7月 - JAIF 日本原子力産業協会

海外原子力ニュース
2012年7月号
(社)日本原子力産業協会
情報・コミュニケーション部
海外原子力ニュース
米
――
2012年7月
国
原子力規制委員会、マクファーレン新委員長就任 ........................................................ 1
専用施設でSMR技術を確証 米B&W社................................................................... 1
CB&Iがショーを買収へ 最大規模のエンジ会社に ................................................. 1
フランス
アレバ社、ガス拡散法のジョルジュ・ベス濃縮工場を閉鎖 .......................................... 2
ベルギー
チアンジュ1号を運転延長、内閣が電源確保で脱原子力を減速 ................................... 2
スペイン
政府が閉鎖予定を取消し、ガローニャ原発2019年まで運転の可能性 ..................... 3
フィンランド
オルキオト3号機の起動時期さらに遅延 ...................................................................... 4
チェコ
テメリン3・4号機計画、3メーカーが入札提案 ........................................................ 4
カナダ
ダーリントン原発増設計画、WH社が軽水炉提案準備 ................................................. 5
ブルースA1号機、改修後15年ぶり再稼働へ ............................................................ 6
アルゼンチン
ATMEA1を入札候補に ........................................................................................... 7
韓
国
新古里2号機が営業運転開始........................................................................................ 7
インド
クダンクラム3、4計画でロシアから財政融資取得 ..................................................... 8
ラジャスタン4号機で重水漏れ .................................................................................... 9
UAE
規制当局が建設許可発給、ブラカ1・2号機を本格着工 .............................................. 9
ベラルーシ
原子力導入計画、ロシアと建設契約に調印................................................................. 10
米
国
原子力規制委員会、マクファーレン新委員長就任
米原子力規制委員会(NRC)は7月9日、5月21日に辞意を表明していたG・ヤツコ
委員長の後任として、ジョージ・メーソン大・環境科学政策学部のA・マクファーレン准教
授(48)が第15代NRC委員長として宣誓就任したと発表した。
B・オバマ大統領の指名後、6月29日付けで議会上院が同氏を承認したのを受けたもの。
ヤツコ委員長の残りの任期を引き継ぎ、さし当たり2013年6月末まで委員長職を務める。
歴代の女性委員長としては3人目。地質学者としてユッカマウンテンでの高レベル廃棄物処
分計画には批判的な見解を持つ。
ヤツコ前委員長は昨年10月、残りの委員4名から「上級スタッフを脅し、NRCの職場
環境を寒々しいものにしている」との批判を受けた。事の真偽について内部調査していたN
RCの独立した総監察官局(OIG)は、6月末に議会に報告書を送付。その中で、他の委
