防災アセスメント調査報告書概要(PDF形式:3331KB) - 船橋市

平成22年度
船橋市防災アセスメント調査及び地区別防災カルテ作成業務
報
告
書
概
平成23年3月
船
橋
市
要
報告書概要目次
頁
1.はじめに ----------------------------------------------------------------------------------------------- 1
2.地震被害想定結果の概要 --------------------------------------------------------------------------- 3
3.地震災害シナリオの概要 ------------------------------------------------------------------------- 33
4.風水害・土砂災害危険性の調査の概要 ------------------------------------------------------- 38
5.地区別防災カルテの概要 ------------------------------------------------------------------------- 44
6.おわりに --------------------------------------------------------------------------------------------- 50
1.はじめに
平成 7 年(1995 年)1 月 17 日に活断層が引き起こした兵庫県南部地震は、我が国におい
て、高度に発達した近代都市が初めて遭遇する大災害(阪神・淡路大震災)であった。木造
住宅やコンクリートビルの倒壊、高速道路やライフラインの断絶、広範囲の延焼火災、そ
して何よりも 6,400 名を超える死者の発生は、都市防災の抜本的な見直しを迫るものとな
った。その後、防災対策は多くの改善をみたが、国内では、芸予地震( 2001 年),十勝沖
地震(2003 年),新潟県中越地震(2004 年),福岡県西方沖地震(2005 年),能登半島地震
(2007 年),新潟県中越沖地震(2007 年)、岩手・宮城内陸地震(2008 年)といったよう
に生命が失われた地震災害は絶えることがない。また、風水害についても、東海豪雨(2000
年)、平成 16 年 7 月新潟・福島豪雨、平成 16 年台風第 23 号、平成 18 年 7 月豪雨、平成
21 年7月中国・九州北部豪雨、平成 21 年台風第 9 号などにより、毎年のように多くの死
者が発生している。そのような中で、国や地方自治体、地域社会、そして市民一人ひとり
が、それぞれの立場で、また連携しながら、継続的に防災活動に取り組むことが求 められ
ている。
このような背景のもと、船橋市においては、大規模地震や台風等の風水害が発生した際
の市域の災害危険性分布を専門的かつ総合的に解析し、防災アセスメント調査を行い、市
の防災対策の現況を及び市を取り巻く社会環境等も踏まえた「船橋市地域防災計画」の抜
本的な修正に資するための基礎資料を作成することとした。
とくに地震災害のアセスメントについては、千葉県が平成 20 年 3 月に、阪神・淡路大震
災以降の地震被害調査で得られた都市部や中山間地での地震被害の様相、地震学や地震工
学、IT 技術の急激な進歩に加え、社会情勢の変化などを考慮して、新たな地震被害想定調
査結果を公表したことを踏まえ、船橋市においては、同調査を参考にしながら、市域につ
いてのより詳細なデータに基づき、精度を高めた地震被害想定調査を行うこととした。
さらに、防災課題を検討し、それをアセスメント調査結果と併せて地区ごとにまとめ、
「地区別防災カルテ」を作成した。
「地区別防災カルテ」は、これを情報として市民に提供
することにより、市民の防災意識の向上や、「自助」「共助」の防災活動の契機や推進に結
びつくことが期待される。
次ページに、今回実施した「船橋市防災アセスメント調査及び地区別防災カルテ作成業
務」のフロー図を示す。
なお、地震被害想定調査結果の利用につい て は 、以下のよう な点に留 意が必要で ある 。
 この調査は、あくまでも想定される地震(必ず発生する地震ではない)に対し、現在
船橋市が可能な範囲で収集したデータに基づき、揺れや液状化危険度、地震被害量な
どを算出したものである。
 揺れの計算や震度の推定については、最新の計算手法を用いているが、今後の地震学、
地震工学等の進歩や IT 技術の向上や地盤データの蓄積等により変わることがある。
 被害量の算出方法や式については、過去の 地震被害調査等に基づいたものであり、今
後の新たな知見によっては、変更されることがある。
 本調査は、個々の建築・土木構造物等の被害量を算出する目的で調査を実施したもの
ではなく、確率論的な手法を用い全体の被害量を算出したもので、個々の建築・土木
構造物の被害は別途、詳細な計算が必要である。
1
調査フロー図
開始
船橋市防災アセスメント調査及び地区別防災カルテ作成業務の実施
<地震被害想定調査>
前提条件の整理
・想定地震:1地震(東京湾北部地震)
・想定ケース(地震):季節・時間帯3ケース×風速1ケース(9m) 計3ケース
・調査単位:50m標準メッシュ、市町村町丁字、路線、地点(調査項目による)
自然条件調査
・震源断層
・地質、地下構造
・微地形、ボーリングデータ、土質
・急傾斜地などの斜面
社会条件調査
・人口概況(分布、時刻別推移など)
・建物分布概況(分布、構造別、年代別
棟数)
・ライフライン概況(上水道など)
・防災関係施設分布(消防署、防災倉
庫、防災用井戸・貯水槽など)
地震災害の予測
<50mメッシュでの予測>
・震度
・液状化危険度
<地点での予測>
・急傾斜地崩壊危険度
被害の予測
・建物被害(揺れ、液状化、急傾斜地崩壊) ・火災被害 ・人的被害
・ライフライン施設被害 ・交通輸送施設被害 ・土木構造物被害
・避難者予測 ・帰宅困難者予測
・その他の想定(エレベーター閉じ込め者、自力脱出困難者、震災廃棄物など)
対応能力算定:避難所収容能力、飲料水、食料、仮設トイレなど
災害シナリオの作成:季節・時間帯別3ケース
<風水害・土砂災害危険性の調査>
前提条件の整理
・想定風水害:1台風・高潮
・調査単位:浸水想定区域ごと、箇所ごと(調査項目による)
風水害・土砂災害の予測
・水害危険区域 ・浸水想定区域(想定区域内の人口、世帯数等の把握) ・高潮により被害を受ける可能性のある箇所
・急傾斜地崩壊危険箇所 ・宅地造成等規制区域
・その他の風水害等に対して注意すべき箇所
船橋市防災基礎調査のまとめ
○地区別防災現況の整理
船橋市地区別防災カルテの更新
○地区別災害危険性の整理 ○地区別防災課題の整理
終了
2
2.地震被害想定調査の概要
2.1 地震被害想定調査の基本事項
被害想定の単位
地震動の算出および被害予測など解析・評価を行う単位は、基本的に 50m標準メッシュ
とした。標準メッシュとは、緯度・経度を ほぼ50mになるように等分割したものである。
被害想定を行う季節・時刻・風速
地震による被害は、季節・時刻による条件の違いや気象条件の違いによって 大きく変わ
るため、想定地震ごとに以下に示すケースを想定して被害予測を行った。
季節と時刻の想定ケース一覧表
No.
1
2
3
季節:時刻
冬 5時
冬 18時
夏 12時
設定ケースの説明
大多数の人が住宅におり、住宅による死傷者数が最も多くなるケース
火気の使用が一年中で最も多く、火災の被害が最も多くなるケース
大多数の人が通勤先・通学先に移動しており、日中の平均的なケース
風速の想定ケース一覧表
項目
風速(m/s)
風向
湿度(%)
冬
夏
9
北北西
50
西南西
80
想定地震
想定地震については、 近い将来発生の確率が高く、千葉県に大きな影響があると考えら
れる地震の中から、船橋市に最も被害が予想される東京湾北部地震を選定した。 本調査の
想定地震の概要と南関東地域の地震の発生周期を 次に示した。想定地震については、千葉
県(2008) 1の調査を参考にしている。
本調査の想定地震
No.
想定地震名
マグニチュード
(Mw)
震源域深さ
(km)
破壊開始点深さ
(km)
地震タイプ
1
東京湾北部地震
Mw=7.3
17~33
27.8
南関東直下の
M7クラスの地震
※Mw: モーメントマグニチュード
1
千葉県(2008)
:平成 19 年度千葉県地震被害想定調査
3
報告書
平成 20 年 3 月, pp.3-1~3-4.
南関東地域の地震の発生周期
M
7.9
M8.2
H19 年版防災白書に加筆
東京湾北部地震の震源断層モデルの位置図
140°
141°
36°
凡例
東京湾北部地震
(マグニチュード 7.3)
震源域:
(岩盤のズレの範囲)
35°
4
被害予測項目
今回の調査による主な被害予測項目と予測内容 を以下に示した。
項目
揺れ・地盤被害
予測内容
地震動、液状化、急傾斜地崩壊の予測
建物被害
揺れ・液状化による全壊棟数・半壊棟数、急傾斜地崩壊による全壊棟数・半壊棟数
火災被害
出火点数、延焼棟数の予測
人的被害
建物被害による死傷者数、火災被害による死傷者数、急傾斜地崩壊による死傷者、
屋内収容物の移動・転倒による負傷者数、ブロック塀等の倒壊・屋外落下物による死傷者数
交通被害
道路橋梁の被害予測
ライフライン被害
上水道、下水道、被害量及び復旧日数の検討。電力、都市ガス、通信施設については千葉県
調査結果を準拠
その他被害予測
避難者、帰宅困難者、エレベーター閉じこめ、自力脱出困難者、震災廃棄物
社会機能支障の予測 住機能支障、飲食機能支障
5
2.2 地震動
地震動は、千葉県(2008)の調査に従って、深部地盤と浅部地盤に分けて検討した 。深
部地盤は千葉県の調査結果を用い、船橋市の微地形区分図を 50m メッシュごとに作成して、
想定地震が発生した場合の震度などを予測した。
予測の考え方
地震動の予測手法は、工学的基盤の地震動については、千葉県 (2008)の調査で算出さ
れた工学的基盤での差分法を用いたやや長周期地震動と統計的グリーン関数法による地震
動をマッチング・フィルターにより重ね合わせた波形(ハイブリッド波形)の最大速度、
最大加速度及び計測震度を用いた。
地表の地震動については、まず千葉県(2008)の調査で等価線形地震応答計算により求
められた 250m メッシュの地表地震動の工学的 基盤地震動に対する増幅度を微地形区分毎
に整理する。次に、50m メッシュごとの微地形区分を作成し、先に求めた 250m メッシュ
の微地形区分別増幅度を工学的基盤の最大速度、最大加速度、計測震度に掛け合わせて、
地表の地震動を算出した。以下に地震動予測の概念図を示す。
地震動予測の概念図
地表面での波形
地表面での最大速度、最大加速度、
計測震度
50m メッシュごとに微地形
区 分 を作 成 し、それより表
層増幅度を求め掛合わす
マッチング・フィルター
深い地盤構造を考慮した
線形応答計算
断層
統 計的グリーン関 数 法
および差 分 法 によるや
や長周期地震動計算
6
地表
工学的基盤
S 波速度
400~600m/s 程度
地震基盤
S 波速度
3000m/s 以上
予測結果
○東京湾北部地震(マグニチュード 7.3)
最大震度は 6 強で、震度 7 は認められなかった 。船橋市の南部に震度 6 強が分布し、北
部は震度 6 弱となる。船橋市の最北部に一部震度 5 強が分布する。千葉県(2008)の調査
