北杜市の環境保全施策について

北杜市の環境保全施策について
ミネラルウォーター税等導入のための庁内研究会
【目
次】
1.北杜市の環境について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
2.北杜市における環境保全施策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
(1)大気環境について
(2)水環境について
(3)森林環境について
3.環境保全に関する住民意識・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
1.北杜市の環境について
【北杜市の自然環境のイメージ】
北杜市は甲府盆地の北西部に位置し、総面積は 602 百 ha(山梨県の
◆
13.5%)と県内市町村のうち、最大の面積を有する。
◆
その自然環境を見ると、八ヶ岳や甲斐駒ヶ岳など全国有数の山々に
囲まれ、森林面積 459 百 ha、森林率 76%、国立公園等の指定地域は 178
百 ha に達している。
また、1 級河川の富士川(幹川延長 128km、552 の法河川を有する)
◆
の源流部にあたるほか、八ヶ岳南麓高原湧水群等を有している。
※左上から時計まわりに、甲斐駒ヶ岳、尾白川、三分一湧水、カラマツ林
◆
北杜市は、このような自然環境に囲まれており、豊かな森林、それ
から生み出される清涼な空気と水に恵まれている。
【市内の自然環境を代表する地区等】
国立公園等
名水百選
指定機関
指定区域等
環境省
秩父多摩甲斐国立公園、南アルプス国立
公園、八ヶ岳中信高原国定公園
山梨県
南アルプス巨摩県立自然公園
環境省
八ヶ岳南麓高原湧水群、白州・尾白川
-1-
【大気汚染に関する法令等の概要】
2.北杜市における環境保全施策
(1) 大気環境について
◆
県においては大気汚染の常時監視、指定工場・施設への指導勧告等
を行っており、汚染物質の排出規制に努めているところ。
◆
環境保全についての基本理念を定め、施策を総合的かつ計画的に推進す
るため、環境基準の設定、環境基本計画の作成等を規定。(環境基準:
大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音)
大気汚染防止法
固定発生源から排出される大気汚染物質について、物質ごと、施設の種
類・規模ごとに排出基準等を定め、排出者の遵守義務、違反者に対する
改善命令・使用停止命令等を規定。
ダイオキシン類
対策特別措置法
ダイオキシンに関する環境基準を定め、廃棄物焼却炉等の特定施設の設
置届出義務、測定・報告義務、違反者に対する罰則等を規定。
山梨県生活環境
の保全に関する
条例
公害規制から、生活排水や自動車による大気汚染など日常生活に伴う環
境負荷の防止まで幅広く規定。大気については、ばい煙等を排出する「指
定工場」の設置許可、規制基準の遵守義務、改善命令・操業停止命令等
を盛り込んでいる。
北杜市公害防止
条例
公害防止施策に対する事業者の協力責務・事故の届出義務、市による事
業者への防止勧告等を規定。
大気環境の保全については、各種法令による環境基準や排出基準の
設定、事業者への改善命令等の規制を中心に施策が展開されている。
◆
環境基本法
市においても、住民からの要請に応えて工場等の周辺で臨時的な調
査を実施しているほか、野焼き等の監視など、個別箇所ごとの柔軟な
調査・監視等を実施。
【大気汚染の監視等の連絡体系図】
北杜市役所
山梨県
連携
・要請等を受け、柔軟な調
査監視
要請
・常時監視と国への報告
・大気汚染状況の公表
・工場等への改善命令等
調査監視
必要な措置
住民等
発生源等
-2-
【 汚染物質ごとの経年変化 】
この結果、浮遊粒子状物質(SPM)、二酸化窒素(NO2)、光化学オキ
◆
0.20
0.18
シダント( Ox)、ダイオキシンの経年変化を見ると、改善又は横ばい
0.16
傾向。
0.14
SPM(mg/m3)
0.12
NO2(ppm)
0.10
Ox(ppm)
◆
これらの環境基準の達成状況については、光化学オキシダントを除
き達成しており、大気環境はおおむね良好に保たれている状況にある
と言える。
0.08
ダイオキシン(pg-TEQ/m3)
0.06
0.04
0.02
0.00
H8
なお、光化学オキシダントについては全国的な達成率も 0.2%と極め
