釧路湿原におけるハンノキの形態と冠水環境への適応 - 日本湿地学会

湿地研究 Wetland Research Vol.1, 43-53(2010)
原著論文
釧路湿原におけるハンノキの形態と冠水環境への適応について
矢野雅昭・水垣 滋・林田寿文・村上泰啓
(独)土木研究所寒地土木研究所
要 旨
ハンノキ形態と冠水環境との関係を明らかにするため,釧路湿原の地下水位計近傍 15 箇所において,
ハンノキの樹高,幹の地際及び根系最上端の高さの現地調査を行った.ハンノキは,タイプにかかわ
らず地盤より平均で約 17 cm 高いところに地際があり,根系の最上端は地際よりさらに高いところに
確認された.根系最上端の位置は期間平均水位より高いことから,高い位置に根系を発生させること
で冠水環境に対応していることが示唆された.根系最上端が 12 時間から 1 週間連続して冠水する条件
では,生存するハンノキの個体数割合が急激に減少すること,また連続 1 週間以上の冠水条件では萌
芽形態の方が単幹形態よりも生存する個体数割合が高いことがわかった.これらのことから,ハンノ
キは地盤よりも高い位置に生育し,さらに高い位置に根系を発生させ,萌芽形態をとることによって,
より長い時間の冠水条件に適応していることが示された .
キーワード:ハンノキ,水位変動,根系,萌芽形態,釧路湿原
1. はじめに
ハンノキは湿地環境に適応し,湿地に多く見られ
湿原は独自の景観,生物種を持っており,渡り鳥
る樹木である.また,その立地の冠水環境に応じて
の中継地や生物多様性の面から重要な自然環境であ
様々な形態をしていることが,これまで多くの研究
る.しかし,明治・大正時代に全国で 2,111 km 存
者により述べられている.Nakamura et al.(2002)は,
在していた湿地が,現在では 821 km まで減少し,
単幹形態のハンノキの生育分布は水位変動が関係し,
全体の 61.1% に当たる 1,290 km の湿地が消失した
萌芽形態のハンノキの生育分布には土壌の有機物含
とされ(国土地理院の湖沼湿原調査 日本全国の湿
有量が関係していることについて述べている.また,
地面積の変化,2000),湿原は希少な自然環境になっ
上流域の開発による土砂の流入量の増加と,それに
てきている.釧路湿原は,北海道東部に位置する我
伴う相対的な水位低下,さらに栄養塩の流入量増加
が国最大の湿原であり,天然記念物(1967),ラム
が,ハンノキの萌芽形態から単幹形態への変化に影
サール条約登録湿地(1980),国立公園(1987)に
響していることを指摘している.冨士田(2002)は,
指定されている.釧路湿原の特徴として,ヨシ・ス
ハンノキを形態別に分け,水文,栄養塩など,その
ゲ群落がその面積の大半を占め,所々にハンノキが
立地環境について言及している.新庄(2002)は,
見られることがあげられる.しかし,1947 年に 246
湿原に分布するハンノキの大部分は萌芽形態である
km2 あった湿原面積が 2004 年には 176 km2 まで減
とし,萌芽更新模式を示した.さらにミズゴケ湿原
少し,また 1947 年に 21 km であったハンノキ林の
周辺のハンノキと,ヨシスゲ湿原内のハンノキの形
面積が,1977 年では 29 km ,2004 年には 81 km ま
態の違いを述べている.しかし,これらの調査結果
で拡大したとされ,急激な湿原植生の変化が指摘さ
は,群落を対象としたものであり,環境データ等と
れている(国土交通省北海道開発局釧路開発建設部
の関係を定性的に述べたものに留まっている.湿原
ホームページ 釧路湿原自然再生事業パンフレット,
内は泥炭や土砂の堆積状況の違いや,ヤチボウズな
2007)
.
ど植生による盛り上がりなど起伏に富んでおり,同
2
2
2
2
2
2
矢野雅昭 [email protected]
(2010 年 2 月 8 日受付,2010 年 8 月 5 日受理)
43
矢野雅昭・水垣 滋・林田寿文・村上泰啓
じ群落のハンノキでも個々が生育する立地の冠水環
れている.なお,湿原への流入量が最も多い釧路川
境が異なる可能性がある.しかし,個々のハンノキ
の流域面積は 2,510 km2,本川の流路長は 154 km で
の冠水環境を調査し,形態との関係を明らかにした
ある.釧路川下流域に位置する釧路地方気象台(緯
事例はこれまで無かった.もし,これらの関係が明
度 42°59.1',経度 144°22.6')における,気温,降
らかになれば,湿原内での河道状況の変化などに伴
水量の観測データ(1971 年から 2000 年)によれば,
う冠水環境の変化が,ハンノキの樹林化に及ぼす影
年平均気温は 6 ℃,年平均降水量は 1,045 mm である.