に比べて、震度 6 弱の範囲が広く、震度 5 強の範囲が狭くなっている。参考として千葉県
(2008)による震度分布図も示した。船橋市による結果は、メッシュを 50m と細かくして
いるため、台地を刻む谷地形が反映されその部分は震度が 1 ランク強く 6 強となっている。
震度分布図(東京湾北部地震・50m メッシュ)
()内の数字はメッシュ数
7
震度分布図(東京湾北部地震・250m メッシュ)(千葉県(2008)による)
()内の数字はメッシュ数
8
2.3 液状化
液状化危険度の予測は、表層地盤の砂層の状況や地下水位を考慮して行った。
予測の考え方
地下 20m までの砂層の深度、層厚、N値およ び地下水位を考慮し、層ごとに液状化に対
する抵抗力を推定した。地中の地震動の大きさを予測して、 上記の液状化に対する抵抗力
と比較し、液状化の危険度を層ごとに予測した 。各層の液状化危険度をまとめて、最終的
にその地点での液状化危険度を予測した。 計算に用いた N 値は、同一微地形区分で一番
距離の近い千葉県(2008)調査の 250m メッシュモデルの設定値を用いている。また、
地表地震動は、船橋市で算出した 50m メッシュの地表における最大加速度値を用いて
いる。
過去の地震の液状化履歴
1987 年千葉県東方沖地震では、東京湾沿岸および九十九里浜沿岸に液状化が発生した 。
この地震の液状化履歴図(1km メッシュの平均液状化面積率)の分布を示した。この地震
は、液状化が発生するぎりぎりの地震動の強さと考えられる。
1987 年千葉県東方沖地震の液状化履歴 図
千葉 県東 方沖 地震 震 源
域
※香取市・神崎町な
どの利根川沿いの
三角州・海岸低地で
の広範囲の液状化
面積の箇所は、利根
川の三日月湖を利
根川の浚渫砂で埋
め立てた箇所が、大
規模に液状化した
と報告されている。
9
予測結果
○
東京湾北部地震
船橋市南部の埋立地・低地部を中心として、液状化危険度が高い地域が分布する。内陸
の河川沿いの谷底低地についても液状化危険度が高い 地域が分布するが、湾岸の埋立地・
低地部に比べ液状化による地盤の流動化などの被害は少ないと考えられる。
船橋市の今回の液状化危険度の予測結果を示した。また、千葉県( 2008)の予測結果を
示したが、今回の予測結果は、千葉県(2008)のものに比べ、50m メッシュでの予測であ
り、ローム台地内の谷底低地などの液状化もより微細に表現されている。
液状化危険度分布図(東京湾北部地震・50m メッシュ)
()内の数字はメッシュ数
10
液状化危険度分布図(東京湾北部地震・250m メッシュ)(千葉県(2008)による)
()内の数字はメッシュ数
11
2.4 建物被害
建物被害予測について、揺れによる被害、液状化 による被害、急傾斜地崩壊による被害
の被害棟数を算出しました。
予測の考え方
・揺れによる建物被害予測
揺れによる建物被害は、年代別・構造別・階数別に区分した建物ごとに算出した最大速
度と全壊率・半壊率の関係から全壊・半壊棟数 (自治体による判定基準)を算出した。こ
こで、最大速度は、長周期成分の影響を除去することを目的として、最大加速度( PGA:
Peak Ground Acceleration)から最大速度(PGV: Peak Ground Velocity)を変換して用いた。
・液状化による建物被害予測
液状化による建物被害は、液状化危険度予測から得られる 液状化危険度および 50m メッ
シュ微地形区分を用いて、全壊・半壊棟数を算出した 。
・急傾斜地崩壊による被害予測
急傾斜地崩壊による建物被害として、急傾斜地崩壊危険箇所データおよび震度分 布から、
各危険区域内人家戸数の全壊・半壊棟数を算出 した。
建物の現況
・建物被害予測に当たっては、平成 22 年度の固定資産税課税台帳に基づいて、構 造別、
年代別、階数別に整理した。千葉県(2008)による船橋市の建物総棟数は、約 13 万棟
であったが、今回船橋市から提供された固定資産税課税台帳に基づく総棟数は、約 14.1
万棟となっている。建物収集取りまとめ年代の違いによるものと考えられる。建物総棟
数約 14.1 万棟のうち、木造建物が約 11.3 万棟、非木造建物が約 2.8 万棟である。
12
50m メッシュ別の建物棟数分布(船橋市提供データに基づく)
予測結果
○
揺れによる建物被害予測
揺れによる建物被害は 、東京湾北部地震で全壊約 4,400 棟、半壊約 19,000 棟の被害が予
測される。
○
液状化による建物被害予測
液状化による建物被害は、東京湾北部地震で全壊約 170 棟、半壊約 470 棟の被害が予測
される。
○
急傾斜地崩壊による建物被害予測
急傾斜地崩壊による建物被害は、東京湾北部地震で全壊 16 棟、半壊 37 棟の被害が予測
される。
揺れと液状化を合算した全壊棟数分布を図に示したが、船橋市の結果は 50m メッシュ単
位のため、千葉県(2008)のものより格段に建物全壊の細かい分布がよく捉えられている。
建物被害予測結果一覧表
被害棟数
地震
項目
揺れ
東京湾北部地震
液状化
木造
全壊
非木造
半壊
半壊
全壊
半壊
4,082
17,666
320
1,232
4,402
18,898
80
295
87
170
167
465
16
37
4,585
19,400
-
急傾斜地崩壊
計
全壊
計
4,162
17,961
407
1,402
※急傾斜地崩壊による建物被害は、崖下の住家戸数を対象としているため、構造の区別はつか
ない。
13
50m メッシュ別全壊棟数(揺れ 及び液状化を合算)(船橋市提供データに基づく)
250m メッシュ別全壊棟数(揺れ及び液状化を合算)(千葉県(2008)より)
14
2.5 火災被害
火災の被害として、冬 5 時、冬 18 時、夏 12 時の風速 9m/sec のケースにおける焼失棟数
を予測した。
予測の考え方
・主要な出火源を一般火気器具、電熱器具、電気機器・配線、化学薬品と し、全壊率-出
火率の関係により、市区町村別の全出火件数を予測した 。ただし、漏洩ガスのような時
間遅れの出火については想定の対象としなかった。
・全出火件数から、住民の初期消火活動で消しきれない炎上出火件数を求め た。初期消火
率は、震度の大きさにより設定した。
・出火・延焼の設定は50mメッシュ単位で行った。そのため、炎上出火件数を出火危険度の
高いメッシュに振り分け、出火点メッシュを設定 しました。
・消防力を考慮し、消火可能な出火点メッシュを算定した。消防力は消防団も考慮した。
・出火点メッシュのうち、自然鎮火するものや消火可能なもの を除いたものを延焼出火点
メッシュとし、延焼シミュレーションを行った。延焼シミュレーションより延焼範囲を
予測し、焼失棟数を算定した。
・阪神・淡路大震災で鎮圧した時間が約20時間であったことから、延焼時間を24時間と設
定した。
延焼危険度の現況
・建物の構造や密集度の関係から、延焼危険度を推定した。延焼危険度が高い地域は、木
造建物の密集度が高く、風が弱くても周辺に燃え広がりやすいことを意味する 。船橋市
の 50m メッシュごとの不燃領域率を以下に示した。不燃領域率が 50%未満のところは延
焼危険度が高い区域と考えられる。
50m メッシュ別不燃領域率分布
15
予測結果
今回の結果は千葉県(2008)と比較して、炎上出火件数は多いものの、公設消防、およ
び消防団の効果的な運用により、延焼出火件数は少なくなっている。特に 、ケース 1:冬 5
時とケース 3:夏 12 時においては、総ての炎上出火が鎮圧されており、延焼出火件数は 0
件となっている。
ケース 2:冬 18 時においては、延焼出火件数は少ないものの、焼失棟 数は増加した結果
となっている。また、延焼エリアの分布も異なっている。
この原因として、今回の結果における炎上出火メッシュは市全域に分布しているが 、千
葉県(2008)における炎上出火メッシュは一部地域に集中していることがあげられる 。こ
の差により、今回の結果においては、臨海部では火災鎮圧が進む一方、市の中央部では火
災を鎮火しきれず延焼に至っている。
○
東京湾北部地震
県全体で、冬 18 時風速 9m/sec のケースでは延焼出火件数 28 件発生し、約 5,100 棟焼失
する。地域別でみると、船橋市の中部に延焼棟数の多い地区が見られる。船橋市の 50m メ
ッシュの焼失棟数の分布と千葉県 (2008)による 250m メッシュの焼失棟数の分布を示し
た。
火災被害予測結果一覧
地震
ケース
東京湾 ケース1:冬5時
北部 ケース2:冬18時
地震
ケース3:夏12時
風速
(m/s)
9
全出火
件数
消火件数+
焼失棟数
炎上出火
延焼出火
自然鎮火件
(24時間計
件数
件数
数
算)
焼失率
(%)
揺れ・液状
化による建
物全壊数
とのダブル
カウント
除去後の
焼失棟数
11
6
6
0
20
0.01
19
78
42
14
28
5,147
3.63
4,947
19
10
10
0
34
0.02
32
なお、以下の式により、揺れ・液状化による全壊建物とのダブルカウントの除去を行っ
た。
焼失棟数(ダブルカウント除去後)
=焼失棟数(ダブルカウント除去前)×(1-揺れ・液状化による全壊率)
16
メッシュ別焼失棟数ケース 2(冬18時:50m メッシュ)
千葉県(2008)によるメッシュ別焼失棟数ケース 2(冬18時:250m メッシュ)
17
2.6 人的被害
人的被害として、建物倒壊、火災、急傾斜地崩壊、ブロック塀等の転倒、屋外落下物、
屋内収容物の移動転倒 による死傷者数を予測した。人的被害は、時間帯によって被害量が
変化し、火災による死傷者は、季節・風速によっても数値が変わることから、火災と同様
に冬 5 時、冬 18 時、夏 12 時の風速 9m/sec における死傷者数を予測した。
予測の考え方
・建物倒壊による死傷者は、建物大破数と死者数の関係、全壊・半壊 棟数と負傷数の関係
により、屋内人口の状況を踏まえて予測した。
・火災による死傷者数 は、出火時の逃げ遅れ、延焼時の建物倒壊による閉じこめ、延焼時
の逃げ惑いによる死傷率を設定し、屋内人口の状況を踏まえて予測 した。
・急傾斜地の死傷者数は、急傾斜地崩壊による建物被害と死傷者数の関係を設定し 、屋内
人口の状況を踏まえて予測した。
・ブロック塀等の転倒による死傷者数は、ブロック塀等の転倒、自動販売機転倒 に対する
死傷者率を設定して、屋外人口の状況を踏まえて予測 した。
・屋外落下物による死傷者数は、吊り看板、窓ガラスなど の落下に対する死傷者率を設定
して、屋外人口の状況を踏まえて予測した。
・屋内収容物の移動転倒による重傷者・負傷者数は、震度ごとの重傷率・負傷 率を設定し、
屋内人口の状況を踏まえて予測した。
人口の現況
人口については、死傷者を想定する 5 時、12 時、18 時の時間帯における船橋市の滞留人
口、住家内人口、非住家内人口を千葉県(2008)と同じ手法で、平成 10 年第 4 回東京都市
圏パーソントリップ調査から推定した。推定した滞留人口などを以下に示した。
船橋市の各時間帯における滞留人口、住家内人口、非住家内人口
時間帯
5時
12時
18時
滞留人口
563,214
424,484
400,490
住家内人口
563,214
183,624
318,040
18
非住家内人口
0
240,860
82,450
住家内人口+
非住家内人口
563,214
424,484
400,490
予測結果
○
建物被害による人的被害予測
建物被害による人的被害の予測結果は、5 時が一番多く、東京湾北部地震で死者約 170
