目次 1. はじめに・・・・・・・・・・・・・・3 2. スケジュール・・・・・・・・・・・・4 3. 参加メンバー・・・・・・・・・・・・5 4. レポート・・・・・・・・・・・・・・6 5. アルバム・・・・・・・・・・・・・・26 6. 編集後記・・・・・・・・・・・・・・30 はじめに Tohoku University Cross-Cultural Program with Russia (TUCPR)は、2015 年 1 月 29 日~2 月 7 日のノボシビルスク大学の学生の受け入れと、2015 年 2 月 12 日~2 月 21 日に行われた、ロシア・ノボシビルスクでの現地研修から成るプログラムであった。 このプログラムは、現地学生との交流や様々な講義や体験を通して、日本の隣国であり ながら、多くの日本人にとってなじみの薄いロシアに対するステレオタイプなイメージ を打破する目的で行われた。 TUCPR プログラムの前半であるノボシビルスク大学の学生の受け入れでは、女川や 白石でのフィールドトリップや、仙台市内での自由行動などで、ロシア人学生と日本人 学生がともに研修を行い、交流を深めた。 また私たちは、シベリア中部に位置するノボシビルスク・アカデムゴロドクに行き、 研修を行った。アカデムゴロドクは、街の中心部から 30km ほど離れた森の中にある学 術都市である。アカデムゴロドクには、ノボシビルスク大学をはじめとする学校や、ロ シア科学アカデミーの研究所が多く所在し、日本のつくばのモデルとなったといわれて いる。 私たちは、バレエ『白鳥の湖』の鑑賞、ロシア音楽の鑑賞、ロシア科学アカデミーの 研究所訪問、日露の料理を作るなど多くの体験を行い、ロシアの文化や科学技術につい て理解を深めた。バレエは『白鳥の湖』を鑑賞し、踊りと音楽の調和、その調和によっ て表現される物語に深い感動を受けた。また講義『Music Saloon』では、コザックの音 楽を現地学生の演奏にのせて、参加者みなで歌い、ロシアの文化を、身をもって感じる ことができた。またロシア語の授業も行われ、中級クラスはロシア語、初級クラスは英 語で講義が行われ、全員がロシア語で自己紹介ができるようになった。 ノボシビルスクでは、来日したメンバー以外の学生以外にも様々な現地学生が来てく ださり、プログラム中はもちろん、プログラム外においても、夕食や寮でのパーティー などで交流をもつことができた。 ノボシビルスクでは、新発見の連続であった。スーパーマーケットでの買い物ひとつ 取っても、日本とは大きく違い、最初は戸惑うことも多かった。またロシア渡航前には 「ロシア人は笑わず、愛想が悪い」というイメージがあったが、実際にロシアに行って、 確かに笑いはしないものの、親切に対応してくれ、単なるステレオタイプであることが 分かった。 以上のように、TUCPR プログラムでは多くの経験をすることができた。これは実際 に訪問しなければ経験できないことであり、また個人ではなかなかできないことである。 これは、ひとえに国際交流課をはじめとする東北大学の職員さん、またノボシビルスク 大学の先生方と学生のみなさんのおかげであり、この場を借りて感謝の意を表したい。 3 スケジュール 4 参加メンバー 学部 学年 名前 経済学部 2 農学部 2 工学部 2 工学部 1 菅原 慎之介 農学部 1 鈴木 玲 文学部 2 松波 ひかり 理学部 2 経済学部 1 理学部 2 冬木 悠生 工学部 2 渡辺 陵椰 磯部 レポートページ 功太 佐藤 恵梨子 篠原 森 豪太 真依子 山本 日向子 5 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 レポート TUCPR レポート 磯部功太 1、コミュニケーション力 コミュニケーション力に関して、私が TUCPR を通して達成したことは、ロシア語力 を多少なりとも向上できたことだ。以前モスクワで滞在した時は、店などでの簡単な挨 拶もままならなかったが、今回のプログラムではノヴォシビルスク大学(以下、ノヴォ 大学)の学生から様々な表現や言い回しを学ぶことができた。実際にレストランや露店 などの買い物で、ロシア語を使っての注文や挨拶が伝わったこともあったので、ロシア 語の学習の励みになった。 この経験を踏まえて、今後はよりロシア語力を向上させるために、自発的に単語量を 増やす努力や、ロシア語話者との会話をする努力をしていきたい。また、今回のプログ ラムでお世話になったノヴォ大学の学生とも E メールなどを通して交流を続け、ロシ ア語の練習をしていきたい。 最後に、英語力の不足を痛感したことを付言したい。これまで、英語を中心とする留 学プログラムへ応募したことのない私には、流暢に英語を話す日露の学生は衝撃であり、 また新鮮であった。これは、本プログラムを通して、終始考えさせられた点である。英 語力の欠如と言う重大な事実に気づくのに、実に数年遅れているわけだが、いま気づい たのなら、今から頑張るしかなかろう。 2、日露交流の意義と重要性の理解 日露交流の意義と重要性の理解に関して、私が TUCPR を通して達成したことは、ロ シアの文化について理解できたことと、複雑な社会問題についての情報交換ができたこ とである。 前者はプログラムの端々で達成することができた。ロシア料理はもちろんのこと、市 内のあらゆる空間でロシア独特のシステムやロシア人の気質を理解することができた。 とりわけ、ノヴォ大学の学生との食事の時間に、作法や若者事情などの様々なことを知 ることができた。お互いに知らないことばかりだったが、20 日近い交流を通して、打 ち解け合い、ロシアが近くなったように感じた。 後者は前者に比べると数は多くないが、何度か達成することができた。日本最終日に デモ行進と偶然遭遇した時に、ノヴォ大学の学生は質問したり、意見を述べたりした。 ともすれば、日本人が避けがちな問題にも関心が強く、こういうことを話し合う機会が 6 与えられたのは幸運だった。