響を明らかにすることに寄与することが考えられる.
国土交通省北海道開発局では,釧路湿原の地下水
本研究の目的は,冠水環境がハンノキの形態に及ぼ
位の現況を把握するために 1999 年 9 月から 2002 年 1
す影響を明らかにすることである.
月に地下水位計を設置して以降,湿原内の地下水位
変動を観測している.ハンノキの毎木調査地点の選
2. 方法
2.1 調査地概要
定は,北海道開発局の地下水位計の近傍でハンノキ
調査地の釧路湿原は,屈斜路湖を源流とした釧
真(東邦コンサルタント株式会社)の判読により抽出
路川流域の下流に位置し(緯度 43°1' ~ 15',経度
した.また,調査地点は湿原域を広域にカバーでき
144°16' ~ 35')
,その東端を流れる釧路川や,湿原
ることを考慮して 15 地点を選定した(Fig.1; Table 1)
.
を貫流し釧路川に合流する 6 本の支流により涵養さ
なお,調査地点の標高は 3 m ~ 10 m である.
130°
135°
林が確認される箇所を,2004 年に撮影された航空写
140°
E 145°
N 45°
Sapporo
W‐02
40°
30°
Tokyo
Tokyo
W‐04
W‐10
W‐26
W‐11
W‐12
W‐13
W‐06
Kushiro Mire
S‐08
S‐08
K us
hiro
R iv
er
35°
W‐03
T‐09
Kushiro City
Pacific Ocean
Fig.1 釧路湿原における調査地点
Research sites in the Kushiro Mire
44
S‐R S‐O
S‐K
S‐G
釧路湿原におけるハンノキの形態と冠水環境への適応について
Table 1 調査地点におけるハンノキタイプと水位
Type of Alnus. japonica and characteristic of water level in study sites
方形区の位置
W-02
W-03
W-04
W-06
W-10
W-11
W-12
W-13
W-26
S-G
S-K
S-O
S-R
S-08
T-09
合計
ハンノキ位置での
期間平均水位 (m)
樹木本数
水位計位置
期間平均水位 (m)
標準偏差
標準偏差
タイプ タイプ タイプ タイプ
A
B
C
D 合計 平均 (樹木間) 平均 (期間)
N43°
11’
38.6”
,
E144°
29’
22.5” 0
N43°
10’
18.3”
,
E144°
27’
57.1” 0
N43°
09’
00.6”
,
E144°
28’
31.5” 13
N43°
06’55.5”
,
E144°
27’
19.1” 1
N43°08’
25.0”
,
E144°
21’2.1” 1
N43°
08’21.8”
,
E144°
22’
13.5” 0
N43°07’
15.6”
,
E144°
20’
49.1” 0
N43°
07’
13.0”
,
E144°
22’
16.7” 3
N43°
07’53.6”
,
E144°
21’
21.8” 0
N43°
03’
50.8” ,
E144°
23’
27.1” 0
21.8” 0
N43°03’
55.8”
,
E144°
23’
N43°
04’
01.3”
,
E144°
23’
16.2” 0
N43°04’
05.2”
,
E144°
23’
12.9” 0
N43°04’
09.4”
,
E144°
22’
16.0” 0
N43°
10’
14.9” ,
E144°
26’
39.9” 2
20
2
0
6
8
2
1 11 14
0 68
0 81
13
3 40 57
9
6
9 25
0
9 14 23
3
0
8 11
5
2 20 30
0 29
1 30
0
2
1
3
3
0 14 17
2
0 20 22
0
1 15 16
0
0 16 16
3
0
2
7
42 121 177 360
0.10
0.27
-0.13
0.02
0.03
0.37
-0.08
0.14
0.06
0.05
0.07
-0.01
0.00
0.06
0.14
0.01
0.04
0.02
0.02
0.01
0.06
0.01
0.04
0.03
0.02
0.02
0.01
0.01
0.04
0.10
-0.09
0.31
-0.24
0.09
0.05
0.33
-0.01
-0.26
0.25
-0.08
0.12
-0.03
0.15
-0.13
-0.03
0.07
0.18
0.05
0.07
0.03
0.10
0.02
0.05
0.04
0.04
0.07
0.04
0.06
0.03
0.08
地下水位データ
使用期間
2006~08,4~11月
2006~08,
4~11月
2006~08,4~11月
2006~08,4~11月
2006~08,4~11月
2006~08,4~11月
2006~08,4~11月
2006~08,4~11月
2006~08,4~11月
2006~08,4~11月
2006~08,
4~11月
2004~05,4~11月