人、負傷者約 5,800 人と予測された。
5時
揺れによる人的被害
地震
東京湾北部地震
○
死者数
18時
負傷者数
169
死者数
5,804
12時
負傷者数
115
4,410
死者数
負傷者数
112
5,201
地震火災による人的被害予測
地震火災による人的被害予測結果は、冬 18 時が一番多く、東京湾北部地震で死者約 80
人、負傷者約 250 人と予測された。
火災による人的被害
(風速9m)
地震
冬5時
死者数
東京湾北部地震
○
冬18時
負傷者数
1
死者数
4
夏12時
負傷者数
79
死者数
254
負傷者数
1
5
急傾斜地崩壊による人的被害予測
急傾斜崩壊による人的被害予測結果は、東京湾北部地震で死者 1 人、負傷者 14 人と予
測された。
急傾斜地崩壊による
人的被害
死者
負傷者
地震
東京湾北部地震
○
1
14
ブロック塀等の転倒による人的被害予測
ブロック塀等および自動販売機の転倒による人的被害は人が屋外にいる冬 18 時が多く、
冬 5 時は少ない。冬 18 時の被害者数は、東京湾北部地震で 死者数 6 人、負傷者数約 200
人と予測された。
ブロック塀・自販機の転倒
による人的被害
地震
東京湾北部地震
5時
死者数
18時
負傷者数
0
4
19
死者数
12時
負傷者数
6
208
死者数
負傷者数
4
149
○
屋外落下物による人的被害予測
屋外落下物による人的被害は死者、重傷者は発生しないという結果になった 。負傷者は
夏 12 時で 13 人となった。
屋外落下物による
人的被害
地震
東京湾北部地震
○
5時
死者数
18時
負傷者数
0
死者数
0
12時
負傷者数
0
10
死者数
負傷者数
0
13
屋内収容物の移動・転倒による人的被害予測
屋内収容物の移動・転倒による人的被害は冬 5 時が一番多くなり、東京湾北部地震で重
傷者数 1 人、負傷者数 2 人と予測された。
屋内収容物の移動・転倒等
による人的被害
地震
東京湾北部地震
5時
18時
12時
重傷者数
負傷者数
重傷者数
負傷者数
重傷者数
負傷者数
1
2
0
2
1
2
注:屋内収容物の移動・転倒等による人的被害は、建物の全壊・半壊以外の被害を受けていない建物や
一部損壊の建物において、家具類の転倒・落下等の屋内収容物の移動・転倒を原因とした負傷者を
想定する。 (東京都(2006):首都直下地震による東京の被害想定)
*重傷者数は負傷者数の内数
*建物全壊・半壊数は除く
20
2.7 交通輸送施設の被害
交通輸送施設の被害として、道路橋梁の被害を予測した。今回は千葉県(2008)による
結果を用いた。
予測の考え方
・道路橋梁
千葉県の第一次緊急輸送道路および第二次緊急輸送道路の橋長 15m 以上の橋梁につい
て検討した。被害予測は、算出した地震動と橋梁の採用基準(道路橋示方書)によって
判断した。
予測結果
○
道路橋梁の被害予測
船橋市内の道路橋梁の被害は、東京湾北部地震で、通行止め 1 ヶ月程度の中規模損傷が
発生する可能性のある橋梁が 1 箇所(新港大橋:平成 25 年度より耐震改修予定)となり、
約 1 ヶ月の幅員規制が必要な小規模損傷が発生する可能性のある橋梁が 3 箇所となってい
る。船橋市内の緊急輸送路上の橋梁の分布を示した。
道路橋梁の被害予測結果・東京湾北部地震 (千葉県(2008)による)
被害状態
無被害あるいは軽微な被害
小規模損傷
中規模損傷
(208)
(416)
(32)
第一次緊急輸送道
第二次緊急輸送道
路
第一次緊急輸送道
路 第二次緊急輸送道
路
次 緊路
急 輸送 道路
次緊急 輸送 道路
21
船橋市内の緊急輸送道路上の橋梁
新港大橋(平成 25 年度
より耐震改修予定)
22
2.8 ライフライン被害
ライフラインの被害として、上水道、下水道については、被害予測を行うとともに、上
水道の復旧過程を検討した。電力、都市ガス・LP ガスおよび通信施設の被害については、
千葉県(2008)による結果を用いた。
予測の考え方
・上水道
一般的に埋設管の復旧が長期化することを考慮して、埋設管の中の 特に配水管について
被害件数及び断水世帯数を予測し、その結果を用いて上水道の復旧過程を検討した。
・下水道
船橋市の下水道について、管きょの被害予測を行った。
・電力施設
千葉県(2008)による結果を基にして、電柱、架空線、地下ケーブルを対象に被害予測
を行った。
・都市ガス・LP ガス
都市ガスについては、千葉県(2008)による結果を用いて、 供給停止戸数及び応急復旧
日数を算定した。また、LP ガスについても千葉県(2008)による結果を用いて被害件数
を予測した。
・通信施設
千葉県(2008)の結果を用いて、 東日本電信電話(株)の統計データをもとに、通信施
設の被害を定性的に予測した。
ライフライン施設の現況
船橋市全体では、上水道配水管が約 1,310km、下水道管渠が約 800km、都市ガスの供給
戸数約 20.5 万戸、LP ガス消費世帯数が約 5.3 万世帯及び電力電柱が千葉県全体で約 104
万本存在することになっている。
23
予測結果
○
上水道の被害予測
東京湾北部地震で約 1,100 件の配水管被害が発生し、約 21 万世帯で断水になる 予測とな
った。復旧については、千葉県水道局の震災シナリオに従うと、約 30 日を要することにな
る。
○
下水道の被害予測
東京湾北部地震については、船橋市で約 27km にわたり被害を受ける。液状化の危険度
の高い地域では、液状化の影響によりマンホールの抜け上がりの懸念がある。
○
電力施設の被害予 測
電力被害予測として、停電軒数と電柱被害数を予測した。最も被害の大きくなる東京湾
北部地震の冬 18 時風速 9m/sec のケースでは、停電軒数が約 2 万軒、電柱被害数が約 1,600
本となる。東京湾北部地震では電柱復旧に 千葉県全体で 6 日間を要する。
○
都市ガスの被害予測
船橋市では、第 1 次緊急停止判断に基づきガスの供給が停止される戸数が 3.7 万戸程度
となる。復旧については、千葉県全体で 14 日程度が必要である。
○
LP ガスの被害予測
東京湾北部地震では全県で約 1,600 軒で LP ガスの漏洩が発生すると予測されます。東京
湾北部地震では千葉県全体で復旧に 3 日間を要します。
○
通信施設の被害予測
全壊、焼失建物を除いた電話回線の復旧には 2 週間程度を必要とするものと考えられる 。
また、断続的に 1 週間以上の期間にわたって輻輳が発生するものと予想される 。
24
ライフライン被害予測結果一覧表
上水道
地震
東京湾北部地震
地震
東京湾北部地震
配水管被害数
(箇所)
1,122
電力(冬18時・9m/sec)
下水道
断水世帯
-直後-(世帯)
管渠被災距離
(km)
206,590
27.1
都市ガス
LPガス
通信
供給停止戸数
-直後-(戸)
漏洩件数
(件)
被災回線数
-定性的検討-
37,214
1,676
電柱被害数
(本)
1,624
-
上水道配水管被害率(被害件数/管路延長(km))分布図
25
停電軒数
-直後-(軒)
21,043
2.9 その他の被害
その他の被害として、避難者数と帰宅困難者数を予測した。避難者数は、避難所に避難
する人数として、発災直後、1 日後、4 日後、10 日後、20 日後、1 ヶ月後の人数を予測し
た。これについては、火災による影響を受けることから、冬 18 時における風速 9m/sec の
ケースを想定した。一方、帰宅困難者は、 千葉県民が県内や都内などに通勤・通学などで
外出し、外出先で地震が発生したために自宅に戻って来られなくなる人数を予測 した。外
出している人が最も多く、帰宅困難者が大量に発生する 12 時のケースを想定した。
また、エレベータ閉じ込め台数、自力脱出困難者数、震災廃棄物量の被害予測を行った。
その内容を項目ごとに簡潔に説明する。
予測の考え方
避難者数は、自宅建物の被災、断水、エレベータ停止の 3 つの要因別に算出した。また、
避難者数は地震発生後の経過時間により推移するが、 ここでは短期避難者を想定した。想
定した時期は、発災直後、1 日後、4 日後、10 日後、20 日後、1 ヶ月後とした。また、対
象は千葉県民とし、夜間人口を基に算出した。避難者の一部は、疎開することが考えられ
るが、ここでは疎開を考えずに避難者全てが避難所に避難するものとして考え た。
帰宅困難者は、震度 5 強以上のエリアで鉄道が点検等で不通となると仮定し、自宅があ
る県内の市区町村と外出先の市区町村の距離から、帰宅困難となる割合を 設定し、12 時に
おける船橋市の帰宅困難者数を予測した。
就業者・通学者の現況
平成 17 年国勢調査による船橋市に住む人の 15 歳以上就業者人口と通学者人口(15 歳未
満を含む)の合計は約 34.6 万人であり、そのうち、船橋市内に就業・通学する者が約 15.5
万人、他市区町村に就業・通学する者が約 19 万人である。
予測結果
避難者は、1 日後、4 日後において、断水による避難の割合が非常に多く、各ケースで
予測結果に大きな差は ないが、避難者が最も多くなる冬 18 時・風速 9m/sec のケースにつ
いて説明する。帰宅困難者については、最も人数が多くなる 12 時のケースについて説明す
る。
○
避難者の予測
東京湾北部地震では、ピーク時(1 日後)で約 24 万人(断水による避難者数が 67.5%)、
1 ヵ月後でも約 8 万人の避難者が発生すると予測された。避難の要因の内訳では、断水に
よる避難者が非常に多いことが分かる。
26
避難者予測結果一覧表
避難者数(人)
地震
直後
東京湾北部地震
77,511
1日後
4日後
10日後
242,188
221,792
20日後
164,745
1ヵ月後
121,850
79,167
避難者の内訳(人)
地震
経過日数
東京湾北部地震
○
建物被害
による避難者
断水による
避難者
エレベータ
避難者数合計
による避難者
1日後
77,511
163,501
1,176
242,188
4日後
77,511
143,938
343
221,792
帰宅困難者の予測
東京湾北部地震では、船橋市の約 22 万人の人が一時的に帰宅困難者になると予測され
る。そのうち、行先が東京都である人は約 9.6 万人になっている。
帰宅困難者予測結果一覧表
帰宅困難者(人)
地震
行先:県内
東京湾北部地震
○
行先:県外 行先:東京都 行先:その他
16,068
104,245
96,908
7,337
合計
224,558
エレベータの閉じ込め台数予測
エレベータ停止台数のうち、閉じ込めが発生する可能性のある台数を算出した。閉じ込
めの可能性は、地震時管制運転中の安全装置作動、故障等、停電の 3 つの要因について想
定した。エレベータについて、閉じ込めが発生する可能性のある台数は、東京湾北部地震
では船橋市内で約 1,800 台と予測された。
エレベータ閉じ込め台数予測結果一覧表
地震名
東京湾北部地震
○
エレベータの閉じ込め台数予測(台)
安全装置
1,278
故障等
474
停電
合計
79
1,831
自力脱出困難者の予測
建物の倒壊によって下敷き・生き埋めとなり 、救助が必要となる自力脱出困難者を算出
した。自力脱出困難者は発生時刻 により変動はあるが、冬 5 時のケースでは約 1,300 人程
度と予測される。
27
自力脱出困難者予測結果一覧表
自力脱出困難者(人)
地震
5時
東京湾北部地震
○
12時
1,287
18時
738
841
震災廃棄物の予測
震災廃棄物として、建物被害による躯体残骸物の発生量を予測した 。震災廃棄物の容積
