研究成果情報1 [成 果 情 報 名 ] 高 品 質 な豚 肉 生 産 を可 能 にする新 系 統 豚 「フジザクラDB」の作 出 [要 約 ]発 育 や 産 肉 能 力 の 改 良 に 加 え 、 お い し い 豚 肉 生 産 に 必 要 な 能 力 の 改 良 が 行 わ れ た 新 系 統 豚 「 フ ジ ザ ク ラ DB」 を 作 出 し た 。 「 フ ジ ザ ク ラ DB」 は 筋 肉 内 脂 肪 含 量 が 入 りやすく、保存の際の肉汁の損失(ドリップロス)が極めて少ない特徴を持ち、高品 質な肉豚生産に活用できる。 [担 当 ]畜 産 試 ・養 豚 科 ・赤 尾 友 雪 [分 類 ]技 術 ・普 及 ---------------------------------------------------------------------------[課 題 の要 請 元 ] 畜産課、 養豚農家 [背 景 ・ねらい] 最 近 の食 肉 における消 費 者 動 向 は、生 産 経 路 が明 確 かつ安 全 でおいしい畜 産 物 を求 める 傾 向 にある。 本 県 では平 成 17 年 2 月 に姉 妹 州 である米 国 のアイオワ州 や国 内 から優 良 な種 豚 を導 入 し、 新 系 統 豚 の造 成 を開 始 した。 新 系 統 豚 は、雄 系 としての活 用 を予 定 しており、生 産 者 が求 める発 育 性 や産 肉 性 の改 良 と ともに、消 費 者 に肉 質 や食 味 でアピールできる改 良 を行 うことで、山 梨 県 独 自 の特 徴 ある新 銘 柄 豚 生 産 に活 用 する。 [成 果 の内 容 ・特 徴 ] 1. 発 育 能 力 の指 標 である1日 平 均 増 体 重 (DG)は育 種 価 及 び実 測 値 で世 代 経 過 とともに改 良 が進 んだ。改 良 目 標 値 1,000g/d に対 し、第 7世 代 育 成 豚 では約 950g/d であり、第 7世 代 選 抜 種 豚 (維 持 開 始 種 豚 )では改 良 目 標 値 に到 達 した(表 −1,図 −1)。 2.肉 質 の保 水 能 力 の指 標 であるドリップロス(DL)は、改 良 形 質 とした第 4 世 代 以 降 順 調 に改 良 が進 み、改 良 目 標 値 1.30%に対 し、第 7 世 代 豚 で 1.02%まで減 少 した(表 −1,図 −2)。 3 .その他 の改 良 形 質 である背 脂 肪 厚 ,ロース断 面 積 ,筋 肉 内 脂 肪 含 量 においても第 7 世 代 までに概 ね改 良 目 標 に到 達 した(表 −1)。 4. 第 7 世 代 の近 交 係 数 は約 7%、血 縁 係 数 は約 22%に到 達 し、能 力 の斉 一 性 が高 い集 団 となった(図 −3)。 5. 第 7 世 代 選 抜 種 豚 は、RYR1遺 伝 子 型 検 査 結 果 が全 て正 常 型 であり、むれ肉 の発 生 要 因 となる不 良 遺 伝 子 を保 有 していない(表 −2)。 [成 果 の活 用 上 の留 意 点 ] 1. 新 系 統 豚 は 、 1 日 平 均 増 体 重 , 背 脂 肪 厚 、筋 肉 内 脂 肪 含 量 、ド リ ッ プ ロ ス に つ い て BLUP 法 を 用 い た 育 種 改 良 を 行 い 第 7 世 代 で 系 統 造 成 を 完 了 し た 。 2.社 団 法 人 日 本 養 豚 協 会 に 系 統 豚「 フ ジ ザ ク ラ D B 」の 認 定 を 申 請 中 で あ り 、H24 年 度中に認定される見込みである。 [期 待 される効 果 ] 「 フジザ クラD B 」はデ ュロッ ク種 とバーク シャー 種 を 基 礎 豚 とする 山 梨 県 独 自 の 系 統 豚 であ り、通 常 の 豚 肉 と比 較 し筋 肉 内 脂 肪 含 量 が 入 りやすくドリップロスが 出 に くいという特 徴 を持 っ た改 良 がなされた。本系統豚を活用した山梨の新たなブランド豚肉の生産は県内養豚振興に大き く寄与する。 [具 体 的 データ] 表−1 改良形質の目標値と完成世代の成績 改 良形質 1日平均増体重 DG(g/d) 背脂肪厚 BF(cm) 目標値 第2世代 1000 822 1.80 1.31 38.0 40.2 ロース断面積 EM(cm2) 筋肉内脂肪 IMF(%) 3.50 2.77 ドリップロスDL(%) 1.30 1.63 ドリップロスは第4世代から改良形質とした。 第7世代 ・ ・ ・ ・ ・ 946 ・ ・ ・ ・ ・ 1.69 ・ ・ ・ ・ ・ 38.2 ・ ・ ・ ・ ・ 3.31(去勢・♀) ・ ・ ・ ・ ・ 1.02(去勢・♀) 2 140 1010 990 970 950 DG表型値(g/d) 120 DG育種価 100 DG育種価 890 60 870 850 40 830 DL表型値(%) 80 0.1 1.8 0.05 1.6 0 1.4 -0.05 1.2 -0.1 1 -0.15 0.8 -0.2 DL表型値(%) 0.6 790 0 770 750 G1 G2 G3 G4 G5 G6 G7 図-1 DGの世代経過改良状況 -20 G7選 (世代) 抜豚 -0.25 DL育種価 20 810 0.4 -0.3 0.2 -0.35 0 G1 -0.4 G7 G7選 (世代) 図-2 DLの世代経過改良状況 抜豚 G2 G3 G4 G5 G6 (%) 25 近 交 係数 20 血 縁 係数 表−2 RYR1遺伝子型検査結果 15 世代性別頭数 C/T T/T C/C※ 雄 15 15(100%) 0 0 G7 雌 45 45(100%) 0 0 ※ C/C正常型;C/T正常・疾患型;T/T疾患型 10 5 0 G0 G1 G2 G3 G4 G5 G6 図−3 近交・血縁係数の世代変化 G7 (世代) 〔その他 〕 研 究 課 題 名 :やまなしの新 銘 柄 豚 の開 発 新 系 統 豚 の造 成 予 算 区 分 :県 単 研 究 期 間 :2004 年 ∼2011 年 研究担当者:赤尾友雪、片山努、古屋元宏 DL育種価 DG表型値(g/d) 930 910 第7世代(選抜種豚) 1011 1.71 39.5 − −
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