員やNRC幹部が脅しやいじめと感じる事例を少なくとも15回特定したと伝えられている。
なお議会上院は、マクファーレン委員長のほかに、6月30日付けで任期が満了したK・
スビニッキ委員の2期目の就任を承認した。オバマ大統領の再指名により、5年の任期を務
める。
専用施設でSMR技術を確証
米B&W社
米国のバブコック&ウィルコックス(B&W)社は7月18日、同社の小型モジュール炉
(SMR)
「mPower」専用の統合システム試験施設(IST)がSMRのフル稼働時と
同等の圧力と温度に達したと発表した。
実物大試験施設による技術の確証が進んだことから、同社はmPowerが米エネルギー
省による4億5000万ドルのSMR開発財政支援イニシアチブで支援対象となるための重
要な一歩になったと自信を深めている。
mPowerは出力12.5万~75万kW規模の一体型設計で、受動的な安全システム
を装備する予定。同設計用として今年2月にバージニア州の先端工学研究センターで完成し
たISTは、実炉心によるエネルギーの発生をシミューレートするために電気的に加熱され
た上で、起動試験や出力上昇プログラムなどが実施された。
今回、それらの集大成として一次系と二次系の両方についてフル稼働状態の圧力と温度の
条件を達成したとしている。
CB&Iがショーを買収へ
最大規模のエンジ会社に
米テキサス州を本拠地とするエンジニアリング会社のシカゴ・ブリッジ&アイアン(CB
&I)社は7月30日、米国最大手のショー・グループを買収することで両者が最終的な合
併契約に調印したと発表した。
ショー社はウェスチングハウス(WH)社と組んで、米国で数十年ぶりの新設計画となる
ボーグル3、4号機やV・Cサマー2、3号機など6基のAP1000建設計画でエンジニ
アリング・資材調達・建設(EPC)契約を獲得済み。同社との合併により、CB&I社は
世界でも最大規模のエンジニアリング会社に生まれ変わる。
買収総額は30億ドルで、CB&I社は一株当たり46ドル相当の現金と株式でショー社
を買い取る。具体的には、ショー社の株主が同社株一株に付き現金41ドルと、5ドルのC
1
B&I社株を受け取るが、これは7月27日付けショー社株の終値に72%のプレミアムを
付けたことになる。最終的に規制当局や両社の株主から承認を得る必要があるため、取引の
完了は2013年の第1.4半期になる見通しだ。
合併後の新会社名は、ショー社のブランド資産価値を活かし、「CB&Iショー」となる。
双方の株主すべてが利益を得られるよう、お互いの資源と能力および良慣行をフルに利用し
て、将来のさらなる成長の土台を築いていく。CB&I社は年間収益が46億ドル(受注残
高90億ドル)でショー社の59億ドル(同182億ドル)を下回るなど、今回の買収は法
外に高値な取引だが、企業としての体力増強により、CB&I社は今後、天然ガスやオイル・
サンドなどを含め「エネルギー業界全域において完全に多様化した企業」を目指す考え。
一方、ショー・グループは昨年9月、手持ちのWH社株全20%を東芝に売却して17億
ドルの債務を削減する方針を発表。財務基盤の整理により、原子力以外の分野でも多様化を
図る方針だと言う。新規のAP1000建設計画を共同で追求するというWH社との契約も
2013年で終了すると伝えられており、CB&I社との合併はこのような先行きを見越し
た判断と見られている。
フランス
アレバ社、ガス拡散法のジョルジュ・ベス濃縮工場を閉鎖
仏アレバ社はこのほど、子会社のユーロディフ社を通じて1979年から南東部のトリカ
スタンで操業していたジョルジュ・ベス・ウラン濃縮工場(1万800トンSWU/年)を
永久閉鎖したと発表した。5月中旬に開始した最後の濃縮プロセスが終了したのを受けたも
のだが、同工場では33年の間、その操業が途切れることはほとんどなかったとしている。
アレバ社によると、同工場は運開当時に世界で最も効率的な濃縮技術であったガス拡散法
を採用。この頃の世界のウラン濃縮市場における手本のような存在であり、約100基の原
子炉に濃縮ウランを供給するなど、世界で稼働する原子炉の4分の1の所要量を満たしたこ
とになる。
近年では、電力消費量がガス拡散法の50分の1で冷却水の必要量も大幅に削減された遠
心分離法が世界の濃縮技術の主流になりつつあり、アレバ社は後継工場となるジョルジュ・
ベスIIの建設に30億ユーロを投入した。
同工場は昨年4月から濃縮ウランの生産を開始している。年間の生産設備容量はすでに1
