肥満小児のインスリン感受性改善剤

JP 2008-88146 A 2008.4.17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】肥満小児のインスリン感受性改善剤の提供。
【解決手段】カテキン類を有効成分とする肥満小児のインスリン感受性改善剤であって、
カテキン類としては非重合体カテキン類が好ましく、長期間摂取可能である。該肥満小児
のQUICKIが0.357以下、インスリン抵抗性の指標(HOMA-R)が5以上、
更に年齢6歳∼16歳への適用が好ましい。該改善剤としては、飲料の形態、特に容器詰
飲料の形態するのがカテキン類を容易に摂取でき、かつ、連用のしやすさの点から好まし
い。
【選択図】なし
(2)
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテキン類を有効成分とする肥満小児のインスリン感受性改善剤。
【請求項2】
カテキン類が非重合体カテキン類である請求項1記載のインスリン感受性改善剤。
【請求項3】
肥満小児が、QUICKI 0.357以下を示す肥満小児である請求項1又は2記載
のインスリン感受性改善剤。
【請求項4】
肥満小児のインスリン抵抗性の指標(HOMA−R)が5以上である請求項1∼3のい
10
ずれか1項記載のインスリン感受性改善剤。
【請求項5】
肥満小児の年齢が6歳∼16歳である請求項1∼4のいずれか1項記載のインスリン感
受性改善剤。
【請求項6】
飲料の形態である請求項1∼5のいずれか1項記載のインスリン感受性改善剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肥満小児のインスリン感受性改善剤に関する。
20
【背景技術】
【0002】
日本人の糖尿病患者は近年増加の一途をたどっており、大きな社会問題となってきてい
る。糖尿病の90%以上を占める2型糖尿病は、膵β細胞からのインスリンの分泌低下と
インスリン標的臓器である骨格筋、肝臓、脂肪組織でのインスリン感受性の低下が様々な
程度合わさってインスリン作用の低下が起こり、高血糖をきたした状態と言える。インス
リン分泌低下は主に遺伝的に規定されている可能性が高く、インスリン感受性には遺伝素
因と共に過食、高脂肪食、運動不足などの環境因子に起因する肥満が大きく関与すると考
えられている。肥満者では脂肪細胞の肥大を認められ、肥大した脂肪細胞からは腫瘍壊死
因子(TNFα)、レジスチンなどのサイトカインや遊離脂肪酸が多量に産生される。このT
30
NFα、レジスチン、遊離脂肪酸は、骨格筋や肝臓でインスリンの情報伝達を障害してイン
スリン感受性の低下を惹起する。その結果、生体はインスリンを過剰分泌することにより
血糖コントロールに対応するが、高インスリン血症となることによってインスリンの標的
臓器のインスリン受容体の減少を招くとともに、膵β細胞が疲弊してインスリン分泌能が
徐々に低下し、糖尿病状態に進行する。高血糖状態が持続すると、ブドウ糖自身が膵β細
胞のインスリン分泌、末梢でのインスリン感受性の低下を増大させ、ブドウ糖毒性が発揮
される。ここに悪循環が形成され、障害の程度が更に悪化する。従って、インスリン感受
性を改善する薬剤は糖尿病の治療薬として極めて有用であると考えられる(非特許文献1
∼4)。
【0003】
40
かかる観点から最近インスリン感受性改善薬が開発され、上市されている。しかしなが
ら、インスリン感受性改善薬であるチアゾリジン系薬剤は、重篤な肝障害を生じることが
問題となっている。
【0004】
また、従来、小児の糖尿病のタイプは、1型糖尿病のほうが2型糖尿病に比べて多いが
近年、肥満症の増加に伴った2型糖尿病の増加が指摘されている。2型糖尿病は、1型糖
尿病と異なり自覚症状が現れず薬物療法も必要ないことが多い。このため統計的にみると
、血糖値がより高くなりやすい1型糖尿病よりも、かえって網膜症、腎症、神経障害、動
脈硬化などの合併症が起きる頻度が高いと報告されている。小児の糖尿病は、遺伝的要素
が強く、肥満を伴っていることが多い。また、発病の年齢が低いだけに、合併症が起きた
50
(3)
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場合には、若いうちに重篤な障害に至ることがある。
当該肥満小児の発現原因のひとつとして、インスリン感受性が低下している例が多く認
められる。かかる肥満小児に対して成人と同様の糖尿病治療薬を投与した場合には、成人
においても生じる重篤な肝障害等の副作用が更に強く生じる可能性が高いことから、安全
に使用できる肥満小児のインスリン感受性を改善する医薬はないのが現状である。
