Page 1 Page 2 これまでに非常に多くの検討がなされており, その増幅

偏波面保存エルビウム添加光ファイバの増幅特性
(1096)
平成7年12月
レーザーオリジナル
偏波面保存エルビウム添加光ファイバの増幅特性
酒井 哲弥*・姫野 邦治*・和田 朗*・山内 良三*
(1995年8月11日 受理)
AmphficationCharacteristicsofPolahzation−Maintaining
Erbium−Doped Optical Fiber
TetsuyaSAKAI*,KuniharuHIMENO*,AkiraWADA*and RyozoYAMAUCHI*
(Received August11,1995)
A polarization−maintaining erbium−doped fiber(PM−EDF)based on the PANDA
(Polarization−maintaining AND Absorption−reducing)type fiber technology has been
developed as an amplification medium of a polarization−maintaining optical amplifier for
1550nm band.Detall amplification and polarization characteristics ofthe PM−EDF have been
evaluated for the first time.
The carefully designed PM−EDF amplifles the optical signal with a high ga童n and low noise
figure,keeping the state of polarization through the fibeL The amplif玉cation performance of
the newly developed PM−EDFis the same as that of the convent圭onal erbium doped amplifiers
except the polar量zation characteristics.The achieved characteristics are35dB gain for small
signal,4。8dB noise figure,70%slope efficiency,30dB of polarization extinction ratio even in
a fiber coil of15mm in diameter.Polarization hole buming is also reported.
Key Words=Erblum−doped optical fiber,Polarization maintaining fiber,Optical fiber
amplifier
型光増幅器が必要とされる場合がある。例えば,
1。はじめに
ファイバリングレーザーの増幅用として用いる
エルビウム添加光ファイバを用いた光増幅器
場合や,外部変調器など偏波依存性を有するデ
(EDFA)は,容易に高出力が得られること,
低雑音であること,偏波依存性が小さいことな
ど,光増幅器として非常に優れた特性を有して
バイスともに光増幅器を用いる場合などが挙げ
られる。こうした用途に偏波を保持しない通常
いるため,ここ数年の間に急速に開発が進み,
のエルビウム添加ファイバ(EDF)が全く使用
できないわけではないが,偏光の制御が必要に
すでに光通信の多くの分野で実用化が始まって
なり,衝撃などの外乱に対する安定性に欠ける
いる。ところで,光増幅器の用途の中には光信
などの問題点があってあまり実用的ではない。
号の偏波状態を保持したまま増幅する偏波保持
偏波保持型ではない通常のEDFに関しては,
*株式会社フジクラ光エレクトロニクス研究所(〒285千葉県佐倉市六崎1440)
*Opto−electronicsLaboratory,Fujikura,Ltd。(1440Mutsuzaki,Sakura,Chiba285)
一72一
第23巻 第12号
ザ ー 研 究
レ
これまでに非常に多くの検討がなされており,
その増幅特性,雑音特性についても豊富な報告
例がある。一方,偏波保持型のエルビウム添加
ファイバ(PM−EDF)に関する報告1・2)は数件あ
るのみで,詳細な増幅特性,偏波保持特性に関
する報告はない。
(1097)
Table I Fiber parameters。
Relative refractive
1.8%
index difference
Core diameter
4。0μm
870帆。ppm
Erbium concentration
Alumin立um concentration
6700wt。ppm
Mode∬eld diameter
(λ=155μm)
4.5,μm
tainingAND Absorption−reducing)型偏波保持
Cutoffwavelength
1。36μm
光ファイバをベースとして設計,試作した
PM−EDFについて,その利得特性,雑音特性
Modal birefringence
(λニ155μm)
本論文では,PANDA(Polarization−main.
について報告する。EDFは小さな径でコイル
状に巻かれて実装されるのが一般的なので,今
回試作したPM−EDFはこうした条件下でも偏
光特性が劣化することがないように,通常の
PANDA型光ファイバに比べてコアヘの印加応
力を高めに設定している。このため応力付与部
がコアに近づき損失面で不利であるにもかかわ
らず,今回試作したPM−EDFは偏波を保持し
ない通常のEDFと同等の良好な利得,雑音特
性を実現している。偏波保持特性については,
その長さ依存性,曲げ径依存性を評価し,実用
的なファイバ長,曲げ半径において十分な偏波
特性が得られることを確認した。さらに偏波
ホールバーニングについても評価結果を報告
する。
Ge,Er,AI
co−doped core
5.1×10−4
Fdopedcladding
も
33μm
16μm
Stress apPlying Parts
Fig。1 Fiber structure.