500トンSWUに達しており、2016年には7500トンSWU/年の設備で本格生産
を行う見通しだ。
ベルギー
チアンジュ1号を運転延長、内閣が電源確保で脱原子力を減速
ベルギー内閣は 7 月4日、2015年に閉鎖予定だった比較的古い原子炉3基のうち、チ
アンジュ1号機のみ運転期間を10年延長する判断を下した。残りの2基は予定通り閉鎖す
る方針で、事業者は09年に政府と交わした覚書どおり、3基すべてで運転延長を認めるべ
きだと抗議している。福島事故に伴い、政府は推進傾向にあった原子力政策から脱原子力に
2
逆戻りする方針を打ち出したものの、総発電量の約半分を賄う原子力の代替電源確保に苦慮。
現実的な課題に直面し、方針が二転三転している実情が露呈した形だ。
ベルギーでは03年に緑の党を含む連立政権が原子炉の運転期間を40年に制限するなど、
2025年までに脱原子力を達成する政策を決定した。が、前政権は09年、エネルギーの
安定供給やCO2の排出抑制などを理由に、15年に運開後40年目を迎えるドール1、2
号機およびチアンジュ1号機の運転期間を10年延長する覚書を、拠出金の支払いという条
件付きで事業者であるエレクトラベル社の親会社のGDFスエズ社と締結した。
しかし、同覚書が法制化される前に福島事故が発生。現在の連立政権は覚書を破棄したが、
今回、チアンジュ1号機のみ、2025年までの運転延長を承認。その理由として「冬季に
50万~100万人の住民が停電に見舞われるリスクを低減するため」と説明している。
ベルギーで稼働する原子炉七基すべてを操業するエレクトラベル社は、内閣の方針が09
年の覚書を遵守しておらず、欧州連合規制の自由市場原理にも反すると非難。経済的な持続
可能性の評価が欠けた手法だと形容している。
その背景として同社は、内閣が今回の判断を下す前日、運転期間を10年延長する準備に
関して同社がまとめた技術報告書に対し、連邦原子力規制局(FANC)が好意的な裁定を
下していた事実に言及。FANCの分析では運転延長に際し一サイト当たり5億ユーロ以上
の投資が必要であり、チアンジュ1号機で10年間の運転期間延長が確実に保証されなけれ
ば、同社としては5億ユーロをかけて同原発の運転期間を延長することは難しいとの考えだ。
このため、同社は内閣の判断根拠となった経済的要素について政府から明確な情報が得られ
るまでは、3基の停止準備を続行すると明言している。
スペイン
政府が閉鎖予定を取消し、ガローニャ原発2019年まで運転の可能性
スペインの産業エネルギー観光省は 7 月3日付けの官報で、サンタマリア・デ・ガローニ
ャ原発(BWR、46.6万kW)の運転寿命を2013年7月までとする2009年の省
令を一部取り消すと発表した。
TMIおよびチェルノブイリの両事故により、同国では明確な脱原子力政策によって原子
炉の新設を禁止している一方、再生可能エネルギー等による代替策が大きな効果を生まない
なか、既存炉の運転期間延長は重要な政治的合意事項。
「19年まで運転継続が可能」とする
原子力安全委員会(CSN)勧告を全面的に採り入れた措置で、事業者のニュクレノール社
は今後、2019年まで運開以降通算48年間の運転認可取得に向け、
「決意と熱意とプロ意
識を持って」申請準備を進めていくとの抱負を明らかにしている。
スペインでは1971年に運開した同原発に関して、CSNが09年に「安全性と放射線
防護で改善対策を施せば19年まで10年間の運転認可延長を承認する」と評価したが、政
府はこの時、13年まで4年間、運転期間の延長を承認した。今年初めに政府は改めて同原
発の運転期間延長の可能性をCSNに諮問。CSNは今年2月、
「13年以降の運転を阻む要
因は見あたらない」との意見書を産業省に提出していた。
今回、政府は官報の中で、13年で永久閉鎖する決定の取り消しに当たり考慮した7点を
列挙。同原発が安全性や放射線防護に関するCSNの要件を満たしていること、エネルギー
輸入依存からの脱却を目指した電源多様化や温室効果ガスの排出量削減で原子力が果たす役
3
割、原子力がもたらす電力の安定的な供給力などを強調している。
スペイン原子力産業会議はこの省令修正について、
「的確で理論的な判断だ」と評価。昨年
実施したストレステストでも、ガローニャ原発が設計上、十分な裕度を有することをCSN
が確認しており、省令の修正は技術的かつ合理的な議論に基づくなど、その運転継続は極め