また、ロシアの経済事情やソ連時代に対する認識なども聞 くことができた。学生同士の率直な意見交換という機会がなければ、私はこういった会 話はできなかったであろう。 今後は、よりロシアについての関心を深め、またロシアに赴く機会があればその変化 を感じ取りたい。 3、日露の親善に資する視野と行動力 日露の親善に資する視野と行動力に関して、私が TUCPR を通して達成したことは、 互いの文化を尊重し互いに楽しむことと、積極的に話しかけていくことである。 前者は「互いに楽しむ」という点で、特に達成できたと思う。日本にいながらにして も、勝手にロシア文化を学び、理解し、尊重することはできる。しかし、実際に他の文 化へと自分を擲って、主体的に楽しいという感情を抱くことは、その文化圏にみずから 足を運び、そこで暮らす人々と交わらずしてなしえない。その意味で、学生同士の交流 を通じて、日本で学ぶだけでも、ロシアにて観光するだけでも得られないもの、すなわ ち本当の意味での「文化の理解」がわずかながらに達成できたと思う。 後者は反省点も多いが、比較的達成できたと思うことである。これまで、外国人の学 生と交流がほとんどなかったため、英語などで話しかけていくことは、正直に言ってた いへん腰が引けていた。女川ではほとんど会話できなかったが、徐々に周囲の人たちの 力もあり、親密になるにしたがって積極的に話しかけることができた。それとともに、 行動力を高める必要性も深く感じた。 今後は、日常生活においても、自発的に行動ができるように意識を持っていきたい。 7 ノボシビルスクでの体験 佐藤恵梨子 1. コミュニケーション力 コミュニケーション力に関して、私が TUCPR を通して達成したことは、自分の英語 力のレベルを自覚すること、外国語での会話で適切な言葉が出てこない時にジェスチャ ーや表情で意見を伝え、相手のことを理解するように努めたことです。私は英語での会 話に苦手意識をもっており、不安もありました。しかし英語を理解できる学生に対して も、英語を理解できないロシア人に対しても、表情や笑顔、特に笑いはかなり有効なコ ミュニケーションツールなのだと感じました。しかし、やはり英語は不自由なく話せる レベルでないと学術的な会話においては限界があるし、劣等感から英語での会話で臆し てしまってはもったいないと感じました。具体的には、頭の中で日本語から英文を構成 し、口に出すまでの時間が長いという課題が見えてきました。何も考えずとも英語をダ イレクトに口にできるレベルになれたら理想的です。 この経験を踏まえて、今後は英語力をつけたいと強く思いました。具体的には大学の 企画を積極的に利用して英会話や英読書の機会を増やす、地道に語彙力を磨く、洋画を 見るなどの手段を利用してそろそろ本腰を入れなければならないと思っています。 2. 日露交流の意義と重要性の理解 日露交流の意義と重要性の理解に関して私が TUCPR を通して達成したこと は、実際に訪問して交流することで、ロシアの文化やメンタリティについて理解でき たことです。もちろんそのすべてではないにしろ、訪問前は漠然としたイメージしか 持たず、知ろうともしなかった地域に対してその歴史や文化に興味を持つようになり ました。これはただ個人的な観光で訪問するだけでは見えないことも多く含まれ、会 話や交流の機会があったからこそ深く興味を持てたのだと思います。たとえばロシア 人は初対面で不愛想な対応が多いと感じましたが、話してみると怒っているわけでは ない、むしろ親日的な人も少なからずいると分かりました。 この経験を踏まえて、今後はもう一度ロシアを訪問したいと考えています。今回は 圧倒的に下調べが足りず、予備知識があれば得られたものを逃したような機会が多く あったので、後悔がないようにしっかりと計画を温めて来春に実行したいと考えてい ます。 3. 日露の親善に資する視野と行動力 日露の親善に資する視野と行動力に関して、私が TUCPR を通して達成したこと は、 ロシア人学生と予想以上に親密な関係を築くことができ、ロシアについて何も知らなかっ 8 たレベルから強く興味を持ち、充実した 10 日間のなかで留学に関して興味や意欲が湧い たことです。留学前は、同行した東北大生のほとんどがロシアについて漠然としたイメー ジしかなく、わずかな予備知識のまま飛行機にのったことと思います。ロシアの言語や文 化など、触れるものすべてが初めてで、新鮮でした。しかしこの十日間の体験で感じたも のはロシアのほんの入り口に過ぎず、今後ロシアについて理解を深めようとすればさらに 興味深い文化やメンタリティを感じることができると想像できます。そしてこの経験を友 人や家族など、多くの人に発信したいと感じました。ロシアに行ったと報告すると、周り のひとは心配したり、驚いたりしますが、おそらくこのプログラム前の私もそうだったこ とでしょう。未知のことに不安を覚えるのは当然のことですが、今回のようにチャンスに 対してアンテナを張り、行動を起こすことで障害の対処や出会いを通して視野を広げるこ とができると思います。 今後、自分の英語のスキルアップを図るとともにロシアでの体験を多くの人に伝え、興 味を持ってもらいたいと考えました。そして、私自身もロシアやほかの地域でも広い視野 と興味を持って行動を起こしてみたいと思います。 9 TUCPR を通して考えたこと 篠原 豪太 1.コミュニケーション力 私は今回、それまで全く知らなかったロシア語を新たに学習し、同時にロシア人学 生と英語および日本語を用いてコミュニケーションを行った。ロシア語学習ではそれ までキリル文字すら読めなかった私自身が、最終日にはある程度の読み書き、基本的 なあいさつや数字、そしていくつかの実用的な単語を覚えるまでになった。また、日 本語を解さないロシア人学生も当然多かったため、彼らとコミュニケーションをとる うちに英語のスピーキング力についても向上したように感じた。