2004~05,4~11月
2006~08,4~11月
2006~08,4~11月
2.2 調査方法
ハンノキ形態の毎木調査地点の水位変動を把握す
際までの高さを測定した(Fig.2).ただし,萌芽が
るために用いた,地下水位計の設置概要は次のとお
さまざまな高さから生えている場合は,最下部の萌
りである.先端が開口部になっている内径 50 mm の
芽までの高さを地際とみなした(Fig.2).また,個々
塩ビ管を,湿原の地面に貫入した観測井を設け,そ
のハンノキの冠水環境を把握するため,各々のハン
の中に水圧式水位センサー(共和電業 BWL-10MET,
ノキの地盤標高を調査した.調査方法は,既知の地
精度± 1.5 cm)を設置した.なお,塩ビ管の埋設部
下水位計管頭標高から,調査時の地下水位計塩ビ管
に地表 1 m 以深から 1 ~ 2 m のストレーナー(孔径
内の水位を調べ,また調査地点に一様な水面が確認
5 mm,孔間隔縦 100 mm ピッチ,開口率 3 %)が設
されたことから,その水位と地下水位計塩ビ管内の
けられている.観測は 1 時間毎とし自記記録計にデー
水位が同標高であると仮定した.そして,各ハンノ
タを蓄積し,年に一度データを回収している.本研
キの地盤で計測した調査時の水深を,調査時の地下
究では,欠測の無い 2006 年から 2008 年の 4 月から
水位計塩ビ管内の水位から差し引くことで,各ハン
11 月の地下水位データを使用した.ただし,観測期
間の違いから S-O,S-R の 2 箇所は 2004,2005 年の
4 月から 11 月のものを使用した.また,冠水環境の
指標の一つとして,使用した全期間の地下水位デー
基準標高:地下水位
計管頭標高(既知)
樹高
タから,各々の位置の地盤面を基準とした平均水位
(以下,期間平均水位)を地点毎に算出し,後述の
検討に使用した(Table 1)
.
根系最上端の
高さ
ハンノキ形態の毎木調査は,地下水位計の近傍に
地際標高≒
萌芽標高
10 m × 10 m の方形区を設置して行い,樹高,地盤
地盤標高
水位
から根系最上端の高さを測定した(Fig.2)
.さらに
現地では,ハンノキが湿原の周辺地盤よりも小高い
箇所に生育している状況が認められたことから,ハ
Fig.2 ハンノキ計測部位の模式図
Fig.2 ハンノキ計測部位の模式図
A. japonica
Schematic
image
of the
parts ofparts
Schematic
image
of surveyed
the surveyed
of A. japonica
ンノキの幹の生え際をその地際として,地盤から地
45
矢野雅昭・水垣 滋・林田寿文・村上泰啓
ノキの地盤標高とした(Fig.2).また,ハンノキは
ことを想定したことによる.そして,冨士田(2002)
その立地環境により様々な形態をしていることから,
がハンノキの生育環境と形態について分類したもの
調査した全ての個体をその形態によって A ~ D の
を一部参考にして,樹高による区分も行った.単幹
4 タイプに分類した.分類については,単幹木が卓
形態の樹高 2 m 未満の個体をタイプ A,それ以上
越した単幹形態と,萌芽木が卓越した萌芽形態に区
の樹高の個体をタイプ B とし,萌芽形態の樹高 2 m
分した.これは,山本(2002)が,萌芽が発生する
未満の個体をタイプ C,それ以上の樹高の個体をタ
頻度は土壌が酸欠となる場所ほど高いことを述べて
イプ D とした(Fig.3,4).
おり,単幹形態と萌芽形態で冠水環境に違いが有る
A:単木卓越
B:単幹卓越
低木
樹高2 m未満
C:萌芽卓越
高木
樹高2 m以上
低木
D:萌芽卓越
樹高2 m未満
高木
樹高2 m以上
Fig.3 ハンノキのタイプ分類概念図.図中の A ~ D は ,それぞれハンノキ形態のタイプ A ~ D を指す.
A. japonica classification. Images A-D show A. japonica types A-D, respectively.
Schematic images of Fig-3
types of ハンノキのタイプ分類概念図
Schematic images of types of A. japonica classification
A
C
図中のA~Dは ,それぞれハンノキ形態のタイプA~Dを指す.
Images A-D show A. japonica types A-D, respectively.
B
Fig.4 ハンノキタイプ別参考画像
D
Reference image of A. japonica types
Fig.4 ハンノキタイプ別参考画像.図中の
A ~ D は ,それぞれハンノキ形態のタイプ A ~ D を指す.
図中のA~Dは ,それぞれハンノキ形態のタイプA~Dを指す.
A-D
A. japonica types
A-D,
respectively.
A. japonica
ReferenceImages
image
ofshow
types.