て合法的だと指摘した。
同原産はまた、スペインでは原子炉の運転年数に法的な制限が設けられておらず、CSN
の安全指針に基づいて各原子炉で10年毎に運転認可が更新される点に言及。同原発は20
11年に原子力による発電電力量の6.5%を賄っており、過去10年間では雇用や税金な
どでもたらした経済効果は3億5550万ユーロにのぼると強調している。
フィンランド
オルキオト3号機の起動時期さらに遅延
フィンランドのテオリスーデン・ボイマ社(TVO)は7月17日、世界初の欧州加圧水
型炉(EPR)として2005年から建設中のオルキルオト3号機(OL3)の起動時期に
ついて、「2014年の営業運転開始は無理」との見通しを公表した。
当初予定の09年から幾度となく延期されてきた同炉の完成日程だが、同社は工事を請け
負った仏アレバ社と独シーメンス社の企業連合に責任があると主張。作業日程全体を見直す
とともに新たな完成期日の確認・分析を提示し、日程厳守のための方法についても明確化す
るよう求めている。
同建設計画では、今年2月にタービン系統設備の起動試験を実施。大型機器や主要な配管
の設置も完了し、起動準備を進めている段階だが、TVOは完成時期のさらなる遅延という
状況に不満を示しており、現在、未解決の計装制御系の課題を少しずつ解決中であることを
明らかにした。
フィンランド側は06年、建設計画が遅延している理由として、
(1)企業連合がフィンラ
ンドの規制体系に不慣れ(2)下請け業者の中に原子力施設の経験がないものが多く、品質
管理改善に時間がかかった(3)土建作業全体を統括するアレバ社の責任者がサイトに常駐
していなかった――などを指摘。
一方、企業連合側は、フィンランド安全当局に提出する関係書類の認証作業にTVOは平
均九か月を要するなど、契約に明記された二か月以内で終わっていない
と主張した。TV
Oが固定価格のターンキー契約である点を譲らないため、企業連合側は08年末、作業の遅
れに伴う追加経費の支払を巡って国際商工会議所(ICC)に仲裁手続きを要請した。
これについてICCの仲裁裁判所は今月5日、TVOの保留している1億ユーロと未払い
利子の2500万ユーロを企業連合側に支払うよう裁定。訴訟により企業連合に生じた経費
も負担する必要があるとの判断を下している。
チェコ
テメリン3・4号機計画、3メーカーが入札提案
テメリン原子力発電所3、4号機の完成計画を進めているチェコ電力(CEZ)は 7 月2
4
日、これまでの審査で有資格と認めた原子炉メーカー三社から入札提案書を受領したと発表
した。2013年後半にも業者を選定し、契約書に調印する方針だ。
建設作業が一時期中断していた同計画では、09年8月にCEZ社が改めて公開入札の手
続きを開始。10年春までに第一段階の適性条件をクリアした(1)ウェスチングハウス(W
H)社の企業連合(2)仏アレバ社(3)ロシアのアトムストロイエクスポルト(ASE)
社とギドロプレス社およびチェコ・スコダ社の企業連合に対し、昨年11月に詳細な入札招
請書を手渡していた。
その中でCEZ社が示した要件は、第三世代か同プラスで出力100万kW以上のPWR
二基をターンキー契約で、9年分の運転に必要な燃料棒とともに納入するというもの。原子
炉設計はチェコ国内の原子力規制のみならず、国際原子力機関(IAEA)や西欧原子力規
制者協会(WENRA)の定める安全要件を満たしている必要がある。また、メーカーの本
国あるいは、EU加盟国で認可を受けた設計でなければならないとしている。
露はMIR1200
スコダ社が参加するロシア・チームは、ロシアのAES―2006設計をベースとする「近
代化国際原子炉(MIR)1200」を提案中だが、提案書は商業面、技術面および核燃料
関係の三パーツから成る。技術的な詳細文書だけで24巻にのぼり、計画の実施手順などを
含めた提案書の全体は8万ページ、総重量は一トンに達したとしている。
チームの参加企業以外では、核燃料の生産企業であるツベル社やタービン系の設計等でN
IAEP社やアトムテクエネルゴ社が協力。首尾良く受注にこぎ着ければ、チェコ国内から
も350社の企業が招かれるとスコダ社は明言した。
アレバ社のEPR
欧州加圧水型炉(EPR)を提案するアレバ社は、同設計がフィンランドや仏国など欧州
で唯一、認可を受けて建設中の第三世代プラス炉であるとしたほか、福島事故後の安全審査
