テーマ:Its Automatic 離床! 日中の病室は空き部屋?! - 医療のTQM

テーマ:It’s Automatic 離床!
日中の病室は空き部屋?!
施設名:総合病院国保旭中央病院
かつまた
ゆうや
しまだ
部署:9 西病棟(外科)・リハビリテーション科合同
めぐみ
発表者名:勝又 勇耶、嶋田 恵
①現状の把握
現状の把握
なぜ離床が必要なのか
外科術後に臥床させておくと、肺炎、痰詰ま
り、無気肺などの呼吸器合併症、深部静脈血
栓症、術後せん妄の遷延、イレウス、起立性低
血圧などのリスクが高まる。
その結果、パスからの逸脱、入院期間が長引
く、といった問題につながる。
そのため、1~3 病日はスタッフによる離床が
パス化されている。
期間:8/2~8/28
対象: 4~7 病日の、自立歩行可能な 9 西病棟入院患者
方法:一日の合計歩行距離を調査
離床状況
30
25
20
%
3 病日まで頑張って離床し
たのに、その後は約 4 割が
50m も歩いていない…
これでは合併症が起こら
ないか心配
7POD
6POD
5POD
4POD
15
10
5
【活動の概要】
(2) テーマの種別
(3) 目標(指標と目標値を含む)
(4) 活動前後の指標の変化
(5) 活動の種類
(6) チームの名称
上
以
50
0m
50
0m
40
0m
(1) 施設名 (総合病院 国保 旭中央病院)
①診断治療
□②安全
□④無駄削減・能率・業務環境
□③患者サービス/満足度向上
□⑤質管理システム
□⑥その他
自力歩行可能な患者の 1 日の合計歩行距離:
全員(100%)が 4 病日以降は 50m 以上、かつ 7 病日までに 200m
4 病日以降・50m 以上:実施前(38.5%) ⇒ 実施後(100%)
7 病日まで・200m 以上:実施前(35.9%) ⇒ 実施後(100%)
□①職場単位のグループ活動
②複数の職場が連携したグループ活動
□③テーマに合せて召集されたチームプロジェクト
歩かせ隊♪
□④その他
(7) 実施期間 計(37)週
(8) 所属部門(複数可)
①診療部門 □②支援部門 □③事務部門 □④その他
(9) チームリーダー
名前(勝又 勇耶)所属部署(看護部)職種(看護師)
(10) チームメンバーの人数
(12) QCストーリー
40
0~
30
0m
30
0~
20
0~
20
0m
10
0m
50
~
10
0~
50
m
15
~
15
m
9西
未
満
0
(7 人)
①問題解決型
(11) 活動回数: 今回で(1)回目
□②課題達成型
1
□③その他 (
)
9 西病棟
南
950
954
トイレ
全個室にもト
イレがつい
ています。
951
(新棟)
どの部屋もトイレ
がすぐ近く!
952
955
953
962
963
964
スタッフ
ステーション
966
967
以前の
958
西
965
5-2B
959
エレ
ベー
ター
9西
957
960
956
デイルーム
961
トイレのたびに
みんな歩いてい
たよ
5-2B 病棟
976
回復室
968
975
974
969
973
トイレ
北
970
972
971
② 目標の設定
50m 以上の歩行は屋内生活に必要なレベルとされる。FIM でも 50m 以上移動していないと移動自立とみなされない。また、9
西病棟から正面玄関の乗降場までの距離が約 200m であるので、一日の合計歩行距離の目標を、4 病日以降の患者は 50m 以
上、退院が近い 7 病日までには 200m 以上とした。
※FIM…もっとも信頼性・妥当性が高いとされる日常生活動作(ADL)の評価法。機能的自立度評価法。
③ 要因の解析
患者
前日の離床の具合によっては翌日
セーブしてしまう
人に見られたくない
スタッフ
心的
患者への声かけが少ない(離床時) 担当医が離床を促す働きをしていない
ドレーンを柵から外せない
から一人で離床できない
歩行時や疼痛増強の恐怖体験
離床に楽しみがない
がトラウマで歩けない
知人に会いたくない
ドレーン
Drの協力不足
回診時に歩いたり距離等をDrが聞いていない。
PTとのコミニュケーション不足
ドレーンがあるから ドレーンを人にみられるのがいや
心配で動きたくない だから病室から出たくない
スタッフが状況把握していない 距離の管理ができていない
目標がない
(前の病棟では
トイレが遠かった)
調子が悪い時がある。
身体
管理不足
スタッフ多忙
必要なレベルの把握ができていない
マンパワー不足
パスに具体的な歩行距離が記載されていない
教育
Nsが日勤中に離床の促しができない
疼痛コントロールができていない
トイレが自室にあるため移動距離がな
い
トイレが近くなり歩く機会が減った
酸素がついている
休む所がない(ベンチがない)
廊下に休む椅子がない
トイレ
酸素
休憩
トイレという目標があったけどなくなった。
遠くにいきずらい
動くと気泡や閉塞などでポンプが鳴るから
気になって離床したくない
廊下に休む所がない
なかなか来ない 外から人が乗ってくるから
方向がわからない案内表が少ない
歩くコースがない
エレベーター
点検・整備不足
窓があかない
面会人が少ない
外気が感じられず爽快感がない
自分の環境が自室にある
静か
バッテリー不足
でアラームがなるから
気になって離床できない
病棟の構造上促さなければADLは拡大しない
物品
静かな雰囲気なので歩くのに
気が引ける
環境
2
個室が多くなり、居心地がいい
な
ぜ
患
者
が
自
分
で
離
床
で
き
な
い
の
か
?
