myocardial Infarction(TIMI)グループに有効と 1986年del Zoppoそれまでは禁忌とされていた血栓溶解療法を見直そうという機 運 1988年Stroke誌に米国,ドイツ,日本の血栓溶解薬の動脈内投与のパイロット試 験:CTで出血性脳血管障害を否定し,血管撮影で動脈閉塞を証明された発症後 ごく早期の例に対してウロキナーゼまたは ストレプトキナーゼを領域動脈内ある いは閉塞動脈選択的に数十分かけて投与する方法 26 • • • • • • • 1940 年代より血栓症に対して抗凝固薬が用いられていたが,生命保険会社などの調査 で, あまり有効でないばかりか出血性疾患の発生がかなりある 1940 年代より ASA が心筋梗塞の発生を抑えるとの経験 1960年代末より 70 年代にかけて Zucker や Weiss が ASA の凝集抑制作用 1970 年代抑制機構としてPG の生成を抑える:モルモットにアナフィラキシー反応を起こさ せる時に, その肺からウサギの大動脈を収縮させる非常に不安定な未知の物質(RCS) が放出され, これがASA によって抑えられる 1975 年,Samuelsson らが TXA2を発見し,TXA2が RCS の主成分である: ASA は COX をアセチル化して反応を阻害する 1976 年に Moncada,Vane などは TXA2に拮抗する血管壁からの PGI2生成を発見し, TXA2生成を抑え,PGI2生成は抑えないASA の少量投与が奨められるようになった:1982 年,ノーベル医学生理学賞 1980 年代 魚の脂質にはアラキドン酸の代わりにエイコサペンタエン酸が多く,これが血栓 抑制に関与する 28 • • • • • • • • 1970,1980 年代に使用可能:経口抗血小板薬であるアスピリン, 経静脈的に使 用する抗凝固薬ヘパリンの 2 種 1988年心筋梗塞患者に対して,①プラセボ,②アスピリン単独,③ストレプトキ ナーゼ単独,④アスピリン/ストレプトキナーゼ併用, の効果を比較した ISIS- 2(Second International Study of Infarct Survival):エンドポイントを心血管死亡 として, 観察期間を 1 か月と短期にしても,アスピリン,ストレプトキナーゼはい ずれも予後を改善し, 併用により心血管死亡率が半減 日本ではストレプトキナーゼではなくウロキナーゼ使用 チクロピジン 500 mg を冠動脈疾患に使用:血栓イベント減少しても白血球,血 小板減少, 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP) チクロピジンより安全性の改善した薬剤として,クロピドグレル開発: クロピドグレルはプロドラッグ:クロピドグレルの活性体が標的とする ADP 受容体 P2Y12は,後の2001 年にクローニング 日本のチクロピジン使用量 200 mg (欧米の半分)重篤な血球系副作用まれ:日 本に肝障害多い 1996 年CAPRIE(Clopidogrel versus Aspirin in Patients at Risk of Ischaemic Events)試験:冠動脈疾患,脳血管疾患,末梢血管疾患の患者における心血管 死亡・心筋梗塞・脳卒中の発症を, アスピリンよりも効率的に予防する 29 • • • • • • • • • • • • • 1981年Gruentzig 冠動脈の動脈硬化性狭窄部位に風船:動脈硬化巣を破壊,動脈を拡 大させる方法開発 ステント留置の3~14 日後に 10%亜急性ステント血栓症:1996年アスピリンとチクロピジ ン併用で亜急性血栓性閉塞を制圧 1960年代以来簡便な血小板機能検査法:ADP,トロンビン,コラーゲンなどにより血小板 を刺激したのちに撹拌して惹起する血小板凝集機能:ADP,トロンビン,コラーゲンなどに より血小板を刺激したのちに撹拌して惹起する血小板凝集機能 1990年GP II b/III a とフィブリノゲン,von Willebrand 因子の結合を阻害する GP II b/ III a 受容体阻害薬には血小板凝集を阻害する効果:1997年抗体として abciximab、1999 年低分子の tirofiban,環状ペプチド 無作為化二重盲検試験では,血小板凝集を効率的阻害する GP II b/III a 受容体阻害 薬が, 心筋梗塞,心血管死亡などの心血管イベントを必ずしも効率的に予防しない 自然発症の心筋梗塞の発症を予防できなくても,冠動脈インターベンション後の血栓性合 併症の発症は効率的に予防できる 2009年日本ではグローバルとは別個の試験を行い,abciximab の有用性よりも出血合併 症増加の不利益のほうが多いと開発中止 2000年抗血小板薬のひとつであるシロスタゾールは,出血性合併症を増加させずに脳梗 塞の発症予防:内皮機能も改善 血流のずり応力によるフォン・ウィルブランド因子依存性の活性化と凝集 血小板による凝固系の活性化 血小板が局所放出する生理活性物質による炎症調節 細胞内セカンド・メッセンジャーであるcAMP に注目し,合成酵素のアデニル酸シクラーゼ の活性を高めるジピリダモール 破壊酵素の PDE を阻害するシロスタゾール 30 • • • • • • 習慣流産と抗リン脂質抗体症候群 • • • 31 未分画ヘパリンから低分子成分のみを抽出して低分子ヘパリンを作成し, さらに ヘパリン中のアンチトロンビン III との結合部位のみを合成してモニタリング不要 の抗凝固薬を開発 日本はトロンビンの構造からアルガトロバンという選択的トロンビン阻害薬を開発 したが, 欧米では吸血ヒルの有する抗凝固成分ヒルジンからつくられたビバルイ ジン(bivalirudin)という抗トロンビン薬も, アンジオマックスの商品名 (Angiomax®)にて開発された。アルガトロバンの抗トロンビン作用は可逆性が高 いのに対して, ビバルイジンは比較的可逆性の低い抗トロンビン薬 未分画ヘパリン使用中に起こる,致命的ともなるヘパリン起因性血小板減少/血 栓症はアルガトロバンの使用が適応症として認可 プラスグレルはクロピドグレルよりも安定した薬効を示すプロドラッグ チカグレロール トロンビン受容体 PAR-1 1980年ループスアンチコアグラントの女性に習慣流産(胎盤に血栓) 1083年ロンドンのハーマス病院で抗カルジオリピン抗体かループスアンチコアグ ラントを抗リン脂質抗体症候群とよぶ 動脈・静脈血栓:プロティンCがリン脂質につくのを阻害、血管内皮についてプロ 32 スタサイクリン放出阻害:ヘパリンとアスピリンで治療:ステロイドやワーファリンは 胎児に危険
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