また、緑茶、紅茶、烏龍茶等に含有されるカテキン類は、コレステロール上昇抑制(特
許文献1)、αアミラーゼ活性阻害(特許文献2)等において、その生理的な有益性が認
められているが、肥満小児におけるインスリン感受性に対する作用については知られてい
ない。
【特許文献1】特開昭60−156614号公報
10
【特許文献2】特開平3−133928号公報
【非特許文献1】生化学:71巻11号,pp1281-1298, 1999
【非特許文献2】化学と生物:37巻2号,pp120-125
【非特許文献3】臨床検査:42巻4号,pp395-403, 1998
【非特許文献4】Mebio別冊:Multiple risk factor syndrome 2, 1999
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、対象が成長期にある児童であるので、摂取エネルギーの変更などに影
響が少なく、かつ、自己管理しやすい投与方法であり、かつ、長期間使用できる肥満小児
20
のインスリン感受性改善剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者は、カテキン類の肥満小児のインスリン感受性に及ぼす影響について検
討した結果、カテキン類を継続摂取することによって肥満小児のインスリン感受性が顕著
に改善されることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、カテキン類を有効成分とする肥満小児のインスリン感受性改善剤
を提供するものである。
【発明の効果】
30
【0008】
本発明のインスリン感受性改善剤を用いれば、肥満小児のインスリン感受性を顕著に改
善することができる。また、長期間摂取可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明で使用するカテキン類としては非重合体カテキン類が好ましい。非重合体カテキ
ン類とは、具体的には、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレ
ート等の非エピ体非重合体カテキン類(A)及びエピカテキン、エピガロカテキン、エピ
カテキンガレート、エピガロカテキンガレート等のエピ体非重合体カテキン類(B)をあ
わせての総称である。
40
【0010】
本発明に使用するカテキン類は、Camellia属、例えばC. sinensis及びC. assamica、や
ぶきた種又はそれらの雑種から得られる茶葉から製茶された、煎茶、玉露、てん茶等の緑
茶類や、総称して烏龍茶と呼ばれる鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等の半発酵茶、紅茶
と呼ばれるダージリン、アッサム、スリランカ等の発酵茶の茶葉から水や熱水により抽出
して得られる。
茶を抽出する方法については、攪拌抽出など従来の方法により行う。また抽出時の水に
あらかじめアスコルビン酸ナトリウム等の有機酸又は有機酸塩類を添加してもよい。また
煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつついわゆる非酸化的雰
囲気下で抽出する方法も併用して茶抽出液を得てもよい。
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【0011】
更に、抽出したものを濃縮して使用してもよい。茶抽出物の濃縮物とは、茶葉から熱水
もしくは水溶性有機溶媒により抽出された抽出物を濃縮したものであって、特開昭59−
219384号公報、特開平4−20589号公報、特開平5−260907号公報、特
開平5−306279号公報等に詳細に例示されている方法で調製したものをいう。市販
の三井農林(株)「ポリフェノン」、伊藤園(株)「テアフラン」、太陽化学(株)「サ
ンフェノン」、サントリー(株)「サンウーロン」等が挙げられる。そのほか、カテキン
類は他の原料起源のもの、カラム精製品及び化学合成品でも使用できる。ここでいう茶抽
出物の濃縮物の形態としては、固体、水溶液、スラリー状等種々のものが挙げられる。
【0012】
10
本発明においては、茶抽出液及び茶抽出物の濃縮物を単独又は混合して使用することが
できる。また、カテキンを摂取する形態としては、カテキン類が液体状態、スラリー状態
及び固体状態で使用することができる。
【0013】
カテキン類は抽出前の茶葉の発酵状態が進むにつれて増加するので、水又は茶の抽出液
に各種茶抽出物の濃縮物を添加する場合は、特に緑茶抽出物の濃縮物が好ましい。
【0014】
製剤中で総ポリフェノール中のカテキン類の含有率としては、非エピ体非重合体カテキ