でも高いレベルの安全性が確認されていると指摘。中国でも同設計の原子炉建設でエンジニ
アリング・資材調達・建設(EPC)契約を受注した実績があり、日程通りに予算枠内でプ
ロジェクトを遂行できる競争力があると強調した。また、過去20年間におよぶチェコ企業
との連携経験から、受注が決まればテメリン計画で必要となる資機材購入契約の70%は地
元供給業者に解放すると約束している。
WH社はAP1000
WH社は親会社である東芝のほか、チェコの大手建設企業であるメトロスタブ社および安
全系の計装制御系専門会社のI&Cエネルゴ社とチームを組んで、確証済みの設計技術や建
設スキルを統合。契約獲得の暁にはAP1000に関する最先端のエンジニアリング・建設
および製造の専門技術がチェコ企業に移転されると明言。米国で30年ぶりに進められてい
る新設計画との関係で、昨年12月に米原子力規制委員会(NRC)から修正設計の設計認
証(DC)を取得したほか、英国の新設計画においては原子力規制機関(ONR)から包括
的設計審査(GDA)の暫定設計容認確認書(IDAC)を発給された点を強調している。
カナダ
ダーリントン原発増設計画、WH社が軽水炉提案準備
東芝傘下のウェスチングハウス(WH)社は7月23日、カナダのオンタリオ・パワー・
5
ジェネレーション(OPG)社がダーリントン原子力発電所サイトで進めている増設計画の
入札で、2基のAP1000を提案するための詳細な建設プランや日程、および経費見積も
り書を準備する方針だと発表した。最大でも90万kW級という規模のCANDU炉(加圧
重水炉)のみが稼働するカナダで、初めて最新鋭の第三世代プラスの軽水炉が建設される可
能性が出てきた。
建設許可や運転許可の前提となる「サイトおよびプロジェクト概要の準備に関する許可(S
PL)」は年末までに原子力安全委(CNSC)が発給すると見られており、2018年の運
開に向けて計画は大きく前進する見通し。WH社は今後、カナダの原子炉新設市場で一層多
くの役割を果たし、同国の顧客および供給業者との連携を強めるため、トロントにウエスチ
ングハウス・エレクトリック・カナダ社のオフィスを新設する。同国での事業チャンスが確
実なものとなるよう、カナダの原子力規制や要件を適切に満たしていく考えだ。
カナダのオンタリオ州では総発電電力量の5割を州内の原子炉設備が発電。これを維持す
るため、州営電力として州内すべての原子炉を所有するOPG社は2006年、既存のダー
リントン発電所の4基に隣接して、最大4基・480万kWの原子力発電設備を新たに建設
する「サイトおよびプロジェクト概要の準備に関する許可(SPL)」をCNSCに申請した。
しかしその後、州内の電力需要が低下し、その他の電源による発電量も増加したことから、
原子炉を緊急に新設する必要性は低下。09年になると、OPG社と原子炉の運転会社であ
るブルース・パワー社、および州のエネルギー省は、既存炉のうちブルース原発とダーリン
トン原発にある1000万kW分の改修計画策定で合意。発電シェア50%の維持に必要な
200万kW分についてはダーリントンに新設する2基で補うことになった。
同年2月にはOPG社らの招待を受け、仏アレバ社が欧州加圧水型炉(EPR)で、カナ
ダ原子力公社(AECL)が改良型CANDU炉(ACR-1000)で、およびWH社が
AP1000で提案書を提出。このうち、州政府の目的と「機器調達のための設計提案手続
き(RFP)」の要件を満たしていたのはAECLのみだったが、価格面で折り合わなかった
のと、同年5月にカナダの連邦政府がAECLの商用原子炉部門売却案を公表したことから、
州政府は翌月にRFP手続きの一時中断を決めた。
CNSCによるSPL審査はその後も続けられており、昨年6月に国内の大手エンジニア
リング企業であるSNCラバリン社がAECLの買収で連邦政府と合意。同年8月に共同審
査小委員会(JRP)がダーリントンの増設計画について「周辺環境に悪影響が及ぶことは
ない」と勧告したのを受け、連邦政府も今年5月、同計画の環境影響報告書を承認する判断
を下している。
ブルースA1号機、改修後15年ぶり再稼働へ
カナダ原子力安全委員会(CNSC)は7月20日、改修工事等で約15年間停止状態に
あったブルースA原子力発電所1号機(CANDU炉、80.5万kW)の再稼働を許可し
た。CNSCの現場スタッフと技術専門家のチームが数々の検査や診査を実施した結果、同