Images
A-D show A. japonica types A-D, respectively.
46
釧路湿原におけるハンノキの形態と冠水環境への適応について
3. 結果
3.1 地下水位の変動
イプ D では,共に樹高約 6 m 以上がはずれ値となっ
調査地点における地下水位は,降雨や河川流量に
単幹と萌芽といった形態の違いは,樹高分布に影響
対応して変動している.一例として,地点 S-13 に
しないと考えられる.地際高は平均値で 0.17 m であ
おける 2006 年 1 月 1 日から 2006 年 12 月 31 日の地
り,タイプ別の平均値はそれぞれ 0.16 ~ 0.18 m と,
下水位を Fig.5 に示した.4 月の融雪期に 54 mm/ 日
大きな違いは認められなかった(Table 2)
.また地際
の降雨により,地下水位が 4.84 m から 5.16 m に上
高は,いずれの個体も周囲の地盤よりも高いことが確
昇し,
8 月に 81 mm/ 日の降雨により,
地下水位が 4.80
認された(Fig.6b)
.このことから,ハンノキはその
ている(Fig.6a)
.このことから,本調査地においては,
The upper and lower edges of the
地盤高25%
EL
boxes show 75% and
values,
100
5.00
respectively. The bold lines in the
center of the boxes represent the
median value.The whiskers
4.50
150
indicate
the most
extreme values
2006/1/1
2006/4/2
2006/7/2
2006/10/1 2006/12/31
no
more
than 1.5 times the length
日付
(年/月/日)
Fig.5 降雨量及び地下水位観測結果(地点S-13)
of the box. The circles represent
Survey results of precipitation and groundwater level at station S-13
Fig.5 降水量及び地下水位観測結果(地点
S-13)
deviant values.
Survey results of precipitation and groundwater level at station S-13.
3.2 タイプ別に見たハンノキの特徴について
毎木調査の結果からハンノキを形態別に 4 つのタ
イプに分類したところ,
360 本のうちタイプ A は 20 本,
タイプ B は 42 本,タイプ C は 121 本,タイプ D は
177 本であった
(Table 2)
.各タイプの樹高の平均値は,
タイプ A は 1.1 m,タイプ B は 3.8 m,タイプ C は 1.4
m,タイプ D は 3.4 m であった(Table 2)
.またタイ
プ毎の樹高分布をみると,単幹タイプと萌芽タイプ
の違いは見られず,樹高 2 m 以上のタイプ B 及びタ
47
8
2
地際高さ (m)
50
c
根系最上端の高さ (m)
地下水位 EL(m)
5.50
流域平均雨量 (mm/日)
ことを意味している.
6.00
6
(m)
4
箱の上・下端は75%値と25%
値を,箱中の太線は中央値を
表す.ひげは箱長の1.5倍以内
0
の最大(小)値を,○印はは
ずれ値を表す.
b
0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6
がプラスの地点は,地表が水面下にある期間が長い
a
樹高
Fig. 6 ハンノキタイ
m から 4.93 m に上昇するなど,降雨時に地下水位
プ毎の樹高、地際及び
が上昇していることが分かる.これは,融雪や降雨
根系最上端の地盤から
により湿原に流入する河川流量が増加し,湿原内で
の高さ.
氾濫することが影響していると考えられる.その他
Survey results of tree
の調査地点においても,水位上昇量や降下時間など
height, base height and
に若干の差がみられたものの,ほぼ同様の傾向がみ
maximum root height from
られた.各地下水位計観測地点の期間平均水位は-
ground level, arranged by
0.26 m ~ 0.33 m,同期間での標準偏差は 0.02 m ~
A. japonica
type
0.18 m の範囲であった(Table 1)
.なお,平均水位
A
B
C
タイプ
D
Fig.6 ハンノキタイプ毎の樹高 , 地際及び根系最上端の地盤
からの高さ.箱の上・下端は 75% 値と 25% 値を,箱
中の太線は中央値を表す.ひげは箱長の 1.5 倍以内
の最大(小)値を,○印ははずれ値を表す.
Survey results of tree height, base height and maximum root height
from ground level, arranged by A. japonica type. The upper and
lower edges of the boxes show 75% and 25% values, respectively.
The bold lines in the center of the boxes represent the median
value.The whiskers indicate the most extreme values no more
than 1.5 times the length of the box. The circles represent deviant
values.
矢野雅昭・水垣 滋・林田寿文・村上泰啓
形態に関わらず,地盤よりも高いところに生育してい
が確認された(Fig.6c)
.根系最上端の高さの平均値
ることが示唆される.根系最上端の高さは平均値で
はいずれのタイプも地際高より高く,タイプ A,B,C,
0.24 m であり,タイプ別の平均値は 0.21 ~ 0.25 m と
D の順に,より高い位置に根系を発生させているよう
大きな違いは認められなかった(Table 2)
.また根系
にみえる(Table 2; Fig.6b; c)
.