は、東京湾北部地震では約 54 万立方メートルと予測され、千葉マリンスタジアム(約 106
万立方メートル)の約半分に相当する。
震災廃棄物量予測結果(建物瓦礫量)一覧表
地震
重量(トン)
東京湾北部地震
○
体積(㎥)
341,807
540,494
大規模集客施設について
幕張メッセに滞留する人は昼 12 時で約 7,500 人であり、一時的な帰宅困難者になる可能
性がある。
○
主要ターミナル駅 について
主要ターミナル駅について、1 日乗降者数を平成 17 年大都市交通センサス首都圏報告書
の駅別発着・駅間通過人員表の乗降・通過者の和として算出した。20 時間平均は 1 日の運
行時間を 20 時間として算出し、ピーク時はターミナル別乗換人員表の初乗り、最終降車、
乗換えの合計値に占める同ピーク時の割合から算出した。
鉄道の機能支障が発生した場合、5 分間滞留者を対象とすると、20 時間平均では、5,000
人~7,000 人、ピーク時では 50,000 人~70,000 人の帰宅困難者がそれぞれのターミナル駅
で発生する可能性がある。
主要ターミナル駅の乗降・通過者数(千葉県(2008)より)
20 時間平均乗降・通過者
駅名
※
数
1 日乗降・通過者数
ピーク時乗降・通過者数
1 時間
5 分間
1 時間
5 分間
西船橋
1,623,861
81,193
6,766
795,459
66,288
船橋
1,177,124
58,856
4,905
585,311
48,776
鉄道事業者の違いにより類似名称の駅が複数存在する場合は、JR を含む駅、路線を対象とした。
28
2.10 社会機能支障の予測
社会の各種機能支障の予測として、住機能支障、飲食機能支障、衛生機能支障について
検討した。
予測の考え方
住機能支障の予測については、発災 1 日後~1 ヶ月後の住機能支障(避難所収容人数と
の比較)について算定した。なお、1人当たりの避難所面積については、発災 1 日後~3
週間後は 2 ㎡/人、3 週間後以降は 4 ㎡/人とした。
飲食機能支障の予測については、食料、飲料水および生活必需品の需要量と、 それらの
備蓄量との比較により、供給可能日数や過不足数を算定した。衛生機能支障の予測につい
ては、仮設トイレの過不足数を算定した。
季節および時刻の設定は、冬 18 時、風速 9m/sec のケースとした。
予測結果
○
住機能支障の予測
住機能支障について、 発災 1 日後、4 日後、20 日後、1 ヶ月後は、避難者全員が避難所
に収容可能と予測された。発災後 3 週間後以降は、避難所 1 人当たり面積を徐々に広げる
ことが可能であると予測される。
住機能支障予測結果一覧表
1日後
地震
東京湾北部地震
4日後
過不足数(人)
収容率(%)
過不足数(人)
収容率(%)
(収容可能数-避難者数)
(避難者数/収容可能数)
(収容可能数-避難者数)
(避難者数/収容可能数)
7,105人
97%
27,501人
89%
過不足数(人)
収容率(%)
過不足数(人)
収容率(%)
(収容可能数-避難者数)
(避難者数/収容可能数)
(収容可能数-避難者数)
(避難者数/収容可能数)
127,443人
49%
9,872人
89%
20日後
地震
東京湾北部地震
1ヵ月後
無印:余裕数、▲:不足数
29
○
飲食機能支障の予測
飲食機能支障の予測については 、食料(主食)の供給可能日数、飲料水の供給可能日数、
生活必需品の過不足数について推計した。食料及び飲料水について 0.1 日分の供給で底を
つき、毛布については、地震発生 1 日後で約 20 万枚の不足が生じると予測された。
この結果を受け、市は、協定先や外部からの支援、住民個々による備蓄の励行、市内事
業所等に対する備蓄の要請など、民間活動や自助の啓発を取り込みながら、今後の市とし
ての備蓄方針・計画を検討する必要がある。
飲食機能支障予測結果一覧表
地震
東京湾北部地震
地震
東京湾北部地震
毛布(過不足数)
食料
(供給可能日数)
飲料水
(供給可能日数)
1日後
4日後
0.1日
0.1日
▲209,347枚
▲188,947枚
粉ミルク
(供給可能日数)
離乳食
(供給可能日数)
哺乳瓶
(過不足数)
紙おむつ
(供給可能日数)
1.4日
2.8日
▲427本
1.0日
▲:不足数
○
衛生機能支障の予測
衛生機能支障の予測については、仮設トイレの過不足数について推計した。仮設トイレ
は、約 1,900 基不足すると想定された。
衛生機能支障予測結果一覧表
仮設トイレ
(過不足数)
地震
東京湾北部地震
▲1,878基
▲:不足数
30
2.11 まとめ
今回の調査結果のまとめとして、船橋市全体の被害予測結果の一覧表を示した。
平成 22 年度船橋市地震被害想定調査結果一覧表 (1)
想定地震名
東京湾北部地震
規模
マグニチュード7.3
タイプ
想
定 地震の規模及び
地 タイプ等
震
震度分布
南関東直下
東京湾岸の船橋市南部
に震度 6 強の地域が広が
り、船橋市北部はほとんど
震度6弱である。震度7の
地域はない。
全壊棟数(揺れ+液状化)
建物被害
物
的
被
害
9,516
棟
(うち焼失棟数)
(4,947) 棟
半壊棟数(揺れ+液状化)
19,363
棟
合計
28,879
棟
交
通 道路橋梁
施 ※3
設
大規模損傷(通行止め)
0 箇所
中規模損傷(通行止め)
1 箇所
小規模損傷(交通規制)
3 箇所
上水道
ラ
イ 下水道
フ
ラ 電力
イ 都市ガス
ン
LP ガス
断水世帯数
管渠被災距離
27.1
km
停電軒数
21,043
軒
停止戸数
37,214
戸
漏洩軒数
1,676
軒
115
人
79
人
急傾斜地崩壊
1
人
ブロック塀等の転倒
6
人
屋外落下物
0
人
屋内収容物の転倒等
0
人
201
人
4,410
人
254
人
14
人
208
人
10
人
2
人
4,898
人
5,099
人
1日後
242,188
人
4日後
221,792
人
79,167
人
揺れ(全壊・半壊)
火災
死者数
小計
揺れ(全壊・半壊)
人
的
被
害
火災
急傾斜地崩壊
負傷者数
ブロック塀等の転倒
屋外落下物
屋内収容物の転倒等
小計
死傷者数合計
避難者数
206,590 世帯
1ヵ月後
31
平成 22 年度船橋市地震被害想定調査結果一覧表 (2)
想定地震名
帰宅困難者数
東京湾北部地震
県内から県内
16,068
人
東京都から県内
96,908
人
その他から県内
7,337
人
120,313
人
1,831
台
841
人
人
的
被 エレベーター閉じ込め台数
害
自力脱出困難者
合計
大規模集客施設
の滞留者
幕張メッセ
(昼12時)
約7,500
食料
食料・飲料水
機 (供給可能日数)
飲料水
能
支
重量
障 震災廃棄物
体積
人
0.1
日
0.1
日
341,807
トン
540,494
㎥
※1 算出条件については、特に記載のない場合は冬の 18 時、風速 9m/秒とする。
※2 地震被害想 定は、想定した地震が発生すると、どのような被害が発生するか推定し、地震防 災対策
の基礎資料とするものである。
※3 道路橋梁について、中規模損傷は 1 ヶ月程度の通行止め、小規模損傷は 1 ヶ月程度の交通規制と
している。
《橋梁損傷想定箇所内訳》
中規模損傷箇所(1箇所)‐新港大橋(潮見町付近)
小規模損傷箇所(3箇所)‐栄橋(国道 296 号線、宮本9丁目付近)
中野木高架橋(県道8号線(船橋・我孫子線)、東船橋 4 丁目付近)
神崎川橋(国道 484 号線、小室町小野田町付近)
32
3.地震災害シナリオの概要
地震被害想定結果に基づき、船橋市における災害応急対策の内容あるいは量的な備えが
十分であるかどうかを検討するための資料 作成を目的として、東京湾北部地震による被害
および対応の状況がどのように推移していくかという「地震災害シナリオ」を発生時刻別
に作成した。
地震発生の季節・時刻による市民等の所在場所や活動状況の違いに伴って、人的被害の
程度も異なる。また、昼と夜では市職員の参集状況をはじめ、被害の確認や対策活動など
の行いやすさに大きな差がある。 そのため、とくに地震発生直後の事態の推移は 、発生時
期や時刻によってかなり異なり、災害シナリオも異なるものに なることに留意する必要が
ある。
対象地震
地震被害想定を実施した東京湾北部地震を対象とし、冬 5 時、冬 18 時、夏 12 時の 3 つ
の発生時刻について検討した。
作成シナリオの種類と記載内容
シナリオの形式については、時系列の表形式とフロー形式の 2 形式とし、それぞれ 3 つ
の地震発生時刻(冬 5 時、冬 18 時、夏 12 時)について検討し、合計 6 種類のシナリオを
作成した。シナリオでは、今後の防災対策検討のため、対策を 5 分野に大別し、それぞれ
の活動や状況等を記述した。
シナリオの形式
シナリオ形式
記載内容
船橋市域での応急対策及び復旧活動について、時間の流れを横
軸にとり、シナリオ表に整理したもの。
表形式
また、国や県の活動についても簡潔記載するとともに、被害想
定結果や避難所・災害備蓄物資等の対応能力算定結果も併せて記
載した。
市が実施する応急対策及び復旧活動について、時間経過による
フロー形式
移り変わり及び各種対応における横の繋がりを、フローとして示
したもの。
5 分野の対策活動
分野
記載内容
体制・情報
市の防災体制、情報収集・連絡等
建物・火災被害対応
建物・住宅、火災、震災廃棄物対応
インフラ被害対応
ライフライン(上下水道、電気、ガス、通信)、交通・輸送対応
人的被害対応
救出・救急、医療活動対応
被災者救援対応
被災者(避難者、災害時要援護者含む)、帰宅困難者対応
33
シナリオの期間
災害発生後の緊急対応がおおむね落ち着く時期を約1ヶ月後と考え、シナリオ表では地
震発生からそれまでの期間における対策活動について記述した。この期間を、おおむね次
のように区分した。
① 初動体制の確立期:地震発生直後~1 時間後程度
② 即時対応期(救命中心):地震発生 1 時間~24 時間後程度
③ 緊急対応期(救援・支援):地震発生1日~1週間後程度
④ 応急対応期(生活の安定):1週間後~1ヵ月後程度
シナリオ表のとりまとめ
以上の流れに沿って、シナリオ表をとりまとめ、ここでは、被害が最大となる冬 18 時
のシナリオを示した。
また、地震発生時刻によって初動対応が大きく異なるため、下表にその主な特徴をまと
めた。これには市職員の参集状況が影響していることから、とくに参集に困難が伴う冬 5
時のケースについて職員の参集状況想定を行い、その結果に基づいてシナリオを検討した。
なお、職員参集想定は、本庁舎勤務の職員のうち約 1,500 人を対象として、住居地から
本庁舎までの徒歩による所要時間のサンプリング(ただし、遠距離通勤者は別途考慮)に
より傾向をつかむ事を目的としており、今後、本市職全般を対象とした同様の想定を行う
際の指標とすべく実施したものである。
初動対応の主な特徴
地震発生時刻
主な特徴
早朝のため職員が自宅におり、参集が大幅に遅れ、初動対応が難航す
冬5時
る。近隣の者から参集し始めるが、当初は連絡対応に追われることが予
想される。およそ 6 時間後に半数近くが参集し、本格的な災害対応が徐々
に可能となる。(職員参集状況の想定 結果は報告書本編を参照)
業務時間終了の間もない地震であり、帰宅した職員もいるが、比較的
早い段階で参集が可能である。しかし、夕暮れ後の地震のため、被害状
冬 18 時
況の把握に遅れが生じる。
また、夕食準備時のため、多くの火災被害が発生すると想定され、緊