ン類(A)+エピ体非重合体カテキン類(B)の値とポリフェノールの比率は、好ましく
は、50∼100重量%、より好ましくは、60∼98重量%、特に好ましくは、70∼
20
95重量%である。ここで、総ポリフェノール濃度とは、酒石酸-鉄法で測定されるポリ
フェノール量をいう。
【0015】
更に非エピ体(A)とエピ体(B)の含有重量比は(B)/(A)=0.5∼20が好
ましく、更に好ましくは1∼15、特に3∼15が好ましい。この範囲であると肥満小児
のインスリン感受性改善効果が明瞭に発現される。
【0016】
また、カテキン類の含有量の30∼98重量%、好ましくは40∼90重量%が、エピ
ガロカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキン及びガロカテキンから
選ばれたものであると、製剤としての呈味が更に優れ、無理なく連用できるため、好まし
30
い。ここでエピガロカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキン、ガロ
カテキンは1種以上含有する。
【0017】
本発明のインスリン感受性改善剤の効果を出すための小児1日当り投与量は、非重合体
カテキン類として、300∼2500mgである。特に、好ましくは400∼1300mg、
更に好ましくは450∼1300mg、500∼800mgである。
【0018】
本発明を利用する場合、カテキン類の吸収量の点から、1日あたりのカテキン類量を少
ない回数で摂取する方がカテキン類の血中濃度が高くなり、カテキン類のインスリン感受
性改善作用を発現しやすい。
40
【0019】
本発明のインスリン感受性改善剤の投与対象は肥満小児である。ここで小児とは、児童
(2∼11才)と青少年(12∼16才)をいう。また、肥満小児における肥満とは、肥
満度(=(実測体重―標準体重)÷標準体重×100)20%以上であることをいう。
本発明のインスリン感受性の対象としては、6才以上の小児で、肥満度20%∼80%
、好ましくは、30%∼80%、更に好ましくは、30%∼50%の小児を対象とするの
が効果の点から好ましい。
【0020】
本発明の対象小児は、インスリン感受性が低下している肥満小児であればよいが、イン
スリン感受性検査指数(QUICKI)が0.357以下、好ましくは、0.31以下、
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(5)
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特に好ましくは、0.21∼0.30の小児を対象とするのが好ましい。インスリン感受
性の判定には、ソマトスタチンで内因性のインスリン分泌を抑制し、一定のインスリンと
グルコースを経静脈的に持続注入して、血糖値が上昇した後にほぼ平衡状態(steady-sta
te plasma glucose)になった頃の血糖値をインスリン感受性の指標とするSSPG(ste
ady-state plasma glucose)法が使用される。しかし、この方法は非常に時間がかかるう
え、機器も必要で、更に患者も苦痛を伴うことから、通常は空腹時血糖値(gluc;mg/dL
)とインスリン値(ins;mU/L)から1/(log(gluc*ins))によって算出されるインス
リン感受性検査指数(QUICKI:quantitative insulin sensitivity check index)が、最も
簡便で一般的な指標として用いられている。
【0021】
10
本発明の対象小児は、インスリン感受性が低下している肥満小児であればよいが、イン
スリン感受性の低下はインスリン抵抗性をも生じる。従って本発明の対象として、インス
リン抵抗性の指標であるHOMA-R(the homeostasis model assessment of insulin r
esisitance)値が2以上、好ましくは4以上、更に好ましくは5以上50以下を示す肥満
児を対象とするのが好ましい。なお、HOMA−Rは、以下の式で算出される。
【0022】
HOMA-R=空腹時血糖(mg/dL)×空腹時血中インスリン濃度(μU/mL)÷405
=空腹時血糖(mmol/L)×空腹時血中インスリン濃度(μU/mL)÷22.5
【0023】
インスリン感受性を改善するための摂取期間としては、8週を超えての期間が好ましく
20
、12週以上が特に好ましい。
【0024】
本発明の製剤としては、例えば散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、錠剤等の固形製剤、