炉の状態が再稼働の必須条件をすべて満たすとともに安全性試験を成功裏に完了したことを
確認したもの。
この承認により、同炉は1997年12月以来の「原子炉停止保証状態」から復帰が認め
られ、原子炉の臨界防止のために取られていた複数の措置、すなわち圧力容器であるカラン
ドリア管内の重水にガドリニウムを注入する、重水浄化系の弁をロックするなど――が解除
される。また、さしあたり定格の50%まで出力を上げ、CNSCの監視の下でいくつかの
6
安全性テストを実施した後、さらなる出力上昇の承認をCNSCから得ることになる。
同炉の運転会社であるブルース・パワー社は「これで原子炉を運転し、残りの起動試験を
終えることができる」とコメント。オンタリオ州の送電網に接続する最終安全チェックの準
備が整ったとしている。また、今回の改修により、同炉は運転寿命が25年伸びたと伝えら
れている。
ブルースA発電所のCANDU炉4基は1970年代に営業運転を開始したが、運転実績
の低迷に伴う経済性の悪化から、90年代後半に運転を休止。2001年以降、圧力管や燃
料チャンネル、蒸気発生器の取り替えを含め、2043年までの運転寿命延長を目指した大
がかりな改修工事を開始した。3、4号機はそれぞれ04年と03年に運転を再開したが、
機器の取り換えおよび改修工事は1、2号機の再起動後に実施する予定。2号機は今年3月
に約20年ぶりの再起動を果たしている。
アルゼンチン
ATMEA1を入札候補に
三菱重工業との合弁事業体「アトメア社」で第三世代プラスの原子炉設計を開発している
仏アレバ社は7月12日、アルゼンチンの国営原子力発電会社(NA-SA)が同国4基目
の原子炉設計候補として「ATMEA1」を入札のための予備的な有資格設計に認定したと
発表した。同設計がアルゼンチンの最も厳しい安全要件のみならずNA-SAの必要性をも
満たすことが認められたことから、今後、NA―SAから提案依頼書が発行されるとしてい
る。
アレバ社によると、ATMEA1は中規模の送電系統などすべてのタイプの送電網にも対
応できるほか、全世界の安全規制に適用可能となることを目指した110万kW級の中型P
WR。24か月間の長期サイクル運転、全炉心へのMOX燃料装荷などを可能にする技術が
盛り込まれる。
今年2月には、仏国の安全規制当局が仏国内での基本的な設置申請と同一の条件で安全設
計審査を実施した結果、同国の安全および技術的要件を満たしている点と地震や洪水、大型
航空機の衝突等からも重要機器が保護されることを保証。また、ヨルダンの原子力導入計画
でも、今年4月にロシア型PWRとともに最終候補に残っている。
アルゼンチンは2006年、同国で4基目の原子炉となるアトーチャ3号機建設計画を含
む原子力発電の再活性化戦略を公表。過去9年間に急激な経済成長を遂げている同国では、
原子力は単なる電力供給のみならず、人的資源や雇用の創出にも重要な貢献をするとの位置
付けだ。3基目のアトーチャ2号機(加圧重水炉、74.5万kW)は現在試運転中で、2
013年半ばに営業運転を開始する予定である。
韓
国
新古里2号機が営業運転開始
韓国の知識経済部は7月20日、今年1月から試運転中だった新古里原子力発電所2号機
(PWR、100万kW)が同国で22基目の原子力発電所として営業運転を開始したと発
7
表した。福島事故後に同国で運開する原子炉としては初めて。
新古里2号機の運開に関しては、18日に所有者の韓国水力原子力(KHNP)が燃料の
初装荷と起動テスト、福島事故のフォローアップ措置、定期検査および起動経験の反映の五
段階で行った使用前検査について総括会議を実施。同炉が設計仕様書と最終的な安全性分析
報告書の技術基準に適合しているほか、試運転段階における原子炉の通常運転と過渡変化時
の総合的な性能が原子力法の許可基準を満たしていることを確認したとしている。
同炉は韓国標準型炉(KSNP)の安全性を強化した「最適化炉(OPR)」で、1997
年に米国のコンバッション・エンジニアリング(CE)社が米国の設計認証を取得した「シ
ステム80+」が設計のベース。OPRをさらに改良・大型化したAPR1400はアラブ
首長国連邦(UAE)に輸出される予定だ。
主契約者の斗山重工業は2005年1月に同型のPWRとなる新古里1、2号機の建設作
業を開始。原子炉設備サプライヤーとしては、韓国電力技術社とウェスチングハウス社も参