急に避難対応を行う必要がある。
執務中のため職員は庁舎内におり、当初は混乱が予想されるものの、
夏 12 時
地震発生後早い段階で、速やかな災害対応が可能である。
日中の地震のため、市内には、市内に通う通勤者や通学者及び買い物
客等などが大勢おり、早期に帰宅困難者対 応を行う必要がある。
34
東京湾北部地震(冬18時)
時間(目安)
対策項目
地震発生(市域の被害)
◇:被害状況 ●:市の対応 ○:市以外の対応 (⇒):継続を表す
直後(18:00)~
10分後(18:10)~
1時間後(19:00)~
初動体制の確立期
3時間後(21:00)~
12時間後(翌日6:00)~
即時対応期(救命中心)
◇冬の平日18時頃、東京湾北部地震(フィリピン海プレートと北米プレートの境界の地震)が発生
地震・災害事象等 ◇市南部で震度6強、その他の地域でも震度6弱の揺れを観測
◇最大震度5弱~6弱の余震が発生
◇液状化被害が市南部で発生
○官邸対策室設置
○内閣府:緊急災害対策本部設置
○各省庁:災害対策本部設置
○震度速報・津波警報の受信、市町村・関係機関
へ自動転送
○県災害対策本部の設置
国
体
制
・
情
報
等
県
●震度速報の受信
●職員の非常参集
●市災害対策本部の設置
●職員の安否確認
◇一部職員の負傷
○自主防災組織による活動の開始
市
建
物
・
火
災
被
害
対
応
建物
住宅
◇揺れによる被害:全壊4,402棟、半壊18,897棟
◇液状化による被害:全壊167棟、半壊465棟
◇急傾斜地崩壊による被害:全壊16棟、半壊37棟
火災
◇焼失棟数4,947棟
○自衛隊の近傍災害派遣の開始
○災害派遣要請による自衛隊派遣
○緊急消防援助隊、警察広域緊急援助隊の派遣
○厚労省:DMATの派遣
○国民に対する被害情報の発表
○厚労省:広域後方医療活動の調整
○国交省:災害対策派遣隊(TEC-FORCE)による
被害調査
○厚労省:医療体制確保を関係団体に要請
○県医療救護本部の設置
○市町村からの応援要請に対応
○DMATの派遣要請
○知事記者会見
○国、他都県等への救援要請
○緊急医療活動情報の集約
○県外の後方医療機関との調整
○農政事務所に食料の供給要請
【職員参集率60%程度】
●帰宅、帰宅途中の職員が登庁
●連絡手段の確保
●市庁舎及び諸設備の被害状況の確認、市域の
被害情報の収集
●参集者による活動体制調整
●県を通じ、自衛隊、緊急消防援助隊、警察広域
緊急援助隊の派遣要請
●県に救援要請
●県に概況速報報告
●避難勧告、避難指示の発令
●防災行政無線、報道機関を通じ、市民や観光客
へ避難等の呼びかけ
●県への被害報告
●人員不足のため全ての被害への対応困難→応
援要請
●住民に被害状況の伝達(防災行政無線)
●避難誘導、避難所開設の要員確保:自主防災組
織との協力
●現有人員による被害対応体制の調整(優先度の
確認)
●市民への広報
●報道機関への発表・協力要請
●建築物被害状況の確認
●公営住宅の被害状況確認
●被災者への住宅提供の検討
◇消火活動が続くが、消防力が足りず、さらに延焼
◇消火活動が続き、応援の消防隊も到着するが、さ
らに延焼
◇市南部を中心に78件の出火 → 消火が間に合
わず42件炎上
●消防の出動、消火活動の実施(⇒)
○自主防災組織による初期消火活動
◇炎上した火災のうち、28件が延焼
●危険物・毒劇物等対策(被害状況の確認等)
震災廃棄物 ◇震災廃棄物341,807トン発生
イ
ン
フ
ラ
被
害
対
応
人
的
被
害
対
応
ラ
イ
フ
ラ
イ
ン
上水道 ◇206,590世帯で断水
下水道 ◇3.4%の下水道管に被害発生
電気
◇21,043件の停電発生
ガス
◇都市ガス:37,214戸供給停止
◇LPガス:ボンベ1,600軒で被害
交通
輸送
◇1箇所の道路橋が被害を受け、広範囲で通行止
め
◇鉄道被害により、不通
救出
救急
◇自力脱出困難者841人発生
◇建物被害等により、死者122人、重傷者138人、負
傷者4,643人発生
◇自力脱出困難者が多数発生
●消防:殺到する救急や消火要請電話への対応
●被害状況の把握、活動方針の決定
【医療機関】
○停電した場合、非常用電源切替
○住民:家族の安否確認
○救出が必要な場合、消防等に連絡
被災者
避難者
●被災情報の収集の開始
○被災情報の収集の開始
○被災情報の収集の開始
○電話輻輳のため通話規制開始
○災害用伝言ダイヤル等サービス開始
◇火災により、死者79人、重傷者99人、負傷者約
254人発生
被
災
者
救
援
対
応
【ライフライン事業者】
○職員の非常参集
○職員の安否確認
○災害対策本部の設置
通信
医療
○応急給水活動の開始
○県を通じて他水道事業体に給水・復旧の応援派
遣要請
●応急復旧体制の確立
○被災情報の収集の開始
○被害状況を行政へ報告
○市の災害対策本部へ職員派遣
●建設業者との連絡調整、資機材及び人員の確保
●緊急交通路及び迂回路の指定
●被災地を中心とした一定地域における交通規制
●被災情報の収集の開始
●輸送手段の確保
の実施(⇒)
○現場警察官による交通規制の実施
●ヘリポートの開設、港湾施設の確保
●関係機関との情報連絡体制の確立
●河川・内水排除施設、その他公共施設の被害状
況の確認
◇救出作業が進み、負傷者が増加→市内病院は
受入困難
●救出救助活動の開始(⇒)
●要救出救助現場の把握
●重症傷病者を後方医療機関へ搬送→ヘリ出動
●救命情報システムを活用した広域的な救急活動
●緊急消防援助隊、広域緊急援助隊の派遣要請 要請
を実施
●医療機関へ負傷者の搬送
●救護班の派遣要請、救護所設置
○自主防災組織による救出救助活動の開始(⇒)
●負傷者の緊急搬送ルート、手段の確保
●遺体収容施設の開設
【医療機関】
●DMATの派遣要請
○医療救護班編成、医薬品・資器材の確保
●救護班の派遣及び医療機関への派遣要請
【医療機関】
○トリアージの実施
【医療機関】
○被災状況、入院患者の安否確認、入院患者転
○重篤救急患者の救命医療
○施設の被災により、入院患者を近隣医療機関へ
院、負傷者対応の準備
○医療機関相互の密接な情報交換
転院開始
○負傷者多数のため、市内病院において受入困
○ライフライン応急復旧の要請
難→転送先確保
●人的被害情報の収集(⇒)
●避難路及び避難場所の安全確保
○住民は被害・避難等についての情報を入手し、
避難開始→自主防災組織による避難誘導
◇避難者数
1日後:242,188人
4日後:221,792人
20日後:121,850人
1ヶ月後:79,167人
災害時
要援護者
○被害状況の確認、行政へ被害速報
○復旧作業員の招集
●避難所開設
●避難状況の情報収集
●自主防災組織の協力を得て、避難所での避難
者受入、整理
●要援護者の安否確認・避難誘導(自主防災組織
の協力を得る)
帰宅困難者 ◇一時帰宅困難者が発生
35
○応急復旧体制の立ち上げ
●物資輸送拠点の開設・運営
●物資輸送の実施(⇒)
●緊急輸送道路の復旧開始
●救出、搬送活動の実施
●重症傷病者の域外搬送
●遺体収容施設の開設
【医療機関】
◇負傷者多数のため、市内の医療施設では対応
不可能及び病床数が不足
○ヘリ等により重篤者の搬送を開始
◇避難所へ避難する被災者が増加
◇ライフライン断絶のため、自宅の被害がなくても食
料や水を求めて避難所へ行く住民が増加
●仮設トイレの設置
◇避難者が徐々に増加し、避難所が混雑し始める
○応急給水の開始(⇒)
●食料、生活必需品の供給・提供(⇒)
●市全域で食料、飲料水、毛布等が不足するた
め、救援金品を要請
●自主防災組織における避難所運営体制の整備
●避難所における要援護者への配慮(配食、トイレ ●要援護者の把握
等)
●福祉避難所の状況確認、受入先確保
◇通勤(学)者、観光客のうち帰宅可能な者から徒
歩で帰宅開始
◇帰宅できない者は避難所や宿泊施設へ移動し ●帰宅困難者への情報提供(⇒)
始める
●帰宅困難者の避難所等への誘導
東京湾北部地震(冬18時)
時間(目安)
対策項目
◇:被害状況 ●:市の対応 ○:市以外の対応 (⇒):継続を表す
1日後~
3日後~
1週間後~
2週間後~
応急対応期(生活の安定)
緊急対応期(救援・支援)
地震・災害事象等 ◇余震が頻発
国
体
制
・
情
報
等
建
物
・
火
災
被
害
対
応
イ
ン
フ
ラ
被
害
対
応
人
的
被
害
対
応
県
市
建物
住宅
火災
◇消火活動の末、鎮火
震災廃棄物 ●廃棄物集積場の検討
○全半壊を免れた建物の室内片づけを開始
ラ
イ
フ
ラ
イ
ン
◇地震により緩んだ急傾斜地等が降雨により崩壊
○国交省、経産省:風評被害対策
○自衛隊:入浴・給水支援等
○文科省:学校施設の安全点検
○緊急輸送計画の作成
○避難所等の疫学調査、健康診断
○被災者生活再建支援法の適用
●災害救助法に基づく活動展開
●市内の被害情報の収集整理
●県や他市町村からの応援人員受入・調整
●降雨による河川、斜面等の二次災害への警戒
●ボランティアの受入→◇当初は混乱
●物価の監視
●ライフライン等の復旧状況、見通しについて市民に広報
◇本震により損傷した建物が余震により被害が進行
●応急危険度判定調査実施本部の設置
●建物応急危険度判定士の派遣要請
●住宅ニーズの把握
○住民は住家の障害物除去の開始
●二次災害への警戒
●建物応急危険度判定の開始
●応急仮設住宅の用地の確保
○(県)応急仮設住宅建設戸数決定→(県)業者への協
力要請
●仮設住宅入居時期や手続きについての広報
●公営住宅等の空家情報の収集
●被災住宅再建支援相談開始
◇余震は次第に減少するが、大きな余震が発生
○文科省:スクールカウンセラーの派遣
○緊急消防援助隊、広域緊急援助隊の派遣解除
○産業復興方針の策定
○税の減免
○県独自の金銭的支援策の検討
●対策実施状況に応じた人員配置の再調整
●市内の復旧情報の収集整理及び広報
●被災者に対する各種助成措置についての広報
●中小企業・農村漁業関係対策
●風評被害対策
○(県)応急仮設住宅の建設着工
●一部の被災者を公営住宅等に受入
●被災住宅の応急修理
●家屋調査→り災証明書の発行
○応急仮設住宅入居開始
○(県)応急仮設住宅入居申込の受付→入居者決定への
●応急仮設住宅の管理
協力(要援護者優先、コミュニティ配慮)
◇全半壊建物の片付けを開始し、震災廃棄物が増加する ●県と連携し、がれき処理の検討
ガス
◇復旧作業の完了
◇復旧作業の完了
◇応急復旧作業の完了
○人員、資機材等の確保、応急復旧作業開始
○復旧の見通しについて行政に連絡
◇LPガス:安全確認次第復旧
通信
◇都市ガス:応急復旧作業の完了
◇応急復旧作業の完了
交通
輸送
●道路の応急復旧体制の確立、建設機械等の調達
●道路復旧の見通しについて広報
●緊急輸送計画の作成
●道路復旧状況、地区別の復旧予定時期について広報
救出
救急
●行方不明者捜索
●救出救助活動の収束→遺体捜索へ移行
●広域的な施設利用による火葬の実施
●道路被害が甚大であり、緊急輸送道路の応急復旧作
業の継続
◇緊急輸送道路の応急復旧が完了(地震から数ヶ月後)
●火葬・埋葬の実施
●疫学調査、健康診断の実施
●巡回医療、巡回健康相談の開始(⇒)
医療
避難者
●県を通じ、自衛隊の撤収要請
●復興計画の発表
●震災廃棄物処理の継続
下水道
電気
○激甚災害の指定
○自衛隊の撤収
○復旧・復興に関する会議の開催
○震災復興本部の設置
○義援金配分委員会の設置
○中小事業所、商店街等の復興支援
●県、国への復旧支援要請
●復旧状況についての広報
●被災者一人ひとりへのケア体制の整備
●通常業務の再開
上水道
被災者
被
災
者
救
援
対
応
○二次災害防止対策