した。またクラッドには屈折率差をより大きく
とるためフッ素を添加した。
PM−EDFはその高屈折率,小コア径構造に
よりモードフィールド径(MFD)が4∼5μmと
2.製法と構造
この1》M−EDFは,通常のEDFと同様にVAD
法を用いて一次母材を作製した後,応力付与材
用の加工を行い,応力付与材と一体化と同時に
線引きして作製した。この製法は現状のPAN
DAタイプと呼ばれる偏波保持ファイバ(PMF)
の製法と全く同一であり,低損失と良好な偏波
保持特性が得られると期待される3)。
TableIとFig。1に開発したPM−EDFの構造と
小さくなっている。このため,通常のPMF
(MFD∼10μm)と普通の融着条件で接続をお
こなうと両ファイバの問のMFD不整合によっ
て接続損失が増加する。この問題を解決するた
め,ここではモードフィールド整合技術4)を用
いた。ファイバコア部のゲルマニウムは融着接
続時の熱によってクラッドヘと拡散するため,
光学特性を示す。
放電時間を長くとるほどMFDは拡大する。こ
コア部の屈折率分布構造は,高屈折率差,小
コア径とし励起光の光密度を上げて少ない励起
パワーで利得が得られるようにした。またエル
ビウム添加濃度を増加した際に生ずる近接した
エルビウムイオン間のアップコンバージョンに
よる利得低下を抑制するとともに,利得波長特
性を平坦化するために,アルミニウムを共添加
の拡散速度はPM−EDFと通常のPMFとで大き
く異なっているため,放電時間を適当に選ぶこ
とにより,両者のMFDを一致させMFD不整合
に起因する損失増加を解消することができる。
応力付与部の大きさと問隔は,偏波保持特性
すなわちコアヘの応力の大きさと損失に大きく
関わる5)。大きさにはコアヘの応力が最大と
一73一
偏波面保存エルビウム添加光ファイバの増幅特性
(1098)
なる最適値があり,また間隔はコアヘの応力と
損失が相反する関係となっている。応力付与部
の大きさはほぼ最適値となる33μmとし,応力
付与部の問隔は,EDFとしての使用長が短い
ことからコアヘの応力を優先し,PMFより若
干小さい16μmとした。これにより試作した
PM−EDFのモード複屈折βは5。1×10−4が得ら
平成7年12月
ができる。ただし,このPM−EDFにおいては,
クラッドヘのフッ素添加により応力付与部との
屈折率差が小さくなるため融着器による自動偏
波軸調芯は困難であり,実際には偏光消光比測
定を行いながら接続した。
4.増幅特性
れた。この値は通常のPMFの値より30%程度
PM−EDFの増幅特性を評価するために利得
良い値となっている。
と雑音指数の入射励起光パワー依存性及び励起
Fig.2に試作したPM−EDF及びPM−EDFと同
一のコア材から作製したEDFの損失波長特性
光から信号光への変換効率を測定した。以下の
特性はPMFとPM−EDFの接続損失を含んで
を示す。ファイバ自体のバックグラウンド損失
いる。
は共に約10dB/kmである。この値はEDFの使
用長が数10mであることを考えると十分に小
Fig。3にPM−EDFの利得の励起光パワー依存
さい値である。また波長1.24μmと1.39μmに見
利得30dBが得られている。また利得しきい値
られるのはOHイオンによる吸収損失である。
励起光パワーは約4mWである。
両ファイバの損失スペクトルの比較から
Fig.4にPM−EDFの雑音指数の励起光パワー
PM−EDFの偏波保持化による損失増加はほと
依存性を示す。15mW以上の励起光入力によ
性を示す。25mW以上の励起光により小信号
り5dB以下の雑音指数が得られている。
んどないことがわかる。
Fig。5に飽和利得状態での入力励起光から出
3.接続技術
力信号光への変換効率を示す。
PMFとPM−EDFとの接続は偏波保持ファイ
バ用融着接続器FSM−20PMHにより行った。
PMFとPM−EDFとの接続損失込の微分変換
効率は約70%であり,接続損失を含まない
融着時には放電時問を最適化することにより
PM−EDF自体の微分変換効率は約77%である。
これらPM−EDFの増幅特性は,非常に高効
率であり,これまでに我々が開発した通常の
MFDの異なるPMFとPM−EDFとを低損失にて
接続することができる。この際の接続損失は信
号光励起光共に約0.2dBであった。また偏波軸
35
の回転調整により偏光消光比30dB以上の接続
10000
i 』』555nm }
o
EDF
o
PM−EDF
…ii
ミ
25
晶
1
碧
済1000
8
触
お
8
芒
で20
oa8
』
一徳15
…
0
ノ
.9
総
’一 100
”9’”’臼’
●
o
の
ζ
ω
.3
5
、
●
888●●e
eo馳・・.。.