④ 重要要因の検証
① ドレーン、ルート類の管理が難しい
② 動くと痛みが増してしまう
③ 歩くコースがない
動くと痛くなるからあま
り動きたくないけど、トイ
レだけはしょうがないか
ら行くか…。
これを外すのが
大変なんだよな
ぁ
しかも、
こんなにいっぱい!!
この階、病室が並んでい
るだけだし、歩くところ
ないなぁ
⑤ 対策の立案
◎ :3点 ○:2点 △:1点 ×:0点で評価 灰色枠を採用
効果性 重要性 実現性 合計
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
⑩
⑪
⑫
⑬
複数のドレーンが入ってくると予想される患者には早めに
紙袋を用意してもらう
性状に異常がなければ術後ドレーンは紙袋に入れる
基本的に全員S字フックを使用し、右のドレーンは右側、
左のドレーンは左側に誘導する
血圧測定や体重測定をNSステーションで行うようにして
離床のきっかけをつくる
清潔ケアを計画的に取り入れて活動を促す
リハビリが2号館に移動するので、リハビリ室まで歩いて
行ってスタンプを押してきてもらう
4病日以降はレントゲンになるべく歩行で行ってもらう
食事を自分で取りに来てもらう
部屋に距離マップを掲示する
離床についての勉強会を開催する
Drとの話し合いを強化する
なるべく早めに疼痛のコントロールが行えるよう 内服薬
を処方してもらう
我慢しなくていいことを伝える
S 字フックで簡単
に外せるヨ!
沢山のバッグも紙袋
で一つにまとめるよ!
目隠しにもなるよ!
3
◎
○
◎
8
◎
○
◎
8
◎
○
◎
8
◎
○
△
6
○
△
△
6
◎
◎
△
7
◎
△
◎
◎
◎
◎
△
◎
◎
◎
△
△
◎
◎
○
7
3
9
9
8
◎
◎
○
8
◎
◎
◎
9
⑥ 対策の実施
いつ
入院時オリエン
NS
テーション
①
誰が
どこで
病室
何を、誰に
ドレーンバックが入
る紙袋を
ドレーンバックを紙
袋に
ドレーンバックを
患者に2号館にリハビ
リ室まで
どうする
準備してもらうよう説明する
②
初回離床時
NS・PT
病室
③
術後
NS・Dr
回復室
⑥
術後7病日まで NS・PT
9西病棟
⑨
1月中に
QCメンバー
9西病棟
病棟距離マップを
⑩
1月上旬
QCメンバー
9西病棟
離床についての勉強
会を
開催する
NS・Dr・PT
9西病棟
疼痛コントロールに
対し
Drとの話し合いを強化(疼痛
が強いとき報告等)し、内服
薬を早めに出してもらう
NS・Dr・PT
9西病棟
患者に疼痛を我慢し
なくていいことを
説明する
退院の時に玄関まで
歩けるのかな?
目標達成
移動レベルが「自立」
に満たない患者たち
50m 未満はいない!