私は比較的英語をよ く喋ることができたため、ロシア人学生と特に英語で会話する機会が多かった。しか し同時に、ロシアにいながらにして英語などの他言語で会話することが多かったため に、当初期待していたほど会話中で習ったばかりのロシア語を積極的に使うことが出 来なかったようにも感じられた。これらの経験を踏まえ今後の課題として見えてきた のは、ロシア語に限らず新しい外国語、とりわけ現地の言葉を習うだけではなく、そ れらをアクティブに活かそうとする姿勢を身につけることだと感じた。そのような姿 勢によって、現地の言葉を通してのみ伝わってくる人々の表情を知ることができ、よ り深い親しみを覚えるようになるのだろう。今後私がさらに色々な国を訪れた際に は、まず始めに簡単なあいさつや数字を覚えて、それらをすぐに使おうとする姿勢を 忘れないようにしたい。 2.日露交流の意義と重要性の理解 出発前の私を含め多くの日本人にとって、ロシアに対する印象はとても心理的に離 れたものが多くを占めるように思える。それはこの国が旧共産圏という私たちとは異 なる社会制度を持っていた国の一つであり、近年まで私たちの持つこの国についての 情報がとても限られていた為であろう。しかし実際にロシアを訪れて強く感じられた のは、この地に住む人々の暖かい表情であった。ロシア人についてのステレオタイプ としてよく挙げられるものに「無愛想で冷淡」というものがある。実は私たちが最初 ロシアに着いた時、私達自身も彼らのふるまいに戸惑いを感じることが多かった。空 港や街中で最初に見た人々の冷めた視線や、日本とは異なる無愛想な態度の数々は 「いわゆるロシア人の姿」そのものであり、私たちを大いに困惑させた。しかし 1 週 間滞在して交流を重ねるうちに、そうした最初のイメージとは異なる彼らの暖かい素 顔が少しずつ見えてきたように思えた。スーパーでレジを打ちながらはにかむ女性、 学生たちの弾けるような笑顔など、思い出せばきりがない。 だがそれは、私たちが現 地に行ってはじめて見ることが出来た光景である。最近では日本にも多くの外国人が やってくるが、その中にロシア人はまだまだ少なく、多くの日本人にとってロシア人 はまだ身近な存在ではない。私たち TUCPR 参加者が次に行うべき課題とは、ロシア 10 人との交流の牽引役として積極的に行動することである。実際にロシアに行き彼らの 優しさに触れた者として、より多くの人々に同じような経験をしてもらう為にも、積 極的に日露交流の良さを周りに伝えていきたい。例えば身近にロシア人留学生がいれ ば彼らと積極的に交流することなど、小さなことであっても、日本にいながらにして ロシア人との関わりを保ち続けることができればよいと感じた。 3.日露の親善に資する視野と行動力 私たちがロシアに滞在している間、驚くような経験が何度もあった。食文化の違い や人々のふるまいの違いなど、私たちが元々持っていたロシアに対するイメージが少 しずつ変わっていくのを目の当たりにした。それら一つ一つを振り返ると、私たちが ある国に対して元々持っているイメージや偏見といったものにはあまり意味が無いよ うに感じられる。それらはあくまでも「見る前」のものであり、実際に見た後では異 なる印象を抱くようになって元のイメージが崩れ去ってしまうからだろう。そのよう な脆い不確実性の中で、私たちが持つべき日露親善に資する視野と行動力とは、常に 新鮮な目で相手の文化を見つめようとする視野と、実際に自分自身で行動してそれら を見ようとする姿勢である。偏見というフィルターを通して曇った景色を見るのでは なく、むしろ何も予備知識などなしにありのままを見つめようとする視野こそが、日 露間のみならずあらゆる国際交流において最も助けとなるのではないだろうか。ま た、自分自身で行動しようとするポジティブな姿勢も重要である。他者の持つイメー ジや印象に引きずられることなく、自分自身の感性で目の前の出来事に接すること で、自分自身の言葉で異文化との違いを認識できるようになり、それは私たち日本人 がロシアに対して抱く不確かな部分を明らかにする助けとなるだろう。 最後に 今回のロシア訪問は、全く予備知識のなかった国で素晴らしい経験をしたという意味 で、私自身にとって非常に印象深いものであった。最後に今回のプログラムにあたっ て大変お世話になった関係者のみなさんに、改めてお礼を申し上げたい。 11 TUCPR を通して学んだこと 菅原 1. 慎之介 コミュニケーション力 コミュニケーション力に関して、私が TUCPR を通して達成できたことは二つある。 一つ目は、私の英語力が著しく欠如していることを自覚できたこと、二つ目は、外国語 を学習する重要性を真に理解でき、外国語学習に対する意欲が断然高まったことである。 初めに、英語力の著しい欠如を自覚できたことについて述べる。TUCPR に参加した ロシア人学生の中には日本語を話せない方々もいた。したがって、そのような方々との コミュニケーションは基本的に英語で行われた。しかし、私は受験のための勉強以外は、 これと言った英語の勉強をしたことがなかったので、英語でのコミュニケーションがほ とんどできなかった。日常会話レベルのミュニケーションすらもままならず、実践的な 英語力の欠如を、身をもって知ることができた。 次に、外国語を学習する重要性を真に理解でき、外国語学習に対する意欲が断然高ま ったことについて述べる。TUCPR に参加したロシア人学生の中には私と同じ専攻の 方々もいた。私はその専攻について様々な話をしたかったが、英語を話せないために話 すことができなかった。正直なところ、受験や単位のために英語を勉強してきたが、そ の時に初めて心から英語を話したいと思えた。そして、同時に外国語学習における明確 な目標を見つけることができ、外国語学習に対する意欲が断然高まった。 これらの経験をふまえて、今後はより実践的な語学学習にも力を入れていきたい。