最上端は,いずれの個体も周囲の地盤よりも高いこと
Table 2 タイプ別にみたハンノキの特徴と期間平均水位
( )内の数字は標準偏差。地際高及び根系最上端高は地盤からの比高.
Characteristic of A. japonica and mean water level, arranged by type
Number in parentheses shows the standard deviation. These values were measured from ground level.
サンプル数
タイプ A
タイプ B
20
42
タイプ C
121
タイプ D
177
合計
360
期間平均水位 (m)
平均樹高 (m)
平均地際高 (m) 平均根系最上端高 (m)
-0.04
1.1
0.18
0.21
(0.15)
(0.3)
(0.15)
(0.15)
0.06
3.8
0.18
0.22
(0.08)
(1.5)
(0.08)
(0.07)
-0.02
1.4
0.16
0.23
(0.15)
(0.3)
(0.06)
(0.08)
0.08
3.4
0.16
0.25
(0.11)
(1.2)
(0.07)
(0.10)
0.04
2.7
0.17
0.24
(0.14)
(1.5)
(0.08)
(0.09)
3.3 期間平均水位と樹高,地際高,根系最
上端の高さ
が期間平均水位よりも低いものは少ないが,そのほ
冠水環境とハンノキ形態の関係を把握するため,
ハンノキは頻繁に水面に浸かる位置よりも高い位置
Fig.7 の a ~ c に期間平均水位と樹高,地際高,根
に根系を発生させることで,冠水環境に対応してい
系最上端の高さの関係を示した.期間平均水位と樹
ることが示唆される.
とんどがタイプ D であった(Fig.7c).このことから,
高では,いずれのタイプでも明瞭な関係は認められ
なかった(Fig.7a)
.このことは期間平均水位がハ
3.4 連続冠水期間によるハンノキの樹高と
タイプ毎個体数割合
ンノキの樹高成長の単純な指標とはならないことを
示している.期間平均水位と地際高についてみる
連続冠水期間とハンノキ形態との関係を把握す
と,地際高が期間平均水位よりも高い個体が多いが,
るため,各ハンノキの根系最上端が,ある一定期
タイプ C 及び D には地際高が期間平均水位よりも
間以上,連続冠水する頻度と樹高の関係を調べた.
低い個体も見られた(Fig.7b).また,ほとんどの
Fig.8 は,1 時間以上,3 日以上,1 週間以上,2 週
ハンノキの地際高が,期間平均水位の 0.5 倍(1:2
間以上,3 週間以上の期間にわたり連続冠水する頻
line)より高いことが分かる(Fig.7b).このことか
度について示したものである.なお,連続冠水する
ら,地際高がハンノキの生育場所を特徴づける要因
頻度は,一年当たりの冠水回数とした.なお,冠水
の一つであることが示唆される.期間平均水位と根
が 0 回 / 年である個体は,その根系最上端が連続期
系最上端の高さについてみると,全体的に期間平均
間以上の冠水を受けなかったことを意味する.
水位が上がると根系最上端の高さも上がっているよ
全体的に連続冠水期間が長くなるにつれて,冠水
うにみえる(Fig. 7c)
.また,ほとんどのハンノキ
を受ける個体が減っていく傾向にある(Fig.8).全
の根系最上端の高さが期間平均水位よりも高い(1:
個体について,樹高 5 m 以上の個体は連続 1 時間以
1 line)ことが分かる(Fig.7c)
.さらに根系最上端
上の冠水を 0.3 回 / 年から 6 回 / 年受ける条件で確
48
g the
base
a
上の冠水を 0.3 回 / 年から 5 回 / 年受ける条件で大
10
9
多数が確認され,連続 1 週間以上の冠水条件では
樹高 (m)
8
ほとんど確認されなかった.タイプ B は,連続 1
7
6
タイプA
5
タイプB
4
タイプC
件で確認されたが,連続 1 週間以上の冠水条件で
3
タイプD
は,タイプ A 同様ほとんど確認されなかった.タ
時間以上の冠水を 0.3 回 / 年から 24 回 / 年受ける条
2
イプ C は,連続 1 時間以上の冠水を 0.3 回 / 年から
1
35 回 / 年受ける個体が確認され,連続 3 週間以上
0
-0.40
樹幹地際の
地盤からの高さ (m)
b
c
-0.20
0.00
0.20
0.40
0.60
の冠水を 0.3 回 / 年から 3 回 / 年受ける条件でも多
0.8
数の個体が確認された.タイプ D では,樹高 5 m
line
y:x=1:1
0.6
0.4
以上の個体は,連続 1 週間以上の冠水する条件で
タイプA
は確認されなくなるが,樹高 5 m 未満では,連続 3
タイプB
週間以上の冠水を 0.3 回 / 年から 2 回 / 年受ける条
タイプC
件でも多数の個体が確認される.このことを整理
タイプD
0.2
すると,樹高 5 m 以上の単幹形態(タイプ A,B)
line
y:x=1:2
及び萌芽形態(タイプ C,D)の個体は,根系最上
0
-0.40
根系最上端の
地盤からの高さ (m)
、地際高、
釧路湿原におけるハンノキの形態と冠水環境への適応について
-0.20
0.00
0.20
0.40
端に連続 1 週間以上の冠水を受ける条件では確認
0.60
されず,樹高 5 m 未満の萌芽形態の個体では確認
0.8
された(Fig.8).これらのことから,単幹形態,萌
line
y:x=1:1
芽形態いずれのハンノキも,樹高の高い個体は冠
0.6
0.4
タイプA
水時間の長い環境に生育していない可能性が示唆
タイプB
される.また樹高の低い個体では,萌芽形態の方が,
タイプC
単幹形態よりも冠水時間の長い環境に生育してい
タイプD
0.2
ることが示唆される.