全員が「歩行自立」
退院間近の患者は全員
300m 以上歩行している
離床状況
離床状況(結果)
上
以
50
0m
50
0m
15
m
20
0m
満
未
上
以
50
0m
50
0m
40
0m
40
0~
30
0m
30
0~
20
0m
20
0~
50
m
10
0m
10
0~
50
~
15
~
15
m
未
満
0
10
0m
5
10
0~
10
7POD
6POD
5POD
4POD
50
m
7POD
6POD
5POD
4POD
15
%
%
20
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
50
~
25
15
~
30
40
0m
有形効果
40
0~
⑦ 効果の確認
30
0m
12月~
30
0~
⑬
S字フックにかける
歩行し受付でスタンプを押し
てきてもらうよう促す
作成し回復室以外の部屋に掲
示する
20
0~
⑪⑫ 12月~
入れてまとめる
無形効果
・
・
・
・
・
今までの離床では歩行距離が不十分であることがわかり、歩行距離を気にするようになった
歩けるようにするにはどうしたらよいか考えるようになった
合同リハビリ
歩行への意識が高まり、患者への働きかけも以前よりも増えた
以前より離床の必要性について患者に説明するようになった
PT からの勉強会後、疼痛軽減を図れる離床方法ができるようになった
波及効果
・ 術後のリハビリオーダーをクリニカルパスに組み込む方針になった。
・ せん妄や認知症などで自ら離床困難な患者のために、病棟とリハビリ
が協同して合同リハビリを行うことになった。
4
⑧ 歯止めと標準化
カテゴ いつ
リー
標準化 4病日以降退
院まで
標準化 術後回復室に
帰ってきた時
標準化 1~3病日の
離床時
誰が
どこで
誰に
どうする
受け持ちNS
リーダーNS
手術室に迎え
に行くNS
受け持ちNS
9西病棟
担当医師
離床時の鎮痛が不十分な場合は報告し、疼痛コントロー
ルの見直しを依頼する
ドレーンバッグはS字フックにかける
9西病棟の回復 患者
室
病室
患者に
標準化 術後4病日以 受け持ち
降7病日まで NS
管理
常時
NS
病室
管理
毎日
受け持ちNS
病棟内
管理
管理
管理
今年度中
パス改訂時
今年度中
QCメンバー
9西パス委員
QCメンバー
教育
毎年4月
患者に
病棟内
患者
リハビリ受付前 患者
委員会
患者
9西病棟
患者
スタッフ
9西病棟担当PT 9西病棟かリハ 9西新人看護
師
ビリ室
ドレーンバッグが多いためにS字フックを使用しても管
理が大変なときや見えるのが気になる場合は、患者と相
談し必要に応じてドレーンバッグを紙袋等に入れる
リハビリ室まで歩行しスタンプを押してくるように促す
患者がドレーンバッグ入れる紙袋が必要な時に備えて、
病棟でも紙袋を常備しておく。そこから使った場合は、
後で代わりの紙袋を患者に持ってきてもらう
ドレーンが抜けてS字フックが不要になったら回収し、
掃除した後で回復室の所定位置に戻す
スタンプ台や案内板を設置する
4病日以降の離床の項目を外科術後パスに組み込む
アンケートを取り、病棟マップをより使いやすいよ
うに修正する
病棟の新人教育プログラムに、PTによる「疼痛の少ない
離床方法についての勉強会」を組み込む
⑨ 反省と今後の課題
★★★良かった点★★★
・ QC 活動によって病棟全体が離床について意識
化され活気づいた。
・ 日中は廊下を歩く患者を見かけるようになった。
・ 患者の歩行への自発性が増した
・ 病棟とリハビリにとって初めての合同活動である今
回の QC 活動を通じて、相互の連携が大幅に強
化された。
★★★今後の課題★★★
・ 病棟マップをより患者が使いやすいように改良す
る…医療者は活用しているが、患者から「字が小
さい」「わかりにくい」という意見があった。
・ ドレーンを紙袋に入れる際の基準が必要…離床
はしやすくなったが、一部の医師・看護師から「ド
レーンが屈曲する」「性状が見えない」等の指摘が
あった。
・ 離 床 状 況の伝 達 方法の確 立…伝 達 する方 法が
看 護 記録 やフローシート、口 頭でのおくりなど統
一されていないため、翌日のリハビリに活かせてい
ないことが多い。
★★★反省点★★★
・ 計画実施時期間が 1 ヶ月と短く、症例数が少なか
った。
5
私たちは医学的にも経済的にも
社会的にも適正な模範的医療を
提供するために、常に現場目線
で KAIZEN に努めます!
全ては患者様のために