例 えば、これまでの筆記が中心の英語学習に加え、リスニングや発音などの音を重視した 英語学習にも力を入れていきたい。 2. 日露交流の意義と重要性の理解 私は TUCPR を通して、日本人の多くがロシアに対して持っている曖昧で不確かな イメージは、文化交流を通して改善され、ロシアをより身近に感じられることを知った。 TUCPR に参加したロシア人学生の多くは、日本が概ねどのような国であるか知ってい た。なぜなら、ロシアでは、寿司などの日本料理や日本のアニメが人気あり、それらを きっかけにして日本のことを知ろうとしてくれたからだ。一方、TUCPR に参加した日 本人学生は、ロシアに対して曖昧で不確かなイメージしか持っていなかった。TUCPR に参加するまでは、日本人学生は、ロシアの料理で有名なものはと言われても、ボルシ チしか頭に浮かんで来なかったり、ロシアのバレエはお金持ちしか見ないと思っていた り、また、ロシア人は無愛想だと思っていたりとロシアに対する曖昧で不確かなイメー ジを持っていた。しかし、TUCPR に参加し、ロシアを直接体験できたことによってそ れらのイメージは大きく変わった。ロシアには数えきれないほど多くの素晴らしい料理 が存在し、バレエは老若男女問わず一般の方々にも人気を博していて、そして、ロシア 12 人は無愛想なのではなく、日本との文化の違いから無愛想に見えるだけであることがよ く分かった。しかし、当然だが、TUCPR に参加しただけでロシアを知ったことにはな らない。ロシアを知るきっかけを得ただけである。 この様な経験から、ロシアを知るきっかけとしての日露交流の意義と重要性が理解で きたと同時に、このきっかけを十分に生かさなければならないという課題も見つけるこ とができた。今後は、このきっかけを無駄にしないように、ロシアに対する理解を深め ていきたい。ロシアの言語、文化、歴史はもちろんのこと、若者カルチャーなどにも注 目し、日本の違いや共通点などを学んでいきたい。そして、ロシアについて学ぶ際には、 本やインターネットからの情報だけでなく、TUCPR を通して知り合ったロシア人学生 などに直接話を聞くなどして、本当のロシアを少しでも正確に知りたい。 3. 日露の親善に資する視野と行動力 私は TUCPR を通して、日露がこれからより協力的な関係を築いていくには、日本人 がより中立的な立場からロシアを見る必要があると感じた。TUCPR に参加したロシア 人学生と北方領土問題やウクライナについて話したが、日本のメディアの報道から受け る印象とはかなり違う印象をその学生の話から受けた。ロシアは私たち日本人にとって 確かにあまりなじみがない、したがって、ロシアについて無知であるがゆえにメディア の影響を強く受けやすい。日本人の多くはメディアによって枠付けされたロシアしか知 らないし、ロシア人を画一的にとらえがちである。しかし、メディアによって報道され ているロシアは、ロシアのほんの一部に過ぎない。実際のロシアには実に様々な考え方 が存在している。したがって、日露がこれからより協力的な関係を築いていくには、ま ず、日本人がメディアによって枠付けされたロシアではなく、本当のロシアを知る必要 があると考える。 この様なことから、私はロシアをより中立的な立場から見ることができるよう、ロシ アを外側からだけではなく、内側からも見ていきたい。そのために、ロシアに多くの友 人を持ち、それらの友人を通してロシア人から見たロシアも見ていきたい。 13 TUCPR を通して 鈴木 玲 1.コミュニケーション力 コミュニケーション力に関して、私がTUCPRを通して達成したことは、英語が得 意な日本人に頼ることなく、自ら積極的に交流できたことだと思う。夏SAPで日本の ことを英語で伝えることの難しさを感じたが、このプログラムではその経験も活かし、 以前よりは多くのことを伝えられたと思う。また、日本語を学習している学生は日本語 を使おうとしてくれていたため、英語を交えた日本語で会話をすることができた。ただ、 自身の英語力不足も痛感した。ロシア滞在中、現地で初めて会った学生と二人で話す機 会があった。初めはその学生の帽子についてだったが、途中から彼の考えるロシアのこ れからについて話してくれた。興味深い内容であったにもかかわらず、語彙力不足と話 す速度の速さとが相まってあまり理解できなかった。気候や学校生活等の話題では聞き 返すこともできたが、少しネガティブな内容になると聞き返すのもためらわれた。結局 あまり理解していないことを察した相手が話題を変えてしまい、貴重な機会を逃してし まった。コミュニケーションにおいて積極性は当然だが、国特有の文化、経済等を説明 する英語力の必要性を感じた。 この経験をふまえて、今後はまず、春休みのうちに教えてもらったロシアのことを自 分の英語で話せるようにし、より多くの人に発信できるようにしたいと考えている。 2.日露交流の意義と重要性 日露交流の意義と重要性に関して、私がTUCPRを通して達成したことは、ロシア 人との交流を通して、ロシアについての正しい理解が深められたことだと思う。プログ ラム応募の際ロシアについての情報を集めようとしたが、あまり得られなかった。その ため勝手に、ロシア人はほとんど笑わず少し冷たいというイメージを持っていた。実際、 ロシアの人は知らない人に笑顔を見せることはなかったし店員も無表情で初めは恐か った。しかし学生たちは仲良くなると、明るくてよく笑いそしてとても親切だった。話 をする中で日本のロシアンティーのような飲み方は実際にはほとんどしなかったり、ウ オッカを飲むのは日本人が来た時ぐらいだと聞いたりと、いかにロシアを理解していな かったかも分かった。TUCPRのような友好的なプログラムだったからこそ、仕事等 の関係では分からない、実際の生活について知りよりよい関係になれたのだと思う。 この経験をふまえて、今後はロシアを身近に感じつづけられるように、facebook 等を 活用して新しくできたロシアの友達との関係を保っていきたい。