○経産省:被災中小企業対策
○厚労省:こころのケア対策として専門家を現地派遣
○災害救助法の適用
○県災害救援ボランティア支援センターの設置
○被災建築物応急危険度判定支援本部の設置
1ヵ月後~
◇一部の住民は、疎開し始める
●災害救助法に基づく活動展開
●ボランティアセンター設置
●一般ボランティア、専門ボランティアの受入開始
●被災者情報のデータベース化
●被災者生活再建支援法の適用
●義援金の受付
●各種生活相談窓口の設置
●ごみ・し尿の処理(⇒)
●動物対策
●エコノミークラス症候群等への対応
●ホームヘルパー等の巡回による健康相談(⇒)
●こころのケア(⇒)
●被災者の心身不調への対応
●PTSDへのケアの実施(⇒)
●被災者に対する住宅復興支援等、市独自の金銭的支
援策の決定
●義援金の分配
●応急教育(避難所との共存)
●学用品の調達・支給
◇避難者が242,188人に達する
◇一部の地区で避難所が不足するため、余裕のある避難
所へ一部移動(市全体では収容可能)
●必要物資の把握、確保
○炊き出しの実施(自主防災組織)
◇避難者は減少せず、避難所の混雑は続く
◇飲料水から生活用水へとニーズが拡大
●防疫活動(県の指示に基づく)
●入浴施設の確保
◇安全が確認された住宅の被災者は、順次帰宅
●自主防災組織による避難所の自主運営(⇒)
◇20日後の避難者は121,850人と徐々に減少し、避難所
◇避難者は79,167人と現象するが、依然として多い状況
の混雑は徐々に解消される
●仮設住宅入居等による避難所の縮小・閉鎖
◇身体的精神的に疲労が蓄積
◇自力による転居の増加
災害時 ●要援護者を福祉避難所に受入
要援護者 ●ボランティア等の協力を得て、要援護者支援実施(⇒)
帰宅困難者 ◇鉄道等が復旧せず、帰宅困難者が駅周辺等に滞留
◇帰宅困難者が徐々に減少
●帰宅困難者への帰宅支援
36
東京湾北部地震(冬18時)
【被害】
初動体制の確立期
直後(18:00)~
即時対応期(救命中心)
10分後(18:10)~
震度速報の受信
1時間後(19:00)~
3時間後(21:00)~
緊急対応期(救援・支援)
12時間後(翌日6:00)~
1日後~
応急対応期(生活の安定)
3日後~
1週間後~
連絡手段の確保
2週間後~
1ヶ月後~
通常業務の再開
被害情報の収集・整理
復興計画の発表
応援・派遣要請(自衛隊、緊急消防援助隊、広域緊急援助隊)
人員不足のため対応困難な場合
職員の非常参集
県に対して応援要請
県・他市町村からの応援人員受入・調整
県・国へ復旧支援要請
現有人員による体制の調整
市災害対策本部の設置
体制
県を通じ、自衛隊の撤収要請
対策実施状況に応じた人員配置の再調整
県への被害報告
情報
市民への広報(被害状況、避難に関する事項など)
避難勧告、避難指示の発令
報道機関への発表・協力要請
市民への広報(被害状況、ライフライン等の復旧状況など)
市民への広報(復旧状況、各種助成措置など)
災害救助法の適用
中小企業・農村漁業関係対策
ボランティアの受入れ
自主防災組織による活動の
開始
◇揺れにより、全壊4,402棟、半
壊18,897棟の被害が発生
建物・火災
被害対応
イ
ン
フ
ラ
被
害
対
応
◇水道:206,590世帯で断水
◇下水道:3.4%の下水道管に被
害発生
◇電力:21,043件の停電発生
◇都市ガス:37,214戸供給停止
◇LPガス:ボンベ1,600軒で被害
消防力が足らず、さらに延焼
14件鎮火、28件延焼
自主防災組織による初期消火活動
二次災害への警戒
鎮火
家屋調査
り災証明書の発行
応急危険度判定調査実施本部の設置 → 被災建築物応急危険度判定の実施
消防の出動、消火活動の実施
自主防災組織による初期消火活動
被災者への住宅提供の検討
◇急傾斜地崩壊により、全壊16
棟、半壊37棟の被害が発生
◇焼失棟数4,947棟
ライフ
ライン
78件出火し、42件炎上
◇液状化により、全壊167棟、半
壊465棟の被害が発生
風評被害対策
帰宅、帰宅途中の職員が登
庁
建築物被害状況の確認
応急仮設住宅の用地確保
公営住宅の被害状況の確認
公営住宅等の空家情報の収集
県:応急仮設住宅の建設・入居者の決定
廃棄物集積場の検討
揺れ・液状化・急傾斜地崩
壊により、全壊・半壊建物
が多数発生
全半壊建物について、被災
認定を受け次第片付け開始
被災住宅の応急修理
被災者住宅支援相談の開始
がれき処理の検討(県と連携)
全半壊を免れた建物の室内片付けを開始
入居
震災廃棄物処理の継続
廃棄物の増加
被害情報の収集
【ライフライン事業者】
職員の非常参集
職員の安否確認
災害対策本部の設置
復旧作業員の招集
応急復旧体制の立ち上げ
関係機関との情報連絡体制の確立
上水道:復旧
電力:復旧
LPガス:安全確認次第、復旧
通信:復旧
関係業者との連絡調整、資機材・人員確保
都市ガス:復旧
応急給水活動
◇道路:1箇所の道路橋が被
害を受け、広範囲で通行止め
緊急輸送道路:復旧
一般道路の応急復旧
作業の継続
緊急交通路及び迂回路の指定、緊急輸送車両の確保
道路の啓開
◇鉄道:被害発生により、不通
道路の応急復旧作業
物資輸送拠点の開設・運営
ヘリポートの開設
物資輸送の実施
被害状況の把握
人的被害
対応
下水道:復旧
インフラの復旧作業
【通信会社】
電話輻輳のため通話規制開始
災害用伝言ダイヤル等サービス開始
現場警察官による交通規制の実施
交通
・
輸送
応急仮設住宅の管理
一部の被災者を受入れ
◇自力脱出困難者841人発生
活動方針の決定
自力脱出困難者が多数発生
激甚災害の指定
遺体収容施設の開設
DMATの派遣要請
火葬・埋葬の実施
救急救助活動(自主防災組織の協力を得る)
収束
遺体捜索・収容
救護所の設置(各小学校の保健室等)/ 医薬品の確保 → 傷病者の応急処置
医療
◇建物被害等により、死者122人、
重傷者138人、負傷者4,643人 停電した場合
発生
非常用電源切替
◇火災により、死者79人、重傷者
99人、負傷者254人発生
トリアージの実施
重症傷病者の救命医療
被災状況の確認
施設被災・
傷病者多数
入院患者の安否確認
重症傷病者を後方医療機関へ搬送
傷病者の応急医療
入院患者転院
疫学調査
消火・救出が必要な場合、消防等に連絡
ボランティアセンター設置
人的被害の情報収集
被災者生活再建支援法の適用
義援金受付の開始
被災者
義援金の分配
被災者情報のデータベース化
住民の避難開始、避難誘導、災害時要援護者への支援(自主防災組織等の協力を得る)
応急教育(避難所との共存)
各種生活相談窓口の設置
住民:家族等の安否確認
こころのケア/健康相談/エコノミークラス症候群への対応/PTSDケア実施など
避難所開設
被
災
者
救
援
対
応
一部の避難所は混雑
余裕のある避難所へ一部移動
避難所での避難者受入、整理(自主防災組織等の協力を得る)
一部の住民は疎開し始める
◇避難者数
避 1日後:242,188人
難 4日後:221,792人
者 20日後:121,850人
仮設トイレの設置
自主防災組織による避難所の
自主運営
防疫活動
応急給水の実施
食料、生活必需品の提供
1ヶ月後:79,167人
炊き出しの実施(自主防災組織等の協力を得る)
災害時要援護者要援護者の把握
福祉避難所の状況確認、受入先確保
入浴施設の確保
身体的・精神的に疲労が蓄積
福祉避難所で要援護者を受入
帰宅困難者への情報提供
帰宅 ◇一時帰宅困難者が発生
困難者
自力による転居の増加
帰宅困難者の避難所等への誘導
帰宅困難者への帰宅支援
帰宅困難者が徐々に減少
帰宅可能な者から徒歩で帰宅開始
37
避難所の縮小・閉鎖
4.風水害・土砂災害危険性の調査の概要
風水害の危険性に関しては、4 件の河川を対象とした浸水被害想定を調査した。また、
水害危険区域として、千葉県及び船橋市において重要水防区域に指定されている 2 箇所に
ついてまとめた。更に、高潮に関しては、平成 21 年 4 月公表の、国土交通省港湾局による
「東京湾の大規模高潮浸水想定結果」の 6 シナリオを調査した。
土砂災害危険性に関しては、千葉県が公表している「土砂災害危険箇所」について、該
当する船橋市域の急傾斜地をまとめた。また、宅地造成等規制法第 3 条により、
「宅地造成
に伴い災害(がけくずれ又は土砂の流出による災害)が生じるおそれの著しい市街地又は
市街地になろうとする土地の区域」として船橋市内に指定された「宅地造成工事規制区域」
についてまとめた。
河川を対象とした浸水被害想定の調査
・ 船橋市域に浸水被害が及ぶ、4 件の河川を対象とした浸水被害想定を調査した。
・ このうち、概ね 50 年に 1 回の確率で発生すると考えられる 3 件を、浸水想定区域とし
て採用した。ただし、江戸川氾濫による浸水範囲に入る地区については、江戸川 によ
る浸水想定区域図も併せてカルテ(様式 6)に掲載した。
河川を対象とした浸水被害想定
対象河川
利根川水系
利根川水系
海老川水系海老川(長
13 河川の外水氾濫と、
(支流)
江戸川
真間川(二和川) 津川、飯山満川)
海老川の内水氾濫
実施者
国土交通省関
千葉県葛南地域
千葉県葛南地域整備
船橋市
東地方整備局
整備センター
センター
江戸川河川事
務所
実施年度
平成 16 年度
平成 17 年度
平成 17-18 年度
平成 18 年度
対象降雨
3 日間で総雨
昭和 33 年 9 月洪
最大 70mm/h、24 時間
最大 70mm/h、24 時間
量
量 318mm(昭
水(狩野川台風) で総雨量 252.5mm
で総雨量 252.5mm( 木
和 22 年 9 月カ
最大 60mm/h、総
戸川、三咲川、駒込川、
スリン台風)
雨量 332mm
鈴身川は最大 60mm/h、
総雨量 206.3mm)
発生確率
200 年に 1 度
概ね 50 年に 1 度
概ね 50 年に 1 度
概ね 50 年に 1 度
計算手法
貯留関数法
貯留関数法
貯留関数法
貯留関数法
(鈴身川は合理式)
浸水想定
街区別
街区別
50m メッシュ(長津川
の表記
50m メッシュ
調整池近傍を除く)
浸水データ
想定図のみ
想定図のみ
想定図のみ
あり
船橋市防
別の想定図と
浸水予測結果と
浸水予測結果として
浸水予測結果として
災マップ
して掲載
して採用
採用
採用
38
船橋市浸水範囲2006: 浸水予想m(移動) を使用
船橋市浸水範囲2006: 浸水予想m(移動) を使用
1 -2
(23)
0.5 - 1
(163)
海老川(長津川・飯山満川)
、真間川(二和川)、
0.1
- 0.5
(757)
その他すべて (32837)
1 -2
(23)
0.5 - 1
(163)
0.1利根川水系江戸川
- 0.5
(757)
その他すべて (32837)
その他の船橋市内の河川における浸水想定区域のまとめ
船橋市浸水範囲2006: 海老川浸水想定m を使用
1
浸水想定区域図(船橋市)
船橋市浸水範囲2006: 海老川浸水想定m を使用
-2
(100)
(241)
0.09 - 0.5
(492)
河 川その他すべて
からの
(32947)
浸水想定(m)
船橋市浸水範囲2006: 海老川浸水想定m+浸水予想m(移動) を使用
1
(100)
(241)
0.09 - 0.5
(492)
河 川その他すべて
からの
(32947)
浸水想定(m)
船橋市浸水範囲2006: 海老川浸水想定m+浸水予想m(移動) を使用
0.5 例- 1
凡
-2
0.5 例- 1
凡
1 -2
(123)
0.5 - 1
(404)
0.1 - 0.5
(1147)
その他すべて (32106)
1 -2
(123)