ooo
Psignal
▲
口
●8
←
pumpニ1480nm
○
●
…ii
Length躍20m signa1ニ1
10
弘8
10
ぞ
ゆ
30
8
8●
一30dBm
一20dBm
一10dBm
0
0 10 20 30 40 50 60 70 80
1.1 1.2 1,3 1.4 1.5 1.6 燦.7
Fo酬ard pumping Power(mW)
Wavelength(μm)
Fig,3Pump power dependence of gain for different
Fig.2Transmiss孟on Ioss spectra・
input signal powers・
一74一
第23巻 第12号
(1099)
レ ー ザー 研究
7.0
Length=20mλslgnal=曜555nmλpump=1480nm
□
1.55μm
6.5
LED
伍
Psignal
96.0
2
O
コ
▲
に
口
95.5
LED
4.5
カ
¶
へ口 r口
PM−EDFF
ModuIatbn
∼
f=;1000Hz
霧
¶
Polarizer
1.31、μm
一30dBm
一20dBm
一確OdBm
ロδ5.O
Z
蝋…・◎・
刈
→
¶
{
関・②・
Lock−ln
amplifier
4.0
0 10 20 30 40 50 60 70 80
Polarizer
Fo㎜ard pumping Power(mW)
Fig、6Measurementsetupforextinctionratio.
Fig.4Pump power dependence of noise figure for
different input s五gnal powers.
55
宙
ε50
5
逼45
40
●witわout PMF pigtails
o with PMF l》igtailsl
タ
530
お
タ
a
5
お20
=77% Sl・pe
話35
910
(withPMF pigtails)
● ●餅ポ
、、 、
8・一…
●の.豊
、♂ ’・、 、
.製
鉱
、
、
、
、
025
石
し
Length=20m
λsignal=1550nm
O
●λ誕t55μm
隠30
l l
コ
λ=1.31μm
○し 、 、
5
e捕ciency
=70%
’あ
ヨ
5
B40
葺
Sbpe
efficiency…
○λ=t55μm
㌔・
、
、覧’甲
氏
20
.1 唾 10 100 1000
P signal=OdBm
0 0 10 20 30 40 50 60
Fiber length(m)
Fig。7Fiber length dependence of polarization
eXtinCt重On ratiO.
Backward pumping power(mW)
Fig。5Conversion efficiency from pump power to
signa丑poweL
Fig。6に偏光消光比の測定系を示す。自然放
出光の影響を取り除くため信号光に変調をか
EDFとほぼ同等な値である。
け,ロックインアンプにより観察した。偏光消
5.偏波保持特性
光比の長さ依存性を比較するため1。31μmの光
源も使用している。
偏光消光比は外部からPM−EDFへ加わる歪
により劣化する。また偏波保持ファイバが長く
なるほど,一つの偏光軸から直交する偏光軸へ
のモード結合による偏光消光比の劣化は蓄積さ
れる。そこで偏光消光比の長さ依存性と曲げ径
依存を調査することにより,実際の偏波保持光
増幅器への適応の可否を検討した。
Fig.7に偏光消光比の長さ依存性を示す。こ
こにはPM−EDFのみの偏光消光比とその両端
にPMFを接続した場合の結果を示している。
偏光消光比の長さ依存性は以下の式により表わ
されることが知られている。
一75一
η=tanh(L・h)
(1)
偏波面保存エルビウム添加光ファイバの増幅特性
(1100)
平成7年12月
ここでLはファイバ長,hは直交する2つの偏
このとき式の第2項のEはファイバのヤング
波の結合定数を示す。
率,Cは光弾性定数,Bはモード複屈折率,わは