水剤、懸濁剤、乳剤等の液剤等の経口投与剤が挙げられる。この経口投与剤は、経口投与
剤の形態に応じて一般に用いられる賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、アル
コール類、水、水溶性高分子、甘味料、矯味剤、酸味料等を添加して製造することができ
る。カテキン類は、経口投与用医薬品中に、医薬品の用途及び形態によっても異なるが、
一般に0.1∼100重量%、特に1∼80重量%含有するのが好ましい。
【0025】
本発明を食品として用いる場合は、食品の一部として種々の食品に用いることができる
30
。当該食品の形態には、飲料、醤油、牛乳、ヨーグルト、味噌等の液状又は乳状又はペー
スト状食品;ゼリー、グミ等の半固形状食品;ガム、豆腐、サプリメント等の固形状食品
;あるいは粉末状食品等いかなる形態でもよい。
【0026】
本発明のインスリン感受性改善剤としては、飲料の形態、特に容器詰飲料の形態とする
のが、カテキン類を容易に摂取でき、かつ、連用のしやすさの点から好ましい。
飲料中のカテキン類の含有量は0.06∼0.5重量%、好ましくは0.8∼0.26
重量%、更に好ましくは0.10∼0.26重量%、特に0.12∼0.16重量%が好
ましい。この量であるとカテキン類の多量の摂取が容易でありながら、強烈な苦味、渋味
、強い収斂性も生じなく好ましい。また0.06重量%以下であると、一日あたり飲料の
40
摂取量が増えるため、好ましくない。
【0027】
飲料とする場合は、非エピ体カテキン類が多くなれば、色調の長期安定性が図られるの
で好ましい。カテキン類中の非エピ体カテキン類とエピ体カテキン類の含有重量比率は1
0:90以上、好ましくは20:80以上、更に好ましくは30:70以上、最も好まし
くは40:60以上が飲料としての保存性の面で好ましい。
【0028】
また飲料中のカテキン類は、溶解状態で存在する方が、味わいや喉越しの面で飲み易く
、連用性が高く好ましい。
【0029】
50
(6)
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カテキン量の調節の点から、茶抽出液と茶抽出物の濃縮物とを併用するができる。非重
合体カテキン類合計含有量のうち茶抽出物の濃縮物由来のカテキン類含有量の占める比率
が5∼100%であり、更に好ましくは10∼100%、特に20∼100%含有するこ
とが風味の観点から、好ましい。
【0030】
飲料のpHは、25℃で3∼7、好ましくは4∼7、特に好ましくは5∼7とするのが、
味及び非重合体カテキン類の化学的安定性の点で好ましい。
【0031】
飲料としては、果汁・果実飲料、コーヒー飲料、烏龍茶飲料、緑茶飲料、紅茶飲料、麦
茶飲料、野菜飲料等の他の飲料と組み合わせることで、幅広い範囲の非重合体カテキン含
10
有飲料を提供することが可能である。例えばソフトドリンクである炭酸飲料、果実エキス
入り飲料、野菜エキス入りジュースや、ニアウオーター、スポーツ飲料、ダイエット飲料
等に適宜添加することもできる。
【0032】
これらの中でも特に緑茶、烏龍茶、紅茶などの本来甘味料を必要としない飲料形態での
処方が好ましい。また紅茶などに甘味料を使用する場合については低カロリーの人工甘味
料を使用するほうが好ましい。
【0033】
飲料には、非重合体カテキン類に併せて、酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸
類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、
20
甘味料、酸味料、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤、品質安定剤等
の添加剤を単独、又は併用して配合しても良い。
【0034】
飲料を容器詰飲料にする場合、使用される容器は、一般の飲料と同様にポリエチレンテ
レフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラ
スチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の形態で提供することができる。
【0035】
また、容器詰飲料は、例えば、金属缶のように容器内を完全に液で満たすか、脱気、窒
素置換又はその両方を行って後、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた
殺菌条件で製造される。PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについ
30
