関野 孝(三優監査法人) - 会計人コース

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会計人コ−ス1月号
新2 4 回
新任会計士補のハリキリ日誌
2 0 0 5 年 5 月1 1 日
86頁
関野孝 P 8 6 ∼8 7
企業はもちろんのこと,同じ事務所の同期でさえ
そうです。
以前の狭い世界ではいなかったような,さまざ
まな価値観を持った人たちと一緒に仕事をするこ
とで,自
にとって,とても楽しく,有意義な
日々を過ごしています。そのような毎日が新鮮な
生活の中で,受験勉強では得ることができない
様々な経験や知識を得ることができることが,社
会に出るということの最も素晴らしいことだと私
は強く思います。
常に大切なスキルとは…?
私が監査現場に出て,非常に大切なスキルだな
私は一昨年に二次試験に受かり,2年余りの監
査実務の中での様々な経験のなかで,監査とはど
ういうことなのかを体感してきました。
「コミュニケーション力」です。
それは,相手に自 の えや今自
私の書く「新任会計士補のハリキリ日誌」を読
んで監査とはどのようなものなのか,自
と思ったものは,多くの方が言われているように
は何をして
いるかなどを適格に伝えられ,かつ,相手が話し
にはこ
ていることをただ聞くだけでなく,
「何を言わん
れから何をすればいいのかという具体的なイメー
としているのか」や「何をしようとしているの
ジをつかんでいただき,それを持つことで,いろ
か」をきっちりとつかむということはもちろんで
いろと不安が多い受験勉強での糧にしていただけ
す。そして,やはり監査だけでなく仕事というの
たらうれしく思います。
は人と人との付き合いです。円滑な人間関係を築
くという意味においても,非常に大切な,という
より不可欠なのはスキルではないかと思います。
々な価値観との遭遇
以前の(学生時代という)狭い人間関係,つま
私は大学在学中に2次試験に受かりました。幸
り,基本的に自 の周りには同じ目的や価値観を
運にも合格後すぐに監査の現場で働く機会を得る
持った人たちしかいない中では,狭い視野の行動
ことができました。
になりがち(少なくとも私はそうでした)です。
自由奔放に過ごしていた学生生活とは大きく異
しかし,顧客である会社の人に自
の
えを的
なり,社会に出るということは当然初めての経験
確に伝えるということは監査を行ううえでとても
でしたので,数多くのさまざまな世代の人たちの
大切である一方で,非常に難しいことでもありま
中で生活(仕事)をするということは,とても新
す。もちろん,未だに自 が上手に説明できてい
鮮で刺激的であった一方,多少戸惑いを感じる部
るとは当然思いませんが,このような能力は日々
もありました。
私も学生(受験生)であったころは,自
の業務の中で常に意識して磨いていくものだと思
の周
います。
りには同年齢くらいの友人達だけしかおらず,同
私も常々このコミュニケーションを意識して仕
じ目的意識をもった人しかいない,とても狭い世
事をし,自 自身に納得のできるようになりたい
界にいました。しかし,実際に社会(監査の現
と思います。
場)に出てみると,非常に幅広い世代やいろいろ
な立場の人たちと接することになりました。顧客
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会計人コ−ス1月号
新2 4 回
新任会計士補のハリキリ日誌
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新 任 会計士補の
⃝
読者からのメール
会計士の具体的な仕事内容がわかる「新任会計士補のハリキリ日誌」
を読んで,資格をとった後の自 をイメージして勉強のモチベーションを上げるようにして
います。(愛知県・Tさん)
(読者アンケートより)
読者の皆様からのメールやFAXお待ちしております
E-mail co urs e@chuo keizai.co .jp FAX03-3291-5127「会計人コース」編集部宛
切だと思いました。自 の将来の会計士としてだ
イムリーな情報を入手する
けでなく,人生の中でも多くの様々な職種の人と
また,前で述べたような「コミュニケーション
力」を監査の現場で十
ハリキリ日誌
に発揮できるようになる
つながりを持っておくことは,かけがえのない財
産になると思います。
ためには,この「コミュニケーション力」のツー
ルである,会計の知識や顧客の会社の業界に関す
いに魅力的な仕事
る知識などタイムリーかつさまざまな情報を入手
することが極めて大切になります。
皆さんもご存知のことと思いますが,最近の会
私が受験生だったころ,
「2次試験に受かった
計士業界を取り巻く環境は,非常に厳しいと言え
後,監査実務に入ってから,どのような勉強をす
ます。再来年の新試験制度の導入などにより,会
るべきなのか」について,微塵も
計士の数はますます増えていくことになると思い
えたことはあ
りませんでした(皆さんの多くもそうだと思いま
ます。
すが)。
実務のなかで痛いほど感じることですが,もう
しかし,実際の監査現場に出ると,自
の知っ
以前のように,
「資格さえ持っていれば」という
であるということ
時代ではないと思います。制度が毎年毎年変わ
が常々実感されます。自 の今持っている知識や
り,監査環境が日々変化していく中では,日々精
情報のみでは,会社の人や事務所の先輩などと上
進し常に新しい知識・情報を身につけていくとい
手にコミュニケーションできないわけです。自
う姿勢が非常に大切になってくると思いますし,
の勉強不足に非常に落ち込んでしまうこともある
また実感しています。
ていることだけでは全く不十
かと思います。もちろん,新人のころには失敗は
付き物ですから,これに挫けずに,自
い部
いきなり厳しいことを言うようですが,そのよ
に足りな
うな苦労がある ,今後の活躍できる場としては
は勉強などで補っていけばいいと思いま
監査法人だけでなくいろいろなフィールドで活躍
す。
できる可能性がある,大いに魅力的な仕事である
と思います。
このような状況では,受験を行ううえでは非常
けがえのない財産
に不安な世の中だと思います。しかし,「自
2年という短い期間ではありますが,監査実務
を通じて自
が思ったことは,監査とは非常に頭
を う仕事だということです。
は
こういう会計士になりたい」というような,ご自
身の将来の会計士像を抱きづつ,一生懸命勉強を
がんばれば必ずや合格できるものと思います。
実務というのは当然,テキストには載っていな
いような,自 で判断しなければいけないこと
ばかりです。
そのような場合において,相手の人に自
皆さんの合格を心よりお祈りします。
がんばってください。
の意
見を伝えるためには,しっかりと論理付けして的
確に伝えなければ,相手は当然納得してくれませ
ん。どのように,どのような点について相手に伝
えれば納得してくれるのか,常に意識して伝える
(Takas hi S ekino )
必要があります。
また,さまざまな人との付き合いのなかで,他
人との人脈をつくっておくということも非常に大
2002年10月
認会計士2次試験合格
三優監査法人入
所
2003年3月 一橋大学商学部卒
2005.1
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