図の破線は波長1.31μmでの測定値を上式に
ファイバ半径,Rは曲げ半径を表わす。この式
よりフィッティングした結果である。式(1)が
は曲げにより偏光消光比が最も劣化する場合,
長さ依存性を良く表わしていることがわかる。
つまり曲げ角度が偏波軸に対して45度になった
波長1.55μmではエルビウムの吸収が存在する
場合を表わしている。曲線は測定結果をよく表
ために測定値は10m程度のファイバ長までし
式(1)をフィッティングすることにより長尺の
わしている。図から15mmφ以上の曲げ径にお
いて30dB以上の偏光消光比が得られることが
わかる。実際の使用に際しては問題ないレベル
1.55μmでの値を推定した。これより波長
と考えられる。
か得られていない。そこで短尺での測定結果に
1.55μmにおいても70m程度の長さまで30dB
6.利得の偏光依存特性
以上の偏光消光比が得られることがわかる。
またこのときの結合定数hはL4×10−5m−1と
PM−EDFの利得の偏光依存性を把握するこ
なる。
とは,光増幅器を設計する際に重要である。コ
先の増幅特性からわかるように,この
アヘの応力付与は微小ではあるが2つの偏光軸
PM−EDFの実用的ファイバ長は20m前後であ
の屈折率差を生みだし,若干の利得差を生ずる
るので,十分な偏光消光比が得られていること
可能性が考えられる。また信号光と励起光の偏
がわかる。また両端にPMFを接続した場合に
光状態の違いが利得差をもたらす可能性もあ
は,接続部の偏波軸の不整合により測定結果に
る7−9)。そこで信号光,励起光各々偏光方向を
ばらつきが見られるが,それでも30dB以上の
変えることにより利得差を観察した。
偏光消光比が得られている。
Fig.9にその測定系を示す。信号光励起光共
Fig.8に偏光消光比の曲げ径依存を示す。図
中の曲線は,以下の式により求められる偏光消
に偏波コントローラを用いて,全ての偏光状態
の組み合わせによる測定を行った。励起光の偏
光比の曲げ径依存を表わす6)。
波状態を固定した状態で,信号光の偏光状態を
変化させ利得変化を観察し,これを励起光の
η一tanh(L・h)+(E・C/2)2・
(わノR)4・(1/B)2
i…
90
に
●
9
540
530
.製
筍
石
本
●
●
●
…
【
…
…
Polarization controller
…
\
●
●
●
i
…
iE
…
…
}
…
i
Fiberlength繍2m …
本
i
Pump
WDM
ゆ
LD
α
20
ゆ
/
●
●
岳
話
焉
PM−EDF
LD
50
β
后
P signal漏O dBm
λsignalニ1557nm
SignaI
(2)
510152025303540
Bending diameter(mm)
P pump=50mW
λpump隣1470nm
Fig。8Bending diameter dependence of polariza−
tiOn eXtinCtiOn ratiO。
耕
OpticaI
powermeter
Fig.9Measurement setup for polarization depend−
ence of gain。
一76一
第23巻 第12号
レ
(1101)
研 究
ザ
0.20
PM−EDF
⊆
ω
Probe signaI
λs=1557nm
o
い パ
oαユ 0.15
①てコ
o)
⊆α
⑳o
OpticaI
powermeter
20dB
coupler
本 一・
本
Signai ↑
’2の
Φ記
Ω・⊆:
O.10
LD Polarization
Φσ》
controHer
てコ・あ
に_
9お
Si器al ↓
焉』 0.05
.製2
誌
§ § §
石
氏
O.00
蒔
§…一1
WDM
本 一・
金
Main signal
λs罰557nm
0 30 60 90 120 150 180
P躍P斜 PBS
λ/2plate angle ofpump
polarization controller(deg.)
λp=1470nm
丹
Fig.10Polarization dependence of gain.