また私は料理が好きで 現地でレシピも買ったので、それもロシア人との会話や日本人にロシアを紹介するきっ かけにしたいと考えている。 14 3.日露の親善に資する視野と行動力 日露の親善に資する視野と行動力に関して、私がTUCPRを通して達成したことは、 学生間の友好関係を築けたことだ。両国の情勢を理解しつつ、損得抜きの付き合いが自 然にできるのは大学生の特権だろう。特にロシア滞在中は様々なプログラムと現地の学 生の好意で、ロシアならではの経験ができた。確かに何も言わなくても学生たちはいろ いろと説明してくれたが、興味を持って自分から聞くとさらに詳しく教えてくれた。プ レゼンテーションの準備では、バターウィークについて実際に行った時よりもさらに詳 しく説明して頂いた。文学や音楽についてももっとよく知っていたら、日本ではなかな か聞けないような話も聞けたかもしれないが、残念ながらほとんど知らなかった。 この経験をふまえて、今後は日露親善のために、自国と他国の芸術等の基本的な情報 を抑えたることも必要だと感じた。両国は経済や政治の面では複雑な問題をはらんでい るが、このプログラムのように教育機関同士の交流で関係を改善することができると信 じている。まずはロシアで出会った心の温かい人々の話を、積極的に広めていきたいと 思う。 15 TUCPR で気付いたロシアの近さ 松波ひかり 1. コミュニケーション力 コミュニケーション力に関して、私が TUCPR を通して達成したことは、何事にも興 味をもつということである。外国人とのコミュニケーションは、最初はあくまで初対面 同士のコミュニケーションだ。そうすると話す内容は基本的な自己紹介とその場その場 の状況に関することになってくると思われる。どうやって話を見つけ、広げられるかは 話の内容に興味を持っていなければ始まらない。私はロシアで日本語をとても上手に話 すロシア人学生と仲良くなった。彼女の日本語力と日本に対する興味のおかげで私たち はかなり仲良くなることができた。ここで重要なのは彼女が日本語を話せず、日本に対 して興味を持っていなかったら、会話はそこまではずまず、表面上の仲になっていたの ではないか、ということである。 この経験をふまえて、私はコミュニケーションにおいて外国語能力と関心の高さが重 要だと思った。今後は外国語を話す練習を行うとともにさまざまな国の情報を調べ興味 の範囲を広げていこうと思う。 2. 日露交流の意義と重要性の理解 日露交流の意義と重要性の理解に関して、私が TUCPR を通して達成したことは、そ れまでのロシアに対するイメージを変えることができたことである。日本人にとってロ シアは遠い存在であり、怖い、お酒などのイメージを持っていると思う。しかし実際に ロシアへ行って見て、学生と話してみると、それらの多くが歴史上作られたものでステ レオタイプのものであることが分かった。ロシアのお酒の問題に関して若者は変わりつ つあるし、ロシア人学生はいつも会いに来てくれてオープンな人たちであることに気付 いた。問題は日本ではロシアに対して古いイメージを持っており、それを変える機会が あまりないことだと思う。ロシアの動向はニュースでしかみることができず、一般の 人々の様子や考え方、変わりつつあるロシアを知るには実際のロシアと接触するしかな い。 この経験をふまえて、今後は古いロシアのイメージ改善にあたっていきたい。具体的 には友人や家族、知り合った多くの人に今回の体験を話し、ロシアの人々が本当はどの ような人なのか、実際は遠くない国なのだと伝えていきたい。 3. 日露の親善に資する視野と行動力 日露の親善に資する視野と行動力に関して、私が TUCPR を通して達成したことは、 多くのロシア人学生と交流し、現代の日本を伝えることができたことである。今回のプ ログラムではロシア人学生十人が参加していたが、それ以外の学生ともこうりゅうする 16 ことができた。そこで私たちがロシアのどのようなところに興味を持ったか、好きにな ったか、ロシア人学生が何に興味を持っているのか、日本のイメージはどのようなもの かなどを話した。学校生活や専攻の話は国の違いを感じることなく盛り上がった。ロシ アに留学する日本人は少ない。それは日本人にとってロシアが未知なる国であり、心理 的な遠さを感じてしまうからだと思う。しかしロシア人学生と話してみるとそんなに構 えてロシアというものに接する必要はないのだと実感した。 この経験をふまえて、今後は日本人学生にロシア人学生がどのような生活をしている のか、どのような考えをもっているのか、どのような面に優れているのかを伝えていき たい。ノボシビルスク大学でできた友達とも連絡を取り合っている。そのネットワーク も利用して、ロシアに興味がある学生には是非、ロシアで勉強することを勧めたい。 17 ノヴォシビルスクという地と人々を通して 森 1. 真依子 コミュニケーション力 コミュニケーション力に関して、私が TUCPR を通して達成したことは、全く共通 の言語を持たない相手にも、ある程度の意思伝達は可能だという認識を持つことがで きたことです。ノヴォシビルスクに関して言えば、予想以上に英語は一般の人々にと って馴染みのある言語ではなかったように思います。ロシア語での簡単な挨拶も数字 もままならなかった私にとって、初めはかなり戸惑う環境でした。しかし、現地の 人々と話すことに怖じ気づいていた私が開き直るきっかけとなったのが、科学者会館 を訪れたときです。科学者会館そのものにも珍しい植物や絵画など目をひくものはた くさんありましたが、それ以上に案内してくださった方の話し方に私は感嘆しまし た。その方の説明は一から十まで全てロシア語でしたが、それでも大体言いたいこと が理解できる、という不思議な経験をしました。