画しており、これら2基の総事業費は4兆7815億ウォンにのぼる。1号機は昨年2月に
一足先に営業運転を開始していた。
知識経済部では、新古里2号機の営業運転開始により年間79億kWhを追加発電出来る
ため、電力不足解消への貢献のほかに原油高の時代に外貨節約にも大きな役割を果たすとの
期待を表明。この発電量は釜山市における年間電力需要の約4割に相当すると強調している。
インド
クダンクラム3、4計画でロシアから財政融資取得
インド原子力省は7月17日、クダンクラム原子力発電所3、4号機(各100万kW、
ロシア型PWR)増設計画でロシアから低金利の財政融資を得る議定書に調印したと発表し
た。総工費3200億ルピー(約4540億円)のうち、1700億ルピー(約2412億
円)までがロシアからの融資で賄われる計算。ロシアとの協力で同サイトで間もなく運開予
定の1号機および七か月後に完成予定の2号機と合わせて、総計400万kWのロシア型P
WR(VVER)がインドの発電設備に加わることになる。
議定書によると、ロシア政府の輸出信用は3、4号機建設で同国が提供する作業や資機材
およびサービスなどの経費の85%に相当する34億ドルのほか、燃料集合体と制御棒用経
費の85%となる8億ドルなど。年間4%の利息を伴うものだが、資機材等の方は14年ロ
ーンで原子炉が発電を始めた1年後から返済開始。一方の燃料費は4年ローンで、受領して
2年後から返済することになっている。
両国の原子力平和利用分野での協力関係は20年以上前にさかのぼり、包括的な政府間協
定(IGA)は1988年11月に締結された。これを補足する協定も1998年6月に調
印されており、タミル・ナドゥ州のクダンクラム1、2号機計画はこれらの枠組に基づいて
進められている。
2008年12月には3~6号機までの増設計画で両国は新たなIGAを締結。今回の輸
出信用による建設資金調達のための議定書調印は同IGAに謳われていたもので、昨年から
今年にかけて両国の省庁チームが協議を重ねた結果、実際の調印にこぎ着けた。
なお、クダンクラム原発では、すでに昨年1月の段階で1号機の格納容器の健全性試験を
終え、同年第1.4半期中にも臨界予定であった。しかし、福島事故後に地元住民による反
8
原発運動を受けて、州政府は同年9月に建設作業を一時中止。今年3月になって建設再開を
承認したものの、住民の抗議運動対策に苦慮している。
ラジャスタン4号機で重水漏れ
インド原子力発電公社(NPCIL)は7月23日、重水による減速材システムのポンプ
修理のため16日から19日まで停止していたラジャスタン原子力発電所4号機(加圧重水
炉、10万kW)で、ポンプ一台のシール部から重水漏れが検知されたと発表した。ポンプ
は直ちに停止され、分離されたため、漏れは治まったとしている。
この事象により、4名の従業員が原子力規制委員会(AERB)の定める年間許容線量の
10~25%程度を被ばくしたものの、全員が通常業務に復帰。NPCILはすべての保守
点検作業を終えた後、同炉を23日中に送電網に再接続するとの方針を表明している。
なお同発電所では6月23日、計画停止中だった5号機(加圧重水炉、22万kW)で、
重水から派生する放射性トリチウムによる被ばくが検証レベルを超える事象が発生していた。
同レベルは規制当局の定める年間許容被ばく線量の10分の1程度となるよう保守的に規
定されているため、NPCILとしては大きな問題はないとの見解。減速材システムに重水
を追加供給する改修作業中だった作業員2名が年間許容線量を超えて被ばくしたと見られる
が、非放射化エリアを担当していたその他の作業員の線量はそれ以下だったと説明した。ま
た、環境への放射能放出はなかったとしている。
これに関して一部の地元メディアは、24日に「被ばく者数が当初の2名から38名に増
えた」と報道。NPCILはこれまでのところ、それに対する見解を発表していない。
UAE
規制当局が建設許可発給、ブラカ1・2号機を本格着工
アラブ首長国連邦(UAE)の連邦原子力規制庁(FANR)は7月17日、首長国原子
力会社(ENEC)がアブダビ首長国のブラカで進めている同連邦初となる原子力発電所の
最初の二基の建設計画に許可を与えた。これに先立つ15日には、アブダビの環境庁(EA
D)が1、2号機建設に関する環境面での認可を発給したことから、ENECは韓国製の第
三世代・改良型PWR(APR1400、出力140万kW)となる1、2号機を2017