ハンノキの生育に対する連続冠水の影響をより詳
0
-0.40
-0.20
0.00
0.20
0.40
細に把握し,ハンノキのタイプで比較するため,根
0.60
期間平均水位(m)
4‐11月
系最上端の連続冠水期間とハンノキのタイプ別個
体数割合との関係を調べた(Fig.9).その結果,全
てのタイプで,連続冠水期間が 12 時間以上または
Fig.7 4 月から 11 月の期間平均水位と樹高,地際高,根系
最上端の高さの関係
Relationship between the mean water level during the period of
April to November, and the tree height, base height and maximum
root height
1 日以上から 1 週間以上にかけて急激な減少が見ら
れた.タイプ A は,連続 12 時間以上の冠水条件で
85 % が生育していたが,連続 2 日以上の冠水条件
での生育数は 20 % と激減し,連続 3 週間以上の冠
認されたが,連続 1 週間以上冠水する条件では確認
水条件では確認されなかった.タイプ B は,連続 1
されなかった.一方,樹高 5 m 未満の個体は,連
日以上の冠水条件では,76 % の個体が生育してい
続 1 時間以上の冠水を 0.3 回 / 年から 36 回 / 年まで
たが,連続 1 週間以上で 5 % にまで激減した.一方,
受ける条件で確認され,特に 10 回 / 年までに多く
タイプ C 及び D は,単幹形態に比べて短い連続冠
の個体が確認された.さらに樹高 5 m 未満の個体は,
水条件で生育する個体数割合が大きく減少し,連続
連続 3 週間以上の冠水を 0.3 回 / 年から 3 回 / 年受
1 時間以上の冠水条件でそれぞれ 62 % 及び 66 % に
ける条件でも多数の個体が確認された.
減少する.それ以降はややゆるやかな減少傾向を
タイプ別にみると,タイプ A は,連続 1 時間以
示すが,タイプ C では連続 12 時間以上から 2 日以
49
矢野雅昭・水垣 滋・林田寿文・村上泰啓
樹高(m)
全個体
10
8
樹高5mライン
6
4
2
樹高(m)
タイプA
0
10
8
6
4
2
樹高(m)
タイプB
0
10
8
樹高5mライン
6
4
2
樹高(m)
タイプC
0
10
8
6
4
2
樹高(m)
タイプD
0
10
8
樹高5mライン
6
4
2
0
0
10
20
30
冠水頻度(回/年)
連続1時間以上
40 0
5
10
冠水頻度(回/年)
連続3日以上
15 0
1
2
3
4
冠水頻度(回/年)
連続1週間以上
5 0
1
2
3
4
冠水頻度(回/年)
連続2週間以上
5 0
1
2
3
4
冠水頻度(回/年)
連続3週間以上
5
Fig.8 異なる連続冠水期間における根系最上端の冠水頻度と樹高の関係
Fig.8 異なる連続冠水期間における根系最上端の冠水頻度と樹高の関係
Relationship between inundation frequency at the maximum root height and tree height in various continuous
Relationship between inundation frequency at the maximum root height and tree height in various continuous inundation periods
i
d i
i d
3d 5d 1w
100
1h
タイプ毎の個体数割合(%)
90
6h 12h 1d 2d
4d 6d
上にかけて,タイプ D では連続 1 日以上から 6 日
4w
2w 3w
以上にかけて生育個体数割合は激減し,それぞれ
8w 16w 32w
80
19 %,20 % となっている.連続 1 週間以上の冠水
70
条件での生育する個体数割合について A から D を
60
順にみると,5 %,5 %,10 %,19 % となっており,
50
40
萌芽形態の方が単幹形態よりも多くの個体が確認さ
タイプA
30
れる.また,さらに長期の冠水期間においても同様
タイプB
タイプC
20
の傾向である.これらのことから,単幹形態のハン
タイプD
10
ノキは連続的な冠水時間が比較的短い生育環境に多
0
0
1
10
100
1,000
根系最上端の連続冠水期間(hour/year)
10,000
く認められ,萌芽形態のハンノキは様々な冠水環境
Fig-9 根系最上端での連続冠水期間の変化によるハンノキ個体数割合の変化
Fig.9 Changes in population ratio of A. japonica according to changes in the continuous inundation period at
the maximum root height
に対応して生育している可能性が示唆される.