大きな身振り手振りや表情の変化、 ちょっとした仕草はもちろんのこと、理解不能な言語でも目を見て言葉一つ一つに感 情を込められるだけでなんとなく伝わるという場面が多々ありました。 これをきっかけに、私はスーパーやレストランなどでも話すことにそれほど抵抗を 感じなくなりました。英語や、通じるはずのない日本語、形にすらなっていないロシ ア語をないまぜにして話しても、多くは理解してくれるということに気づいたからで す。この経験は、今後海外に関わっていく上で非常に有意義なものであると感じてい ます。言語に頼らないコミュニケーションを少しでも実践できたことは、私の視野と 活動範囲を広げる手がかりになったと思います。具体的には、自分の将来やあるいは 単なる観光でも、アジアやヨーロッパなど英語圏外にも目を向けてみようと思えるよ うになりました。 2. 日露交流の意義と重要性の理解 日露交流の意義と重要性の理解に関して、私が TUCPR を通して達成したものの中 では、ロシアへの消極的な印象と実際のギャップを埋められたということが一番大き いです。これは私がこのプログラムを応募するときから決めていた目標でもありまし た。私が持っていたイメージとしては、仕事、特にサービス業に関して誠意がない、 お酒ばかりを飲んでいる、などといった決して良いものではなかったのですが、現実 とは大きな隔たりがありました。仕事に関しては、日本のように仕事の一部としてサ ービスを提供するという習慣がないだけであって、決して誠意がないというわけでは ありませんでした。お酒に関しては全くの誤認識で、ボルシチやサリャンカなどのス ープをよく飲むことのほうが多いと様々な人から言われました。 18 この経験を通して、私は、日本人は隣国であるロシアに対して数十年前の固定概念 を持っているだけであり、実際の情報はもちろん、興味がなさすぎると痛感しまし た。私はロシアに行く機会を得たことで多くの認識を改めることになりましたが、そ の機会がなくても、少しの興味を持つだけでネガティブな印象はある程度払拭できる と考えます。しかしそのことを他の人に伝えるにはあまりに私はまだロシアに関する 知識が乏しいので、ロシアについてもっと調べようと考えています。ありきたりなこ とではありますが、今回のプログラムに参加する前の自分を考えれば大きな進歩であ ると感じます。 3. 日露の親善に資する視野と行動力 日露の親善に資する視野と行動力に関して、私が TUCPR を通して達成したこと は、私たち日本人 10 人と、ロシアの学生 10 人とその他関わってくれた方々が、想像 を大きく上回って親睦を深められたことだと考えます。これはなんということもない ことにも感じられますが、何より重要なことであったと、帰国してからは特に私は思 います。ロシアの文化や習慣は、極論を言えば日本でもある程度学べることです。し かし、普段暇な時間をどう過ごしているか、好みのタイプの人はどんな人か、将来結 婚したら、就職はどうしたら、流行っている言葉やファッションは、といったことま で話すようになって、私はロシアという国に親近感を覚えるようになりました。環境 も政治も習慣も全く異なっていても、悩んでいることや考えていることは同じという ことは、よく聞く言葉ではありますが、実感できたのは初めてだったように思いま す。 このことを、私は帰国してから友人や家族にたくさん話しました。多くは驚き、お もしろがって耳を傾けてくれましたし、何よりロシアに興味を持ってくれたように思 います。これは私だけでなく、他の 9 人にも当てはまることです。小さなことではあ りますが、こういったことの積み重ねが日露の親善に一役買うのでは、と私は感じま した。便利なもので、現地の学生とは SNS を通じて繋がっているので今後もまたそれ を伝手として、もう一度ロシアを訪れたいと考えています。 19 最終レポート 山本 1. 日向子 コミュニケーション力 コミュニケーション力に関して、私が TUCPR を通して達成したことは、友人として の交流である。東洋学科の学生とは日本語で、それ以外の学生とは英語で話したが、 はじめはこちらから話しかけても会話が続かないこともしばしばであった。 だが仲良くなるにつれて、より複雑な話題や自分たちの勉強について話すことが増え た。東洋学科の学生たちと話す中では、自分の日本語は間違ってないか、理解しやす く話せているかに気を付けるようになった。東洋学科以外の学生たちとは、学校制度 のはなしを何度もしたり、互いの言葉を教えあったりと、様々な話をした。 その中で感じた課題は、自分の英語力の不足と日本語の文法を見直す必要性である。 日本語に関しては、東洋学科の友人だけでなく、理系科目の専攻の友人たちにも文法 的なことを聞かれると答えに詰まることがあったため、今後はこれを踏まえて自分の 日本語を見直したいと思った。複雑な話をするにあたって、理論立てて英語で話そう とするときに、言葉につまってうまく説明できないこともしばしばだった。この経験 をふまえて、今後は理論的な内容においてもスムーズに話し、理解できるよう英語の 能力をたかめていきたい。 2. 日露交流の意義と重要性の理解 日露交流の意義と重要性の理解に関して、私が TUCPR を通して達成したことは、学 術的協力の重要性の理解である。二度の研究室訪問を通して、研究そのものから機器 に至るまで日本とロシアが研究において大いに協力していることを学んだ。またロシ ア人は研究熱心であり、ともに研究していくパートナーとして頼りになる存在だとも 感じた。アメリカ・ヨーロッパ諸国は授業形態においてディスカッションが主である 点が日本と異なり、ともに研究するにあたってすれ違いが起こることもしばしばある といわれる。だがその点において、首都はヨーロッパに位置するロシアだが、授業形 態は聴講が主であり学生の雰囲気も日本とそれほど変わらなかった点で、日露は良い 協力者になれるのではないかと感じた。 この経験をふまえて、今後はより一層日露の交流に貢献できるよう努力していきたい と感じた。