Fig.11Meas皿ement setup for gain change due to
全ての偏光状態について行った。
polarization hole burning、
Fig.10に測定結果を示す。図中の横軸は,励
起光の偏波コントローラのλ/2板の回転角を示
EDFAを用いた長距離光ファイバ通信におい
しており,縦軸は励起光の偏光状態を変えずに
信号光の全ての偏光状態における利得を観察し
て,このPHBによる信号光の偏光方向と垂直
なASE光の蓄積は,雑音指数の増加となりシ
た際の利得差の最大値を表わしている。横軸の
ステム設計上問題となる。
同一点における測定値は励起光の偏波コント
PM−EDFにおけるPHBによる利得変化を
ローラのλ/4板の回転角を変化させた場合の違
EDFの値と比較するためFig.11の測定系を用
いを表わしている。図からどのような偏光状態
いて観察した。図において,偏波ビームスプリッ
においても利得差は0.05dB以下であることが
タ(PBS)により偏波合波された励起光とメイ
わかる。
ン信号光はWDMにより波長合波され被測定
PM−EDFもしくはEDFに入力される。メイン
よって,偏波保持光増幅器を構成する際には,
0.05dB以下の利得変動を問題にしない限り,
PM−EDFのどちらの偏光軸を用いても良く,
励起光の偏光状態も考えなくて良いと結論され
信号光と同一波長でメイン信号光より充分小さ
る。
た場合の利得変化をパワーメータにより観察し
いパワーのプローブ信号光を逆方向から入射
し,偏波コントローラにて偏波方向を変化させ
た。またPM−EDFの偏波保存軸との関係を知
るためにメイン信号光の偏光方向を変えた場合
7.偏波ホールバーニング
EDFAにおいて,信号光の偏光方向と垂直な
ASE光はEDF内の偏波ホールバーニング
(PHB)効果により,信号光の偏光方向と平行
なASE光に比べ若干大きな利得を持つことが
報告されている10)。光部品による偏波依存損
の測定も行った。
Hg.12に観察したPHBによる利得変化を,
利得圧縮比の関数として表わした。利得圧縮比
は,小信号パワー入力時の利得を基準としたと
きの,観察時の入力信号パワーでの利得の低下
失と異なり,PHBによる利得の偏波依存性は
信号の偏光方向に依るため,多段接続時の偏光
する割合を表わしている。文献10ではPHBに
よる利得変化はEDFの種類に依らず,この利
依存性は平均化されず蓄積される。多段に
得圧縮比(ら)に対して以下の実験式に従うと
一77一
偏波面保存エルビウム添加光ファイバの増幅特性
(1102)
利得,雑音指数等増幅特性は,現在開発され
0.20
伍
ε
㊧
ている高効率なEDFと同等な特性を有してい
○
ることを確認した。
の
エ0、{5
鉱
o
○⑫
偏光消光比は,実際に使用されるファイバ長,
O
曲げ径において,偏波保持ファイバと接続した
り
Φ
コ0.10
状態で30dB以上が得られることを確認した。
これは,偏波保持光増幅器として十分適用でき
℃
Φ
o
○
信
邸
Eq.(3)O EDF◎ PM−EDF
‘0.05
0
るQ
⊆
利得の偏光依存性は励起光の偏光状態の影響
”而
0
0、00
平成7年12月
0
を含めても,測定誤差程度の0.05dB以下であ
ることを確認した。またPHBによる利得変化
はEDFと同等であり,その利得圧縮比により
2 4 6 8 10
Gain compression(dB)
Fig。12Gain change due to PHB against gain
求められることを確認した。
compression。
参 考 文 献
報告している。
1)K.Tajima:Electronics Letters,30th August,
PHB−0.027・qグ0.001・Cp2(dB)
Cp<8dB (3)
我々の観察においても,EDFの測定結果は
図にあるように,ほぼ式(3)により計算した実
線に沿っている。若干我々の観察結果が大きな
値を示しているのは,測定系の偏波依存損失の
影響と考えられる。
PM−EDFの観察結果も同様に式(3)に従って
いる。またPM−EDFの偏波保存軸へのメイン
信号光の入射偏光方向を変化させて観察した結
果も,誤差範囲内で図中の観察点に一致してい
る。
PM−EDFにおけるPHBによる利得変化は,
EDFと同等であるといえる。
西村正幸,首藤晃一:1993年電子情報通信学
会春季大会C−294.
3)姫野邦治,沢田 稔,和田 朗,菊地佳夫,
鈴木文生,山内良三:フジクラ技報,第85号,
1993年10月.
4)A.Wada,T。Sakai,D.Tanaka,T。Nozawaand
R。Yamauchi:Optlcal Amplifiers and Their
Applicat孟ons,paper FD3,1991,
5)J.Noda,K.Okamoto and Y.Sasaki;Joumal of
Lightwave Technology LT−4(1968)107L
6)柴田 宣,青海恵之,阿部徹治=NTT電気通
信研究所研究実用化報告35(1986)431.
7)V.J.Mazurczyk andJ.L Zyskind:Conference
on Lasers and Electro−Optics11(1993)post−
deadline paper CPD26,
8)R W。Keys,S。J。Wilson,M.Healy,S。R。
Baker,A.Robinsonand J.E Righton:
Optical Fiber Communicat孟on(1994)paper
FF5.
9)P。F.Wysocki:Optical Fiber Communlcation
8,おわりに
偏波保持型光アンプの増幅媒体としてPAN−
DA型の構造を用いたエルビウム添加偏波保持
ファイバを開発し,その基本特性を評価した。
26No.18(1990)。
2)重松昌行,高城政浩,柏田智徳,大西正志,
(1994)paper FF6。
10)V.J.Mazurczyk and J。L Zyskind:Photonics
Technology Letters6(1994)。
一78一