◆
H9
H10
H11
H12
H13
H14
H15
H16
H17
※韮崎測定局、韮崎保健所
※SPM:年平均値、NO2:年平均値、Ox:昼間1時間値の年平均値、ダイオキシン:年間平均値
て低く、韮崎測定局においても非達成となっているが、光化学スモッ
グ注意報は発令されていない。
【 大気汚染に係る環境基準の達成状況等 】
達成状況
評価方法
H13
浮遊粒子状物質
−
H15
H16
H17
達
成
達
成
達
成
達
成
長期的評価
達
成
達
成
達
成
達
成
長期的評価
短期的評価
二酸化窒素
達
光化学オキシダント
非達成
非達成
非達成
非達成
非達成
なし
なし
なし
なし
なし
光化学スモッグ注意
報等発令状況
ダイオキシン
※韮崎測定局
達
成
H14
成
達
成
達
成
達
成
達
成
-3-
【市における自然エネルギー等推進状況】
◆
また、大気環境保全の一環として「北杜市地域新エネルギービジョ
施策の内容
ン」を策定し、新エネルギーやリサイクルエネルギー等の利用促進に
向けた取り組みを強化しているところ。
太陽エネルギー
個人住宅用の太陽光発電システム設置者に対し、1 kw 当た
り 2 万 5 千円の補助金を交付。
村山六ヶ村堰中小水 村山六ヶ村堰の豊富な農業用水を利用して、年間で約 220
力発電所
万 kw の発電を行い、大門浄水場への供給。
◆
特に、大規模電力供給用太陽光発電系統安定化等実証研究について
は、日本一の日照時間という北杜市の特性を活かし、循環型社会の構
築と大気環境の保全に資するものと期待されている。
BDFの利用促進
「北杜市バイオディーゼル燃料を考える会」と連携し、各
支所に回収所を設け、毎月第4土曜日に廃食油を回収。
大規模電力供給用太 NEDO 委託事業で、系統安定化技術開発や制御が可能な大型
陽光発電系統安定化 パワーコンディショナーを開発し、実証を行う。(2MW 程度)
等実証研究
を予定。
【太陽光発電実証研究のイメージ】
-4-
(2) 水環境について
【水質保全に関する法令等の概要】
① 水質保全対策
◆
水環境の保全についても大気と同様に法令に基づく排出規制や監視
水質汚濁防止法
工場等から公共用水域への排水、地下水への浸透を規制するとともに、
生活排水対策の実施を推進。特定事業場の届出義務、排水基準の遵守義
務、改善命令等を規定。
北杜市水資源の
確保と保護に関
する条例
水質の汚濁・汚染を防止し、地下水等の保護を図るため、水源保護地域
の指定や、同地域内への産廃施設等の設置禁止等を規定。
等が行われているほか、水質保全のための汚水処理施設整備、地下水
保全のための取り組みが実施されている。
◆
汚水処理施設の整備については着実な整備を進めているところであ
※環境基本法、ダイオキシン類対策特別措置法、山梨県生活環境の保全に関する条例、北杜市
公害防止条例については、大気環境で記述したため省略
り、市内の汚水処理人口普及率は県平均値、北杜市と同規模の都市を
上回り、水質の保全に貢献。
【汚水処理人口普及率の比較】
100%
90%
79.4%
77.3%
72.6%
80%
66.2%
70%
60%
50%
40%
30%
全国
5 ∼ 10 万 人 都 市
山梨県
北杜市
※ H16年度末実績(北杜市のみH17年度末実績)
※ 北杜市の普及率は浄化槽処理分を含んでいないため、実際の普及率は更に高い。
-5-
【市役所による水質調査の様子】
◆
また、水質の監視等については、公共用水域及び地下水の汚濁状況
の監視を国・県が実施しているほか、市においても独自調査を年 2 回
実施しており、必要に応じて調査地点の追加等、水質汚濁の監視に努
めているところ。
◆
市による調査については H17 年度には 59 地点、H18 年度には合併に
より旧小淵沢町が加わり、市内全域 66 地点を対象に実施しているとこ
ろ。
【 市役所による河川調査地点 】
平 成 17年 度 水 質 調 査 地 点
明野総合支所管内
須玉総合支所管内
高根総合支所管内
長坂総合支所管内
大泉総合支所管内
白州総合支所管内
武川総合支所管内
-6-
◆
【 水質調査の結果概要 】
これらの調査の結果、北杜市内の水質は清涼で良好な状態に保たれ
ていると考えられ、今後とも、これらの施策を推進していくこととし
公共用水域
ている。
人の健康の保
項
目
国