私の専攻は今回できた友人たちの誰とも違ったため、自分の専攻の話をす ることはできなかったが、学部生のあいだから学生同士でそういった話をすること で、日露が研究においてさらに協力できるような将来の基盤つくりとなると考える。 3. 日露の親善に資する視野と行動力 日露の親善に資する視野と行動力に関して、私が TUCPR を通して達成したことは二 20 つある。 一つ目は、ロシア人との交流を通じて、ロシア人の気質のようなものを学べた点であ る。初対面の際にはなかなか良い雰囲気で話すことは難しいが、時間をかけて仲を深 めるにつれて、彼らが本当に親切で、友人を大切にする人々なのだと気づかされた。 二つ目は、ロシア文化の魅力である。ヨーロッパとアジア文化を取り入れた独特の文 化が非常に魅力的だった。 この経験をふまえて、今後はこのプログラムに参加した時から考えていたように、ロ シア人と日本人が友人になれるよう、積極的に両国の友人たちにそれぞれの国の良さ を伝えていきたいと思う。今回ロシアを実際に訪れることで、地理的には近いが、文 化の面で距離のあるロシアを勘違いしていたことに気づかされた。ロシアに関するス テレオタイプは日本国民の多くがもっていると思うので、ロシア人のよさや、尊敬す べき点を伝えることで、そのようなステレオタイプを取り払う助けになればと思う。 また、その国を近く感じるためには文化を知ることが必要不可欠だと思う。ロシア料 理やロシアの美しい建築を自分の友人たちに知ってもらうことで、日露の親善に資し ていきたいと思った。 21 TUCPR を通して得られたこと 氏名 冬木 悠生 1. コミュニケーション力 言語の意思疎通について。今回のプログラムでは、母国語が英語でない国に訪れ、 相手と全く意思疎通ができないところから始まりました。Academic な場では英語で コミュニケーションをとることができましたが、一歩街に出ると英語表記もなく、 ロシア語のみで生活しなければなりませんでした。基本的に NSU の学生たちが付き 添ってくれていたために比較的容易に過ごすことができましたが、ロシア語の学習 経験がなかった私にとっては一人で行動することは難しかっただろうと感じました。 この経験は今夏から予定しているドイツ語圏での交換留学についても同様なことが 考えられるため、事前の準備の必要性や、実際現地での身の振る舞い方について考 えるとても良い経験だったと感じました。 また上記のような状況ではあったものの、先に東北大学に来ていた NSU の生徒を中 心に日本語専攻以外の学生との交流の機会を持つことができ、交流の輪を広げるこ とができました。母国語の言語を問わず、自分の専攻科目や趣味といった共通点を 持った学生と積極的に交流していくことでコミュニケーション能力の向上を図るこ とができたと思います。 2. 日露交流の意義と重要性の理解 ロシアは距離的にとても近く、島国である日本にとって最も近い国の一つであるこ とを知った時は意外でとても驚きました。広大な土地を持つロシアと海に囲まれた 日本、それぞれの国が今後発展していくためには人と人、団体と団体を皮切りに し、最終的には国レベルでの相互関係の強化が必要不可欠であると今回のプログラ ムから強く感じられました。とりわけ自分の専攻科目に近い科学技術の分野につい て気づいたことがいくつかありました。 TUCPR プログラム研鑽中に研究室訪問の一環として SB RAS(ロシア科学アカデ ミー シベリア支部)を訪れた時、地質学と有機化学の研究室を見学することがで きました。この二つの研究室見学を通して、ロシアは広大な土地と資源を持つこと から豊富な研究材料を持ち、日本と異なる観点で環境や科学技術の発展に努めよう としており、日本を含め、どんな形であれ、環境問題や資源問題は世界共通の課題 であることを改めて認識させられました。このような重要な課題に取り組む中で、 SB RAS がシベリア最大の研究施設であるということを考えると充実した設備が整 っているということは難しいのではないかと感じました。 このようなことから、世界共通の課題について、世界屈指の豊富な資源と研究材料 を持つロシアと世界に誇る高い科学技術と設備を持つ日本が共同して研究すること 22 はとても重要で将来必要不可欠なことあり、今後このような研究が進んでいけばな あ、と感じました。 3. 日露親善に資する視野と行動力 ロシアを訪れる前の私には、ロシアは距離的にはとても近いが心理的には近づきに くいイメージがありました。これは日露間で長く続く国境問題やロシアが社会主義 国出身であるため、日本とロシアの間では人々の文化や価値観が大きく異なると考 えていたからでした。 実際、このプログラムを通して、ロシアを訪れてみて、多くの学生が日本に興味を 持っていることや、道を案内してくれる優しい市民の人々と出会ったり、逆に社会 主義時代の風情がすこしばかり残っている場面を訪れたりと、” ロシア”という国 とそこに住む人々について理解を深めることができたと思います。今までロシアの 閉鎖的なイメージは払拭されて、日本との交流も近年ますます密になってきている のだなあと感じることも多くありました。今回の経験を先駆けとして、広大な土地 を持ち、まだまだ知るべき余地が残っているロシアについてより見識を広めていき たいです。 また、ロシア研鑽を通して最も強い興味を持つことができたことはロシアと日本の 科学技術の進展についてです。研鑽の一つにロシア科学アカデミーへの訪問があ り、たくさんの研究施設を訪れ、直接科学者たちに質問をし、話し合う機会を得る ことができたことはとても貴重な経験であると思い、今後もコンタクトをとりあお うと約束することができました。これかきっかけとなって、近い将来、ロシアと日 本の科学技術発展の架け橋を担う人材になりたいと強く感じました。 今回のプログラムはとても貴重な経験ばかりで、今後の自己成長の糧となることが 多々ありました。