Fig.9 根系最上端での連続冠水期間の変化によるハンノキ
個体数割合の変化
Changes in population ratio of A. japonica according to changes in
the continuous inundation period at the maximum root height.
4. 考察
冠水環境とハンノキの根系の関係を調査した結
果,ハンノキは頻繁に水面に浸かる位置よりも高い
位置に根系を発生させることにより冠水環境に適応
していることが示唆された(Fig.7c).その理由と
50
釧路湿原におけるハンノキの形態と冠水環境への適応について
して,根系最上端の高さが地盤高から平均 0.24 m
の冠水実験の結果,樹高成長の減退,冠水位の樹径
高い位置にあることが確認され(Table 2),さらに,
成長の増加がみられ,冠水開始から 8 日以降,不
ほとんどの個体で,根系最上端の高さが期間平均水
定根の形成を観察したこと報告している.Iwanaga
位よりも高い分布を示していたことがあげられる
and Yamamoto(2006)は 1 年生の実生を使用した冠
(Fig.7c)
.湿地以外の樹木であれば,根系は地中に
水実験の結果,1 ~ 2 週間の冠水で光合成と気孔コ
あるのが通常であり,根系最上端が高い位置に確認
ンダクタンスに減退がみられ,冠水開始から約 16
されたのは冠水環境に適応している状況と考えられ
日以降,不定根を形成し,活性が増加したことを報
る.
告している.また,3 ~ 4 週間の冠水では,未冠水,
根系最上端の高さが期間平均水位よりも高い要因
2 週間冠水と比べ,根や総樹木重量が小さくなって
として,ハンノキの侵入時期の立地条件と,侵入後
いたことを報告している.本研究において現地で確
の生育期の生理的特性が考えられる.侵入時期の立
認された樹高 5 m 以上のハンノキが,長期間冠水す
地条件としては,現地において地際高が周囲の地
る環境にみられなかったことは,これらの室内実験
盤高より小高い位置にあったことから(Fig.6b; 7b),
で得られた知見から理解できる.
ハンノキが冠水の影響が少ない小高い箇所に実生か
また,根系最上端の冠水とハンノキの形態につい
ら生育していることが考えられる.生育期の生理的
て検討した.その結果,いずれのタイプも連続 12
特性としては,不定根の形成が関与していることが
時間または連続 1 日以上から連続 1 週間以上にかけ
考えられる.ハンノキは冠水環境下で不定根を形
て冠水する環境で個体数が激減したが,萌芽形態の
成し(Yamamoto et al., 1995;Iwanaga and Yamamoto,
方が単幹形態よりも連続 1 週間以上を超える冠水
2006)
,不定根は長期の冠水やこれにともなう土
条件で個体数割合が多いことが確認された(Fig.9).
壌の還元化に対処するといわれている(Pezeshki,
これらのことから,単幹形態と萌芽形態の生育す
1991)
.本調査において,根系最上端の高さは地際
る冠水環境に違いがあることが示唆される.山本
高よりも全体的に高い位置にある状況が確認された
(2002)は,萌芽が発生する頻度は,土壌が酸欠と
(Table 2; Fig.6b; c).通常の根であれば地際高より
なる場所ほど高いことを述べている.このことは,
も下部にあると考えられることから,不定根が形成
本研究において冠水期間の長い環境で萌芽形態が多
されていた可能性がある.しかし,これらの要因に
く認められたことと一致しており,現地においても
ついては現段階では推察の域をでない.
ハンノキの形態が冠水環境によって異なることが示
次に,根系最上端の冠水と樹高の関係を検討した
された.
結果,樹高 5 m 以上の個体は,根系最上端に連続
冨士田(2002)は,ハンノキの形態を高木型,根
1 週間以上の冠水を受ける条件では確認されず,樹
上がり萌芽型,萌芽低木型,萌芽わい性型の 4 タイ
高 5 m 未満の萌芽形態の個体のみ確認されたことか
プに分類し,立地環境との関係を包括的かつ詳細に
ら(Fig.8)
,樹高成長が冠水の影響を受けている可
述べている.本研究では,樹高 10 m 未満のハンノ
能性がある.従来の研究においても,長期の冠水が
キについて,詳細な水位データから冠水環境を評価
ハンノキの樹高成長を妨げることが報告されている.