生活環境の
護に関する環
保全に関す
境基準
る環境基準
カドミウム等
BOD等9項目
26項目
要監視項目
地下水
その他
クロロホル
硝酸・亜硝
ダイオキシ
ム等29項目
酸性窒素
ン
県
地点数
3箇所
3箇所
3箇所
11箇所
3箇所
調
環境基準
基本的に達成
すべて達成
全て指針値
4 箇 所 (飲 用
公共用水域、
査
等の達成
(地質由来砒
状況
素1箇所)
項
カドミウム等
目
市
以内
井戸以外)で
地下水とも
確認
達成
BOD等9項目
26項目
調
地点数
3箇所
59箇所
査
結
達成
達成
果
-7-
② 地下水源保全対策
◆
【平成17年度簡易水道取水割合】
北杜市は地下水や湧水等に恵まれた地域ではあるが、水道水源の約 6
伏流水
4.1%
表流水
0.9%
割を地下水・湧水に依存しており、地域の共有財産である地下水源の
浅井戸
0.8%
保全を適切に図ることは極めて重要。
企業団水
40.9%
◆
深井戸
27.9%
一方、近年では飲料製造業や食品製造業等の進出により、その地下
水の計画採取量は急激に増加しており、過去 10 年間で 23 %増となっ
ている。
湧水
25.4%
【地下水の計画採取量の累計】
(千m3/日)
40
10 年間の
伸率7%
〃2%
30
20
〃38%
その他
製造業
10
食品・飲料製造業
0
97
98
99
00
01
02
03
04
05
06
(年度)
※北杜市土地政策課(簡易水道は除く)
※「山梨県地下水資源の保護及び採取適正化に関する要綱」に基づく届出井戸
-8-
【地下水採取の適正化に関する条例の概要】
◆
このような状況を踏まえ、水源の保全と適正な利用を図るため、
「北
項
杜市地下水採取の適正化に関する条例」を制定し、必要な規制等を行
っているところ。
しかしながら、合併前の同種の条例制定状況を見ると、2 町村を除
◆
き比較的最近に制定されたことから、地下水採取の増大に対応しきれ
ていないのが現状。
目
内
容
規
規制地域におけ
る採取制限
水道水源周辺地域等においては、井戸設置・変更は禁止
制
規制地域以外に
おける採取許可
上記以外の地域においては、井戸設置・変更は許可を受
けなければならない。
水道水源の周辺
公共用水道の水源から半径 250m 以内
湧水資源の重要
な地域
大湧水の周辺地域
地下水源の極め
て重要な地域
長坂町の区域で JR 小海線から上の地域
規
制
地
域
その他(湧水から 500m 以内)
採取者の責務
水源の保全に対する責務、水質検査の受検義務(飲用水)
指導・勧告
水道水源等に影響がある場合、取水量制限等の指導・勧
告を行うことができる。
なお、白州地域においては北杜市と地下水利用者 5 企業による協議
◆
会を設置し意見交換等を行っているところであるが、市内の地下水源
を保全するためには、積極的な地下水保全対策を行っていく必要があ
る。
-9-
(3) 森林環境について
【北杜市の森林の構成】
北杜市は県内最大の 602 百 ha の面積を有する市であり、その森林面
◆
積は 459 百 ha、森林率 76%となっている。森林率自体は県平均となっ
スギ
ヒノキ
アカマツ
カラマツ
広葉樹
その他
ているが、その構成は八ヶ岳や甲斐駒ヶ岳を有する特徴あるものであ
る。
◆
面
積
164ha
1,099ha
6,329ha
10,153ha
16,759ha
6,601ha
比
率
0%
3%
15%
25%
41%
16%
その樹種構成を見ると、アカマツ、カラマツ、広葉樹が主なものと
なっており、人・天別に見ると人工林率 37%となっている。
※除地等は含まない
【北杜市の森林のイメージ】
※左:アカマツ人工林、右:カラマツ人工林
-10-
◆
森林面積から見ると、北杜市は森林に恵まれた地域であるが、除間
【未間伐森林と管理不足の里山】
伐面積は低位に止まっており、その整備は十分とは言い難い状況とな
っている。
◆
適切な整備・管理が行われていない森林は、水源涵養や国土保全、
生物多様性の保全等の機能が高度に発揮されず、地域社会に影響を及
ぼすおそれがある。
※左:表土が剥き出しとなったヒノキ林、右:耕作放棄地と接する管理不足の里山
【北杜市内の除間伐面積の推移】
(ha)
300
200
私有林
県有林
100
除 ・間 伐 計
0
13
14
15
(年 度 )
16
17
※山梨県、北杜市資料