東北大学の有志とともに過ごした NSU での時間はかけがえのな いものだと強く思います。このようなプログラムに参加させていただきありがとう ございました。今後もロシアでの有意義の経験を活かしていきたいと思います。 23 TUCPR を通じて学んだこと 渡辺 1. 陵椰 コミュニケーション力 コミュニケーション力に関して、私が TUCPR を通して達成したことは、英語のリス ニング力の向上である。日本語のわからないロシア人学生とのコミュニケーションや、 ロシア文化の授業、科学アカデミーの研究所の説明は、英語を用いて行われた。私は、 このような海外研修は本プログラムが初めてであり、英語を実践的かつ長時間リスニン グする機会は今までなかったために、本プログラムは私の英語のリスニング力の向上に 大いに役立った。 一方、ロシア人学生に「日本人の英語は音節が多く、聞き取りづらい。」という話を 聞き、また私がロシア語訛りの英語の理解に時間がかかるときがあり、正しい発音がい かにコミュニケーションの上で重要か、身をもって感じた。またロシア人学生と会話し ているときに、英単語が思い浮かばず、私が言葉に詰まる場面が多くあり、私のスピー キング力の欠如を痛感した。 このように私のリスニング力は向上したものの、私の英語のスピーキング力はまだま だ不足していることをわかった。以上の経験を踏まえ、今後は自分の言いたいことを英 語ですぐに言えるようになるように勉強をしたいとおもう。 2. 日露交流の意義と重要性の理解 日露交流の意義と重要性の理解について、私が TUCPR を通じて感じたことは、ロシ ア人学生はとても勤勉であり、科学技術の面で今後大きく伸びる可能性が高く、今後さ らに日露交流が重要性を増すだろうということである。ノボシビルスク大学では土曜日 にも講義があり、また夜 9 時まで講義があるということで、日本よりはるかに学業が大 変であるように感じられた。またコンピュータ科学専攻の学生と会話をしたとき、実際 に彼が作ったプログラムを見せていただき、プログラミングに対する意欲と能力の高さ を感じた。またユーラシア大陸の中央で海から遠いにも関わらず、津波の研究をしてい るという話を聞き、その研究の手広さに驚かされた。以上のことを踏まえると、日露が 共同して研究をしていけば大きな成果が得られ、日露交流の重要性が増すと思う。 また単純に、ロシアは日本にもっとも近い国であるにも関わらず、私はほとんどロシ アのことを知らず、ステレオタイプな考えしか持っていなかった。今回短い滞在であっ たが、実際にロシアの学生と交流をし、ステレオタイプな考えを捨てることができた。 これが今回の一番の成果だと思う。 3. 日露の親善に資する視野と行動力 日露の親善に資する視野と行動力について、私が達成したことは、ロシア語の上達と 24 ロシア社会の理解である。ロシアでは、アカデミックな場では英語が通用するが、市井 ではロシア語しか通用せず、ロシア語の運用能力が、日露の親善に資する視野に必要不 可欠な要素であると感じた。私は日本で第二外国語としてロシア語を履修していたが、 残念ながらロシア語を用いて日常会話をできる程度まで文法や語彙まで習得すること はできなかった。今回少ない授業数ではあったが、ネイティブによるロシア語によるロ シア語の授業を受けることができ、語彙を非常に多く増やすことができ、また生のロシ ア語に触れることができた。 また、ロシア社会についても、断片的であるが理解することができた。前節で述べた ように、ロシアに対してステレオタイプなイメージしか持っていなかった私だったが、 ロシア人学生に様々な話を聞くことができ、実際のロシア社会の姿をほんの一部である が理解できた。たとえば「ソ連崩壊後、都市部で『ノービー・ルースキー』と呼ばれる 不良が跋扈し、治安が悪かった」 「プーチン大統領が、若者に絶大な人気を誇っている」 などの興味深い話を聞くことができた。 以上の経験を踏まえ、もっとロシア語を勉強し、もう一度訪問し、ロシアをもっと知 り、またステレオタイプな考えを払しょくできるよう、本プログラムの経験をほかの人 に話していきたいと思う。 25 アルバム ・ノボシビルスク市内散策 ・バレエ鑑賞 26 ・バターウィーク・フェスティバル ・クッキング 27 ・研究所訪問 ・その他 28 29 編集後記 形に残す、ということは大切なことです。私たちが、その時、その場所で見 たこと、感じたことは決して少なくないはずなのに、中には、忘れたくないと 思ったこともあるはずなのに、思い出は私たちの気づかないうちに単純化され ていきます。10 日間という短い期間で、私たちは確実に、ロシアのノヴォシビ ルスクという地で、その時その場所でしか得られない経験をしました。そして それは、私たちの今後の人生で、多かれ少なかれ影響を与えるはずなのです。 例え数十年経って、ほとんどのことを忘れてしまったとしても。 この研修レポートは、決して毎日手に取るようなものではありません。一度 見たら終わり、あるいはひょっとしたら一度も目を通さないということもある でしょう。ただの国際交流の記録の一部として、大学に保存されるに過ぎない のかもしれません。ですが、研修の 1 割にも満たない記録しかないこのレポー トを、何かのきっかけで手に取ったときに、きっとこの時に失敗して後悔した こと、楽しかったこと、馬鹿なことをしたこと、全てが空気感を伴って思い出 されることを私は期待しています。だって、少なからず皆が時間をかけて作り 上げたものですもの、そうじゃなきゃ少し寂しいですよね。 最後に、お世話になった先生方、NSU で仲良くなった皆さん、TUCPR に関 わった全ての方々に感謝の意を表します。本当にありがとうございました。 2015.3.23. レポート編集係 30 森 真依子 渡辺 陵椰
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