し,樹高や形態への影響について検討しており,か
高橋(1998)は,2 年生の苗木を使用した 2 週間の
ならずしも冨士田のハンノキ形態の分類とは一致し
冠水実験の結果,ハンノキに機能低下がみられたこ
ない.しかし,冠水環境によってハンノキの樹高
とを報告している. 長坂(2001)は,1 年生のハン
や形態が異なることが示されたことから,冨士田
ノキ苗木について,冠水期間を約 5 ヶ月半,約 20 日, (2002)同様,ハンノキの形態がその生育環境によ
り分類されることが明らかとなった
未冠水の条件で対照実験を行い,冠水開始から約
1 ヶ月半で冠水条件の個体に樹高成長の減退が現れ
たことを報告している.また,
Yamamoto et al.(1995)
5. おわりに
は,約 2 年生の実生を使用した 24 日間のハンノキ
今回の調査により,ハンノキの根系最上端の高さ
51
矢野雅昭・水垣 滋・林田寿文・村上泰啓
が,期間平均水位より高い位置に確認された.これ
引用文献
はハンノキが冠水環境に適応している状況と考えら
国土交通省北海道開発局釧路開発建設部ホームページ
釧路湿原自然再生事業パンフレット(2007)
:< http://
www.ks.hkd.mlit.go.jp/kasen/pdf/h22ksriverp.pdf >(参照
2010 年 2 月 5 日)
国土地理院の湖沼湿原調査 日本全国の湿地面積の変化
(調査結果)
(2000)
:< http://www1.gsi.go.jp/geowww/
lake/shicchimenseki2.html >(参照 2010 年 2 月 5 日)
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Yamamoto,F., Sakata,T. and Terazawa,K.(1995): Growth,
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flooded Alnus japonica seedlings, IAWA Journal,16, 47-59.
れた.根系最上端が高い位置にあった要因について
は,現段階では明らかではないが,不定根の形成な
どが関与していることが推察された.そして,根系
最上端の連続冠水する頻度と樹高の関係を検討した
結果,根系最上端の冠水がハンノキの樹高成長を妨
げていることが考えられた.さらに,ハンノキは萌
芽形態の方が,単幹形態よりも根系最上端に長期の
冠水を受ける個体が多いことから,冠水環境により
樹高や形態が異なることが考えられた.
本調査では当初,山本(2002)や,冨士田(2002)
の知見を参考に,単幹形態や萌芽形態での区分と樹
高 2 m での区分をして,ハンノキを A ∼ D のタイ
プに分類した.しかし,今回の検討結果では,根系
最上端における冠水環境の違いにより,樹高 5 m を
境に傾向の違いがみられた.今後,その他の環境条
件についても検討することで,ハンノキの形態区分
について新たな発見がなされることが考えられる.
謝 辞
本研究のために,国土交通省北海道開発局釧路開
発建設部治水課に貴重な資料をご提供いただき,環
境コンサルタント株式会社に現地調査にご協力いた
だいた.ここに記して謝意を表する.
52
釧路湿原におけるハンノキの形態と冠水環境への適応について
Relation of Alnus japonica Form and its Adaptation
for Inundation Environment in the Kushiro Mire
Masaaki YANO , Shigeru MIZUGAKI , Kazufumi HAYASHIDA , Yasuhiro MURAKAMI
Civil Engineering Research Institute for Cold Region, Public Works Research Institute, Japan
Abstract:To elucidate the effect of inundation on the habitats of various forms of Alnus japonica in wetlands, the
tree height, base level of the stem, and upper level of the root system of each A. japonica tree were investigated
at 15 sites near the gauge stations of groundwater level in the Kushiro Mire, northern Japan. The base level of the
stem was found to be approximately 17 cm higher than the ground surface, and the upper level of the root system
was also higher than the base level of the stem. The upper level of the root system was higher than the mean
water level, suggesting that the root system may affect the habitat of A. japonica. The frequency of inundation
in various periods was calculated for each A. japonica tree and indicated that the population of A. japonica
dramatically decreases in the areas inundated from 12 hours to 1 week. In the areas inundated for over 1 week,
the population of A. japonica trees in sprouting form was higher than those in single stem form. These results
indicate that A. japonica can adapt to the longer inundation environment by germinating in higher ground surface,
sprouting roots higher than base level of stem, and growing in sprouting form.
Key words : Alnus japonica, water level fluctuation, root system, sprouting form, the Kushiro Mire
53