年と18年に完成させるための本格的な建設作業に入る。
ENECは2010年12月に1、2号機の環境影響評価書(EIA)と建設環境管理計
画(CEMP)をEADに、建設許可申請(CLA)をFANRに提出した。建設サイトの
ブラカはアブダビ首長国の西部、ルワイスの西南西約53kmに位置し、FANRでは20
0名の技術専門家が18か月間かけて同サイトの妥当性のほか、設計や安全分析、建設作業
の管理システムと品質保証、放射線防護などについて包括的に審査。その結果、同建設計画
が技術的および法的な要件をすべて満たしていると判断したもの。
ENECはこれまで、FANRが今年3月に発給した土木準備作業実施許可に従い、1号
機用コンクリート打設の準備である掘削場所の底部表面の平板化や配管の埋め込み、鉄筋敷
設のための防護コンクリート層設置などを進めていた。
ENECのCEOによると、ENECはサイトおよび周辺区域の環境に責任を持ち、アブ
ダビ首長国の環境が長期的に持続可能となるよう保証するため、原子力発電所による環境影
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響を定期的にモニターしていく。また、2020年までに四基すべてのAPR1400を完
成させるとの決意を表明している。
ベラルーシ
原子力導入計画、ロシアと建設契約に調印
ベラルーシは7月18日、同国初の原子力発電所建設計画の一括請負契約をロシアと調印
した。首都ミンスクでの調印式には両国の首相も同席した。
同契約は建設コスト設定や機器の納入および支払の時期といったロシアとの契約内容や双
方の責任義務事項など基本原則を定めたもので、1号機と2号機の完成日程をそれぞれ20
18年11月と20年7月に設定。サイトではすでに6月から準備作業が始められており、
同国の原子力導入計画は実現に向けて急速に加速度を増している。
1986年に事故を起こしたチェルノブイリ原発はベラルーシとの国境から16kmとい
う近さにあり、同国は最も大きな放射線被害を被った国の一つ。しかし、国内のエネルギー
資源は乏しく一次エネルギーの8割以上を輸入に依存しているため、90年代後半に原子力
導入に関する実行可能性調査を実施した。
2009年にベラルーシ政府はロシアのアトムストロイエクスポルト(ASE)社を主契
約者とし、リトアニアとの国境に近いフロドナ州オストロベツ市を第一立地候補地に120
万kWのロシア型軽水炉(VVER)であるAES-2006を2基ターンキー契約で建設
することでロシア側と合意した。その後、2011年10月に契約の枠組協定に調印したの
に続き、翌11月にロシアからベラルーシへの融資に関する政府間協定を締結。今年1月に
はベラルーシ産業銀行がロシア国営・開発対外経済銀行(VEB)と銀行間協定を結ぶなど、
ロシア政府から100億ドルの融資取り付けが確実となった。
同国にとって原子力発電は今や、年間50億立方メートルの天然ガスの輸入削減に貢献す
るのみならず、発電コストの低減や1070万トンの温室効果ガス排出抑制にも役立つとい
う認識。ロシアと結んだ契約では、建設コストの財務分析に指数法を用いるなど、ロシア国
内での原発建設と同様の条件で価格設定する。と同時に、建設中のバルチック原発のコスト
を超えるべきではないとの点で合意に達したとしている。
なお、この件に関しては、4日にV・セマシュコ第一副首相を議長とする関係者会合が開
かれ、ベラルーシ原発建設理事会のほか、主契約企業のASE社を今年3月に吸収して設立
されたロシアのNIAEP-ASE社、ベラルーシの下請け企業および、地元フロドナ州の
代表らが参加した。
会合開始前に出席者はオストロベツの建設サイトを視察。1号機の基礎ピット掘削状況や、
ロシアとベラルーシそれぞれ専用の事務棟、管理事務室、倉庫、現在の作業に携わっている
労働者500名用の食堂を含む管理総合施設の建設状況が確認された。年内にこれらの14
施設が完成予定のほか、基礎ピットに関しては凍結防止用の排水基盤設備を11月1日まで
に完成させる方針だ。
建設計画にはベラルーシの供給業者も設計・建設活動に可能な限り参画。これまでに34
社が潜在的な供給業者となるために機器の統一データ・カタログに登録済みのほか、16社
が準備段階にあるとしている。
以
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