-11-
【北杜市里山整備事業の概要】
◆
健全な森林を育成するためには、森林所有者の負担軽減を図り、森
林整備が実施されやすい環境を整えることが重要である。
所有者負担
里山整備事業
県の補助
◆
国の補助
このため、市では「里山整備事業」を創設し、森林所有者等が行う
森林整備の経費に対して 85%を上限とする補助を行っている。なお、H17
年度の本事業の実績は 43ha となっており、事業を更に推進していく必
要がある。
17%補助
対象事業
51%補助
面積
北 杜市 が 85%まで補 助
※ 補 助 水 準 は 、施 業 計 画
を 作 成 して い る 場 合
補助内容
植 林 ・樹下 植 栽
下 刈 り
除 間 伐・抜 伐 り
枝 打 ち
・標 準 事 業 費 の 85%
0 .1 h a以 上
・自 力 の 場 合 は 一 律 5万 円 /ha
改 良
-12-
【市民の描く市の将来イメージ】
3.環境保全に関する住民意識
5 7 .8
健 康 で安 心 して暮 ら せ る 町
◆
平成 17 年に行った「まちづくり市民アンケート調査」によれば、居
住意向の理由として「自然が豊かであるから」との回答が 48.7%と、
「家
・土地の所有」に次いで第 2 位となっている。
自 然 と共 生 する 美 しい 町
5 5 .6
2 2 .8
便 利 で快 適 に暮 らせ る町
農 林商 工 業 など活 力 ある産 業 の 町
1 7 .8
1 6 .8
郷 土 を 愛 し、ふ れ あ い 豊 か な町
また、市の将来イメージに関する回答については「自然と共生する
多 くの 人 が 訪 れ る 観 光 ・交 流 の 町
美しい町」が 55.6%、参加したいまち作り活動に関する回答ついては
教 育 文 化 スポーツ等 が 充 実 した 町
◆
1 1 .3
9 .7
0
「自然保護・愛護活動」が 42.9%と最も多かった。
10
20
30
40
50
60
70
(% )
※北杜市(まちづくり市民アンケート調査)
◆
これらより、市民が、現在及び将来にわたる豊かな自然に強い期待
【参加したいまちづくり活動】
を寄せ、それを保全する活動に参加したいとの意向を有していること
が分かる。
4 2 .9 %
自 然 保 護 ・愛 護 活 動
3 8 .3 %
リサ イ クル 活 動 や 省 資 源 活 動
3 4 .7 %
花 い っぱ い 活 動 や 清 掃 活 動
3 0 .5 %
福祉 ボラン ティア活動
2 5 .8 %
交 通 安 全 ・防 犯 ・防 災 活 動
1 9 .9 %
市や地区の各種行事
1 7 .8 %
健 康 な 町 づ くり活 動
1 4 .6 %
歴史文化活動
1 2 .0 %
児 童 ・青 少 年 の 育 成 活 動
0%
5%
10 %
15 %
2 0%
2 5%
30 %
35 %
40 %
45 %
5 0%
※北杜市(まちづくり市民アンケート調査)
-13-
【山梨県のNPO認証数】
(年 度 別 )
(累 計 )
◆
実際に、NPO活動は広がりを見せており、山梨県内の認証NPO
120
50
108
法人は累計で 108 団体となっている。この他にも、法人化されていな
45
100
80
いボランティアも多数。
累計認証数
40
年度別認証数
35
30
25
60
20
40
15
10
20
5
なお、その活動分野については、保健・福祉、まちづくり等と並ん
0
0
10
で、環境保全を目的とするものが多数存在しており、当該分野に対す
12
13
14
15
(年 度 )
※山梨県県民生活課(内閣府認証、知事認証を合わせた数値)
【NPO法人の活動分野】
60
50
48
47
45
43
40
40
40
38
30
20
14
11
ト
ー
護
ポ
保
開
力
サ
O
P
業
動
能
の
職
活
1
発
化
行
性
活
「進
術
技
済
3
経
学
科
6
3
の
報
情
健
こ
ど
も
女
の
共
化
成
画
全
育
力
参
同
協
際
国
護
擁
権
男
動
・平
援
活
全
域
災
安
人
全
保
救
ー
境
害
地
術
環
くり
ち
ま
・芸
化
文
ポ
づ
教
会
社
健
・福
祉
育
等
ツ
0
和
3
N
10
者
15
費
16
消
20
保
る高い関心をうかがうことが出来る。
11
・ス
◆
※山梨県県民生活課(定款に掲げている分野、知事認証のみ)
-14-