0.5 - 1
(404)
0.1 - 0.5
(1147)
その他すべて (32106)
39
水害危険区域の調査
・ 船橋市における水害危険区域は、重要水防区域として千葉県および船橋市の水防計画
に記載されている 2 箇所であった。平成 13 年時点では、高野台の二重川左岸も対象と
なっていたが、平成 22 年現在では、二重川の河川改修事業が終了して、対象から外れ
ている。
水害危険区域
重要度
河川名
重要水防区域箇所
種別
階級
堤防高
千葉県 二級河川
海老川
船橋市 準用河川
前原川 堤防断面
延長(m)
地先名
右岸
左岸
A
船橋市夏見
900
900
A
飯山満町 2 丁目
1,200
重要なる理由
堤防高不足
1,200 堤防断面不足
・ その他の浸水被害の発生しやすい区域として、過去 5 年間(平成 18 年~平成 22 年)
における、船橋市内の床上・床下浸水箇所及び 道路冠水箇所 をまとめ た (下図参 照)。
・ その結果、主な発生箇所としては、谷底平野及びその近傍だけでなく、夏見台地の中
央部など、台地上の凹地などがあった。また、同じ台地上の凹地でも、発生しない場
所もあれば、同様の場所で繰り返し発生する傾向も見られた。これは、同じ地形的な
特徴を持っていても、アスファルト等による地面の被覆状況や雨水の排水能力の違い
が影響していると考えられる。
過去 5 年間(平成 18 年~平成 22 年)における床上・床下浸水、道路冠水の発生箇所
凡 例
通報・警戒等による水害活動履歴
H18
床上浸水
床下浸水
道路冠水
H19
H20
H21
H22
Np_HYB_tokyowan_seed00_1122_ru:
Lev を使用
標高(m)
30
25
20
15
10
5
0
-
40
(195)
30 (11202)
25 (7636)
20 (4899)
15 (2141)
10 (2526)
5 (5181)
予測震度
6強 (6611)
6弱 (26961)
5強
(208)
東京湾北部地震
予測震度
6強 (6466)
6弱 (27076)
5強
(238)
40
高潮による浸水被害想定の調査
・ 船橋市における高潮、津波等により被害をうける危険のある区域は、 千葉県の地域防
災計画に記載されている国土交通省(旧運輸省)所管海岸の危険区域のうちの 1 区域
であった。
高潮、津波等により被害をうける危険のある区域
沿岸名 海岸名 地区海岸名 延長(m)
東京湾 千葉港
船橋
11,660
告示年月日及び番号
昭和
昭和
昭和
昭和
平成
平成
41.9.20
43.8.2
45.9.18
52.2.25
2.3.28
10.10.13
千葉県告示
千葉県告示
千葉県告示
千葉県告示
千葉県告示
千葉県告示
第
第
第
第
第
第
海岸管理者
510
492
645
124
275
801
号
号
号
号
号
号
千葉港港湾管理者
・ また、平成 21 年 4 月公表の、国土交通省港湾局による「東京湾の大規模高潮浸水想定
結果」の 6 シナリオ(A~F)を調査した。これは、伊勢湾台風級及び室戸台風級の想
定台風が相模湾から神奈川県に上陸して北北東方向に進んだ際に予測される高潮によ
る千葉港を含む東京湾における浸水被害の想定である(次ページの表を参照)。その結
果、船橋市域における浸水想定結果については、浸水高に違いがあるものの、浸水 範
囲はシナリオ A を除いて B~F は類似点が多かった。その浸水範囲は、湊町地区を除き、
江戸川および海老川による浸水想定区域に類似していた。 地球温暖化の効果には まだ
不明な点があることや、 想定される最大規模の台風であること など、複合的な要素に
よる観点から、シナリオ C の浸水想定区域が「浸水におよぶ可能性がある範囲」を示
しているとして、その浸水範囲をまとめた 。
東京湾の大規模高潮浸水想定結果のシナリオ C における船橋市内の浸水範囲
41
国土交通省港湾局による東京湾の大規模高潮浸水想定の比較
シナリオ
A
C
D
伊勢湾台風級
室戸台風級
伊勢湾台風級
室戸台風級
想定最低気圧
940hPa
911hPa
940hPa
911hPa
最大高潮高(m)
+2.7
+3.4
+2.7
+3.4
想定台風
初期潮位(m)
B
現状(平成 20
地震による被災を
条件設定
年度末時点)
想定
全水門閉鎖
耐震化済のみ閉鎖
8,588
13,579
水門の開閉
最大浸水域(ha)
F
T.P.+0.966 +0.6(平均満潮位に温暖化による水位上昇をプラス)
T.P.+0.966(千葉港の朔望平均満潮位)
海岸保全施設の
E
現状(平成 20 年度末時点)
全水門が閉鎖できず
0m 地帯で破堤発生
全水門閉鎖
16,628
16,105
全水門開放
24,619
27,630
シナリオ別の千葉港周辺(船橋市付近)における高潮浸水想定結果の比較
シナリオ A
シナリオ C
シナリオ B
凡例
シナリオ D
シナリオ F
シナリオ E
42
土砂災害危険性の調査
・ 千葉県が公表している「土砂災害危険箇所」(船橋市域では 60 箇所)について、 分類
(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)や位置をまとめた(下図参照)。
・ 宅地造成等規制法第 3 条により、
「宅地造成に伴い災害(がけくずれ又は 土砂の流出に
よる災害)が生じるおそれの著しい市街地又は市街地になろうとする土地の区域」と
して船橋市内に指定された 3 箇所の「宅地造成工事規制区域」についてまとめた (下
図参照)。
・ 過去 5 年間(平成 18 年~平成 22 年)における船橋市内でのがけくずれ箇所はなかっ
た。
土砂災害危険箇所と宅地造成工事規制区域のまとめ
凡 例
宅地造成工事規制区域 3区域
土砂災害危険箇所(県公表):急傾斜地
Ⅰ:人家が5戸以上
16箇所
Ⅱ:人家が1~4戸以上
37箇所
Ⅲ:住宅等立地可能性有 7箇所
43
5.地区別防災カルテの概要
これまでの地震動などによる各種の被害予測・調査結果を、船橋市の 24 の地区コミュニ
ティごとに整理して、平成 13 年度の調査で作成された船橋市の地区別防災カルテを更新し
た。カルテには、各地区の概況、人口や建物の構成などの社会条件をはじめとして、地区
の防災力を担う防災関連施設の分布状況や、これまでの調査によって把握された災害の危
険性分布や予測被害量、防災上の問題点をまとめ ている。このカルテを参考に、災害に対
する備えや、災害発生時の避難、要援護者の支援のあり方、災害復旧対応などを検討でき
ることを目的としてい る。
地区別防災カルテの作成単位やその内容を簡潔に説明 する。
地区別防災カルテの作成単位
・ 船橋市は、平成 22 年度現在、全市を 24 の地区コミュニティに区分している。この 24
地区が地区別防災カルテ作成の単位となる。
船橋市内における地区コミュニティの区分図
44
・ 各地区コミュニティを構成する町丁目には、平成 23 年 1 月 31 日までに実施された
住居表示を反映している。
地区コミュニティ名と各地区を構成する町丁目
各地区を構成する町丁目
宮本 1~9 丁目、市場 1~5 丁目、東船橋 1~7 丁目、東町、駿
河台 1~2 丁目
2 湊町
本町 3 丁目、湊町 1~3 丁目、浜町 1~3 丁目、若松 1~3 丁目、
日の出 1~2 丁目、西浦 1~3 丁目、栄町 1~2 丁目、潮見町、
高瀬町
3 本町
本町 1~2 丁目、本町 4~7 丁目
4 海神
南本町、海神 1~6 丁目、海神町 2~3 丁目、海神町東 1 丁目、
海神町西 1 丁目、海神町南 1 丁目、南海神 1~2 丁目
5 葛飾
山野町、印内町、葛飾町 2 丁目、本郷町、古作町、古作 1~4
丁目、西船 1~7 丁目、印内 1~3 丁目、東中山 1~2 丁目
6 中山
二子町、本中山 1~7 丁目
7 塚田
旭町、行田町、行田 1~3 丁目、山手 1~3 丁目、北本町 1~2
丁目、前貝塚町、旭町 1~6 丁目
8 法典
丸山 1~5 丁目、上山町 1~3 丁目、馬込町、馬込西 1~3 丁目、
藤原 1~8 丁目
9 夏見
夏見 1~7 丁目、夏見町 2 丁目、夏見台 1~6 丁目、米ヶ崎町
10 高根・金杉
高根町、金杉町、金杉 1~9 丁目、金杉台 1~2 丁目、緑台 1
~2 丁目
11 二和
二和東 1~6 丁目、二和西 1~6 丁目
12 三咲
三咲町、三咲 1~9 丁目、南三咲 1~4 丁目
13 八木が谷
八木が谷町、咲が丘 1~4 丁目、みやぎ台 1~4 丁目、八木が
谷 1~5 丁目、高野台 1~5 丁目
14 前原
前原東 1~6 丁目、前原西 1~8 丁目、中野木 1~2 丁目
15 二宮・飯山満 二宮 1~2 丁目、飯山満町 1~3 丁目、滝台町、滝台 1~2 丁目
16 薬円台
薬円台 1~6 丁目、薬園台町 1 丁目、七林町
17 三山・田喜野井 三山 1~9 丁目、田喜野井 1~7 丁目、習志野 1~5 丁目
18 高根台
高根台 1~6 丁目
19 新高根・芝山 芝山 1~7 丁目、新高根 1~6 丁目、高根台 7 丁目
20 松が丘
松が丘 1~5 丁目
21 大穴
大穴町、大穴南 1~5 丁目、大穴北 1~8 丁目
22 習志野台
習志野台 1~8 丁目、西習志野 1~4 丁目、習志野台 4 丁目(住
居表示実施外)
23 豊富
小室町、小野田町、大神保町、神保町、 車方町 、鈴身町、豊
富町、金掘町、楠が山町、古和釜町
24 坪井
坪井町、坪井東 1~6 丁目、坪井西 1~2 丁目
注)「葛飾(町)」の「葛」は、「
」の代替文字。 (平成 23 年 1 月 31 日現在)
番号
地区名
1 宮本
45
地区別防災カルテの記載内容
・ 地区別防災カルテは、地区ごとに様式 1~様式 7 で構成されている。
・ このうち様式 1 には、各地区の概要、人口や建物の構成などの社会条件、地区内の防
災関連施設の状況のほかに、様式 3~様式 6 で詳細図を示す、各地震危険性分布図(想
定される地震動の強さ、液状化の危険性、建物被害)や 水害・土砂災害危険性分布図
を、比較し易いようにコンパクトにまとめて掲載している。
・ 様式 2 の防災関連施設分布図は、様式 1 で示した防災関連施設のほかに、緊急輸送道
路(県指定・市指定) や 災害危険箇所の分布も示している。 また、凡例にあわせて、
地区内の主な防災関連施設数や災害危険箇所数を 掲載している。対象地区の周辺近傍
の状況もあわせて示している。
・ 様式 3 の地震危険性分布図(想定震度)では、様式 1 に掲載した東京湾北部地震(M7.3)
のケースで想定される 対象地区の地震動の強さ(震度)の詳細な分布図(50m メッシ
ュ)を示す。
・ 様式 4 の地震危険性分布図(液状化)では、様式 1 に掲載した東京湾北部地震(M7.3)
のケースで想定される 対象地区の液状化危険性の詳細な分布図(50m メッシュ)を示
す。
・ 様式 5 の地震危険性分布図(建物被害)では、様式 1 に掲載した東京湾北部地震(M7.3)
のケースで想定される 対象地区の建物被害棟数(半壊以上)の詳細な分布図(50m メ
ッシュ)を示す。棟数は、50m メッシュ内での全半壊棟数を示している点に注意が必
要となる。
・ 様式 6 の水害・土砂災害危険性分布図では、 様式 1 に掲載した水害・土砂災害危険性
分布図の詳細な分布図(50m メッシュ)を示す。1 宮本地区~6 中山地区については、
江戸川が氾濫した際の浸水想定区域図も併せて示す。
・ 様式 7 の避難場所・広域避難場所・避難所の一覧では、基本情報のほかに、収容人数