ては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器等で高温短時間殺菌
後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用される。また無菌下で、充填さ
れた容器に別の成分を配合して充填してもよい。更に、酸性下で加熱殺菌後、無菌下でpH
を中性に戻すことや、中性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを酸性に戻す等の操作も可能であ
る。
【実施例】
【0036】
カテキン類の測定
メンブランフィルター(0.8μm)でろ過した飲料を、島津製作所製、高速液体クロ
マトグラフ(型式SCL−10AVP)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ
40
用パックドカラム L−カラムTM ODS(4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物
質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により行った。移動相
A液は酢酸を0.1mol/L含有の蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有のアセト
ニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
【0037】
実施例1
外来小児肥満者を対象とし、茶カテキン高含有飲料(1日茶カテキン576mg摂取、カ
テキン群)及び対照飲料(茶カテキン75mg摂取、コントロール群)との間でダブルブラ
インド並行群間比較を行った。試験前観察期間を4週間、試験飲料摂取期間24週間、試
験後観察期間を12週間とした。
50
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【0038】
空腹時血糖値(gluc;mg/dL)とインスリン値(ins;mU/L)から1/(log(gluc*ins)
)によって算出されるインスリン感受性検査指数(QUICKI)により、試験飲料24週間摂
取前後のインスリン感受性改善効果を評価した。
【0039】
QUICKIの正常下限は0.357から0.382とされている。
【0040】
24週間後のQUICKIの変化量を表1、表2及び図1に示す。
【0041】
【表1】
10
20
30
40
【0042】
(8)
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【表2】
10
20
30
40
【0043】
図1中のX軸とY軸は、以下のように判断できる。
X軸;飲料摂取前のインスリン感受性検査指数(QUICKI)、数値が小さいほどイン
スリン感受性が悪い
Y軸;飲料を24週間継続摂取した後のQUICKIを初期のQUICKIから差し引い
た差分、(−)は悪化・(+)は改善
【0044】
カテキン群ではQUICKIの初期値と24週時の変化量に有意な負の相関性が認めら
れた。これはカテキン飲料継続摂取によってインスリン感受性が悪い肥満小児には改善を
50
(9)
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、インスリン感受性が良い肥満小児には影響がないことを示す。
一方、コントロール群ではQUICKIの初期値と24週時の変化量に有意な関係性は
認められず、コントロール飲料(一般的なお茶相当)を継続摂取してもQUICKIに対
して何ら影響を及ぼさない事を示す。
【0045】
表1及び図1から明らかなように、カテキン群では初期値と24週間後の変化量に有意
な負の相関性が得られ、カテキン群ではインスリン感受性が悪い小児ほど良く改善してい
ることが判明した。一方、コントロール群では有意な相関性は認められなかった。また、
表2から明らかなように、カテキン類の効果は、HOMA−Rが5以上の肥満小児で顕著
であった。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】カテキン類摂取24週後のQUICKIの変化量を示す図である。
【図1】
10
(10)
フロントページの続き
(74)代理人 100111028
弁理士 山本 博人
(74)代理人 100101317
弁理士 的場 ひろみ
(72)発明者 長尾 知紀
東京都墨田区文花2−1−3 花王株式会社研究所内
Fターム(参考) 4C086 AA01 BA08 NA14 ZA70
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