の目安も示している。また、隣接する他地区や他市の避難場所も掲載している。
46
地区別防災カルテの記載内容の概要
様式
1
記載項目
内容
地区の構成
地区を構成する町丁目
地区の概要
地区の地理的な位置、地形、土地利用の分布、交通などの概要
地区の位置図
地区の位置図、地区面積
社会条件
人口関連指標(5 年齢区分、人口密度)
・グラフ ( 平 成 22 年 10 月
1
日 時点 )、建物の構造別年代別棟数・グラフ( 平 成 22 年 7 月 15 日 時 点 )
防災関連施設
地区内の防災関連施設の一覧
近年の災害履歴
地区内における最近 5 年間(平成 18~22 年)の災害発生状況
災害予測の結果
地震危険性分布図:3 図(東京湾北部地震(M7.3)の場合)
(図)
・想定される地震動の強さ(震度)
・液状化の危険性
・建物被害棟数(半壊以上)
水害・土砂災害危険性分布図:1 図
災害予測の結果
地区の地震災害等の被害予測結果(概要)
(概要)
2
3
4
5
6
7
防災 関連 施設 分布
様式1に記載した地区内及び地区周辺の防災関連施設や、緊急
図
輸送道路(県指定・市指定)、災害危険箇所の分布図
防災関連施設凡例
凡例及び、地区内の防災関連施設や災害危険箇所の箇所数
地震被害想定結果
地区内の地震被害想定結果(詳細)
防災上の課題
地区内の防災上の課題
地震危険性分布図
東京湾北部地震(M7.3)のケースで想定される対象地区の地震
(想定震度)
動の強さ(震度)の分布図(様式 1 の図の詳細図)
地震危険性分布図
東京湾北部地震(M7.3)のケースで想定される対象地区の液状
(液状化)
化危険性の分布図(様式 1 の図の詳細図)
地震危険性分布図
東京湾北部地震(M7.3)のケースで想定される対象地区の建物
(建物被害)
被害棟数(半壊以上)の分布図(様式 1 の図の詳細図)
水害・土砂災害
対象地区の水害・土砂災害の危険箇所の分布図(様式 1 の図の
危険性分布図
詳細図)
避難 場所 ・広 域避
地区内及びその地区周辺の避難場所、広域避難場所、避難所の
難場 所・ 避難 所一
所在地・最寄りの町丁目名・屋内外 の収容人数などの諸元一覧
覧
表
47
地区別の危険度評価のまとめ
・ 地区別防災カルテにおいて 行った、地区別の災害危険度の評価を 以下にまとめた。評
価の方法については、次ページの表に概要をまとめた。
地区別の危険度評価のまとめ(5 段階評価)
地
区
番
号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
危険度評価
地区名
地震動
液状化
建物
被害
延焼
人的
被害
水害
土砂
災害
宮本
●●●●● ●●●● ●●●● ●●●● ●●●
●●●●● ●●●
湊町
●●●●● ●●●●● ●●●●● ●●
●●●●● ●●●●● ●
本町
●●●●● ●●●●● ●●●● ●
●●●● ●●●●● ●
海神
●●●●● ●●●●● ●●●●● ●●
●●●● ●●●● ●●
葛飾
●●●●● ●●●
●●●
●
●●
●●●● ●●
中山
●●●●● ●●●●● ●●●● ●●
●●
●●●●● ●
塚田
●●●● ●●●
●●●
●●
●
●●●● ●●●
法典
●●●● ●●
●●
●●
●
●●●
●●●
夏見
●●●● ●●●● ●●●
●●
●
●●●● ●●●
高根・金杉
●●●● ●●●
●●●
●●●● ●
●●●● ●●●●
二和
●●●● ●
●
●●
●
●●
●
三咲
●●●● ●
●
●●●
●
●
●
八木が谷
●●●● ●●●
●
●
●
●●●
●
前原
●●●● ●●
●●●
●●●
●
●●●
●●●
二宮・飯山満
●●●● ●●
●●●
●●●● ●
●●●
●●●
薬円台
●●●● ●
●●
●●
●
●●
●
三山・田喜野井 ●●●● ●●
●●●
●●●
●
●
●●●
高根台
●●●● ●
●
●
●
●
●
新高根・芝山
●●●● ●●
●●
●●●●● ●
●●●
●●●●
松が丘
●●●● ●●
●
●●●●● ●
●●
●●●
大穴
●●●● ●●
●
●●●● ●
●●●
●●●
習志野台
●●●● ●
●
●●●
●
●●
●●
豊富
●●●● ●●
●
●
●
●●
●●●●
坪井
●●●● ●●
●
●
●
●●
●●●
( 「 ● 」 が多いほど危険度が高いことを表す。)
48
評価項目
地震動
液状化
建物被害
延焼
人的被害
水害
土砂災害
地区別の危険度評価方法の概要(5 段階評価)
評価方法の概要
東京湾北部地震(M7.3)のケースでの地区内の平均震度(平均は面積の
重み付き平均)の大きさによって危険度を評価した。
具体的には、24 地区分の平均震度から最大値(6.44:6 強)と最小値(5.52:
6 弱)を抽出し、平均震度の 6 強・6 弱を、大きい方のカテゴリからそれ
ぞれランク 5、4 とした。本来、危険度は相対評価ではあるが、全ての地
区が平均震度 6 弱以上という強い揺れなので、危険度が最も低くてもラン
ク 1 とはせずランク 4 とした。
東京湾北部地震(M7.3)のケースでの液状化危険度を数値化し、この数
値の地区別平均値(平均は面積の重み付き平均)の大きさで危険度を評価
した。
具体的には、液状化危険度予測結果の「極めて高い」
「高い」
「やや高い」
「低い」「なし」をそれぞれ 50、10、5、2、1 と数値化し、その平均値を
整数化した結果を危険度ランク(5~1)に対応させた。この評価の場合、
ランク 3 や 2 は、場所によっては液状化を起こす 地域があることに対応し
ている。
東京湾北部地震(M7.3)のケースでの地区別の地震動(揺れ)と液状化
による建物被害率(半壊以上)の大きさで危険度を評価した。
具体的には、建物被害率 26%、22%、16%、14%をしきい値として、被
害率の高いカテゴリから順にランク 5、4、3、2、1 とした。
東京湾北部地震(M7.3)のケースで、延焼の被害が最も多かった冬 18
時のケースでの地区別の延焼被害率の大きさで危険度を評価した。
具体的には、単位面積あたりの焼失数が多い地区の順に並べ、10%、4%、
1%、0.05%をしきい値として、被害率の高いカテゴリから順にランク 5、4、
3、2、1 とした。
東京湾北部地震(M7.3)のケースで、延焼の被害が最も多かった冬 18
時のケースでの地区別の死傷者発生率[(死者+負傷者)/地区滞留人口]
を、死者数により重み付けして、高いカテゴリから順にランク 5、4、3、2、
1 として危険度を評価した。
地区の水害危険性(河川・内水氾濫、及び高潮による浸水想定区域の面
積割合)及び潜在的な地区の水害危険性(重要水防区域指定の有無、平成
18 年~平成 22 年間における床上・床下浸水及び道路冠水の件数)を重み
付けして合計して、危険度を評価した。
地区の土砂災害危険性(過去 5 年間(平成 18 年~平成 22 年)のがけ崩
れ発生箇所数(なし)、土砂災害危険箇所(県公表) Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの各箇所
数、宅地造成工事規制区域の面積割合)及び潜在的な地区の土砂災害危険
性(地区内の斜面・がけに分類される範囲が地区面積に占める割合)を重
み付けして合計して、危険度を評価した。船橋市は、台地と低地の間に斜
面が多く分布するが、千葉県内でも数多く指定されている、土砂災害の危
険性が高 い急傾 斜地崩 壊危険 区域や 土砂災 害警戒 区域等の 指定箇 所がな
く、過去 5 年間(平成 18 年~平成 22 年)でもがけくずれを起こした箇所
もなかったことから、危険度が最も高くてもランク 5 とはせずランク 4 と
した。
49
6.おわりに
船橋市は、市民の生命・財産を守ることを第一義的な目標として行政運営を行っており、
本業務の成果は、次のような活動をはじめ、今後様々な防災対策に様々に活用していくも
のとする。
○市民の「自助」「共助」の推進のため、成果のわかりやすい広報
○防災対策の総点検と新たな防災対策の立案
○地震災害に対する 減災目標の設定
○市全体の震災対応マニュアルの作成
○防災教育への活用
など
とくに地震被害想定調査結果は市の震災対策を強化するための重要なデータであり 、発
災時の応急対策、とりわけ、市職員の活動体制の確保や、市民の関心が高い避難対策や生
活救援対策などについて検証を進め、それを踏まえてより実効性の高い震災対策へと見直
していくこととする。その際には、対策の現状および方向性を明瞭に示し、その中で今後
市民の「自助」
「共助」が期待されることについては、市は積極的に市民への呼びかけを行
っていく。
また、「はじめに」に記したように、本業務の成果は、 市民の生命、財産を災害から守
るために、現行の船橋市地域防災計画(平成 15 年度修正)を抜本的に見直し、現実に即し
た実効性のあるものに修正するための基礎資料となるものである。同計画では災害応急対
策について定めるが、大規模災害時には市単独での対策実施が困難になるため、広域的な
応援が重要であり、国-県-市の一体的な対応が必須となる。そのため、同計画の修正に
あたっては、千葉県地域防災計画との整合性の確保は重要な点である。
その千葉県地域防災計画は、直近では平成 21 年度に修正され、以下の修正方針が示さ
れている。
 近い将来に千葉県に大きな被害を及ぼす可能性のある地震が発生した場合の対応に
ついて、平成 19 年に「地震被害想定調査」を実施した上で、平成 21 年に被害を半減
させるための長期的な行動計画である「千葉県地震防災戦略」を策定し、そこで設定
された減災目標及び当該目標を達成するための予防対策、応急対策並びに復旧及び復
興対策から成る減災施策を「千葉県地域防災計画」に盛り込むとともに、県民がそれ
ぞれの責務を果たすことの重要性を明記することとした。(出所:千葉県ホームペー
ジ)
船橋市においても同様の方針で地域防災計画の修正に臨むものとし、 今後種々の対策を
実施した場合の減災量 を確認し、適切な減災目標を設定するうえで、今回の「防災アセス
メント調査及び地区別 防災カルテ作成業務」の 成果を有効に活用する。
このような取組みにより、市は、市民の防災意識及び防災対応力の向上により、災害に
備えのある安全で安心な市民生活を確保するとともに、耐震性の向上や治水の強化等によ
る減災を達成して都市機能の防災性を高める。また、近隣自治体や防災関係機関はもとよ
り、市民や市内の企業・団体等との連携を含めた防災体制の整備・充実を図り、災害発生
時における迅速かつ円滑な応急対策活動の実行を可能とするものである。
50
なお、今回の「防災アセスメント調査及び地区別防災カルテ作成業務」においては 、国
の地震調査研究推進本部地震調査委員会(2004)2が近い将来発生する確率が高いと予測し
ている地震の中から、船橋市への被害が最も大きいと考えられる東京湾北部地震を想定地
震としている。
しかしながら、平成 23 年 3 月 11 日に、日本国内観測史上最大規模の東北地方太平洋沖
地震が発生し、各地に未曽有の被害をもたらしていることから、市は、今回の地震による
教訓や反省を踏まえて、被害想定や対策など、さまざまな見直しを今後も継続して行って
いく。
2
地震調査研究推進本部地震調査委員会(2004)
:相模トラフ沿いの地震活動の長期評価につい
て.
51
平成 22 年度防災アセスメント調査及び
地区別防災カルテ作成業務
報 告 書 概 要
発行年月 平成 23 年 3 月
企画・発行
調
船橋市市長公室防災課
査 応用地質株式会社